バカとアクマと召喚獣   作:レーラ

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シンフォギアの方のシナリオ展開に行き詰まり、息抜きがてら描いたものです。失踪はしてませんよ。

後悔はしてない……


悪魔の転校生

 僕達が通う文月学園に、可愛い転校生がやって来た。肩まで伸びた淡い水色、宝石みたいに綺麗な紫の瞳で、胸もそこそこある女の子。しかもこの最下層クラス、Fクラスに。Fクラスは基本バカしかいないからむさ苦しい男が殆どで女子なんて(姫路さんと島田さんを覗いて)殆どいない。しかもこの教室の床は腐った畳、机と椅子じゃなくて卓袱台と座布団、ハッキリ言ってしまえばオンボロな教室だ。そんな野蛮人の巣窟に可愛い女の子が来れば、誰もがお付き合いしたいと舞い上がる。

 

「今日からこちらに転入しました、浦方 真梨香(うらかたまりか)です!マリって呼んでください!」

 

 彼女の明るくて活発な挨拶は、まるでアイドルのライブを思わせるんだ。まあ、そういうのは行ったことないけど。でも男達は雄叫びみたいに汚く叫んだ。

 すると、浦方さんは僕に気付くと

 

「あ、君はあの時の!やあやあ久しぶり〜♪」

 

 やめて!そんな眩しい笑顔で呼びかけないで!それとその右手で何かを揉むような手付きも!

 

「よ、吉井!どういう事?!アンタ彼女と知り合いなの?!」

「浦方さんとはどういう関係なんですか?!」

 

 島田さんも姫路さんも落ち着いて!そんなに問い詰められるような関係じゃないから!しかも他の人達からも明確な殺意が向けられている!ヤバい!下手したら僕の命に関わる!

  

 まさか、彼女は分かってやっているのか?!こうなる事を分かっていて!

 そうだ……僕は知っている。彼女は……一言で言えば悪魔だということを。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 遡ること2週間前、文月学園に通う吉井明久はクラスの振り分け試験が終わって下校していた。この日の為に試験勉強に打ち込んだ為か、その分の疲労が重くのしかかる。

 

「疲れた……。だけど、やる事はやったんだ。後は結果を……」 

「よう幸薄そうな兄ちゃぁん。」

 

 そこにボタンを留めずに着崩した学ランに顔面傷だらけの坊主とオールバック金髪、金属バットを持ったモヒカン男といかにもな不良学生に絡まれてしまう。しかし明久が幸薄そうな見た目というのは間違ってはいない。

 

「ちょっと!失礼なこと言わないでよ!」

「あん?何言ってんだこいつ?」

「聞こえないの?!天の声が失礼な事言ってたよね?!」

 

 ややこしくなるので話を進める。

 

「進めないでよ!」

「何言ってんだこいつ?」

「俺達これから遊びに行くんだけどさぁ。皆して財布忘れちゃったわけ。だからさぁ、貸してくんない?」

 

 ベタな恐喝である。だが明久の腕っぷしはハッキリ言って凡人レベルに届くか微妙なラインである。当然このベタな不良達に逆らえば当然フルボッコになるのは目に見えている。もはやお金を差し出すしかないかと思われた。

 

「ねえ君達!」

 

 不良学生の背後から女子の声が聞こえ、三人は振り返った。すると、淡い水色セミロングのセーラー服を着ていた女子がこちらに向かって来た。その女子こそが浦方真梨香である。

 

「一人相手に三人で恐喝なんて、随分セコい事するじゃん。」

「おうおう姉ちゃん、ちょっと可愛いからって調子のんなよぉ?」

「あ、それよく言われる。結構可愛いって。」

 

 何言ってんだこいつ?みたいな目で真梨香を見る。一方真梨香は不良たちの威圧をものともしない。

 

「まあでも私、器も脳みそもタマも小さい男はタイプじゃないし興味ないの。ごめんねお付き合いできなくて。」

「はぁ?!」

「何フラレたみてえな扱いされなきゃなんねんだぁ?!あんまり生意気こいてると女だろうがボコすぞ!」

 

 激怒した坊主男が女子の左手を掴んだ。だがこれが彼らの大きな過ちの始まりだった。

 

「へぇ……気に入らないなら暴力ですか。なら仕方ないなぁ……。」

 

 そう言うと掴まれていない左手で右肩にぶら下げているかばんの口へ突っ込んでガサゴソと何かを探す。目的の物を掴むと、おっ、あったと言わんばかりの表情になり

 

「じゃあこれあげるから、何とかこれで収めてください……なっ!」

 

 そう言うと鞄から出した饅頭を強引に坊主男の口に無理やり入れた。

 

「むぐぅっ!な、なんだこ……」

 

 するの坊主男の顔が真っ赤になり、じわじわと両目から涙が出てきた。そしてそれを見た真梨香は悪魔の笑みを浮かべる。

 

「ぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」

 

 坊主男の真梨香を掴む手はすぐに離れ、口元を抑えて大絶叫した。他の二人の仲間が心配して駆け寄る。

 

「どう?私特製のデスソース饅頭!」

 

 デスソース。それはハバネロの何十倍の辛さを誇る激辛ソース。一滴入れるだけでもその凶悪な辛さから、数多の人間を絶望に陥れた。

 さらに真梨香が使用したデスソースは、デスソースの中でも最も辛いとされるサドンデスソース。ギネスで最も辛いと登録されている唐辛子、ブートジョロキアを原材料とし、さらにその中に大量のハバネロも含まれている。そのソースを入れて作った饅頭は、まさに最凶の兵器である。

 

(何でそんな殺人兵器を作ったのぉ?!っていうか怖っ!!) 

 

 女の子とは思えぬ悪魔の所業に、明久はドン引きするが

 

「今のうちにズラかるよ!」

 

 そう言って真梨香は明久の右手を掴んで、引っ張るように走り出した。

 

「待てコラァ!」

「待ちやがれこのアマァ!」

 

 明久は一瞬振り返ると、二人が鬼の形相でこちらの後を追っていた。

 

「ちょっと!どこへ逃げる気?!」

「大丈夫!こんな事もあろうかと用意してあるから!」

 

 まさかこうなった時の為に逃げ道を作っておいた事に感心する明久だった。しばらく逃げていると二人は空き地へと逃げ込んだ。元は大きなスーパーマーケットだったらしいが、そこが経営難で潰れてからは空き地になり、今では焦げ茶の雑草がそこらかしこに生えている。しかし、その敷地内の中央まで走ると突然その足を止めてしまう。

 

「え?!何で逃げないの?!」

「いやぁもう逃げるのにも飽きたなぁって。」

「そんな気分で止まらないでよ!ほら来ちゃったぁ!」

 

 残った不良二人と、まだ激痛が収まらず口元を抑えながら息絶え絶えで追いかけてきた坊主頭に追いつかれてしまった。

 

「もう逃さねえぞ!」

「覚悟しやがれ!」

 

 ナメられた上に仲間が良いようにやられたのに腹を立ててるのだろうが、真梨香は随分と余裕そうだった。

 

「御託は良いから掛かってきなよ。私一人で相手してあげる。ヘイカモ〜ン!」

 

 そう言って親指以外の指をクイクイっと曲げて挑発する。

 

「舐めんじゃねえぞオラアアァァ!」

「イヤアァァァ!来たああぁぁぁ!!」

 

 男二人が真梨香に向かって襲い掛かり、明久は絶叫し、目を背ける。

 

 ズボッ

 

 が、何かが崩れる音が聞こえ、聞こえるはずの悲鳴が聞こえない事に違和感を感じた明久は目を開けた。すると、真梨香に近づこうとした男二人の姿が忽然と姿を消した。同時に真梨香の前の地面に大きな穴が空いていた。

 

「え?何これ……」

 

 明久は真梨香の方を見ると、彼女は

 

「ギャッハハハハハハハハ!!」

 

 大きく口を開けて笑っていた。しかも悪い笑みで。それだけで明久はこの穴が真梨香が作った落とし穴である事を察した。さらにそれだけではない。

 

「臭ええええええぇぇぇぇーーーー!!」

 

 落とし穴に落ちた二人が悲鳴をあげている。明久はその穴を覗こうと近づいたら

 

「臭っ!何これ?!」

 

 あまりの悪臭に鼻をつまむ。改めて穴を覗くと、落とし穴の中に何か落ちている。

 

「あれは……雑巾?」

「そう、私特製悪臭雑巾。」

 

 作り方は簡単。納豆、牛乳、焼いたくさやをバケツの中に混ぜ合わせ、その中に雑巾を染み込ませる。そして仕上げにドブ川の水を入念に染み込ませる。

 

 念の為言いますが、皆さんは絶対に真似しないでください。

 

 四重の臭いが混ぜ合わさった雑巾の臭さの威力は凄まじく、落とし穴に落ちた二人は急いで出ようとするが、二人は早く脱出したいが為に仲間を蹴落そうとしている。

 

「お、おい……大丈夫……」

「仲間を思うなら君も行ったら?」

 

 そう言うと坊主頭のケツを後ろから蹴飛ばし、落とし穴に落とした。どんな反応かは先に落ちた二人と同じものであった。

 

「悪魔だ……。」

 

 ゲラゲラ笑う真梨香を見て、関わってはいけない人間であると判断した明久はその場から立ち去ろうとするが

 

「あっ!そっちは駄目!」

「え?」

 

 が、既に遅く明久はもう一つの落とし穴に落ちてしまった。

 

「あっちゃぁ……大丈夫?」

 

 明久が落ちた穴へと駆け寄り、覗いて無事を確認する。

 

「あ、うん。大丈夫。」

 

 ちなみに穴は先程の激臭雑巾はなく、普通の落とし穴である。

 

「ほら、掴まって!」

 

 穴に落ちない程度まで身を乗り出し、右手を差し伸べる。だが明久は手ではなく、前腕掴んで思い切り引っ張ってしまう。

 

「ちょっ……きゃあぁっ!」

 

 思い切り引っ張られ、真梨香も穴へ落ちてしまう。

 

「痛た……。ごめん、大丈夫……あっ!」

「う、うん……痛いなぁ……。えっと……どうした……」

 

 明久の顔が妙に赤い。その目線の先を見る。なんと明久の右手が、真梨香の胸を掴んでいた。それに気付いた真梨香の顔も恥ずかしさで真っ赤になる。

 

「ご、ごめん!」

「ひゃあぁんっ!」

 

 我に返った明久だったが、思わず手に力を入れてしまい、揉んでしまう。揉まれたことで真梨香の悲鳴に似た嬌声が漏れてしまう。

 

「ご……ごめん!わざとじゃ……」

「い……いつまで触ってんだこのへんたあああああぁぁぁーーーい!!」

 

 明久の顔面に盛大なビンタが炸裂、明久を倒した真梨香は、倒れた明久を土台にして穴から出る。

 

「変態!獣!発情期!」

 

 そのまま明久を助ける事なく立ち去って行った。

 

「ご……ごめんって……。」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そんな出来事があったのは二人だけの秘密である。そういう事もあり、明久は自分を殺しに来たのだと思い恐怖しているのだが、本人にその気はない。むしろ今の彼女は満面の笑みで明久を見ている。

 

「これから一よろしくねっ、吉井君♪」

 

 真梨香はウィンクするが、明久にとっては死の宣告とも取れる。

 

これは悪魔の女子転校生、浦方真梨香が巻き起こす最低でハチャメチャな物語である。

 

 




シンフォギアの方を優先して描きますのでこっちの更新はだいぶゆっくりになります。
ご了承ください。

ちなみに今回出てきた激臭雑巾の元ネタ分かる人いるかな……。
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