機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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新たな試み。
公式のドラマCDを参考に、執筆してみました。



ザラ隊のオーブ旅行記 前編

 

 機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記

 

 ドラマCD(風)短編 vol.1

 

『ザラ隊のオーブ旅行記』

 

 

 

 

 オーブ首長国連邦オロファト国際空港

 

 

「ふぁ〜、ようやく着いたな。イザーク、ディアッカ、飛行機に忘れ物してねえだろうな?」

「ミゲル……バカにしてるのか貴様」

「どうどう、落ち着けイザーク。到着早々キレんなよ」

「キレてなどいない!」

「──ったくどこかだよって。んでミゲル、迎えが来てるんだろう?」

「あぁ、アイツが来てるはずなんだが…………」

 

 

「ミゲルー! こっちこっち!!」

 

「おっ、いたいた──ほら、拗ねてないで行くぞイザーク」

「拗ねてなどいない!」

「はぁ、お前ずっとその調子でいるつもりかよ…………」

 

 

「久しぶり、ミゲル!」

「よっ、久しぶりだなタケル。約束を果たしに来たぜ」

「あはは、そんな大仰な……ディアッカも久しぶり」

「あぁ、お久し」

「それで……カーペンタリア以来だね。イザーク」

「ふんっ、馴れ馴れしく名前で呼ぶな」

「あっ、それじゃ……ジュール、君?」

「君など付けるな!」

「えぇ……めんどくさいなぁ。ミゲル、なんて呼べば良いの?」

「あぁ? ツンデレオカッパで良いだろ?」

「なんだとぉ!」

「じゃぁ…………ツンデレオカッパ君」

「ふざけるな! 真に受けるんじゃない!」

「だったら素直に名前で呼ばせてよ」

「ぐぬぬ…………きさまぁ」

「そう言えば、なんでイザークも一緒に?」

「暇してたからな。せっかくだしと思ってついでに2人も誘ったんだ。ディアッカとは知らない仲じゃ無いんだし、別に大丈夫だろ?」

「そう言うわけよ。俺はまぁミリィとも会いたいし二つ返事だったんだが。この坊ちゃんがな……」

「ふんっ、俺は全く、これっぽっちも来たくなど無かったが、ミゲルが来いと言うのでな! ついでに、以前プラントと……俺の命を救って貰った礼を、貴様に言いに来ただけだ!」

「ん……プラントはわからなくも無いけど、イザークの命?」

「ヤキンでの戦いの時、俺とイザークが連合の機体に討たれそうなところを、お前のシロガネが救ってくれたろ? あの時の話だって」

「あぁ〜そう言えば、そんな場面もあったかな?」

「ふんっ、ようやく思い出したか──敵であった貴様にそんな大きな借りを作ったままでは、この俺の気持ちが収まらん。だからミゲルの誘いに乗ってここまで来てやったと言うわけだ」

「ふぅーん…………まぁとりあえず、せっかくの機会だしイザークも一緒に楽しもうよ」

「お、さすが俺のダチ公だぜ。懐が深いったらねえな。よっしゃ、行こうぜ」

「それじゃ、車用意してあるから、行こっか」

 

 

 

 

 こうして4人は車に乗り込み、オーブの街へと繰り出していく。

 

 

 

 

「はぁー、復興進んでるとは聞いてたが、もうしっかり賑わってるじゃねえかよ」

「何言ってんだミゲル。被害に遭ったのはオノゴロだぜ。こっちは関係ねえよ」

「あぁ、そうだったっけか。今一よく分かってねえんだよな」

「ミゲルってば、以前オノゴロに潜入してきたのに、なんで知らないのさ?」

「ザラ隊長が優秀だったからな。俺は調査に集中してた」

「あ、あはは…………アスランが苦労してたのもわかるなぁ」

「まだ俺は良い方だろう。以前のこいつらなんて、対抗意識ばっかりで。口を開けばアスランに嫌味飛ばしててよ────アスランが可哀想だったぜ」

「おいおい、俺もそこまでじゃ無かったぜ。ほとんどイザークの話じゃねえか」

「ふぅん……だそうだよ? イザーク」

「ふんっ、馴れ馴れしく呼ぶな。タケル・アマノ」

「おいイザーク。今日の旅行ガイドはタケルなんだぜ。もう少し愛想良くしろよ。ったく、そんなんで良く隊長やれてるよな……」

「公私は区別している!」

「あ、そう言えば聞いたよ。ミゲルもイザークも、隊長なんだってね。えっと、イザークはクルーゼさんと一緒で部隊長に……それでミゲルは特務隊で特別な指揮権を持つんだっけ? 一応、ザフトにおいても昇進……なんだよね?」

「タケル・アマノ──ザフトに階級はない。

 確かに命令を出す方と出される方で上下関係がある以上、隊長と部下と言った括りや指揮系統は明確にされているが、階級がない以上、厳密には昇進と言うものではないぞ」

 

 

「────む、なんだ。急に黙り込んで」

 

 

「いや、さっきからつっけんどんな態度だったのに、丁寧にちゃんと説明してくれるもんだから、ちょっと驚いちゃって」

「きさまぁ……」

「だから言ったろタケル。ツンデレなんだよこいつは」

「アスランにも対抗意識強い分、その実力は認めてるしなぁ」

「お、お前らっ! 何をふざけた事を──ええぃ!」

「ば、バカやめろイザーク!」

「おいおいムキになるなよ。事実だろ?」

「ちょっ!? オープンカー乗ってるんだから立っちゃダメだってイザーク!」

「うるさい! この俺が落ちるか!」

「そう言う問題じゃないよ!」

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……全く、勘弁してよホント。国防軍三佐の僕が、道路の交通違反で捕まるなんて、洒落にならないって」

「そうだぞ、反省しろイザーク」

「煽るミゲルも同罪だからね!」

「何言ってんだ、沸点が低いコイツが悪い」

「意義なし」

「きさまらぁ…………」

「だーもう、やめてってホントぉ! ほら、せっかくの楽しい旅行なんだから楽しい話しようよ、ね!」

「って言うか、とりあえずどこ向かってんだタケル?」

 

「ん? とりあえずアスランのところに向かってるよ。せっかくミゲルがディアッカとイザークも連れてきてくれたんだし、アスランも拾って行こうかなって。どうせカガリにくっついてるだけで、今は暇してるだろうし。旧交を温めたくは──」

 

「俺にそんな気はない」

「良いじゃねえか。頼むタケル」

「ついでにミリィも」

 

「ミゲルはともかく、イザークとディアッカは好き放題言っちゃってさ…………全く」

 

 

 

 

「ここかぁ? なんつーか、ちょっと豪勢なコテージって感じだな」

「うん、まぁそうかもね。じゃあちょっとここで待って──」

 

「あれ、タケル?」

「あっ、キラ。良いところに」

「どうしたの? 今日、こっち来る予定だったっけ? ってか、ディアッカまで居るし──何事?」

「よぉ、キラ。お久し」

「うん、久しぶり」

「キラ、アスラン居る? せっかくだから旧友と一緒に過ごさないかって聞いてみて欲しいんだけど」

「アスラン? あ、もしかして以前アスランと一緒の部隊だったって言う?」

「うん。ミゲルにイザーク……それにディアッカ。オーブに旅行に来てくれてね。だから、アスランも誘おうと思ったんだけど……」

「アスランならさっき、嫌な気配がするって謎の言葉を残してどこかへ出かけて行っちゃったけど?」

「えぇ……何さその、嫌な気配がするって」

「何でも、嫌な気配がして、嫌な気配が向かってくるって……」

 

 

「むっ、何だ貴様ら。俺の顔の何かついてるか?」

 

 

「もしかして、イザークを察したのか?」

「アスランって超能力者だったか?」

「少なくとも女心を察せない朴念仁だって事はラクスからも聞いてるけど?」

 

「だから何の話をしているのだ貴様らは……」

「そう言えば、会えたら聞きたかったんだけど……イザーク、さん?」

「あっ、彼はキラ、キラ・ヤマト。フリーダムのパイロット」

「ディアッカから聞いている。それで何だ、キラ・ヤマト?」

 

「その……ラクスのファンクラブ会員No.1がイザークさんだって、本当?」

「ぶっ!?」

「──ディアッカ?」

「はぁ? 何の話だそれは。全くもって意味がわからない話なのだが。どこから出てきた」

「あ、違うの? 

 その…………いま僕、色々あってラクスとお付き合いさせてもらってるんだけど、以前アスランから、イザークさんに会うことがあったら気をつけろって言われてて……」

「へっ? どういう事、キラ?」

「何でも、イザークさんがアスランを目の敵にするのは、アスランがラクスの婚約者になって、ラクスの大ファンであるイザークさんが嫉妬しているからだって……だから僕も、目の敵にされると思うって……」

 

「な、何だとぉ!!」

「わっ、わぁあちょっと待ってよイザーク。キラはそう聞かされただけだって!」

「分かっている! キラ・ヤマトぉ! アスランから聞かされた、間違いないんだな!」

「う、うん……」

「あの男……いけすかない奴だったが、まさか陰でそんな事を言っていたとは……」

「いや、あのだなイザーク……実はそれ……」

「タケル・アマノぉ!」

「うわっ、急にこっち見て大声出さないでよ」

「うるさい! 車を出せ! アスランを探すぞ!」

「えぇ……旅行は? ミゲル!」

「良いじゃねえか、面白そうだから行こうぜタケル!」

「嘘ぉ!?」

「早くしろ、タケル・アマノぉ!」

「うぃい!? もう、何でこんな……キラ! アスラン戻ってきたら連絡ちょうだい! 流石に僕もちょっと捨ておけないよコレ!」

「う、うん……分かったよ」

 

「急げタケル・アマノ! 今ならきっと追いつける!」

「いや、だから待てってイザーク。その話は──」

「とりあえず行くよディアッカ。ほら、早く乗って!」

「いや、だからその話は──」

「早く乗れディアッカ!」

「あぁもう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────むぅ、何やら更に不穏な気配が増した気がする。一体何だこの悪寒は。

 またカガリを怒らせたか? しかし、昨日は特に何も無かったはずだが……この間街でマユラと食事していたことが知られたとか? いやしかし、あれは近接戦闘のイロハをタケル以外からも聞きたいと相談を受けただけで何もやましい事はないし。まさかタケルか? 教え子と妹に手を出す不埒な奴とでも勘違いして俺を探し回ってるとか…………と言うか、いつから俺はそんな危機を察知できるようになった?」

 

 

 

「だめだ見当がつかない。一先ずモルゲンレーテにでも行ってシモンズ主任に匿ってもら──」

 

 

「アァスゥラァンン!!」

 

 

「ん? ってんなぁ!? イザーク!? 何でオーブに!」

 

「イザーク! ちょ、ダメだって立っちゃ!! 座ってってば!」

「アスラン、貴様ぁああ!」

「だぁあもう、聞いちゃいない! ミゲル、ディアッカ!」

「あいよ!」

「任せろ!」

「くっ、放せ!? 許さんぞ、アスラァアン!!」

「イザーク! 待て! 何がどうしてそんなに怒ってるのかわからんが、話をしよう!」

「今更何を! 問答無用ぉ!!」

「待って! どこからその銃取り出したの!? 空港の検査は!?」

「少なくとも3人すんなりパスしてるぜ」

「どう言う事!? いや、待って待ってイザーク! 立つのもダメだし、銃はもっとダメだって!」

「ならばアスランの車を止めろ! タケル・アマノぉ!!」

「さっきから僕に犯罪行為をさせようとするのやめてくれる!? あぁもう────アスラン! 車を停めないと、この間カガリが寝てる時に〇〇に××しようとしてたことバラすよ!」

「ぶはっ!? アスランお前!」

「ばっ!? 何てこと言うんだタケル! 冤罪だ! 俺はそんな変態的行為はしていない!」

「じゃあ弁解するために早く止まってよ!」

「だったらそのやばい顔をしているイザークを止めろ!」

「初対面に近い僕ができるわけないでしょ!」

「俺の方がずっと無理何だって!」

「良いから早く止まってよ!」

「無茶を言うなぁ!」

 

 

 

 

「待てぇ、アスラァアン!!」

 




いかがでしたか。
後編もあります。

地の文がないから読者が自由にイメージできる反面、会話だけである程度状況を伝える感じにしなくちゃいけないのが難しい。
ただ、会話でどんどん進んでいくので、作者は楽と言えば楽です。文字数少なくどんどん話を展開できるし。

短編について、公式のドラマCDを参考にしたこの形式が有りか無しか。
感想で意見や アンケートでお教えいただきたいです。
それ次第では、今回の話も削除して書き直します。

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