機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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話が進まないなぁ


PHESE-9 星屑の戦場

 

 

「行くわよ!」

 

 覚悟の一声。

 タリアが挙げたその声に応じて、操舵のマリク・ヤードバーズが一気にミネルバの舵を切った。

 同時にミネルバの各部スラスターが噴射。両舷で逆方向の噴射をかけて一気に艦首を回していく。

 艦体の動きにクルー達が僅かなGを感じながら数秒──そうしてミネルバは、正面に小惑星を捉えた。

 

「今よ、アーサー!」

「タンホイザー、てぇー!」

 

 合図と共に、ミネルバが誇る艦首砲──陽電子破砕砲タンホイザーが放たれた。

 MSでは成し得ない戦艦の艦首砲がもたらす巨大な閃光が、眩いばかりに宇宙を染め上げ眼前の小惑星を大きく抉っていく。

 

 発射と同時にミネルバは後退をして小惑星から距離を離しつつ、更に旋回。

 巨大な小惑星の表面を大きく削りながら、背後を追ってくるガーティ・ルーへと岩塊を撒き散らしていった。

 

 

「おいおい、なんつーことを!」

 

 とんでもない事態と、とんでもない光景を見せられ、レイと戦闘中のネオは思わず背筋を震わせる。

 

 背後をとり、このままジワジワと攻め落としていく予定がこうも早く状況を変えてくるとは思ってもみなかった。

 こうなればもう、ミネルバも黙って逃げるばかりではない。

 

「リー、艦停止だ! 突っ込めばボコボコになるぞ!」

「わかっております! 機関停止! ゴットフリート1番2番照準。発射と同時に取り舵20! 岩塊を避けて回り込む!」

 

 ミネルバとガーティー・ルーを隔てる様に展開された、岩塊による天然のバリア。

 ミネルバの様に陽電子砲でもなければ、岩塊ごと相手を撃ち抜くのは難しいだろう──となれば、射線をどうにか確保して撃ち合うしかない。

 牽制のゴットフリートを放ちつつガーティー・ルーは針路を変更し、ミネルバへと迂回する。

 

 そしてそれはミネルバとて同様。

 

「艦首下げピッチ角20。岩塊地帯を躱しボギーワンの側面を突く!」

 

 艦載砲の多くは、その設置場所により水平より下への射角を取れない事が多い。

 ミネルバもその例に漏れない故に、岩塊地帯を潜り抜ける様に下方から迂回する。

 そうして潜った先では、ガーティー・ルーの無防備な横っ面が皆見えていた。

 

「敵艦、正面に捕捉!」

「トリスタン、てぇー!」

「ぬぅ、回避ー!」

 

 動き出しと機動力の差がミネルバを優位に変える。

 側面に付かれたガーティー・ルーが今度は必死に攻撃を躱し、逃げる番であった。

 

「ナイトハルト1番2番、てぇー!」

「迎撃!」

 

 どうにか間に合う迎撃だが、至近での爆発が僅かに艦を揺らしていく。

 

「くっ、好き放題に撃ってくれる。ラングベルト大尉を出せ!」

 

 切りたく無い切り札を切る。リーは格納庫へと指示を出した。

 

 ユリス・ラングベルトであれば艦を守りつつ、更には敵艦への強襲も可能だろう。

 そうして猶予を作りその間にスティング達を回収して離脱する。

 

「ちょっと、私は艦のお守りが役目じゃないんだけど?」

「つべこべ言うな! 母艦が落ちちまったら元も子も無いだろうが!」

 

 下された指示に不満顔のユリスが、ネオへと通信を繋いだ。

 レイとの戦闘中で余裕がないネオは僅かに声を荒げながら応対した。

 その間にも次々と放たれるザクのミサイルを躱し、迎撃し、反撃の光を降らせているところは流石と言える。

 

「その階級は飾り? 大佐なんて偉そうな肩書持ってるんだから自分で何とかしたらどうかしら?」

「おまっ、そう言う傷つく事を……ええぃ、リー!」

『了解。ディザスター、発進させます』

「はぁ? ちょっと、まっ──」

 

 抵抗の声虚しく、カタパルトをオペレーターから強制操作。ディザスターは戦場へと放り出された。

 

「あぁ、ったく! 勝手に放り出してくれて……良いわよ、久しぶりに兄さんと遊んでくるから」

 

 悪態を吐きつつもユリスは戦闘モードへと意識を切り替えた。

 

 嘗て施された戦闘における洗脳は薄れ、今の彼女には新たに洗脳操作が施されてることもない。

 高い完成度で仕上げられたパイロットである彼女はもう、自由意志での十分なパフォーマンスを可能としている。

 むしろ嘗て洗脳されていた経験が、彼女にとっては意識のオンオフを切り替える一助となっていた。

 

「──さぁ、久しぶりにやり合おう、兄さん!」

 

 災いを冠する悪魔の機体が、再び戦場で脈動した。

 

 

 

 

 

「──この感じ」

 

 ユリスの発進を感じ取ったタケル。

 彼女の戦闘への意識の切り替えが、タケルの脳裏にそれを伝えてきた。

 ブリーフィングルームで待機していたタケルは即座に艦橋に通信を入れる。

 

「グラディス艦長、申し訳ないが出撃させてもらう」

「えっ? アマノ三佐。何故急にまた……」

「新手が来る。メイリン・ホーク、だったな……格納庫に通信を入れてザクの準備をさせておいてくれ」

「えっ!? あ、は、はい!?」」

「ちょっと、アマノ三佐! どういうつもり……」

「申し訳ないが急ぐので」

 

 言いたいことだけ告げて通信を切ってしまったタケルに、タリアは困惑する。

 タケル・アマノは少なくとも、立場は弁えてるはずの人間だ。この様に勝手な申し出はらしくない気がした。

 同時に、先の彼には妙に焦った気配が否めなかった。

 

「えっと……どうしますか、艦長?」

「良いわ、本当に新手なら事ですもの……出てもらって」

「はい、了解です!」

 

 少なくとも何かしか事がある──そう判断してタリアは了承。慌ててメイリンは格納庫へと通達した。

 事前に伝えられていた通り、タケルが乗る予定のザクにブレイズウィザードを選択。

 発進シークエンスを開始していく。

 

「これは……本艦に接近する機影あり! MSです!」

 

 ちょうどそこへ、バートからの報告が上がる。

 それは捕捉されたディザスターの反応に相違なく、艦橋には小さな驚きが走った。

 

「本当に新手だ……どう言う事なんでしょう艦長」

「私が知るわけないでしょう。それよりまだ敵艦も撃ってきてるのよアーサー、集中しなさい」

「あっ、はい!」

 

 降って湧いてきた様な敵機。

 それを予見したタケルの言動に、艦橋内には疑問符が過ぎる。

 それはこの場に居るカガリとアスランにも同様であり、しかしこちらは疑問より怪訝な表情を浮かべていた。

 

 声を潜めて、カガリは隣のアスランへと耳打ちする。

 

「アスラン、どう言う事かわかるか?」

「──心当たりは、あるかもしれない」

「本当か!?」

 

 思わず声が大きくなるカガリ。

 突然の声に、艦橋にいた皆が視線を向ける。

 

「あっ……す、すまない。何でもないんだ」

 

 視線を引く行為のすぐさま謝罪してシートへと座り直す。

 そうしてまた声を潜めてアスランへと顔を寄せた。

 

「それで、どう言う事なんだアスラン。兄様のあの態度は?」

「以前にタケルから聞いたことがあるんだ。タケルと同じ被験体であった連合のパイロット──ユリス・ラングベルトとアイツは、同遺伝子の繋がりというか、共鳴? みたいなもので互いを感じ取れたらしい」

「それって、兄様と討ち合ったって言うディザスターの……?」

「それも互いの向ける意識が強くなるほど、それを強く感じられるって」

「それじゃまさか──」

「あぁ、居るのかもしれない。ここに……この戦場に、彼女が」

 

 ゾッとする様な感覚がカガリを襲う。

 アスランの言うことがもし本当だとしたら、それは兄にとって最も忌まわしき記憶を引き起こす鍵だ。

 再会を果たしてしまった時、兄が冷静で居られるのか。

 それこそまた、自身の身を顧みない戦いに終始してしまうのではないか。

 それが、怖かった。

 

 

 

 

 

 

『アマノ三佐、本艦に接近するMSを確認。対応をお願いします!』

 

 ザクに乗り込んだタケルの元に、メイリンから状況の報告が入った。

 先んじて準備をしておいて良かったと言うところだ。

 状況の説明などで時間を食っていれば、このタイミングでの対応は間に合わなかっただろう。

 そのせいで多少の勝手をしてしまったことになるが、そこら辺はカガリに頑張ってもらうしかない。

 

「了解した。発進する」

『ブレイズザクウォーリア、発進どうぞ!』

 

 カタパルトの起動。少し強いGを受けながら、タケルの乗るザクがミネルバより飛び立つ。

 即座にブレイズウィザードのバックパックが唸りを上げ、タケルは感じる気配のままにザクを向かわせた。

 

 無論そこには待ち構える様に彼女が居る。

 ダークパープルに染められ、悪魔の形相を思わせる機体──ディザスター。

 

「やはり生きていたか──ユリス・ラングベルト!」

「久しぶり、兄さん! 少しだけ遊んでもらえるかしら!」

 

 互いにビームアックスとビームサーベルを出力。

 再会の挨拶は全開機動からのぶつかり合い────戦場に光の刃を散らせた。

 

「今度こそ! お前を殺す!」

「あはっ! 全然変わらないね兄さん!」

 

 1年越しの戦いにタケルは憎悪を、ユリスは喜色を浮かべる。

 ぶつかり合うと同時に両者はSEEDを発現。

 

 先鋭化された感覚領域の中で争う、規格外の戦いへと突入していった。

 

 

 

 

 

「あれが、アマノ三佐の言っていた新手ですか?」

「メイリン、ライブラリにデータは?」

「ライブラリ照合──ありません!」

「では、地球軍が生み出した新型と言う事か」

 

 タリアもデュランダルも思わず唸る事態。

 ミネルバの艦橋モニターから、カガリとアスランもまた激戦を繰り広げる2機を──その光景を見つめる。

 

 嫌な予感は的中した。

 覚えのある機体────アスランはオーブ戦役から何度か。カガリもメンデルでの戦闘ではっきりとその姿を見ている。

 

「“アスラン”、あの機体!」

「あぁ、間違いない……ディザスターだ。タケルはあれを察して──」

 

「アスラン?」

 

 瞬間、カガリとアスランの表情は凍りついた。

 心に余裕がなかった事が災いしたか。それともディザスターを見て、在りし日に心が戻ったか。

 これまで装い続けていた仮面をつけ忘れ、2人は本来の姿でやり取りをしてしまった。

 

 驚きのあまり開かれたカガリの口が塞がらない。

 間抜けな顔を晒す一国の代表を見て、アスランは慌ててその口を無理やり閉ざした。

 錆びついたMSの内部フレームの様に、ガチガチに固まった動きで疑惑の眼差しを向けるタリアへと、カガリは振り返る。

 訂正だ──疑惑の眼差しは操舵のマリクと索敵のバート以外の全員が向けていた。

 

「ア、アスラン? いやだな、何を言っているんだ艦長。私はそんな名前一言も──」

「姫……流石にその誤魔化し方は焼け石に水と言うか、むしろ火に油を注ぐ方向だと私は考えるが……」

「あぅ!? そ、そんな事はないだろう議長。皆の聞き間違いだと私は──」

「いや、もう十分だカガリ。俺もとっさに誤魔化すのを忘れてたしな────認めよう」

「うぅ……ごめん、アスラン」

 

 元々彼女は嘘を吐くのが苦手だ。

 直情型で人を疑う事を知らなかったし、人を騙すことも知らなかった。

 だからこそ国民の人気が篤い側面はあるが、故に咄嗟の起点で誤魔化すと言うか、そもそも嘘をつく事が下手くそ過ぎる。

 カガリの動揺に誤魔化しは不可能だと悟ったアスランは、静かに事実を認めた。

 

 そんなアスランに、カガリは消沈。

 申し訳なさそうに頭を下げて、謝罪の言葉を呟いた。

 そこに居たのは、これまで立派な姿を見せ続けていたオーブ首長国連邦代表首長の、年相応な姿であった。

 

「議長、申し訳ないがこの事は一先ず内密に」

「姫、私としてもそうしてあげたいのは山々だが、人の口に戸は立てられん。流石に艦内には知れ渡ってしまうだろう」

「あぅ、ならせめて、外にまでは……」

「箝口令くらいは出せます。どの道配備となったミネルバは、暫くプラントにも戻らないでしょうし」

「そうか。それで構わないのでできるだけ内密にしてもらえれば幸いだ」

 

 完全に政治家の顔を潜めてしまったカガリに、デュランダルは思わず小さく笑った。

 

 アーモリーワンでの会談からこれまで。カガリの応対は見事だと言わざるを得なかった。

 真っ直ぐな物言いはややぶっきらぼうな印象も受けるが、それを補うだけの誠実を思わせる声。

 自国の事を優先しながらも、その先には世界と平和を見据えている事がわかる言動には、デュランダルも惹き込まれる部分があった。

 そんな彼女が年相応な姿を見せる────演技、とまでは言わないが政治家の装いを取り払った今の姿が、本来の彼女なのだろう。

 自然と、そんなカガリの姿にデュランダルの口は開いていく。

 

「アスハ代表、私はカナーバ前議長が彼等に執った特例の措置のことを全て承知しております。ご安心ください。アスラン君についてはできる限り広めぬ様に努めましょう。それが前議長のご意志ですから」

 

 このくらいは約束しても良いだろう、とデュランダルは胸の内で小さく笑った。

 この場で前議長カナーバの名も出し、前議長と現議長が揃ってアスランがオーブに亡命している事を認めている事を宣言する。

 これで艦長のタリアから箝口令も出せば、軽々しく漏らす者もそうは出ないはずだ。

 

「そう、か──ー有難く思う、議長」

「感謝いたします。デュランダル議長」

 

 その意図を察して、カガリは深くデュランダルへと頭を下げた。

 自身の失言が招いた事に、後悔と反省をしながらも、ひとまず無難に留めてくれそうな言葉に、嬉しさを覚えた。

 

 

「艦長! 左舷スラスターに不具合が発生!」

「先の小惑星の破片で破損していた模様です!」

「なんですって!」

 

 

 マリクとメイリンの報告に、タリアは目を見開いた。

 それはデュランダルやカガリ達も同様。

 

 このタイミングで。この状況での推進部の損傷など決定的となる。

 いくら推進力に優れるミネルバとて、その推進部に不具合があっては敵艦の追撃などできない。

 

 徐々に落ちていく速度に、タリアはどうしようもない事実を噛み締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 幾度目か分からないぶつかり合い。

 

「そんな機体で良くやるね、兄さん!」

「くっ!?」

 

 ビームアックスが弾かれ、宇宙の彼方へと飛んでいくのを見送りながら、ディザスターを蹴り付け距離を取る。

 同時に、タケルはザクのシールドより2本目のビームアックスを取り出して再び構えた。

 

「──死んだ、いや殺したと思っていたよ!」

「私も死んだと思っていたわ。運良くコクピットから投げ出されて拾われただけ!」

「なら、もう一度殺して見せるl

「そんな機体で? 言っておくけどやられる気なんて更々無いわよ!」

 

 SEEDの領域にいる者達のぶつかり合い。

 思考速度の向上と知覚領域の拡張。それがもたらす、極限まで精度を高めた機体制御。

 

 振りかぶられたビームサーベルを隙間数メートルの間隔で後退して躱し、即座に距離を詰めようとすればそれを予見していたかの様に、振り下ろす勢いのまま機体脚部での蹴りをディザスターが緩行。

 繰り出された脚部をザクは左肩のシールドで受け、流す。そうして距離を詰めても即座にそれに反応してディザスターは頭部イーゲルシュテルンで狙い撃ってくる。

 仕方なく機体を仰け反らせて、ザクは再びディザスターを蹴り付け後退。だが後退したところへディザスターは2門になったシュヴァイツァを撃ち込んでくる。

 

「ちぃ!」

 

 機体を翻し、放たれた閃光と閃光の隙間を掻い潜る様に抜ける。

 そうして再びの接近戦。

 

 反応の早さ、動きの先読み、そして機体を動かす精度が異次元の戦い。

 それをカオスを撃退してミネルバへと戻ってきたヤヨイ・キサラギは、セイバーのコクピットから茫然と見つめていた。

 

 

「────なんて戦いを、してるんですか」

 

 

 援護に入り込む余地がない。

 ヤヨイが手を出そうにも、ザクと相手の機体の動きが読めなすぎて手の出しようが無いのだ。

 しかも、恐らくだが紫の敵機はヤヨイの動向を気にしている。

 手を出したところで、軽く対応される未来しか見えなかった。

 

「くっ、不本意ですが、今はできる事を!」

 

 呆然としていたのは数秒。

 手を出せない戦いが繰り広げられているからと言って、手をこまねいている訳にもいかない。

 敵MAと戦うレイの援護や、艦船同士で撃ち合うミネルバの援護だって必要だ。

 我に帰り、ヤヨイがセイバーを走らせようとした瞬間──

 

 

 宇宙に鮮やかな光が放たれる。

 

 

 ボギーワン──ガーティー・ルーから放たれた撤退の信号弾であった。

 カオスがセイバーによって撃退され撤退。

 アビスとガイアは損傷こそないものの、インパルスとザクを相手にエネルギーを消耗しており、ネオはこれ以上の戦闘は厳しいと判断。

 

 多少の無茶の甲斐あってガーティ・ルーへと反撃に出たミネルバであったが、小惑星を正面に捉えてのタンホイザーによる掘削で、それなりに破片によるダメージもあった。

 スラスター部の不具合が発生して、ミネルバは追撃の足が緩んでしまい、ファントムペインの撤退タイミングはここしかないと言える。

 

 

「時間切れね…………今日はここまでよ、兄さん」

「はぁ、はぁ……くっ」

 

 撤退していくディザスターを見送りながら、タケルはザクのコクピットで苦しそうに呻いた。

 元より量産機のザクと、古い機体とはいえXシリーズの後期発展期であるディザスターでは性能に優劣がある。

 一応とは言え、改修も施されたディザスターを相手に、機体の性能差を埋めるにはタケルが無茶をする必要があった。

 

 そう、SEEDの深度を深めたのだ。

 

 ギリギリの攻防に押されていく様に、タケルは嘗て入り込みすぎた境地へと落ちてしまっていた。

 そしてそれは、当然の結果へと帰結する。

 

『ヤヨイ・キサラギ──聞こえる、か?』

「──なんでしょうか?」

『申し訳ないが、ミネルバまで連れて行って……く……れ……』

 

 言い終わると同時に、タケルは酷い頭痛を覚えながら意識を暗転させた。

 

 

「タケル・アマノ? どうしたのですか……返事をしてください!」

 

 

 薄れゆく意識の中聞こえてくる慌てた声に、タケルは微かな懐かしさを覚えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 動き出した墓標。

 凍り付いたのは失われた者達の記憶か。それとも失った者達の涙か。

 事態に追われる合間にも、少年達は過去を想い。

 嘆きの声は今また、争いを終えた者達を突き刺す。

 

 次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY

 

『癒えぬ傷跡』

 

 切なる想い、叩き付けろ! ジン! 

 




艦長仕事してbyアーサー

そして原作より間抜けなアスランバレ。
仕方ないね。戦艦に乗って嘗ての敵を目にしてしまったから頭が昔に戻っちゃったんだ。
カガリにとっても十分に因縁のある敵であることを考えれば、まぁね。
運命序盤でSEED持ちガチ勢同士の戦いは異次元。多分。
次回からまた大きく世界が動いてきますね。
艦内でもまた面白い事態になるかと。どうぞお楽しみに。

感想よろしくお願いします。

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