漆黒にそまる星々の大海を進む。
アスランが乗るシャトルと、その護衛に随伴するフリーダム。
そしてバッテリーの節約のために無起動状態でフリーダムに運ばれるアカツキ。
静かな宇宙の旅であった。
世界は戦火の中にあるというのに、少し道を逸れれば、そこには静かな時間が流れるものである。
そんな中、アカツキのコクピットでサヤを抱えて座っているタケルは、どこか不満そうな気配を感じてサヤへと視線を向ける。
「サヤ、どうしたの?」
「お兄様、なぜあのヘタレの為にここまでするのですか? 無鉄砲で無謀でついでにずっと父の言い也などと……主体性の欠片も無い殿方。今回のこの作戦。正直、サヤは納得しておりません」
「手厳しいね……そりゃあアスランはあまりにも考え無しだったけどさ。でも、オーブでは助けてもらったんだよ?」
「それはキラ・ヤマトの為でしょう。もっと言うのであれば任務であったフリーダム奪還のために破壊される事は避けたかった。彼の参戦は……少なくとも最初はオーブを想っての事ではありません」
「またも手厳しいね。それもそうかもしれないけどさ……そんなにアスランが気に食わない?」
「お兄様やキラ・ヤマトの様に、芯がありませんもの」
思わず目を丸くしたタケル。
自身の境遇を想って、サヤがキラの事を避けているのは見てとれた。
オーブで戦闘前に言伝を頼んだ時は表情こそ変わらなかったものの、明らかに雰囲気が変わったのをタケルは感じ取っていたのだ。
総じて、2人の仲は良好では無いことだけは確かだと思っていた。
それが、サヤの口からキラを認める様な言葉が出て来たのだ。驚くには十分だった。
「意外だね。キラの事は認めてるんだ」
「ちっ違います! お兄様を苦しめたキラ・ヤマトが私は嫌いです! ただ……少なくとも芯の強い方である事はわかっているだけです」
キラ自身も、親のエゴの歪められた犠牲者。
それがわかって尚、受け入れ、そしてどうするべきかと答えを出したキラは、少なくともサヤの中で芯の強さを持つ、好感に足る人物であった──ただ、それだけである。
決して、兄を苦しめた事実に変わりはない。サヤ・アマノはキラ・ヤマトが嫌いである。
そこまで想い至って、サヤはある事に気がついた。
「お兄様……」
「ん?」
またどこか、今度は申し訳なさそうにサヤが口を開く。
「1つ、お兄様にお詫びしなければならない事があります」
「ん、無いと思うけど? サヤは良くやってくれてるし」
「いえ。お兄様への大きな裏切りをしました」
「それは聞きたく無いかなぁ」
「茶化さないでくださいませ────私はお兄様に無断で、お兄様の全てをあの人達に明かしました」
ハッと息を呑む様子がタケルから伺え、サヤは思わず目を伏せた。
嫌な沈黙が広がった。巡る考えを整理する様な、そんな気配が伺える嫌な時間であった。
固唾を飲んでタケルの返事を待つサヤの頭に、ポンとタケルの手が乗せられる。
「そっか、だからキラの事を認めてくれてるんだね」
その声音に、嫌な気配は欠片も無かった。
「お兄様……」
「良いよ、別に。キラとカガリと、もしかしたらアスランも?」
「──はい」
「何で明かしたのか? なんて聞くつもりはないし、責めるつもりもない。サヤが僕の為にしてくれた事は良くわかってるから」
「いえ、私はただ……お兄様が大切にする人達が。あの人達の存在がどれ程お兄様の負担になったのかを、知っておくべきだと思っただけです────私が、許せなかっただけです」
「サヤは本当に、できた妹だね」
「褒められる事ではありません」
「キラは──何て?」
それだけが、タケルには気掛かりであった。
自分の事を知ったのであれば、それは必然キラの生まれをも知る。
簡単に受け入れられる事実では無いだろう。
あの穏やかな表情のまま、内に卸しきれない想いを抱えていないかが心配であった。
「余裕綽々でした……あっさり受け入れて、不本意な宣言までされて。全く、面白くありませんでした」
「はは、キラは強いなぁ……ん、宣言?」
「あっ、いえ。それは別に大した話では」
慌てた様子のサヤに思わずタケルは訝しんだ。
今日は良くコロコロと表情を変える。
基本的にタケルとの話以外で、サヤが大きく自身の心を揺り動かされる事はない。
最近はアイシャに手玉に取られた事が新しい出来事だったが、サヤがタケル以外の人間に関心を持つのは本来珍しいのだ。
「ダメ、隠さないで────それとも言えない様な事があったの?」
「むぅ、そういう訳ではありませんが……」
「教えてくれないなら今からキラに直接聞いて」
「わっ、わかりました! お教えしますからそれは待ってくださいお兄様!」
少々意地の悪い気配をタケルから感じながらも、サヤは躊躇いしつつ口を開いていく。
「キラ・ヤマトから“僕が君を守るよ”と、宣言されました」
「う、ん? プロポーズかな?」
「ち、ちちち違います!」
「え、違うの?」
「大いに違います! 全くもって誤解の極みです! お兄様は読解能力が欠如しています」
「それは傷つくし言い過ぎだよ」
「言い過ぎではありません。キラ・ヤマトはお兄様を想ってそう仰っただけです。私の為ではありません」
「それって、どう言う事?」
「──キラ・ヤマトは自身のせいで、知らずお兄様を不幸にしたと思っています。故に、お兄様の為に少しでも力になりたいと……それで、お兄様が大切に想ってくれているサヤやカガリ・ユラ・アスハを守る事で、お兄様を助けたい、と……」
「なるほど……キラらしいね。それでサヤはちょっと傾きかけてると?」
「かけてません!」
「えっ、じゃあもう落ちちゃったって事? 流石にそれはちょっと軽すぎ──」
「お兄様! 冗談が過ぎます!!」
「わっ、ごめん、ごめんって!?」
狭いコクピット内でサヤから容赦無しにひっ叩かれて、からかい過ぎたかとタケルは平謝りした。
息を荒げながら、顔をむすっと不機嫌そうにするサヤに、少しだけ反省する。
「お兄様はいつもそうやってサヤを煙に巻こうとします。良い加減にしてください」
「僕は真剣だよ。サヤはずっと僕の事ばっかりだったんだから……それこそ良い加減、僕以外の人とちゃんと関わるべきだと思う」
「必要ありません……サヤはお兄様のお傍に居られたらそれだけで」
タケルから視線をそむけ、小さく呟くサヤ。
その様子に前途多難だとは思いつつも……しかしこれまでのサヤであればもっとはっきりとした物言いをしてるはずなので、存外冗談では済まない気がしてタケルは少しだけ嬉しい気持ちとなった。
「まぁ、これからに期待、かな──」
『タケル、そろそろヤキン・ドゥーエの防衛網に引っかかる』
サヤには聞こえない様にひっそりと呟いて、タケルが笑みを浮かべたところでアスランから通信が入る。
ヤキン・ドゥーエ──資源衛星を用いたプラントにおける最終防衛要塞である。
これより先はプラントが目の前と言う、正に最終防衛ラインだ。
当然ながら警戒網は厳しく、そのまま突っ込んでいけば目立ちに目立つアカツキなど即刻見つかって追い回されることだろう。
「了解──それじゃキラ、アカツキをプラント方面に押し出してくれる? こっちはその直後にミラージュコロイドを展開するから」
『うん、わかった』
「アスラン、あとは君次第だからね」
『わかっている』
通信を終えると、フリーダムが十分に加速をつけてアカツキをプラント方面へ押し出した。
そのすぐ後には、アカツキの姿が掻き消えていく。
「キラも、ここまでで良い。戻ってくれ」
「それじゃ、この辺で待機するよ」
「はぁ──全く、タケルもキラもどうしてそう」
「死なせたくないんだから、当然でしょ?」
「一応俺は、父親に会いに行くだけなんだが?」
「軍を抜けますって言いに、でしょ?」
「それは……父上の考え次第だ」
「ダメだよ、そんなんじゃ。最悪を想定しないと……タケルも言ってたけど、君はまだ死ねないんだから」
「死ねない、か」
「うん。忘れないで」
「あぁ……覚えておくさ。カガリにも、もう泣かれたくないからな」
「認識を改めてくれたようで何より。タケルじゃないけど、僕もカガリを泣かせたら許さないと思ってるからね」
「──肝に銘じよう」
タケルだけでも厄介だと言うのに、内向的でおとなしい癖に変なところで頑固なこの幼馴染まで敵に回したら、この先ストレスでハゲそうだと、アスランは冷や汗を流した。
そもそも死んでしまったらストレスも何もないだろうと、アスランの声音から思考を読み取ったキラは思わず苦笑していた。
「それじゃあ、行ってくる」
「うん」
フリーダムをその場にとどまり、アスランが乗るシャトルはそのままヤキン・ドゥーエへと向かった。
目の前に浮かんでいる大きな資源衛星。それを利用した人工物が所々剥き出しになっている要塞──ヤキン・ドゥーエを目前に控えたところで、既知の通信回線を開いて、アスランはヤキン・ドゥーエの管制局を呼び出す。
「こちら国防委員会直属、特務隊、アスラン・ザラ。認識番号285002。ヤキン・ドゥーエ防衛軍、応答願う」
プラント国防委員会・委員長執務室。
「あぁそうだ。クルーゼが情報を持ち帰った。何故フリーダムがオーブに渡ったのかなど分からんよ。アスランが何か掴んだかもしれんが、あのバカめ、報告一つ寄越さん」
『極秘で命じられた任務でありましょう? スピットブレイクの事もありましたし、迂闊な通信は漏洩の元だと考えての事でしょう。なんせ、扱うモノがモノですから』
「調子に乗ったナチュラル共が、次々と月に上がってきておる。こんどこそ叩き潰さねばならんのだ。徹底的にな」
『解っております。存分に働かせてもらいますよ。俺の様な者に、再び生きる場を与えて下さった議長閣下の為にも……』
「期待しているぞ」
通信を終え、パトリックは一息ついた。
状況は中々に面倒であった。
一転攻勢をかけるはずであったスピットブレイクの失敗から、今やビクトリアを奪い返されこちらが攻められる側である。
その上連合が量産のMSを実践投入してきたことでMSの優位性も消えた。
数の優位で大きく離されているザフトにとって、今の状況はかなり苦しい。
それに、問題は国外だけではない。
未だ、ラクス・クラインを捕らえた報告は挙がってこず。
父であるシーゲル・クラインは討たれたが、未だ続く鬱陶しい反戦放送が邪魔な事この上なかった。
地球連合との戦いが苦しい時に、足元ですら固まっていないのは不安要素でしかない。
パトリックとしては何としても早急にラクス・クラインを押さえる必要がある。
「はぁ……上手くはいかんな」
そこへパトリックに新たな通信が入った。
「──なんだ?」
『特務隊、アスラン・ザラが単身地球軍のものと思しきシャトルにて、ヤキン・ドゥーエへと帰投いたしました』
「なに、地球軍のシャトルでだと!?」
完全に予想外な連絡であった。
まるで経緯のわからない状況にパトリックは驚愕の声を挙げる。
『事態が事態ですので、身柄を拘束しておりますが……』
「すぐここへ寄越せ!」
通信を一方的に切り、パトリックは再び大きく息をついた。
もはや疲れが滲み出てくるのを抑えられなかった。
「アスランめ……」
思い通りにいかない事態に鬱屈した想いを吐き出すかの様に、パトリックは向かってくるであろう息子の名を呟くのであった。
無事にプラント近傍へと辿り着いたアカツキ。
タケルはアスランから渡されていたプラント周辺の宙域データを確認しながら、細かに進路の調整を行っていた。
スラスター出力を上げてしまえば機体表面のコロイド粒子が剥がれステルス機能が削がれてしまう。
慎重な機体制御を重ねて、目的地である国防本部──パトリック・ザラがいるであろうプラントへと向かう。
「それにしても、面白い構造してるよね、プラントって」
砂時計型の巨大な構造物。
中央部を基点に回転させることで大地となる部分にはほぼ均等な重力を生み出し、内部環境も7割は水源としている。
正に地球の再現だ。その上、宇宙構造体であるが故に地表とへ比べ物にならない太陽光発電の効率を誇りエネルギー供給も十分。
「居住面積を考えると、あまり効率的ではないと思いますが」
「構造はあれだけど、その分巨大化して……より地球に近い環境を作ってるって言うのは凄いと思うよ。普通のコロニーと比べると自給自足でやっていくのに十分な環境が確保できてる」
「何が言いたいんですか、お兄様?」
「うーん、いつかこれを参考にドンドン地球から離れた場所にも進出して未知への探求も、なんてね」
「あら、冒険心というものですか?」
「男の子だからね」
心にもない事を、とサヤは笑った。
いくら冒険心がくすぐられようとも、タケルの心はオーブにある。
どのような事があろうと、国を離れるようなことは無いだろう。父の想いを背負った今それは尚更強い想いだ。
果てのない宇宙への進出など、夢のまた夢……というか夢にすら思っていないと言うのが正しい。
「ん、そろそろだ。緊急ハッチの解除コードをまずは奪おうか──サヤ、外に出て接続作業をお願いして良い?」
「はい、了解です」
プラントの中央部、宇宙港など外部とのやり取りをする施設帯の部分へと接近したところで、2人は行動を開始。
緊急脱出用のハッチを見つけてハッキング。そこから侵入を試みる予定であった。
「ここだね。それじゃ──」
「はい。ミッション、開始です」
アスラン脱出作戦──アマノ兄妹の戦いが始まった。
「失礼します!」
保安局員に連れられて、パトリックの執務室へとアスランは連れてこられた。
薄暗い部屋の中、決して良くは無いパトリックの表情に、アスランは気を引き締める。
「アスラン──お前達は良い、下がれ」
「はっ!」
伴だって来た保安局員を下がらせて、パトリックは視線鋭くアスランを睨みつけた。
「父上」
「地球軍のシャトルでの帰還……何があった。ジャスティスは、フリーダムはどうした!」
「俺は、任務の報告に来た訳ではありません」
「何だと」
アスランは、パトリックの顔を見つめる。
いつもなら怯んでいた──父の険しい顔に、優秀な息子を演じる事が、アスランの役目であった。
だが、今は違う。
聞かなければならない事がある。言わなければならない事がある。
静かに、アスランは口を開いた。
「父上は……この戦争をどうお考えなのですか?」
「何ぃ? どう言う意味だ」
「俺たちは一体いつまで、この戦いを続けるのですか」
「何を言っているんだ貴様は。そんなことよりも任務の報告をしろ! ジャスティスとフリーダムはどうした!」
一歩間違えれば、地球軍が再び核を手にする。
パトリックとしては、気が気では無いほど重要な話である。
「言えません。父上のお心を聞くまでは」
「貴様ぁ! 何もわからん子供が、何を知った様な口を利くか!」
「何もおわかりでないのは父上なのではありませんか! アラスカ、パナマ、ビクトリア。討たれては討ちかえし、討ちかえしてはまた討たれ、今や戦火は広がるばかりです!」
戦端が開かれてから、場所を変え、兵器を変え────だが、まるで戦火は衰えず。
終わりの見えない戦いは、徐々にその勢いを増している。
ヘリオポリスでイージスを奪取した時と比べて、戦火に巻き込まれた人と国の数は増える一方。
平和を目指して戦いながら、なぜ一向にその気配が見えないのか。
プラントと地球。望む未来は何なのか。
それは、彼らとどう違うのか。
アスランはそれを確かめたかった。
「愚か者が、一体どこでそんな考えを吹き込まれてきた! あの女……ラクス・クラインにでも誑かされおったか!」
「同胞であるはずの彼女をナチュラルの手先だと仕立て上げ、戦意高揚に利用して、まだ戦いを欲するのですか。それで本当に戦争が終わると、父上は本当にお思いですか」
「終わるさ、ナチュラルが滅びれば、戦争は終わる!」
ナチュラルを滅ぼす──馬鹿げた言葉に、アスランの感情が高ぶっていく。
様々を知った。地球に降りて、世界を見て、オーブを見て、戦って。
コーディネーターにもナチュラルにも違いなどない。
アスランは自分を慕うナチュラルの少女を思い浮かべる。
彼女達の父親達を思い出す。国を守る為に、命を擲って、未来を我が子等に託した、誇り高い人達であった。
そんな人達を、ナチュラルだからと一括りにされるのは我慢がならない。
「ふざけるな! ナチュラルを滅ぼすなどと……父上こそ、ナチュラルの何を知っていると言うのですか!」
「何ぃ! 貴様……この戦争はそのための戦争だ。我らはナチュラルを滅ぼす、その為に戦っているんだぞ! それすら忘れたと言うのか!」
「話をすり替えないでください! ザフトの皆は、プラントを守る為に戦っている!
決して……決してナチュラルを滅ぼす為ではない!」
「ッ!? 貴様ぁ!」
パトリックは遂に、アスランに手を伸ばした。
軍服の胸ぐらを掴み上げ、血走った目を向け、憎しみに染まった顔を見せる。
「忘れたと言うのか! 全てを奪った、あのユニウスセブンの悲劇を! 貴様の母を、レノアを奪った、ナチュラルの悪業を!」
「ぐっ────父上はいつもそれです。俺も……あの悲劇を繰り返さない為にザフトに入隊しました」
「ならばなぜわからん! この戦争の意味を!」
掴んだ胸ぐらを突き離され、アスランは床に投げ出された。
僅かに息苦しさを覚える中、アスランは、未だ強さを失わない瞳で、パトリックを見上げる。
「何故──自分達は違うとお思いですか?」
「何ぃ?」
「エイプリル・フール・クライシス。あれでどれだけの数の人が亡くなったと思いですか? 今もなお、どれだけの人がエネルギー問題に困窮しているとお思いですか?」
「それがどうした。全てはユニウスセブンの悲劇の報復だ──責められる謂れはない」
「ではヘリオポリスは? パナマでのザフトの虐殺は?」
「関係ない! ナチュラルが何人死のうが、我らコーディネーターとは別の種なのだ。気に留める価値もない」
ぷつんと、アスランの中で最後の糸が切れた。
決定的な違いであった。
違うのだ、何もかもが。パトリックが言う通り、種としての考え方が違う。
思い上がりも甚だしい。同じ人間でありながら進化した別の種と嘯き、故に古き種がいくら死のうが構わないと。
それは、彼等とは全く相容れぬ思想であると、アスランは思い知った。
人の命は数ではない。だが敢えて言うのなら、エイプリル・フール・クライシスで波及した被害人口は10億を下らない。
数十万規模の被害であるユニウスセブンとは比較にもならない。
確かに先に核を打ったのはナチュラルだ。だがその責は、地球に住むナチュラルの全てに及ぶべきなのか。
否だ。それこそユニウスの悲劇すら知らずに平穏に生きていた人達がいる。
そんな人々を巻き込んだ所業を起こしておいて────ユニウスの悲劇を起こした連中と同じ土俵に上がっておいて何が進化した種であろうか。
パトリックは埒が開かないと、執務室の机から銃を取り出して保安局員を呼びつける。
即座に部屋へと雪崩れ込んでくる保安局員をに囲まれて、銃を向けられなから。
アスランは酷く冷めた目でそれらを見つめていた。
「最後の通告だ、アスラン──任務の報告をしろ。ジャスティスとフリーダムはどこか教えろ!」
「──断ります」
「断るのなら息子であろうとも、反逆者として捕える。私は厭わんぞ、報告をしろ!」
「父上に報告するくらいなら死んだ方がマシだ」
「貴様!」
「がっ!?」
見下ろすアスランを掴み上げると、躊躇なくパトリックは殴りつけた。
その勢い凄まじく、アスランは大きく飛ばされて床に転がされる」
「議長!?」
「連れて行け。保安局で徹底的に締め上げジャスティスとフリーダムの在処を吐かせろ」
「はっ!」
連れていかれるアスラン。
それをパトリックは忌々しく見送る。
「見損なったぞ、アスラン」
「俺の方こそ、ですよ」
アスランもまた、愚かな妄執に取り憑かれてしまった父へ侮蔑の視線を向ける。
保安局員をに連れられて執務室をでたアスランは、殴られた顔を抑えるふりをして、首に下がるハウメアの護り石を握りしめるのだった。
アニメじゃ尺の都合とかもあるんでしょうが、色々と言葉の足らない2人。
結論は変わりませんでしたが、少し原作より成長してるアスランが父と決着をつけました。
今更かもしれないけど、本作ってガンダムなのに全然戦闘シーンありませんね。
余計な事ばっかり書いてる気がする。
この後は戦いだらけなので今後に期待という事です。
感想よろしくお願いします