機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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アンケート結果を鑑みて、ドラマCD(風)短編を続投することにしました。
どうぞお楽しみください。

あと、ド下ネタ注意です。


ザラ隊のオーブ旅行記 中編

 

 

「────はぁ」

 

 

「ん? おいおい何だよタケル。折角お前のお勧めの旅館に来て温泉ってのに入ってんだぜ。もうちょい楽しそうな顔しろって──まだ拗ねてんのか?」

「──誰のせいだと思ってるのさ」

「そりゃあ勿論、あいつ等だろ……」

 

 

「あぁっ、イザーク! 馬鹿、そっちは風呂桶だ、座るほうじゃない!」

「アスラン、バカとはなんだバカとは! 貴様と違ってこっちの文化など知らん! そんな事言うくらいなら座る前に教えろ!」

「ほかの連中見りゃ言われなくてもわかるじゃねえか。お前の目は節穴か!」

「何だと! ディアッカ貴様ぁ!」

「バカやめろイザーク! 桶で人を殴ろうとするんじゃない!」

 

 

「なっ? あいつらのせいだろ?」

「止めないミゲルも同罪だよ全く────イザーク、ディアッカ、アスラン! お願いだから旅館の物壊さないでよね!」

 

 

「全く……あの後何とか厳重注意で済ませてもらえたから良かったものの、一歩間違ったらお縄だったんだよ。

 カガリは今やオーブの時の人……そんなカガリの兄である僕が、交通事故でお縄何てとんでもないスキャンダルだ。それも、同乗者のとんでも行為によってなんて……ホント、勘弁してよ

 結局今日行きたい所なんて1つも行けずに旅館に来ることになっちゃって。1日無駄にしちゃったじゃないか」

「だから悪かったって言ってるだろ。確かにちょっと悪ノリが過ぎたっつーか……面白がって煽っちまったが」

「そもそもさ、イザークってどう考えても歌姫とかそういう偶像に現抜かすタイプじゃないじゃん。何でアスランはディアッカのバカな諫言を真に受けるかなぁ。そうやって部下の事全く理解できてないからダメ隊長だったんじゃないの。ほんと、そういう所なんだよ全く。

 イザークも相変わらず怒り一辺倒で沸点低すぎるし……ディアッカはディアッカで空気読めないって言うか、バカな発言するし……あれ、もしかしてプラントのコーディネーターって皆バカ?」

「心外だな。俺はバカじゃねえ」

「どうなるかわかっていながら止めなかったんだからミゲルだってバカの仲間入りだよ」

「おいおい、辛辣だな。少なくとも俺はもう少しあいつ等より大人──」

 

 

「あぁああ!! イザークお前、本当に壊す奴があるか!」

「床に置いたら割れただけだ!」

「今のは置いたんじゃなくて怒りに任せて叩きつけたって言うんだこの阿呆が!」

「何ぃ! 貴様等、さっきから黙って聞いて居れば!!」

 

 

「ミゲル……何でイザークとディアッカ連れてきたの?」

「お前こそ、余計な気を利かせてアスランまで呼んだからこうなったんだぜ?」

 

 

「「はぁ……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「かぁ~、良い湯だったなぁ」

「僕は心労ばっかり増えて1つも寛げなかったよ」

「すまないタケル……この埋め合わせは必ず」

「良いよ別に。カガリに全部報告してやるから」

「うぇ!? ちょ、ちょっと待ってくれそれだけは」

「何だアスラン。もうカガリの尻に敷かれてるのか?」

「むっ、アスラン貴様……オーブの代表とその様な仲だったのか?」

「へ~、ラクス嬢の次はオーブの代表ね。なんだかんだ、お前って上手くやってるよな、そういう所」

「ミゲル、変な言い方はやめてくれ。俺は別にカガリがオーブの姫だったから好きになったわけでは──」

 

 

「失礼します」

 

「あ、来た来た。

 ほら、4人共座って。オーブでは一番の旅館の料理だよ」

 

「まぁそんな。お褒めに預かり光栄です。アマノ三佐」

「へ? 僕の事知ってるんですか?」

「えぇ、勿論。

 お食事だけではございましたが、こちらには良くウズミ様もユウキ様も訪れてお出ででしたから」

「そう、だったんですか」

「それに、護国の剣と盾であるカガリ様とタケル様を知らない人など、きっと国中探してもそうは居ないですよ」

「えぇ──むしろ僕が知らないんだけど、そんな話。アスラン知ってる?」

「ん? まぁカガリの通信音声は、国防軍の誰かから流出して、本島の皆もニュースやらなんやらで聞いてたらしいな」

「うそぉ!? 秘匿義務は!」

「まぁ、悪い事じゃないだろう。お陰でカガリが代表になる事に反対する人はほとんどいなかったわけだし」

「そういう問題じゃないよ」

「ふふふ、こちらでは有名なお話となっておりますよ。大西洋連邦を相手に一歩も引かず声を挙げたカガリ様と、有無を言わさず敵を屠っていくタケル様のお姿。国防軍では語り草となってるそうです」

「うぅ……聞いてないよ、何それ……恥ずかしぃ」

「何が恥ずかしいだ。貴様はそれだけの事をやってのけたのだろう? だからそうして皆が語るのだ。誇れるべきことを誇らない事の方が、よほど恥では無いのか?」

「おぉ、珍しくまともなこと言ったなイザーク」

「何だとぉ!」

「どうどう、また騒ぐなってイザーク。今度は料理ひっくり返すぞ」

「ふんっ! 謙遜も過ぎれば嫌味となる。よく覚えておくんだな!」

「つまりイザークは、タケルの事をこれでもかって程認めてるって言いたいわけだ」

「なっ!? ち、ちがっ!!」

「はいはいはいはい、どうどう~。落ち着けぇ、イザーク。目の前には美味そうな料理が勢ぞろいしてんだ。流石にこれをひっくり返したら、俺達皆で怒るぜ。

 大事なダチがわざわざセッティングしてくれてんだ。少しは抑える事を覚えろよ」

「ふふふ、お料理を目の前にして長話も無粋でしょう────それでは、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」

「あ、ありがとうございます」

 

「よーし、食うぞ! ほら、アスランもイザークも早く座れって」

「あ、あぁ」

「わかっている!」

 

「よし、座ったな……んじゃタケル」

「うん──アスランも含めて皆。ようこそオーブへ! それじゃ、いただきます!」」

 

 

「「「「いただきます!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーブ首長国連邦オロファト繁華街。

 

 

「ナタル、こっちよ!」

 

「ん、マリュー。それからシモンズ主任も、申し訳ない──こちらから呼びつけておいて待たせてしまうとは」

「そっちの方が遠かったのだから仕方ないでしょ」

「えぇ、大して待たされたわけでもないわ」

「そう言っていただければありがたいです」

 

「ところでどうしたの? 今日になって急に食事でもどうか、なんて。タケル君と喧嘩でもした?」

「いえ、そう言うわけでは。

 ただ、今日はタケルが泊まりで出かけているので、久しぶりにお2人と近況報告でもしたいなと思いまして……」

「なるほど、つまりあの子が居なくて寂しいと?」

「なっ、ちが……くも無いですが。そう正面からはっきりと言われるとその……」

「はいはい、まだ食べても居ない内からお腹いっぱいにさせないで頂戴。とりあえず行きましょう。エリカさん?」

「えぇ、こっちよ」

「その……お店はもう?」

「ええ。エリカさんが予約を取ってくれてね。

 オーブでも一番のお店だって。折角だから美味しいものを食べながらおしゃべりしたいじゃない?」

「ふふ、期待して良いわよ。なんせウズミ様行きつけのお店なんですから」

「それは、楽しみですね」

 

 

 

「いらっしゃいませ!」

「予約していたシモンズです」

「はい、お待ちしておりました。それではどうぞこちらに────」

 

 

 

 

「はぁ……畳の座敷に個室……落ち着くわね」

「旅館のお客さんも利用するからどうしても騒がしくなる時はあるのが欠点ね。皆が皆静かにするお客さんとは限らないから……丁度隣の若い子達みたいに────」

 

 

『ミゲル貴様! それは俺が最後まで取っておいた魚の刺身だろうが!』

『ん? そうだったのか? いつまでも残しているから食わねえのかと思って』

『そんなわけあるか! 貴様確信犯だな!』

『落ち着いてよイザーク! もぅ、他のお客さんの迷惑になるからやめてって! 僕のあげるから!!』

『なんだタケルも要らねえのか。それならそっちは俺が──』

『あぁああ、ディアッカまで何してるんだよ!』

『いや、だからお前達。店の迷惑になるからあまり大声で……』

 

 

 

「えぇっと…………こんな事ある?」

「バジル―ルさんの想いが齎した奇跡、とか?」

「いえ、その……私の夫が……お騒がせしまして、申し訳ありません」

 

 

 

『もぅ、流石に怒ったよミゲル! 悪ふざけが過ぎるって! イザークもいい加減直ぐ大声出して怒るの止めてよ』

『タケル・アマノ! 俺のせいではないだろうが!!』

『俺はイザークの沸点の低さを直そうとしてやってるだけなんだよ』

『大体タケルだって、さっきアスランから茶碗蒸し奪ってったじゃねえか』

『それは違うよディアッカ。あれはカガリへの口止め料だから!』

『いや、タケル……それはやってる事がミゲルと変わらないからな』

 

 

 

 

「「「────はぁ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く! 君達は、店の迷惑も考えず、こんな場所で何をやってるか!!!」

 

 

「うぅ……何でここに……ナタルが……」

 

 

「良いか! 君達は確かにまだ大人として扱われない年齢かもしれないが。それでも軍人であるのなら自身の行動に規範と責任をもたなければならないはずだ! それが何て有様だ! このような場所で大声で騒ぎ立て、更には羞恥の欠片も無いような振る舞いをして、他のお客さんの迷惑を考えないか!」

 

 

 

 

「くっそ~、道路に正座とかなんて羞恥プレイだよおい」

「というかなんだあの偉そうな女は……」

「タケルの奥さんだ」

「はぁ!? 話には聞いてたけど、タケルお前もう結婚までしてたのかよ?」

「ううん、まだだよディアッカ。オーブじゃまだ僕も結婚できる年齢じゃないし」

「つーか、めっちゃ美人だなあの人。ラクス嬢といい勝負じゃねえか……なんだよ、結局タケルもアスランと同じ穴のムジナかよ」

「えっ、そう? えへへ……やっぱりそうだよね。贔屓目抜きにしてもナタルって凄い美人だよね。その上家にいる時は本当に優しくて──」

「良いから早く止めろ、タケル・アマノ。こんな屈辱的な姿、これ以上晒せるか」

「そんなの無理だよ。だってナタルが言ってる事全部正論だし」

「そもそも皆でバカみたいに騒いだからこうなったのだろう。俺も彼女には逆らえないし、ここは大人しく怒られるしかないだろう」

「何だよアスラン、逆らえないって」

「バジル―ルさんはカガリの義理の姉になるわけだしな……俺にとってもいずれは義理の姉にあたるわけだ」

「は? 何言ってんのアスラン。僕はまだカガリの結婚相手として認めてないけど?」

「いやタケルそれは────」

 

 

「────貴様等、ちゃんと聞いているのか!!」

 

 

「「「「「はいっ!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~、ようやく部屋に戻って来れたけど……うぅ、ナタルにめちゃくちゃ怒られた……死にたい」

 

「タケルなんかまだ良い方だろ。俺なんかお前等より年上だってわかった途端説教が集中したんだぞ」

「いや、それはむしろ当然じゃねえか?」

「くそっ、何なんだあの女は! いくら俺達が悪いと言ってもあんな公衆の面前で──」

「イザーク! 僕の前でナタルの文句を言わないでくれる? 悪いのは全部僕達だよ!」

「貴様は怒られて悲しいのか怒られて嬉しいのかどっちなんだ一体!」

「悲しいに決まってるじゃないか! 君達のせいで散々だもう! これでナタルに嫌われたら一生恨むからね!」

「いや、バジル―ルさんがタケルを嫌いになる事とか絶対あり得ないから。それは無用な心配だと思うが」

「そんな事わからないじゃないか!」

「いやだってお前、別れ際あの人めっちゃお前の様子伺ってたからな。お前がしょんぼりしてるの見て尚更気にしてたっぽいからな」

「うわぁああ! ナタルに余計な心配かけちゃったじゃないか!」

「お前は一体どうして欲しいんだ!!」

 

 

 

「ったく、とりあえず部屋に戻ってきたことだし、今日のメインイベントと行こうぜ」

「メインイベント? もう食事も済ませたし、駄弁って寝るくらいじゃねえの?」

「それが重要なんじゃねえかディアッカ。男5人で大部屋で雑魚寝だぜ──ときたらやることは一つだろ」

 

 

「──猥談だ」

 

 

 

「さーて明日も早いし寝よ寝よ」

「今度ばかりは貴様の意見に賛成だな」

「そうだな。俺も寝るとしよ──」

「待てってアスラン。タケルにイザークも……良いだろ、こういうのも仲を深めるには必要だぜ?」

「そう言うこった。そうお固いこと言うなよお前等。ちょっと深い話をしようってだけだろ?」

「深いって言うか、そう言うのは無遠慮って言うんじゃない?」

「今更遠慮するような仲じゃねえだろ?」

「それはまぁ……僕からするとミゲルは命の恩人だしね」

「そう言われると貴様は俺とディアッカの恩人だな」

「ホラ、命を救った救われたの仲なんだから、少しくらいそんな話もしようぜって」

「今日一日で思ったけど、ミゲルって大人になりきれてないって言うか……発想とか行いが子供のままだよね」

「そりゃあ馴染み深いやつと一緒なら誰だってそうだろ?」

「そう言うもの? アスラン?」

「俺に振らないでくれ…………どうなんだディアッカ?」

「俺はどっちかって言うとミゲルよりな思考だしなぁ。イザーク?」

「知るかそんな事」

 

 

「つーわけで、早速俺から話があるんだけどよ────タケル」

「ん? 何、ミゲル?」

「温泉で見たんだが…………お前、そんななりしてんのにブツ、デカくねえか?」

「ぶっ!?」

「ディアッカ、汚いぞ」

「唾を飛ばすなバカ者」

「ブツって……僕何か持って行ったっけ?」

「ばぁか! ちげえよ。お前の股間にぶら下がってるものだっての」

「股間のって────ちょっとどこ見てんのさミゲル」

「隣で温泉入ってりゃ嫌でも見える。デカいし」

「比べないでよそんなところ!」

「そうなのか──俺はわざわざ見るような事はしなかったが、やっぱりタケルもでかいんだな」

「やっぱりって何!? アスラン誰と比べて──って言うかやめようこの話!」

「何だアスラン。他に誰のを知ってるってんだ?」

「いや聞かなくて良いからディアッカ!」

 

「────その、キラがな。

 今の俺はキラ達と一緒に暮らしてるから、必然キラとも裸の付き合いみたいなのはあって。それであいつのを見てしまって…………ちょっと、自信が無くなったよ」

 

「何言ってるのアスラン!」

「う、嘘だろ。あんな優男全開のキラが……」

「ちょっと待て、確かあいつ、ラクス嬢と付き合ってるとか言ってたよな、アスラン?」

「あ、あぁ……」

「それじゃまさか、あの華奢なラクス嬢に──」

「アウトだよミゲル! 色々アウト! って言うかこんな話やめようって……面白くないって!」

 

 

「やっぱりMS戦闘に強いやつはデカイってことか?」

「バカな! そんな事があってたまるか」

「だが、キラやタケルがデカいとなると、そう言う事じゃ……」

「確証を得るにはデータが少なすぎるだろう。もう少し調査を──」

 

 

 

 

 

「その話をやめろぉおおおお!!」

 

 




ド下ネタすいませんでした…………いや、ミゲルがやれって囁いてきたんです。

それと多分seedの二次創作で初めて描かれたであろう
ナタルさんに叱られるザフトレッド+αっていう。
こんな一幕書いてるのはきっと頭のおかしい作者だけですね。

次後編でザラ隊のお話は終わり。
ドラマCD風短編。お楽しみいただけたなら幸いです。

感想よろしくお願いします

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