是非、皆様の素敵なアイディアをお願いします!
またAクラス戦はオリジナル展開をかなり盛り込む予定です。
Bクラス戦から二日後、つまり根本への粛清を済ませた翌日、私達は点数補給のテストを終えた。いよいよ最終目標であるAクラスへと標的として定める。ここまで長いようで短いように感じた。
「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらず、ここまで来れたのは他でもない、皆の協力があっての事だ。感謝する」
壇上に立つ雄二の口からそんな言葉が出るなんて珍しい。明日槍でも降るんじゃない?
「どうしたのさ雄二?らしくないよ?」
あ、吉井君も同じ事を考えてたみたい。
「ああ。自分でもそう思う。だがこれは、偽らざる俺の気持ちだ。ここまで来た以上、絶対にAクラスに勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すれば良いってもんじゃないという現実を、教師共に突きつけるんだ!」
ここまで不可能だと思われていた下剋上がまさに果たされようとしている。それを実感している皆の雄叫びが教室内に響く。
「残るAクラス戦だが、これは一騎討ちで決着をつけたいと考えている」
試召戦争は本来クラス同士で戦う、言わば団体戦のルール。一騎討ちはその反対の個人戦。余計な横槍が一切はいらない、正真正銘の真剣勝負ということになる。
「やるのは当然、俺と翔子だ」
クラス代表同士の一騎討ち。これはある意味当然の流れとも言えるね。だけど相手はあの翔子。Aクラス代表=学年主席、つまり一番強い相手に雄二がたった一人で戦わなくてはならない。
ハッキリ言って……
「馬鹿の雄二が勝てるわけなあぁぁっ?!」
同じ事を思っていた吉井君の頬にカッターナイフが掠った。あと何センチか違ってたら多分顔に刺さってた。
「次は耳だ。まぁ明久の言うとおり、確かに翔子は強い。まともにやりあえば|勝ち目はないかもしれない。だがそれは、Dクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう?まともにやりあえば俺達に勝ち目はなかった」
確かにその通り、DもBも真正面から戦うような真似は何一つしていない。主に私が罠を仕掛けまくったからねw
「今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺達の勝ちは揺るがない」
無謀とも思える戦いを、雄二が勝利へと導いてくれた。だからこそ、今回も無謀とも言える戦いが、無謀出ないと、勝てると信じられる。
私だけを除いてね。
「ところで雄二、翔子相手に勝算はあるんだよね?」
「ああ。日本史の小学生レベル、方式は百点満点の上限あり。召喚獣勝負ではなく、純粋な点数勝負だ」
私と翔子、雄二が幼馴染だからこそこの方法を取ると予想出来た。どういった狙いがあるのかも。
だけどそれを知らない吉井君がそれにツッコむ。
「でも同点だったらきっと延長戦だよ?そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」
吉井君の言いたい事は分かる。私も雄二と翔子を知らなかったらきっと同じ事を言うと思う。
「おいおい、あまり俺をナメるなよ?いくらなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」
「そそ。雄二はアレを狙ってるんでしょ?」
「アレって何じゃ浦方よ?」
意図が読めない秀吉君が聞いてくるけど、それは本人の口から聞いてもらおうかな。
「俺がこのやり方を採った理由は一つ。あいつは、一度覚えたものは忘れない」
「それなら、尚更こっちが不利じゃないか!」
それだけを聞いた吉井君が騒ぎ立てる。翔子は昔から記憶力がぶっちぎりに良かった。言わば、絶対記憶能力。
だから私は殆どの教科で翔子に勝ったことがない。日本史を除いてね。
「そこが落とし穴だ。あいつは、『大化の改新』を無事故の改新、
正しくは大化の改新が起きたのは645年。小学生の時、雄二は翔子に625年と間違えて教えてしまったのだ。だから私が転向するまで、ずっと日本史だけは翔子に勝ち続けた。
翔子の唯一の弱点を突けるよう、この作戦にしたんだよね。
だけど、その作戦には致命的な欠点がある。
「待って雄二!」
「何だ明久?」
お?もしかして、この作戦の穴に気づいたのかな?
「大化の改新って、794年じゃないの?」
ぶっw
全然違うよそれ!それは
「吉井君、大化の改新は645年だよ」
「えぇ?!そうなの?!」
吉井君、小学生でも分かる問題でもこれなのか。
「マリの言う通り、大化の改新は645年だ。この情報は本物だ」
とりあえず吉井君のバカさは置いといて……
「異議あり!!」
私は大きく手を挙げた。
「な、何だマリ?」
「雄二。悪いけど、私はこの作戦に乗る事は出来ない」
雄二を除いたFクラスの全員が仰天の声を挙げる。雄二だけが冷静に腕を組んでこっちを見ている。
「訳を聞こうか?」
「崇峻天皇の後に即位した天皇は?」
「え?いや……そ、それは……」
意地悪かもしれないけど、これだけはハッキリさせなきゃいけない。この作戦の大きくて、致命的な穴を。
案の定、雄二は答えられなかった。
「正解は推古天皇だよ」
よく女性初の天皇は誰かと聞かれたら答えられるけど、崇峻天皇を知ってる人があまりいないから、この問い方をされた途端に答えに詰まりやすい。
もうこの時点で証明されちゃってるけど、一問だけじゃ本人が納得しないだろうから二問続けよう。
「はぁ……だったら江戸時代、一橋派が将軍候補に推していたのは誰?」
「……」
答えられてないじゃん……。答えは一橋慶喜、後の十五代将軍徳川慶喜。元々養子で徳川に来たからね。
「じゃあ『東海道中膝栗毛』の作者は?」
「……十返舎一九」
遅いけど、合ってたからおまけの正解……。最後のやつは高校生レベルのやつだけど、これで証明されてしまったね。
例え大化の改新が問題に出たとしても、他の問題に答えられなければこの作戦は成り立たない。つまり、雄二では翔子に勝てない。
そのせいもあって、ここまで雄二を信頼していたクラスメイト達が不信感を抱くようになった。
「だから雄二」
「ん?」
雄二の肩に、私の手を置く。
「翔子の相手は、私がやる」
えええええぇぇぇーーーーー?!
そこまで驚く?けど、さっきの件を聞いていたら、そんな反応になるよね。
「私は日本史で翔子に負けた事はない。アンタが悪鬼羅刹になっても、私は勉強を続けてたからね。私なら勝つ確率が上がると思うけど?」
今の翔子がどれくらいの点数かは分からないけど、社会科系なら同等、日本史に絞るならさっきも言ったけど負けた事はない。
それに翔子とは、個人的にもう一度やり合いたかった。翔子となら、イタズラせずに堂々と戦える。
「絶対に勝ってみせる。だから……お願い」
私は頭を下げた。Bクラス戦の吉井君並に無茶を言っていると、重々承知している。だけど多分、翔子と正面から戦える機会なんて今しかない。
雄二は腕を組んだまま、目を伏せる。ため息をつくような声が聞こえた。そして……
「分かったマリ、翔子との戦いはお前に任せる」
「任された」
何とか認められた。これで私は尚更翔子に負けられなくなった。だけどそれで良い。その方が萌える……じゃなかった、燃えるじゃないか。
「あの、坂本君に浦方さん」
「ん?」
「どしたの瑞希?」
「霧島さんとは、その……仲が良いんですか?」
あ、そっか。言ってなかったね。
「私達は幼馴染なんだよ。ほら、前に言ってたと思うけど、私と雄二は小学校が一緒だって……」
「総員狙ええええぇぇ!!」
私が説明してる途中だというのに、吉井君率いる死神軍団FFF団が上履きを構えた。
「待てお前ら!俺に何の恨みがあるというんだ?!」
「遺言はそれだけかぁ?!……待つんだ須川君。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込むものだ」
「了解です隊長」
あの死神軍団、吉井君が隊長だったのか。
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まあそんなこんなで私達はAクラスに宣戦布告&その戦争について交渉を行う為にAクラスにやって来ました。
Fクラスの使者として雄二を筆頭に、吉井君、瑞希、秀吉君と土屋君、そして私が来たわけなんだけど……何この教室広っ!!黒板じゃなくて大型スクリーンに一人一人にシステムデスク、リクライニングチェアはもちろん、個人用冷蔵庫にフリードリンク、お菓子食べ放題?!
もうこれ高級ホテルじゃん……。
おっと、話の本筋から脱線するところだった。とりあえず、雄二が一騎討ちを申し込んだ。
「何が狙いなの?」
雄二の交渉のテーブルについているのは優子さん。まあ翔子の性格上、交渉向きとは言えないからね。それなら比較的社交性があるだろう優子さんが出て来ますわな。
「もちろん、俺達Fクラスの勝利だ」
「面倒な試召戦争を手軽に終わらせる事が出来るのはありがたいけどね、だからと言って態々リスクを冒す必要もないかな」
確かにその通り。Aクラスは最上位クラスだから態々下位のクラスに戦争を仕掛けるどころか、そもそも戦争をするメリットすらない。
だからと言って、それで負けて設備を取られては元も子もない。
「ところで、Cクラスの連中との試召戦争戦争はどうだった?」
ここで雄二が聞く。
「時間は取られたけど、それだけだったよ?何の問題もなし」
Cクラスといえば、優子さんに扮した秀吉君が汚い言葉で挑発にまんまと乗せられてAクラスに戦いを仕掛けた。まあ結果は言わずもがな、というやつだ。
「Bクラスとやり合う気はあるか?」
「Bクラスって……昨日来ていたあの……」
「ああ。アレが代表をやっているクラスだ。」
あ、確か私の制服で宣戦布告した
「けど、BクラスはFクラスに負けたのだから、三ヶ月間は宣戦布告出来ないはずよ?」
「知ってるだろ?実情はどうであれ、対外的にはあの戦争は『和平交渉にて終結』ってなってる事をな。規約にはなんの問題もない。Dクラスもな」
Dクラスを持ち出す辺り、もはや脅しだよこれ。
「分かったわ。何を企んでいるのか知らないけど、代表が負けるなんてあり得ないわ。その提案受けましょう」
「あれ?受けるの?何かアッサリすぎない?」
思わず私が聞くと、優子さんは……
「浦方さんは、あんな格好した代表のいるクラスと戦争したい?」
「絶対ヤダ」
これには即答する。
「でもこちらからも提案。代表同士の一騎討ちじゃなくて五対五で三回勝った方の勝ち。それなら受けても良いわ」
お、キッチリ警戒してるね。
「良いだろう。但し、対戦科目は俺達が貰う。それくらいのハンデは良いだろう?」
「え?うーん……」
悩む優子さん。確かに、代表ではない自分の判断でクラスの命運が決まる。そう考えたら迂闊に「はい」なんて言えない。
「受けても良い……」
どこからともなく翔子が出て来た。普通にビックリするよそれ。
「その提案、受けても良い……」
「良いの代表?!」
「……その代わり、条件がある」
「条件?」
翔子が頷くと、雄二を見た後に瑞希の顔をじっくりと観察するように見ている。それが終わると、雄二に向けて言い放つ。
「負けた方は……何でも一つ言う事を聞く」
おっとこの展開……。さっきの瑞希の件のせいで何か百合ぃな感じに見えてしまうのは私だけだろうか?
いや、土屋君が一眼レフを構えている。やっぱり気のせいじゃなかった。
「じゃあこうしましょう。選択科目の五つの内、三つはそっちが決めさせてあげる。二つはうちが貰うわ」
妥当な妥協案だね。
「よし、交渉成立だな。お前ら、一旦教室に戻るぞ」
「オッケーイ」
「……待ってマリ」
「ほぇ?」
他の皆が教室から出て行く中、私だけが翔子に呼び止められた。他に何かあったかな?
「楽しみにしてる」
そう言った翔子。顔には出ていないけど、心なしか笑ってるようにも見えた。
「首洗って待ってなよ!」
そう言い残し、私はAクラスの教室を後にした。
バカテスト
問 以下の問に答えなさい
『人が生きていく上で必要となる五大栄養素を全て書きなさい』
姫路瑞希の答え
『①脂質②炭水化物③タンパク質④ビタミン⑤ミネラル』
教師のコメント
正解です。
吉井明久の答え
『①砂糖②塩③水道水④雨水⑤湧き水』
教師のコメント
それで生きていけるのは君だけです。
浦方真梨香の答え
『①辛子②胡椒③唐辛子④デスソース⑤シュールストレミング』
教師のコメント
食べ物は人を苦しめる道具ではありません。
土屋康太の答え
『初潮年齢が十歳未満の時は早発月経という。また十五歳になっても初潮がない時を遅発月経、さらに十八歳になっても初潮がない時を原発性無月経といい……』
教師のコメント
保健体育のテストは一時間前に終わりました。