機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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ちょっとお仕事最近忙しい。


PHASE-28 血戦の後

 

 

 

 作戦名フォックストロット・ノベンバー。

 

 ユニウスセブン落下の報復として、大西洋連邦を中心とした地球連合軍はプラントへと侵攻。

 同時期、カーペンタリア基地にも戦力を向けており、事実上の開戦は成った。

 結果は虎の子である核ミサイルを全て撃墜されて失敗。

 再び……そして当然の如く放たれた核攻撃、プラントの姿勢も一気に反抗姿勢へと固まる事となる。

 

 更には、地球圏で中立を謳い続ける国々への見せしめとして行われた、オーブ首長国への侵攻。

 嘗ての大戦と同じ様に、降らなければ敵と見なすと地球圏に発信するべく行われたこの侵攻もまた、オーブ国防軍による領海端での防衛戦によって防がれ完敗。

 

 完膚なきまでに出鼻を挫かれた地球連合は、差し向けていたカーペンタリアへの戦力も呼び戻し成りを潜めることとなった。

 

 

 

 

 

「なんて様だ、これは!!」

 

 薄暗い部屋にガシャンとグラスが割れる音が響き渡る。

 癇癪を起こして息を荒げるのはロード・ジブリール。

 ブルーコスモスの現盟主である。

 

『してやられたものだな。プラントどころかオーブまで……先の大戦の教訓を良く生かしていると見える』

『見通しが甘かったという事でしょう? ユーラシアの宣言に伴って招聘できる戦力が大いに削られた。それをそのまま、逸って不十分な戦力のまま強行した君の差配によるものだ────なぁ、ジブリール?』

 

 カっと熱が振り切れそうになるのを、どうにか理性をフル稼働させて。ジブリールは、振り返った画面越しから見つめてくる老人達を憎々しく見やった。

 賛同したのは彼等とて同じはず。むしろ責は自分の足元を御し切れず戦力を捻出することができなかった彼等にこそあるはずだ。

 そう声高に叫びたい気持ちを、どうにかジブリールは飲み下した。

 

『息巻いて出ていって、鼻っ面に一発喰らってのこのこと帰ってきた……まるでコメディの様な醜態だ。さて、どう対応するべきかね?』

『まずは君への対応が必要か……なぁ、ジブリール?』

 

 これだ。ここに居る者達は絶対的な力を持つ強者ばかり。

 責任を負う者は居ない。負わされる者が入れ替わり続けていくだけである。

 故に、ジブリールは老人達が向けてくる視線には否を返さなければならなかった。

 

「くっ、ふざけた事を仰いますな! 

 この戦争、ますます勝たねばならなくなったというのに……我々の核を一瞬にして消滅させた兵器。あんなものを持つ宇宙の化け物を野放しにして、一体どうして安心していられるというのです! 

 戦いは続けますよ! 以前のプランに戻し……いや、それ以上にもっと強化してね。幸いにも次なる戦いへの布石はもう打ってあります。

 今度こそ奴等を叩きのめし、全てを奪ってご覧にいれましょう!」

 

 捲し立てる様に、ジブリールは述べる。

 確かに核攻撃は防がれた。オーブとの戦いも簡単に退けられた。

 だが一転して、窮地に立たされる事態かと言えば、そうではない。

 核ミサイル然り、大型MA然り。落ち着いて準備をすれば、戦力の捻出は決して難しくない。

 仕切り直せば良いのだ。

 未だ、プラントやオーブと比較すれば地球連合の国力は強大に過ぎるのであるから。

 

 

「次こそしっかりと結果を見せましょう。まずは────裏切り者達の国からね」

 

 

 

 暗い部屋に瞳をたぎらせ、ジブリールは次なる手に動き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるな!」

 

 小さく頬を打つ音が響く。

 

 防衛戦を完遂したオーブ首長国連邦代表のカガリ・ユラ・アスハは、帰還と同時に国防本部へとあがり、そして留守の間の顛末を聞き及んだ。

 

 その結果、その場にいたユウナ・ロマへと、カガリは怒りの形相を向け、遂にはその手を振るってしまう。

 普段なら感情の抑えが利いただろう。が、今は戦場を経た後で気持ちが昂っている。

 何より、今しがた聞き及んだことはカガリにとって到底許せる話では無かったからだ。

 

「独断での国防軍の展開。その上、プラントの戦艦であるミネルバへ射線を向けた等と……言い訳ぐらいは用意しているのだろうな、ユウナ!」

 

 怒髪天を衝く。激昂の声と共に向けられるカガリからの怒りの視線に、しかしユウナ・ロマは目を細めて、何とも無しにその怒りを受け流して視線を返した。

 

「言い訳、ね。勿論用意しているよカガリ。

 この決定は留守を任されていた閣僚達の総意である事。僕や父上だけの判断じゃないよ。

 そしてその判断に至る理由と言うのも、勿論あるさ」

「なに!?」

 

 自信満々で返してくるユウナに、カガリは一瞬呆気にとられた。

 地球を救ってくれた恩人たるミネルバへの、明確な裏切り行為と取れる今回の所業。そんなものを納得させる言い分があるのかと、カガリはユウナの言葉を待った。

 

「カガリ、君は言ったよね。我が国は永世中立。中立故にそれを貫く為の力を持っている。だからこそ、陣営を定めてはいけないのだと」

「その通りだ」

「だとしたら、僕達の裁定もまた必然だ。そうだろう? 何故なら君は、中立を貫くために大西洋連邦と戦う事を選んだんだから」

 

 僅か、ユウナの言葉にカガリの表情が固まった。

 それは時として本当に僅かな時間であったが、ユウナはそれを見逃さなかった。

 畳み掛ける様に、ユウナは言葉を重ねていく。

 

「大西洋連邦は領海への侵入を許さず追い返しておいて、ザフトのミネルバには領海への門を開いている何ておかしいとは思わないかい?」

「そ、それは……しかしミネルバは」

「地球を救ってくれた功労者? だけどそれは君個人の感情だ。

 国を救われた。国民を救われた。どちらもカガリにとって大きく大事な事であるから、有難く思う気持ちはよくわかるけど、それと国の姿勢を決めるのは別問題だろ? 

 ここは中立のオーブで、彼等はザフトの戦艦なんだ。そこに違いは無い」

「それは……そうだが……」

「僕達は、君が大西洋連邦に執った対応と同じことをしただけだ。少なくとも国としての体裁をはっきりとさせるためにね」

 

 ここに来てようやく、カガリはユウナが述べる論に返す弁を持たない事を理解する。

 確かにそうだ。ユニウスセブン落下の阻止……それにまつわるプラントへの感謝。ミネルバへの恩義。

 それらは偏に、オーブと国民を危機から救ってくれた彼等への、カガリ個人が持つ感謝の気持ち。

 彼女が裁量を持つ為に、様々な便宜を図る事が出来たが、オーブとしては本来そのような事を施す理由はない。

 

「カガリ、この間も言ったはずだよ。もっと今の国と地球の状況を見てくれ、と。

 ユニウスセブンの件で、我が国ですら反コーディネーターの感情は高まっているんだ。代表である君が中途半端な姿勢で中立を嘯けば、国民に不安を、他国には疑心を与える。

 僕は国民達に君が批判され叩かれる様な事態は見たくないよ」

「ユウナ……」

 

 いつもなら嫌味を含んだはずであるユウナの笑みが、今はその印象を変えて真っ直ぐにカガリへと向けられていた。

 嘲りではなく、むしろ心配や不安をない交ぜにした庇護の気配を、カガリは垣間見た気がした。

 

「君にとって最も近しい存在であるお兄さんがコーディネーターだから、その認識の甘さは仕方ない所ではあるけど……皆が皆、君達兄妹の様に種を隔てても互いを認められるわけじゃない」

「種を隔てて等と言うな……我々は何も変わらない。皆等しく、同じ人間だ」

「それは理想論だと言う話だ。国の為政者である僕達が何も考えずそのまま理想論だけを振りかざすわけにはいかないだろう」

 

 ぐっ、とカガリは完全に言葉に詰まった。

 何も言い返すことができず、それどころかむしろ、感情にまかせて手をあげた事に今更ながら後悔が募る。

 そして思い知らされた。自身が如何に曖昧な姿勢を取ろうとしていたのかを。

 

 仕方ないと言えば仕方ない事ではあるが、嘗ての大西洋連邦から受けた侵攻。その上此度の開戦と侵攻。

 身勝手な理由で戦火をまき散らす大西洋連邦を見れば、どうしても印象が悪く融和を望む気持ちから離れる事は仕方ない事であった。

 対してプラントは穏健であり、アーモリーワンからの1件で盟友としての確かな筋を確立したカガリからすれば、出来る限りの便宜を図りたい。

 簡単に言えば優しくしたい相手なのだ。

 幼少よりタケルと共に過ごし、キラやアスラン、ラクスと言った周囲に当たり前の様にコーディネーターが居る環境で過ごしているカガリは、ユウナが言う様にナチュラルとコーディネーターの確執に疎い。

 コーディネーターへの忌避感などまるでないのである。

 

 だが、世界はそうではない。

 むしろ世界は、嘗ての大戦を経て更にその溝を深くしているのだ。

 そんな世界で中立を謳うのであれば、半端な姿勢は許されないのである。

 

 知らずの内に、己の軽い感情が国を危機に誘っていたのだとわかり、カガリは静かに俯いて己を恥じた。

 

「す、すまない……ユウナ。私の考えが、至らなくて……お前に手まで出してしまって……」

「あぁもうカガリ、そんな顔をしないでおくれ。

 これも前に言ったと思うけど、僕は何も君が嫌いで色々と反対しているわけじゃないんだよ。全てはオーブと……そしてこの国を背負う君の為。

 さっきの事なんか、全然気にしないで大丈夫だよ。愛する君の手助けになるのならと、僕はその一心なのだから」

「あ、愛する!? ば、バカ者! いきなり何を変な事を言っている!!」

 

 突然の愛の告白に、カガリは気恥ずかしさを感じて頬を朱に染めた。

 ちなみにこの時、ユウナ・ロマには周囲の国防軍の人間から殺気交じりの視線が向けられたことを記しておこう。

 

「忘れたのかい? 僕は君の婚約者。君は僕のフィアンセなんだよ。君を愛している事なんか当然じゃないか。あぁ勿論、婚約者だから愛している、なんてわけじゃないよ。僕は君だからこそ心の底から愛しているからね」

 

 しかしこの男、カガリに夢中でそんな視線や気配になど気づきもしない。

 気障な笑みを浮かべながら、タケルが聞いたのなら即刻銃を突き付けられそうな程危険な言葉を連発し、あまつさえカガリの手を取った。

 

「ばっ、ばばばかな事はやめろ! 気安く触るなこの変態!」

「う~ん、カガリからの罵倒もこれはこれで良いものだけど、どうせなら父上に見せたような本気を向けて欲しい所だね」

「なっ、何を言っているんだお前は!? だ、誰か、この変態を今すぐここからつまみ出せ!」

 

「「「イェスマム!!」」」

 

 カガリからの指示に、国防軍の動きは早かった。

 大切な国の代表。そして国防軍においては正に勝利の女神。

 相変わらず国防軍のカガリ・ユラ・アスハへの信奉は篤い。篤いと言うか熱い。

 

「うぇ!? まってカガリ!! カガリからのは嬉しいけど、こいつらのそれは御免──」

「急げ! 耳が腐る!」

「「「御意!」」」

 

 

 鍛え抜かれた屈強な軍人達に羽交い絞めにされ、ユウナ・ロマは国防本部の指令所より叩き出された。

 

 その数秒後には、壁に何かが打ち付けられる音とか、屈強な男の叫びとか、気障な変態の悲痛な声も聞こえた気がしたが、カガリはそれらを完全に右から左へと受け流し、防衛戦後の事後処理に当たった。

 

 

 

 

 悲しきかな、その頬は朱の色を収めてくれることは無く、カガリは暫く気恥ずかしさと戦いながら職務に望むことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 オーブ領海近傍で、辛くも難を逃れたミネルバは、どうにか迎えられた平穏を噛み締めていた。

 

「レイ機、ルナマリア機、収容完了……続いてセイバー、インパルス、帰投します」

「もうこれ以上の追撃は無いと考えたい所だけど……油断はできないわね。パイロット達はとにかく休ませて。アーサー、艦の被害状況の把握、急いでね」

「あ、は、はい! ダメージコントロール、各セクションは速やかに状況を報告せよ」

 

 艦内へとアナウンスするアーサーの声を聞きながら、タリアは1人思考に耽った。

 

 艦の損害は凡そ5割。

 機関部がやられなかったのは幸運だったのだろう。

 だがその分、真っ先に狙われた艦載砲の諸々が殆ど破壊されていた。カーペンタリアへと辿り着いたとて、修理には相当な時間がかかる事になる。

 激戦……と言うよりは死線を、ミネルバは潜り抜けたのだ。

 彼我の戦力差はざっと5倍と言った所だろうか。詳細な数の比較などしていないが、それはとても潜り抜けられるはずのない戦力差だった。

 

「こうして切り抜けられたのは、あの子達のお陰ね」

「えっ? あぁ、そうでしょうとも! 僕も信じられませんよ。

 空母2隻を含む敵艦8隻に、MSが50以上。それをたった2人、たった2機のMSで殲滅したんですからね。こんな数、僕は聞いたこともありません!」

「それは貴方の見識が浅いからよ。探せばあるわ……」

「えぇ!? そうなんですか」

「でも探せばあるってだけで、驚きの数字である事には変わりないわね」

 

 大戦の英雄達を見れば、類する戦果は見つかるだろう。

 だが、それがアカデミーを出たばかりの新兵の戦果であるのなら話は別だ。

 実戦経験は数回。そんな経歴の下でこれだけの活躍をして見せたシンとヤヨイは、間違いなく名高い英雄達に匹敵する。

 

「貴方には、これが見えていたと言うの────ギルバート?」

 

 静かに問いかける言葉は、騒がしいアーサーの声にかき消されていく。

 相変わらず、先程目のあたりにした2人の活躍具合に少年の目で力説を続けていた。

 

「──噂に聞くヤキン・ドゥーエのフリーダムだって、ここまでじゃないでしょう。うん」

「ふふ、そうね。カーペンタリアに入ったら報告と共に叙勲の申請をしなくちゃならないわ。軍本部もさぞ驚く事でしょう」

「えぇ、えぇ、勿論!」

 

 

 我が事の様に喜ぶアーサーを見て小さく笑いながら、タリアもようやく安堵の息を吐くのだった。

 

 

「艦長! センサーに感! これは──MSです!」

 

 

 そんな安穏とした空気を、バートが挙げた報告の声がかき消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……心配して見に来たけど杞憂だったというか、都合が良かったというか」

 

 エスペラントに乗り、地球へと降下してきたタケル。

 プラントで聞き及んだオーブ侵攻の報にやはり不安を抑えきれず、領海での防衛戦を確認しにオーブ付近へと向かっていた。

 

 結果は────問題無し。

 

 無傷とまではいかないだろう。

 だが国防軍の被害は極端に少なく、そして想定されていた連合の戦力増強は、想定を上回るものでは無かった。

 この程度であれば幾度侵攻しようと、オーブに敗北は無いだろう事をタケルは予見した。

 

 

 そうして健在であったアカツキに、活躍を見せるシロガネとフリーダムを見て安心を覚えたタケルは、カーペンタリアで合流予定だったミネルバが別方面よりオーブを出港し、連合の待ち伏せを受けていた事を知り、慌ててそちらへと向かう事にした。

 

 

 そして辿り着いて見れば、既に戦闘は終息しボロボロとなったミネルバの姿があった。

 

 防衛戦を見に行かずに向かっていれば間に合っただろう……そんな言葉が過ったが、事態を知ったのはついさっきだ。

 どの道間に合わなかった可能性の方が高い。

 ボロボロのミネルバに、嫌な気配を覚えつつも、タケルはミネルバへと通信を繋いだ。

 

 

「ミネルバ、聞こえるか? 

 こちらは特務隊所属、クルース・ラウラだ。プラントのデュランダル議長の指示の下、ミネルバへ配属されることとなった。着艦の許可を願いたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ミネルバ、聞こえるか? 

 こちらは特務隊所属、クルース・ラウラだ。プラントのデュランダル議長の指示の下、ミネルバへ配属されることとなった。着艦の許可を願いたい』

 

 飛んで来た声と内容に、艦橋内には驚愕が浮かんでいく。

 特務隊。クルース・ラウラ────聞き覚えの無い名前であった。

 特務隊ともなればそれなりに名が知れた者が所属するはず。

 新兵は疎か、艦長であるタリアですら訝しむ様子に、艦橋の警戒度は引き上げられていく。

 

「艦長、有視界領域での通信要請です。一応、識別信号はザフトのもので発信されています」

「そう……良いわ、開いて」

「はい」

 

 タリアの声でミネルバの艦橋モニタには接近中のMSのコクピットが映し出された。

 パイロットスーツとヘルメットのせいで顔こそ見えないものの、パイロットスーツには特務隊の証であるエンブレムが着けられ、一応の信用が得られる。

 

「確認させて欲しいわ。認識番号は?」

『データをそちらに送ろう。議長から受けた指示も含めてな。

 見た感じ激戦の後だろう? こちらは元気だから護衛替わりに暫く外で警戒をしていても構わない。データを見てゆっくり判断してくれ』

「メイリン、データは?」

「はい、今届きました。認識番号照合中────特務隊、クルース・ラウラに間違いありません。

 また、機体についてもライブラリにありました。本国でロールアウトされた新型、セカンドステージのエスペラントの様です」

「そう……わかったわ。着艦を許可します。ただ、戦闘直後で格納庫は少しごたついてるかもしれないので、事故を起こさないように留意ください」

『了解した、では着艦させてもらう────メイリン・ホーク、指示を頼む』

「あっ、はい!」

 

 ピクリと、タリアは眉を顰め違和感を覚えた。

 何故メイリンの名前を知っているのか。通信越しでタリアがメイリンの名を呼んだのはあるが、少なくともホークの性は知らぬはずである。

 そしてどこか、勝手知ったると言う様に迷うことなくハッチへと向かって行くエスペラント。

 新造艦で新宙式もできずに出てきた艦だ。その艦内構造を把握している者は、ザフト内部においても決して多くは無い。

 そして、先程開かれていた通信で聞き及んだ声。

 

 薄っすらと浮かんだ点が、か細い線で繋がれていった。

 

「はぁ……まさか、ね」

 

 どこか嘲笑う様に、タリアは肩を竦めた。

 辿り着いた答えは、荒唐無稽。そんなはずは無いと一蹴できるものだ。

 しかし、彼女の予想は事実的を射ており、後にタリアは艦長室で頭を抱える事になるのを、知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 形容するなら和気藹々。その言葉が相応しいだろう────いや、相応しかった。

 

 戦闘を終えて、帰投したパイロット達を出迎える整備班の声は、正に英雄の凱旋を出迎える様。

 自分達が乗る艦を守ってくれた仲間達に、素直な労いと大きな感謝を向けていた。

 特に、シンとヤヨイへと向けた賛辞は強いものであった。

 

 馬鹿げたほどの戦果────格納庫でモニタリングしていた整備班は皆、それを見届けていたのだ。

 

「よくやった!」

「すげーなおい」

「お疲れ様。ありがとな」

 

 賛辞に囲まれながら迎えられた2人は、どこか落ち着かない風に戸惑う。

 本人達からすれば、出来て当たり前。頑張ったとか言う話ではなく、あの瞬間の2人はできると理解している事をやっただけなのだ。

 それがどれだけ凄いのかを、2人は今理解していない。

 

 画して、そんな和気藹々としてる整備班と戸惑う2人の中に、不躾な音を発てて闖入者が舞い込んでくる。

 

 開かれたハッチからの潮風と共に、ガシャガシャと歩きながら格納庫へと入ってきたのは、綺麗な白を纏う機体────エスペラント。

 

 見覚えの無い機体の登場に、俄かに格納庫が騒がしくなっていった。

 

「おい、なんだよあの機体?」

「オーブからとか?」

「んなわけあるかよ」

「でも見た事無い機体だぜ」

 

 口々に整備班が訝しむ中。シン達パイロット組は先んじてハンガーへと落ち着いたエスペラントの元へと急いだ。

 

 

 

 

 ラダーを使って降りてくるのは白のパイロットスーツ。

 ヘルメットで顔を隠しているが、体格はシンとそう変わらないだろうか。

 

「なぁ、一体なんなんだよあれ」

「シン? なんだもなにも私達だってわからないわよ」

「型式番号はザフトの機体の様だな。セカンドステージのようだが」

「そう言えば、以前にミゲルが乗る予定の機体については聞き及んでいましたが……」

「という事はもしかして、アイマンさん!」

 

 ヤヨイの言葉に、喜色を浮かべたルナマリアであったがどう考えても件のパイロットはミゲル・アイマンより二回りは身長が低い。

 その可能性は限りなくゼロに近いだろう。

 

「あぁ、なんというか悪かったな。戦勝の空気を邪魔してしまったか」

 

 声と共に、件の人物はヘルメットを脱いだ。

 目立つ山吹色の髪と、顔の半分を覆うような仮面。

 随分と特徴的な見た目に、各々はまたも怪しさを感じて訝しんだ。

 

 

 

「特務隊、クルース・ラウラだ。これよりミネルバの所属となる。よろしく頼むよ」

 

 

 

 投げられた自己紹介に、レイとヤヨイは静かに息を呑むのだった。

 




ようやく合流。これからはザフト側メインに描かれていくかなぁ。

ユウナはきっとクズじゃなければこんな感じ……だと思う。
原作ではクズの上無能だったけど、本作ではクズのままだと主人公に排除されちゃうし、彼が生き残るためには優秀且つカガリ至上主義になるしかなかったっていう感じ。

あ、言っておきますがカガリ×ユウナとかないです。
カガリは皆の前で面と向かって愛してると言われて恥ずかしかっただけです。

無いです
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