機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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PHASE-94 悪夢は再び

 

 

 

『明一二〇〇を期して、第6ならびに第7機動艦隊は、月周回軌道を離脱。プラント防衛要塞ボアズ、及びプラント本国への直接攻撃を開始する』

 

 

 ドミニオンの艦橋にて、ナタルは通達される指令を受け取った。

 

 L4宙域、コロニーメンデルでの戦いから少しの時を置いて。

 ワシントンに向かったアズラエルが帰還と共にもたらした、核ミサイルによるプラント総攻撃の作戦指示。

 現在月艦隊は続々と運び込まれてくる核ミサイルを、発射台となるMAメビウスに搭載しながら、地球から上がってきた大西洋連邦の部隊との再編成が成されていた。

 

 “ピースメーカー隊”

 

 銘打たれたその部隊名に、虫唾が走る気持ちであった。

 平和をもたらす部隊。その意味合いだろう。

 

 敵となるコーディネーターを滅ぼす事でもたらされる平和──それのどこが平和だというのか。

 プラントに属していないだけで、地球にだってコーディネーターは数多くいる。

 プラントを全て焼いたところで、ナチュラルとコーディネーターの確執は消えやしないだろう。

 むしろ、プラントを滅ぼす事でその確執は決定的なものとなるはずだ。

 地球に住むコーディネーターも、明日は我が身と疑心に駆られ、いつかはこの戦争を繰り返すことになる。

 

 後に禍根を遺す愚かな攻撃部隊に平和の調停者などと、烏滸がましいにも程がある。

 

 

 だが、そうは言っても──ナタル・バジルールは地球連合に属する軍人だ。

 どれだけ愚かな行いだと胸中で喚いても、命令ならば従うしかない。

 プラントもまた、コーディネーターを新たな種として、ナチュラルを滅ぼそうと戦力を充実させている。

 軍人として、地球を脅かそうとする敵性存在を無視することもできないのだ。

 

「羨ましいですよ、ラミアス艦長──切り捨てられてしまった貴方達の事が」

 

 小さく、ため息が漏れる。

 抑えたそれが、周囲のクルーに聞こえる事は無かった。が、どこか空気は重くなった気がした。

 

 自身が信ずるもののために軍を離反して、今も必死に生きている彼女達が羨ましかった。

 聞けば、アークエンジェルはオーブでの戦いを経由して宇宙に上がってきており、今はオーブの面々とも一緒だという事だ。

 L4宙域の戦闘で目にした銀色の機体には、タケルが乗っているのだとユリスから聞き及び、ナタルは驚きと共に沈痛な表情を隠しきれなかった。

 

 知らず、ナタルが彼を殺そうとしたのはこれで2度目であった。

 1度目は大気圏突入の時。そして2度目はディザスターへの追撃を抑えるため。

 どちらも軍務故であったが、それでもナタルにとっては大きく重い事実であった。

 

 アークエンジェルへの降伏勧告は彼も共に聞いていただろう。再会の約束を最悪の形で彼だけは果たしていたわけだ。苦痛に歪む想い人の顔が目に浮かぶ様であった。

 

「そして今も尚、私は連合(こっち)にいるのだからな──君には会わせる顔がない」

 

 今も連合にいて、そしてプラント総攻撃の尖兵であるドミニオンを指揮する。

 こんな自身を、彼はどう思うだろうか────また一つ、胸に重いものがのしかかってきた気がした。

 

「艦長、司令部への返信はどうしますか?」

 

 浸っているところで、オペレーターより指示を仰ぐ声が聞こえて、ナタルは現実に引き戻された。

 いくら嘆こうがやる事は変わらない。できることも変わらない。

 地球軍の将校として、プラントの存在は捨ておけないし、自身の迷いでクルーに迷惑を掛けるわけにもいかない。

 ナタルは居住まいと気持ちを正して、声を張った。

 

「任務を受諾──明一二〇〇で出撃。ドミニオンは月周回軌道を離脱後、艦隊を先行して先んじて任に当たると返信を」

「了解」

 

 

 できるのであれば、彼とまた撃ち合うことだけは避けたい。

 

 そんな叶いそうに無い願いを抱きながら、ナタルは任務の時を刻一刻と待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 L4宙域から脱出したアークエンジェル、クサナギ、エターナルの一行は現在プラント近傍の宙域に潜んでいた。

 

 あれから月を跨ぐ程度の時が流れていたが、両陣営は大きな動きを見せず。

 しかしそれが、どこか嵐の前の静けさの様で、彼らは警戒体制を緩める事はできなかった。

 

 プラントにいるクライン派。宇宙に上がらず国外へ避難となったオーブの残存勢力等と協力し、どうにか両陣営の講和を結ぼうと働きかけてはいたが、既にプラントはパトリック・ザラの主戦論一色に近く、地上もまたオーブの敗退によって地球連合の専横を止める手立てはなかった。

 

 

 避けられない──大きな戦いを、予見していた。

 

 

 

 そんな中、パイロット組は訓練に励む毎日であった。

 

「ふぅ……」

「うーん、また負けたかぁ……」

 

 仮想での勝敗が付いて、シミュレーターから出てくる、キラとアスラン。

 多少の疲労感を得ながら、2人は今の戦いを互いに分析するべく、シミュレーター近くにある端末へと向かった。

 

「あっ、お疲れ様。キラ、アスラン。映像データ見る?」

「うん、お願いタケル。またアスランに負けちゃってさ」

「何を言ってるんだキラ。こっちはタケルから色々と教わった例のアレ込みだからな。タケルもそうだがお前たち2人はどうしてあんな異常な反応をしてくるんだ」

 

 アスランが言う例のアレとは、タケルがキラとアスランに伝えたSEEDの事である。

 現状では曖昧な力であるし、デメリットも垣間見えるものだ。その特異性のため習得も難しく更には制御とて難しい。

 下手にSEEDに期待するべきではないと言うのが、彼らの共通見解であった。

 故に他言は無用として、3人の間でのみ、訓練ついでに手探りで解明していると言うわけである。

 

「アスランは入ってたんだね。どう、今の疲労感は?」

「それほどでも無い。確かに普通より疲労感は強いと思うが、この程度ならまだまだ大丈夫だと思う。と言っても、入ってたのは数分だが……」

「良いよね、アスランもタケルもある程度コントロールできて。ここ最近で一回も僕は入れて無いんだけど」

「キラは多分、感覚派で天才肌だから……実戦じゃないと入れないんだろうね。要するに訓練じゃまだ本気の本気には至れないってこと」

「そりゃあ、2人みたいに正式な軍事訓練受けてないからさ……本気になりきれてないって言うのはわからなくは無いんだけど」

 

 その分、同スペックであるジャスティスとの一騎打ちでは負け越し。

 スペックで勝るタケルのシロガネ相手でも、ミカガミを持つシロガネとの相性の問題で勝てる事は少ない。タケルとのシミュでは大抵シロガネのエネルギー切れで終わる事がほとんどだ。

 

「気に病む必要は無いよキラ。どうせ戦場に出ちゃえばキラは勝手に入ってくだろうし」

「下手に訓練積んで余計な思考入れない方がキラは良さそうだよな。大体、キラは色々と考えるのが苦手だっただろう」

「それ小さい頃の話じゃないか。それじゃいざと言う時困るから必死になってるのに」

「そのいざという時が来たなら、キラは勝手に入れるって言ってるんだよ。気にしなくても大丈夫だって」

「キラはあれこれ考えずに、感じるままに戦えば良いって事だな」

「それって、カガリがオーブでアカツキに乗った時にタケルが言ったやつじゃない?」

「うーん、似た様な事は言ったかもね。あれこれ考えず思うままで良いって」

「なるほど──つまり似た者同士で血は争えないと言う事だな」

「上手い事言うねアスラン。でも、後ろの気配は察しておくべきだと思うよ」

「へっ、何を言って──」

 

 アスランが背後を振り返れば、よく見知った──最近は結構2人きりでいる事も多い少女の姿。

 なぜ彼女が後ろに、と問えばそれは当然ここがクサナギ艦内だからに帰結する。

 モルゲンレーテ本社からごっそり持ってきたMS訓練用シミュレーターは優秀なのである。

 パイロットは皆、クサナギに来て訓練するのが彼らの共通認識だ。

 当然、クサナギの指揮官でもあり、アカツキのパイロットであるカガリがいるのはなんらおかしいことではない。

 

「そうか……お前は私をそんな考え無しだと思っていたんだな」

「か、カガリ!? 違うんだこれは──」

「だったら言わせてもらうが、帰ってくる手立てを何も考えずにプラントに戻ろうとしたお前も大概だからな!」

「そ、それは! 帰ってくる云々の前に、俺は父上と話をしなければいけなかったからで」

「まぁ僕からすると、1人で護衛も伴わずヘリオポリスに飛び出していったカガリが言うのもどうかと思うけど」

「なっ!? それなら兄様だって──」

「でしたら、アークエンジェルを援護するために単身ザフトの部隊を引き付けて、そのまま死にかけたお兄様にも、何も言える事が無いのではありませんか?」

「ぎゃふん!? サ、サヤ……それはもう反省してるから水に流してよ……」

「反省して無かったことになるのなら、皆さんに言えることだと思いますが?」

「うっ、うぅ……」

 

 カガリ、アスラン、タケルと飛び火していく考え無し軍団の輪。

 一周回って、最初に貶された自分が1番思慮深いのでは無いのだろうか───キラは訝しんだ。

 

「何を微笑ましいものを見る様な目になってるんですか、キラ・ヤマト?」

「んあっ!? 別に、変な事は考えてないよ、サヤ」

 

 ジットリとした目をサヤから向けられ、キラは慌てて居住まいを正した。

 

「お兄様たちの考え無し王選手権は放っておいて、お手隙なら少し相手をお願いできますか? 

 貴方とフリーダムの様な、機体も実力も違う相手との戦いを想定しておきたいのですが」

「えっと……僕で良いの?」

「貴方がお嫌でしたらアスラン・ザラに願い出るしか無いですが、あの状況ですし……個人的には頼みたくありません」

「あ、あはは‥‥まだ嫌いなんだね」

「あの距離感で未だ何も進展がないなどと……ヘタレにも程があります」

 

 不満そうにサヤがアスランをなじるが、未だアスランとカガリに進展がないのは君が大好きなお兄さんのせいなんだよ……とは、キラには言えなかった。

 

 最近のタケルは特に凄い、というか酷いものであった。

 作業中、唐突に何かを察したかと思えば、カガリに通信を繋いで呼びつける。勿論、ちょうどその頃アスランとカガリが良い雰囲気だったの言うまでもない。

 その時のタケルがSEEDを発現した時に近い雰囲気なのはキラの思い過ごしではないだろう。いっそSEEDよりもエスパーとか超能力とか、少しオカルトな方向の何かに目覚めていそうである。

 つまり今この時においても、タケルにとってアスラン・ザラはカガリを脅かすある意味では敵なのだ。親友は未だ、彼に認められてはいないのである。

 過保護というレベルではもはや無いが、過保護に過ぎるタケルのカガリ溺愛症に困っているとアスランから相談されたのはつい最近の事であった。

 

「と、とりあえず僕でよければ相手をするよ。それじゃ、行こうか」

「感謝いたします。それでは制限時間3分でサヤを全力にて堕としに来てください。手加減は要りません」

「うん、わかったよ」

 

 そう言って、2人は再びシミュレーターへと潜り込んでいく。

 未だ背景には3人の考え無し選手権が勃発しているが気にせず、己がなすべきことに集中した。

 

 そうして2人が幾度かの仮想戦闘を繰り返したところである。

 

 

『パイロットは全員所属艦に戻り艦橋に上がってください。ブリーフィングを行います』

 

 

 どこか緊迫した空気を伴って、ラクス・クラインの声が艦内に流れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザフト軍所有、宇宙要塞ボアズ。

 

 元は地球の東アジア共和国がL4宙域にて所有していた資源惑星であったが、開戦後にザフトによって侵攻、制圧され、現在はL5宙域のプラント防衛用軍事衛星として改装された要塞である。

 

 そんなプラントの目と鼻の先であるボアズにて、戦火の花が咲き乱れていた。

 

 先行していたドミニオンから発進したカラミティ、フォビドゥン、レイダーの、ディザスターの4機が縦横無尽にボアズ守備軍を荒らしていく。

 後続として到着した月基地の第6、第7機動艦隊からも、多くのメビウスとストライクダガーが発進して、戦端は一気に開かれていった。

 

 士気高く、数の利を持って攻める地球軍であるが、ザフトとて決して引けは取らない。

 宇宙における戦い。MSによる戦い。これらにおいて一日の長があり、更には直近でロールアウトした新型量産機“ゲイツ”の配備も進んでおり、大群である地球軍の侵攻に負けじと、防衛力は十分である。

 

 

「敵艦、左翼に展開」

「ムーア隊、チェリーニ大尉より支援要請」

「砲火を左翼に展開させい! 支援にはネール隊を! 中央はどうなっているか!」

「アイザー隊が防衛しております」

「ネール隊、発進は五番ゲート」

「ふ、このボアズ……抜けるものなら抜いてみろ! 思い上がったナチュラル共め!」

 

 

 ボアズを任される司令官もまた、その高い防衛力を信じていた。

 目の前で繰り広げられる戦いは決して優勢とは言えない。が、劣勢でも無い。

 互角の戦い。補給や増援を考えれば、月から遠く離れた場所まで来ている地球軍の方が不利である。

 

 だが、そんなボアズ守備軍を────無駄な足掻きと、ドミニオンにいるアズラエルは小さく嗤うのだった。

 

 

 

 

 

 

 プラント国防委員会本部。

 執務室へと赴いたパトリックは、焦燥の空気を押し除けるように歩きながら、待ち構えていたエザリア等国防の関係者を見回す。

 

「ザラ議長閣下!」

「狼狽えるな。月艦隊のボアズ侵攻など想定外の事ではあるまい──国防全軍の招集は?」

「完了しております」

「報道管制は」

「はっ、既に!」

「詳細を報告しろ」

 

 居合わせた士官等に次々と確認をしながら、パトリックは状況を聞き出していく。

 最高評議会議長であると同時に、パトリックは国防委員会においてもトップにいる人間だ。

 冷静に状況を確認して、次々と対応指示を出していくその手腕は伊達では無い。

 ここにいるのは紛れもなく、プラントの国防の長なのである。

 

「────ですが、少々妙ではありますな」

 

 指示が出され、対応がまとまっていく最中、1人の男が声を挙げた。

 部屋を沈黙に染めた男の名はラウ・ル・クルーゼ。

 ザフトきっての英雄であり、この場においても軍人として大きな発言力を持っている人間だ。

 

「なんだ、クルーゼ?」

「議長閣下。奴らとてボアズ突破が容易で無い事は承知のはず。何の勝算も無しにいきなり侵攻したりはしますまい────今、このタイミングで踏み切ってきた。その訳が気になります」

 

 膠着状態であった戦況。

 どちらもが準備に勤しんでいた中もたらされた、今回の侵攻の報。

 作戦を打ち出すに至る決め手──その存在をラウが仄めかした。

 

「ふんっ、そんなもの! 大方例の新型とようやく出てきたMS部隊であろう? それ等が揃った事で落とせると踏んだのだろうて」

「待て、エザリア──クルーゼ、何が言いたい?」

 

 一考の価値無しと切り捨てそうなエザリアを制して、パトリックはラウへと問いかけた。

 ラウ・ル・クルーゼが周りくどい言い方を好む人間である事はよく知っている。

 先の言葉の奥には、まだ彼が思う何かがあるだろうと思った。

 

「申し上げにくくはありますが、我々には例の幾つかの不安要素がありますので。フリーダム、ジャスティス────そして、ラクス・クラインという」

 

 瞬間的に、その場にいた者たちの空気が凍り付く。

 それが意味する事。それが予見させるのは、悲劇の記憶。

 嘗て、数多の同胞の命を奪った光の矢。

 

「まさか……奴等の手に再び核が戻ったとそう言いたいのか貴様は!」

「──よもや、とは思いますが」

 

 

 

 わなわなと。怒りと焦燥に震えるパトリックに、ラウは静かに返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ははっ、目移りしちまうぜ!」

 

 カラミティが次々と搭載火器を放ちまくる。

 高出力の火器による暴風に、ボアズ守備軍のMS部隊は次々と撃ち砕かれていった。

 

 

「ふっふふふー、いっぱい居るねぇ。それじゃ──行くぜぇええ!!」

 

 ミョルニルが飛び交う。次々と、その凶悪な鉄球の餌食になって粉砕されていくジンやゲイツの部隊。

 

「──あん? 誰だよ、俺を討とうなんてやつはぁ!」

 

 背後より放たれた光条を振り返り様に受け流して、フォビドゥンがお返しとばかりにフレスベルグを発射。

 湾曲していく高出力のビームに複数のザフト機が巻き込まれて爆散していく。

 

「はぁ、つまらない。兄さんくらいの凄い人居ないのかしら……って居る訳ないか」

 

 ビームライフルをその場で次々と撃ち放つだけ。

 だが撃つ度にコクピットを正確に射抜かれて、ジンやゲイツが爆散していく。

 まるでやる気の無い戦いぶりの中で、圧倒的な効率で戦果を叩き出していくディザスター。

 

 次々と討たれ、消えていくボアズ守備軍を。時間を追うごとにその防衛線が押し込まれていく。

 もはや、後期Xシリーズを駆る彼らを止められる者は、ザフトには居なかった。

 

 

 たった1人──彼を除いては。

 

 

 

 驟雨の如き閃光が降り注ぐ。

 

「んっ、新手?」

 

 どこか不愉快そうに降り注ぐ光の雨を回避しながら、ユリスは機体が拾う反応へと目を向ける。

 

 

 放たれた閃光の射手は、ZGMF-X12Aディバイド。

 展開された大型多目的ビームランチャーガラディンを構えたディバイドのコクピットの中で、ミゲル・アイマンは怒りに震えていた。

 

「プラントの目と鼻の先──こんなところまで来て随分とご機嫌な様だな、ナチュラル共」

 

 自然と吐かれる侮蔑の言葉。

 だがそれも当然の事。突然の侵攻で更には守るべきプラントの間近まで迫られたとあれば、ミゲルにとって胸中穏やかではいられない話であった。

 

 プラントの国防委員会直属で配備されていたミゲルであったが、ディバイド単騎で自由に動けることから、今回のボアズ侵攻の報に即座に救援要請を受諾。増援部隊の編成が整う前に、先んじて駆けつけてきたのである。

 

 そうして駆けつけてみれば、連合の新型が縦横無尽にザフトの部隊を食い荒らしていく様を目の当たりにした。

 次々目の前と屠られた仲間たちの事を思えば戦意も上々。

 皆が敵わぬ相手でも、自身とこのディバイドなら互角以上で戦える。その確信があった。

 

「舐めた真似をしてくれた礼はきっちり返してやる──さぁ、行くぜ!」

 

 腰の高出力ビームソードを出力。

 背部の大型バーニアが甲高い音を吐き出して、ディバイドはフルスロットル。

 

 

 ミゲル・アイマンが駆るディバイドは、怒りと共にディザスターへと急襲した。

 

 

 

 

 

 

「うぅん、良いですね。初陣からずっとケチの付きっぱなしでしたが、何だか強いじゃないアイツ等」

 

 ドミニオンの艦橋で、戦域を注視していたアズラエルは上機嫌に笑った。

 初陣となったオーブでの戦いからこれまで。決して弱いはずのない彼らが思う様に戦果を挙げられなかった事が大いに不満ではあったが、こうして正規のザフト軍を相手にしてこれだけ活躍できるのだから絵、やはり十分な性能を有している事がわかった。

 そうなると逆に、これまで相手をしてきた連中が異常、と言うことにはなるのだが、今ここにいない以上は関係ないだろう。

 

「旗艦、ワシントンから入電です」

『道は拓かれた様ですな。ピースメーカー隊、発進します』

「えぇ、了解しました。こちらで護衛を回しますよ」

 

 今回の侵攻部隊。第7機動艦隊の旗艦であるヘレネーにはボルト・ミュラー准将が。

 そしてピースメーカー隊を率いる第6機動艦隊の旗艦ワシントンにはあのウイリアム・サザーランドが指揮官を務めている。

 サザーランドからの通信に良しを伝えて、アズラエルはまた一つ笑みを深めた。

 

「さぁ、早く討って終わらせるとしましょう」

 

 変わらずの上機嫌な様子のアズラエルに、ナタルは顔を顰めた。

 賽は投げられた。矢は放たれた。もう──止められない。

 

 ナタルは拳をキツく握りしめながら、それを眺めることしかできない己を呪っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 旗艦ワシントンより、核ミサイルを搭載したメビウスの部隊──ピースメーカー隊がボアズへと侵攻していく。

 

 

「ピースメーカー隊目標まで残り400」

 

 何人かのボアズ守備軍がそれを目にして向かおうとするが、それ等は全て護衛に回ったカラミティ、フォビドゥン、レイダーの3機に阻まれて落とされていく。

 

「安全装置解除! 信管、起動を確認!」

「よぉし、くたばれ宇宙(そら)の化け物!」

「青き清浄なる世界のために!」

 

 

 そしてついに────世界を揺るがした光の矢は再び放たれた。

 着弾と同時に解放される、通常兵器ではあり得ない熱量。

 プラントと同規模の質量を持つ宇宙要塞ボアズは、核がもたらす膨大な熱と光に包まれた。

 

 

 ────その日宇宙に、眩い光の花が咲いた。

 




アカン、スパコ被験体の最後発でSEED持ちだから設定的にユリス強すぎて
核搭載機でもミゲルじゃちょっと厳しい気が……
他の連中相手ならまだやれそうなんだけど。

まぁそれでも、かっこよく戦ってもらいましょう。

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