異端の武具職人が神の領域を目指すのは間違っているだろうか   作:のん野のん太郎

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評価ありがとうございます。
最近筆があんまり進まない……自分のペースで頑張ります
今回はBloodborneの武器が出ます。
武器の紹介メインなので、後書きだけでも可。
後書きに簡単に書いてます。


第19話

 カンカンカンと、軽く鉄を打つ音が響く。

 徐々に必要最低限の骨組みが浮かび上がり、多少湾曲した柄で先端部分が枝分かれ。

 そして引っ掛けるように半円状の刃。

 

 最初に完成した武器は、大きな鎌であった。死神が持っているという、人間にとっては草刈りで使用するもの。

 武器としては非常にマイナーで神が見れば興味を示し、小さな女性冒険者が持っていれば『ロリ死神コスきたぁあああ!』と大声を上げて発狂するだろう。

 

 まぁそれは置いておいて、だ。

 何故鎌を作ったのかと言うと、折り畳むことが出来る武器、コンパクトに持ち運びできる武器を作ろうとした為だ。そう、湾曲している柄は折り畳むことが出来る。

 そして鎌の刃部分は剣のようになっており、それだけでも武器として使える様になっているのだ。

 背中に柄を背負っている場合は柄の枝分かれしている箇所に刃部分のハンドルを叩きつける事で柄と強力に噛み合って一体となる。

 その反動で畳まれていた鎌の柄も開かれて一瞬で鎌に変形。そして柄の曲線が体に沿っている為、開かれた際に発生する力によってスルリと手元に収まった。

 また、鎌から剣を取り外すのは柄を折り畳んで捻るように引っ張ると取れる。

 剣状態では柄を背負わなければならないというのは難点であるが、武器を二つ持つよりは嵩張らないだろう。

 

 これは『大樹』と『雪鋼』を使い分けていた以前のスタイルを一新する為に編み出した、仕掛け武器という新たなブランド『可変』シリーズだ。まんまだが、分かりやすい方がいいだろう。

 第一弾の短剣と鎌の組み合わせ、銘を『可変・大鎌』。この武器はこれから作る『可変』シリーズ全ての根幹となった。

 

 

 そして次は鎌と同じ形の両刃に、折り畳むことが出来る短めの柄を取り付けた形。

 そうすることで威力重視の大振りの曲刀、そして刃を折り畳むことでリーチの短い、振りの速い戦闘スタイルを可能とする連撃モードを使い分けることが出来る。

 大鎌とは違い、ダンジョン内でも使いやすい事を意識した武器だ。それに加えて柄を取り外す必要が無いというのも魅力の一つ。

 銘は『可変・曲刀』

 殴るように斬る事が出来る連撃モードは想像以上に振りやすい為、今後の武器にも活用できそうだ。

 精神力を焚べる事で強制的に変形させる事を可能にし、変形による攻撃を可能とする。

 

 

 三つ目は完全なる挑戦作。偶然出会った神から聞いた、蛇腹剣というロマン武器の作成だ。

 作成の際は蛇腹剣の伸びた状態であった為、素材の中から曲がりくねった状態で彫り出した。鉄糸部分がいつ折れるか気が気じゃなかったが、何とかやり遂げたのだ。

 糸を縮めると分厚く重量のある大鉈であり、流麗に斬るというよりは力任せに叩き斬る感じ。

 その大質量によって威力は倍増し、生半可な敵は力で捩じ伏せる事を可能となっているだろう。

 そして蛇腹剣では鉈の刃を鉄糸で繋ぎ、鞭のように敵に刃を叩きつける事が可能だ。鞭というには重く、強く、振りが遅すぎるが。

 だがそのままでまともに扱えるはずもなく、蛇腹剣を自在に扱う為には精神力の使用による補助が必要となった。

 下手な中距離魔法よりも速く、強く攻撃する事が出来る点は大きなアドバンテージになるが、扱いづらく、隙が大きい所は要注意だ。

 銘は『可変・大鉈』。作ったはいいが、使い所は非常に限られる難しい武器になってしまった。

 

 

 

 四つ目は二種の武器の性質を併せ持つ『可変』シリーズとは別物。

 嵩張る投げナイフや回収出来なくなった場合の解決策になる『秘密道具』を作成する。

 

 最初はナイフではなく、針を作った。

 小指程度の大きさの針に魔力を纏わせ、その針を投げることで投げナイフの代わりとするものだ。

 しかしこれは投げにくい上に射程が短く、回収が困難な上に弾数が限られる。量を持てるとはいえ今まで使ってきた投げナイフと変わらない。それに、精神力を使う点も頂けない。

 ボツだ。

 

 次に投げた後に戻ってくるナイフを作った。

 投げるナイフと、自分に戻ってくる為の指輪。

 蛇腹剣で用いた鉄糸を参考にし、投げナイフに鉄糸を繋げる。そして魔力を指輪から鉄糸に通して手元に戻す。

 針に比べて射程は長くなったが、一度に使用出来る数が限られる。それに加えて鉄糸がある為干渉されやすく、逆に利用される場合もあるだろう。

 これもボツだな。

 

 そして最後に作ったのは一本のナイフだ。

 見た目は本当にハンドルのみだが、柄に仕舞われた刃を引き出すと普通のナイフのような見た目に変わる。『雪鋼』と比べて没個性な、どこにでもあるようなナイフ。

 しかしこのナイフには刃がない。おそらく紙一枚斬ることが出来ないだろう。

 そのまま使えば何の役にも立たない玩具だが、魔力を使用することで真価を発揮する。

 魔力を込めることで刀身が緑色に光り、振ることで風の刃が飛ぶ。

 使用する精神力が思いの外少なく出来たのは素晴らしいが、威力は投げナイフと比べると少し心許ない。

 これは保留だな……銘を付けておくか。見た目は普通のナイフだし、『飛嵐』とするか。

 

 うーむ、投げナイフの代替品が思いつかない。

 改めて投げナイフの使い勝手の良さを実感したな。

 暫くは投げナイフと『飛嵐』を併用するのがいいか。

 

 

 

 

 

 ここまでにかかった期間は四日。そろそろ寝るか……

 ほぼ寝ずに精神力回復薬を使用して作っていたが、そろそろ集中力にも限界が来た。

 投げナイフの代替品案も湧いてこないし、一度休んでから考えるか。

 フラフラとソファに倒れ込むと、何を考える間もなく眠りに落ちた。

 

 

 

 

 目が覚めると作った武器達が目に入る。

『可変』シリーズは完全新作の、手探りで作成した武器である為荒削りな印象。今まで作ってきた武器と比べると耐久性は明確に劣っており、装飾も無い為無骨な見た目だ。

 煌びやかな美しさは無いが、ただ獲物を狩る機能のみが備えられた機能美は確かにそこにあった。

 一、二回振った覚えはあるが、『可変・大鉈』に関しては練習が必要だと思ったはず。

 続きを作りたいが、練習しにいこう。

 

 

 そして辿り着いたのは、いつもの場所(11階層)。オークやシルバーバック、ハード・アーマードの出現する試し斬りのベストポジションだ。

 部屋が広くどんな大きい武器でも振りやすい点。そして攻撃を当てやすく、威力も確認しやすい最高の場所だ。

 

 周囲にモンスターはいないが、バックパックを地面に置いて素振りする。

 大鉈状態では片手で振れるギリギリで体全体を使って振る。

 足を踏み締めて横に薙ぎ、体重移動と遠心力を用いて地面に叩きつける。叩きつけた地面は大きくめり込み、破片は大きく飛び散った。

 おそらく『大樹』の全力に匹敵するレベルの威力だ。

 そのまま斬りあげるとブォン、と鈍く大きな風を切る音が響き渡る。横幅がある為剣やハルバードでは出ないような低い音だ。

 

 そして次に魔力無しの蛇腹剣モードの練習。

 柄にある留め具を指で弾くと固定が外れ、衝撃で外れるようになった。

 肩に担いでいた大鉈を振り下ろすとガイン、ガインと大きな音を鳴らしながら刃が分かれていき、一・五M程度の射程が五M近くまで伸びて地面に叩きつけられる。

 手前側から波のように地面にめり込む刃達。

 それを全力で引っ張ることで再びガイン、ガインと音を鳴らして大鉈状態に戻す。そして横薙ぎすると段々に射程を広げていき、超広範囲の斬撃を繰り出すことが出来た。

 だが水平に降ると止められなくなる。斜め下に振らなければリカバリー出来ないな、これは。

 

 そんな風に音を鳴らしまくっていると、当然モンスターが寄ってくる。

 オークが三体、目をギラつかせながらやってきた。

 歩くように近づいてくる為、射程が長い蛇腹剣で隙だらけな体を狙う。

 一撃殲滅、横薙ぎで全滅狙いだ。

 先程のように全力で振るうと並んだオーク達の横っ腹を直撃するが、命中した刃が他の刃に置いていかれることによって足並みが乱れ波打ち、反動が俺を襲った。

 全滅狙いだったが結果は一体のみで、俺にもダメージ。

 ……肩が痛ぇな。魔力で誘導出来るようになっているのはコレがあるからか……

 頭の中に浮かんだ通りに作る彫刻武具には、俺でも知り得ない特殊な機能やその意味がある。

 その為試し斬りは他の武具職人と比べてもより重要と言えるだろう。

 

 精神力を流し込むと鉄糸が緑色に薄らと光り、力を込めていないにも関わらず宙に揺らめく。

 動かしたい通りに動く為操作性は非常に良く、まるで生きているみたいだ。

 近づいてきているオーク二体に腕を大きく引いて初速を稼ぎ、一回転して遠心力が乗りに乗った状態で横薙ぎ。

 先程は一体目で総崩れになったが、精神力を使って補助することで二体纏めて真っ二つにする事を成功させた。

 精神力の消費は馬鹿にならないが、切り札としては威力と射程は最高級だ。

 

『可変・大鎌』と『可変・曲刀』も威力重視の戦いとスピード重視の戦いが出来る上に使いやすかった為、文句なしだ。

 このシリーズはアリだな……新しい発想を思いつけば随時更新していこう。




『可変』シリーズ……Bloodborneに登場する仕掛け武器は全てこのシリーズにぶち込みます。
『可変・大鎌』……モチーフはBloodborneの『葬送の刃』。仕掛け武器の原点とも言える武器。剣モードと鎌モードで使い分けられる。剣モードの時は柄と分離する為、ちょっと邪魔になる。
『可変・曲刀』……モチーフはBloodborneの『獣狩りの曲刀』。古い狩人が用いた武器で、獣を狩るにしては振りが遅い。大きな曲刀モードと、取り回しの効く刃を畳んだモードがある。刃を畳んだモードでは殴るようにして攻撃する。
『可変・大鉈』……モチーフはBloodborneの『獣肉断ち』。古い狩人が用いた武器で、振りが遅い。唯一変更点があり、かなりの魔改造を受けている。蛇腹剣モードの射程がかなり伸び、精神力を使って自在に操れるようになった。もはやBLEACHに出てくるやつの方が近い気がする。


精神力と魔力の使い分けを間違えることが多いです。未だに精神力って単語に慣れないぜ……
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