機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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救いを……作者は求めています。


PHASE-34 変転

 

 プラント市街を進む車。

 

 要人を運ぶ車となれば立派なものである。

 自身には似つかわしくないその内装に居心地の悪さを感じながら、ミゲル・アイマンは対面に座る少女を見た。

 

 長く流れる桃色の髪。

 嘗ては可憐な印象であったが、今は女性らしさを讃えた容姿へと変わった彼女。

 そもそも別人ではあるため変化があるのは当然なのだが、それは別人ではなく同一人物の成長という程度に留まるものであった。

 

 ラクス・クライン────プラントに咲く平和の花である。

 

 

「今日も、しっかりできたかしら?」

 

 

 何とも無しに漏らされた声に、ミゲルは彼女を見た。

 物憂げな表情。少しだが、不安を抱えているのだとわかる。

 無理もない。少し前までは歌が好きで、デビューを夢見て必死だった埋もれる歌手に過ぎなかったのだから。

 プラントの絶対的カリスマとも言えるラクス・クラインを演じるとなれば、そのギャップは簡単に埋められるものではない。

 

「ラクス様。工廠の皆はラクス様の訪問に大喜びでした。その心配は杞憂ですよ」

 

 不安を払拭する様にミゲルは返してやった。

 しかし、どこかが……何かが気に食わないのか、彼女“ミーア・キャンベル”は頬を膨らませる様な仕草を見せる。

 

「私と2人の時はミーアと呼んでと言ったでしょ」

 

 どうやら不満の理由はこれの様である。

 ミゲルは苦笑混じりに口を開いた。

 

「それは勘弁してくれと言っただろう。そういう使い分けはボロを出しそうで怖いんだよ」

「口調はそうやって変えられるのに?」

「公私を分けるのは、軍人として当然だからな。これだって、お前が堅苦しくしないでって言うから仕方なく何だぜ?」

「──不器用」

「おいおい、俺ほど器用に立ち回るやつも居ねえだろう。元は緑服のパイロットが今やFAITHでラクス・クラインの護衛だ。同期の中じゃ出世頭だぜ…………まぁそもそも、競う同期なんて殆ど残っちゃ居ないが」

「笑えないんですけどー?」

「そう不貞腐れるなって“ミーア”……これで良いだろ?」

 

 望んだ答えが不意に返ってきて、ミーア・キャンベルは僅かに惑いを頬に表しながら視線を逸らした。

 ミゲル・アイマンはトップガンとして名高い。ザフトでは随分と高い人気を持つ。

 そんな人間が、事情を知ってるが故に自身の専属としてボディーガードに付いており、更にはこうして過大な責任に押し潰れそうな心をケアしてくれる。

 随分と贅沢な話だと、ミーアは思った。

 

「その……ミゲル、貴方に聞いておきたかったんだけど」

「あん? どうしたんだ急に?」

 

 またも不安を見せる物憂げな顔にミゲルは首を傾げた。

 

「私が、ラクス様の偽物だと聞かされた時……貴方はどう思った?」

「はぁ? 何だいきなり」

「私……元は全然可愛くないし、デビューもできてなかった埋もれた歌手だったし。ラクス様とは、あまりにも違いすぎるから……」

 

 溢されたミーア・キャンベルの本音。

 ミゲルは一応、彼女の素性と経緯を聞かされていた。

 

 彼女は元々、埋没していた冴えない歌手志望の少女であった。

 デビューの予定すら見えない彼女を、プラントにおけるプロパガンダとしてデュランダル議長が見初め、姿をくらましたラクス・クラインの影武者として担ぎ上げたのだ。

 元々彼女自身がラクス・クラインの大ファンであったこともあり。顔を変え、元々似通っていた声と合わせて、ミーアは実に見事にこの役にハマった。

 

 しかしその分だけ、元々の自分自身とのギャップに不安を感じているのだろう。

 露見してしまった時の事を思い描いて、恐怖している。

 

「何だ、そんなことかよ」

「そんな事って、私は真剣に──」

「別に俺は何とも思っちゃいねえよ。偽物だと知る前も知った後も、俺にとっちゃ護衛対象であるラクス・クラインに変わりねえしな」

「あっ、そう……よね。ラクス・クラインの護衛だもの、ね」

 

 ミゲルの物言いに、ミーアの声が沈んでいく。

 その気配に、ミゲルはやってしまったと言う様に罰が悪そうに頭をかいた。

 ラクス・クラインだから──そう言うことではない。そう言いたいわけではない。

 ミゲルは必死に頭を巡らせる。

 

「────この間議長と会った時に、俺が連れてた奴を覚えてるか?」

「えっ? うん。あの背の低い人でしょ?」

「あー、それ本人は気にしてるから言ってやんなよ。んで、アイツの事なんだが……あんな見るからにチビで脆くて頼りなさそうなやつでも──」

「ミゲル、友人に向けるには酷すぎる評価じゃないかしら?」

「んな事はない。って言うか人の言葉を遮るなよ。今良いこと言おうとしてるんだからよ」

「あっ、ごめんなさい」

 

 ハッとした様に口元を押さえて、ミーアは続きを促すべくミゲルへと視線を向ける。

 ミゲルは一度深呼吸の間を取り脳内に言わんとしている良いことを整理しながら再び口を開いた。

 

「ったく…………んで、アイツの事なんだが、あんな成りしてても超美人の奥さんがいるし、アイツを慕う人が沢山いるし、ついでに言えば、国でも祭り上げられるくらいの英雄だ」

「えっ、嘘!? そんな凄い人だったの」

「あぁ、俺もダチとして誇らしいくらいにな。アイツはそうなるだけの事を、必死に成してきた。国を守るために奔走し、戦い、その結果を示してきたんだ。

 つまり、何が言いたいかと言うとだ────これからミーアがどう思われるかなんて、ミーアが自分の声と歌でこれから何を成していくかだろ? 今不安なんて抱いてても何の意味もねえって話だ」

「あっ…………そう、ね」

 

 憑き物が落ちたように、ミーアの声音に見え隠れしていた不安が消えていく。

 確かに、まだ彼女は動き出したばかり。

 ラクス・クラインとしての責務に押しつぶされそうになったのは、まだ始めたてであるための不安もあっただろう。

 それらを解消していくのは、今後の自分次第であるのは間違いがない。

 

「ありがとう……ミゲル。何だか少しだけ気が楽になったわ」

「少しだけ? 俺の唯一無二の最高のダチの話を聞いて少しだけとはいただけねえな」

「えっ、いや、じゃあその……と、とても楽に成りました」

「ぷっ、はは、何だよそれ。とってつけたような表現で急に敬語になって」

「わ、笑わないでよ! 

「そうそう、そんな感じだ。皆を癒して勇気づけるラクス・クラインには、不安な顔は似合わねえ。覚えておけよ」

「そんな事、貴方に言われなくても!」

 

 不機嫌さを醸し出して、ミーアは窓の外へと視線を逸らして逃げた。

 そんな彼女の機嫌を損ねないように苦笑を押し殺しながら、ミゲルは胸中で笑った。

 

 例え偽物だと露見したとしても。

 ただ歌が好きなだけであった普通の少女に、その責を負わせるようなことはしない。

 それを密かに、ミゲルは胸に誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 規則的な振動。

 微睡みの中からゆっくりと意識を浮上させて、カガリ・ユラ・アスハは目を覚ました。

 

 視界の中は薄暗く、どこか地下通路の様な場所を歩いているのだとわかる。

 規則的な振動の正体は、自身を背負う大きな背中の持ち主、レドニル・キサカによるものだ。

 

「あれ……ここは……」

「カガリ!」

「気が付いたか」

 

 少し焦りの見えるアスランの呼ぶ声を聞きながら、カガリは周囲を見回す。

 地下通路と言う認識は正しかったようで、薄暗い明りが点々と続いた、細く長い道を、彼等は歩いていた。

 

「カガリ、痛みは無いか? 一応止血の処置はしておいたが……」

「アスラン、処置って何を……痛っ!?」

 

 意識せず触れた箇所……頭部に巻かれた包帯のその上から、丁度傷を触ってしまったのだろう。

 驚きと共にカガリから苦悶の声が挙がる。

 

「あぁ、思い出してきた。確か兄様の家に居て……」

「襲撃されたんだ。ぱっと見で6人くらいか。随分と大胆に襲われた」

「そうだ……それで私は、アスランに庇われて……それじゃ、ここは?」

「タケルの家に備えられていた地下シェルターだ。モルゲンレーテに直通らしい」

「モルゲンレーテに? 兄様はそんなものを……では今は」

「あぁ、そちらに向かっているところだ」

 

 自宅からの緊急避難ルート……それも兵器工場であるモルゲンレーテへの直通など。

 規模のおかしい兄の所業にカガリは驚き半分、呆れ半分であった。

 小さく笑ったせいで傷に響いたのは内緒である。

 

「あぁ、起きたのかカガリ。一先ず、問題は無さそうだな」

「義姉さん! 良かった、義姉さんも無事だったか」

「キサカ一佐のお陰だ。私も虚をつかれていたが、一佐に庇われてなんとか……そう言えば、一佐は何故あのタイミングでこちらへ? 2人と一緒に来ていたわけでは無かったと思いますが……」

 

 ナタルは思い出してキサカへと尋ねた。

 アマノ邸を訪ねて来たカガリが伴ってきたのは、アスランのみ。アスランが運転する車での来訪であった。

 その他の車が控えていた様子は無く、カガリが丁度襲撃されるタイミングでのキサカの出現には些か疑問が残る。

 

 そんなナタルの問いに、キサカは険しい表情を見せた。

 

「色々と事態が急変したのでな。私が急いで迎えに来たのだ────カガリ、お前をな」

「どういうことだ、キサカ。迎えに来るとか、事態が急変したとか」

「話は一先ず、ここを抜けてからだ。皆が待っている」

「皆?」

 

 キサカの言葉にカガリが首を傾げる中、暫く通路を歩いて来た一行の前には、明かりが差し込む出口が見えていた。

 

 着実に歩みを進め、光の中へと足を進めた先。

 大きく開けた空間へと辿り着く。

 そしてそこには──

 

 

「アーク……エンジェル?」

 

 

 嘗て自分も乗り込んだ艦船。

 白亜の大天使が鎮座し、そこには見慣れた顔ぶれが揃っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球連合軍旗艦J.P.ジョーンズのとある士官室にて。

 

 

 ファントムペインの指揮官であるネオ・ロアノーク大佐の目の前には、艶やかな山吹色の髪を持つ少女が視線でネオを射殺さんとばかりに睨みつけていた。

 不機嫌の極み────他の兵士達なら卒倒ものな刺々しい気配ではあるが、それを軽く受け流して彼女と相対する辺り、伊達に大佐ではないと言うところか。

 静かにネオは口を開いていく。

 

「ユリス、わかってると思うが──」

「わかってるわよ。私が負ければあの子達も処分。何度も聞かされている」

 

 全てを言わせることなく、ユリスはネオに返す。彼女にとってこれは想定内の邂逅であり、想定内の言葉だったのだろう。

 どこか怒りの形相すら見せて、ユリスは突き返すように声を投げた。

 

「はぁ……上の連中からすりゃ、いつ喉笛に喰いついてくるかもわからない爆弾なんだお前さんは。そして、そんなお前さんがストッパーとなって始めて運用できる面倒な戦力がステラ達。

 お前も、あいつ等も、戦力になるという一点でしか存在を許されていない。利用価値が不確かになれば、すぐにでも切り捨てられる」

「反吐が出るわね」

「俺に怒っても仕方ないだろ。と言うか、俺だって人の子だ。お前達にそんな未来を辿って欲しくないってのが本音だぞ」

「ふんっ、どうだか。ステラ達はそうかもしれないけど、私は違うでしょ?」

 

 嘲りの気配を讃えて問うてくるユリスに、ネオは仮面の奥で眉間に皺を寄せた。

 

「バカを言うな。そんな事は断じてない」

「扱いにくいし、命令は聞かないし、その上実力じゃ完全に負けてるものね。いなくなってくれたら大佐だって清々するでしょ」

「その自覚があるならもう少し従順さを見せておけよ。あと地味に傷つくから実力の話はするんじゃないよ」

「それはどうも、配慮が足りなくてごめんなさいね大佐」

 

 肩をすくめて、ユリスは悪びれもなく返した。

 

 彼女は知っている。ネオ・ロアノークが────嘗てはムウ・ラ・フラガと呼ばれていた男である事を。

 ヤキン・ドゥーエで戦死したはずの彼は、死の寸前に連合に救助され、そしてそのまま大西洋連邦に脳をいじられ、記憶を書き換えられ、上書きされた。

 そうしてできた人格が、今のネオ・ロアノークである。

 ラウ、キラ、タケルにユリスと、数々の不幸な宿命を生み出したアル・ダ・フラガの息子。

 別人格とはいえ元がムウであるネオに、ユリスが良い感情など抱けるわけもなく。

 感情を抑える事を不得手とするユリスは、常々ネオに対して厳しい態度となってしまう。

 その実情を知らないネオからすればたまったものではないだろう。

 相変わらずで向けられる敵意を受け流す様に、ネオは大きくため息を吐いた。

 

「──とにかく、お前達が生き残るためにも、先の戦闘の様な体たらくは見せるな。お前は俺達にとって、絶対的な切り札として存在し続けなければならん」

「わかっている。あんな醜態は二度と晒さないわ……もう二度とね」

「頼むぞホント……雇い主がぶつぶつ煩いんだから」

「わかってると言った!! あぁ、もう……失礼するわ」

 

 苛立ちを隠し切れず、ユリスは逃げる様に部屋を退室しようとした。

 その背中に向けて、ネオは冷たい声音で言葉を投げる。

 

「──らしくないんじゃないのか?」

「何?」

 

 思わず振り返ったユリスは、再びネオへと剣呑な視線を向けた。

 

「どういう意味かしら?」

「以前のお前であれば、ステラ達に気を取られて不覚を取るなんてことは無かったはずだ。敵が目の前にいる中で、別の事に意識を回し過ぎる様な事はしなかったはずだ──違うか?」

「何が言いたい?」

 

 向けられてくる……言わんとしている事に察しがついて、ユリスの雰囲気は更に冷たさを増していった。

 

「──大切になり過ぎてはいないか、という事だ?」

 

 ユリスは目を見開いた。

 

「それの……何が悪い」

「戦場にいる──お前達は戦士なんだ。仲間を喪う事に怯える様な奴は、この部隊にはいらない。少なくとも、あいつ等はそう教育されてきている」

「ふっざけないでよ! そんなのはお前達の勝手な洗脳で──」

「それがお前とあいつ等の存在理由だ。逃れる事はできん」

「ロアノーク、貴様!!」

 

 殺気混じりになっていくユリスの気配に、しかしネオは首を振った。

 ともすれば激情に身を委ねて一線を超えてしまいそうなユリスを制する様に、ネオは自身の首元を指差した。

 その意図に気がつき、思考の片隅に追いやられていた事実を思い出して、ユリスは奥歯を噛み締め怒りを押し殺す。

 

 命を握られている────それは絶対的な力関係の証。

 先にネオが述べた通り、彼女の死は実質的にエクステンデットであるステラ達の死に繋がる。

 自らが起こす軽率に彼等を巻き込む事は、今のユリスにはできなかった。

 事を起こせば間違いなく、彼女の死が確実であるのだ。

 

 必死に、沸き上がった激情をユリスは胸の内に抑え込んだ。

 

「────次は無様を晒さない。それで良いでしょ」

「あぁ、しっかりな」

「了解。今度こそ失礼するわ」

 

 踵を返す。ただそれだけの行動に多大な心労を払いながら、ユリスは部屋を退室していく。

 それは見送るネオにとっても同じく、緊張に強張った肩を大きく落としていた。

 

 

 

 ジョーンズ艦内を歩き、ユリスは燻る激情を御し切りながら目的地へと向かう。

 場所は医療班が常駐する“調整室”。

 そう、エクステンデットである彼等が体を整える設備を備えた場所である。

 

 入室すれば、ちょうどゆりかごより目覚めたばかりの彼等がいた。

 

「ちょうどよかったわね、今起きた所?」

「ユリス!」

 

 飛び込んでくるステラを抱き止めつつ、アウルとスティングへとユリスは視線を向けた。

 長時間の調整に強張った身体をほぐしながら、2人はゆっくりとゆりかごから出てくるところであった。

 そんな彼等の特異な身体と境遇に、ユリスの胸の内は再び荒れた。

 ゴミクズの様な愚者共に押し付けられた、逃れられない宿命────ユリス・ラングベルトにとって最も忌むべきものだ。

 

「あぁー、眠ぃ」

「スティングとアウルも、疲れは無い?」

「べっつにー」

「ユリスこそどうなんだよ。ネオに呼び出されたんだろ?」

「あぁ、それは別に何でもないわよ。次の作戦はまだ降りてきてないから暫く様子見だろうって、それだけ。

 そんな事より、少ししたら訓練をするわよ。次にあの艦とやり合う時には、目にもの見せてやらないとね」

 

 ユリスの提案が物珍しいのか、一瞬アウルとスティングは呆けたが、すぐに目的を理解して納得する様に頷いた。

 彼等は戦う事が全て。先の戦闘の様に、戦果を残せずに帰還することなどあってはならない。

 幸か不幸か、ネオが言った教育というのは彼等の骨身に染みて、刷り込まれていた。

 

「まっ、このままじゃ勝てそうにねえしな」

「俺ら、それが仕事だし」

「私も、次は負けない」

 

 自然と受け入れていく。

 次なる戦いに向けて、強くなる事を。

 それは戦士としては正しく、当たり前の姿勢。

 

「よし、それじゃ1時間後に始めるから。まずは戦闘記録の閲覧から……ミーティングルームに集合よ。スティング、ステラをお願い」

「あいよ」

 

 予定を告げるとユリスは準備を進めるためにその場を後にした。

 

 

「(あの子達を……クズ共の犠牲になんかさせてたまるものですか)」

 

 

 その胸に不退転の決意を宿して。ユリスは怒りを原動力に歩き出す。

 悪意に染まる世界に、叛逆するために。

 

 初めて手にした守るべきものを、失わないために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モルゲンレーテの艦船ドック。

 そこに鎮座するアークエンジェルの前には、懐かしき顔ぶれが勢揃いしていた。

 

 艦長であったマリュー・ラミアスを筆頭に。

 ノイマン、マードック、トノムラ、チャンドラ、パルと言った主だったクルー達。サイにカズイ、ミリアリアも一緒だ。

 更には、キラにラクス。バルトフェルドにアイシャ等。

 

 そしてカガリが最も驚かされたのが──

 

「カガリー! 久しぶり!」

「ふっ、フレイ!? 何で」

 

 開口一番。いや、この場合邂逅一番だろうか。

 カガリを見るや否や、飛びついてくる赤毛の女性。

 フレイ・アルスター。今も昔もカガリにとって良き友人の1人であった。

 

 ユーラシア連邦事務次官、ボルト・ミュラー子飼いの広報官として彼女がカメラの前に姿を現したのは記憶に新しい。

 そんな彼女がなぜここに? カガリは襲撃のことや、アークエンジェルの事なども忘れて混乱した。

 

「もー、心配したわよ。さっきアマノさんの家が襲撃されたって聞いたから。でも、無事で良かったわ」

「あ、あぁ……なんとかな。ちょっと怪我はしちゃったけど、大事はないよ……ってそうじゃなくて、何でフレイがここに?」

「何よ、私と会えたのが嬉しくないわけ?」

「そ、そういうことじゃないが……いつオーブに……」

「ユーラシアが声明を出したすぐ後くらいだよ、カガリ。来てすぐにフレイとサイは僕達の所に来てたんだけど……カガリ、ずっと忙しいままで会わせることもできなくて」

 

 混乱するカガリに助け舟を出す様に、キラが説明していく。

 確かに、閣議に次ぐ閣議。そして状況はそのままオーブ防衛戦へと至り、その後は代表首長の座を追われるまで、カガリに休める時は無かった。

 今日ようやく、カガリはナタルを尋ねてアマノ邸で腑抜けになることができたのだ。

 それはフレイが来てたところで、知る由もなかっただろうとカガリは頷いた。

 

「だとしても、今のフレイはユーラシアの人間だろう? 何で今この時にオーブに?」

「仕事に決まってるでしょ。とは言っても、カガリが代表から退いた以上、仕事どころじゃなくなっちゃったけど…………その代わりに別の仕事ができたわ」

「別の仕事? もうわけがわからなくなってきた……」

「カガリさん、一先ず状況の整理と今後の動きを説明します。アークエンジェルへ」

「ラミアス艦長? どういう事だ」

 

 マリューの言葉に、再びカガリは疑問の声を挙げる。

 抱きしめていたカガリを離すと、それにフレイが真剣な面持ちで答えた。

 

 

「カガリ……私と一緒にユーラシア連邦首都、ブリュッセルへ来てもらうわ」

 

 

 全く予想だにしない言葉に、カガリは再び戸惑いの声を挙げるのだった。

 




ミゲル君本当ケア要員として優秀。
これが西川ニキの力。

そして動き出す原作乖離の流れ。
でも原作通りの展開も。
色々と頭を捻りながら組み上げたプロットですが、作者は運命編前置きで語った様に、政治の事とか知らないので、色々と不満点は出るかも知れませんがご容赦ください。

ユリスネキは滅ぼす系で無敵状態から脱してる分、同種の存在に執着が強いが故の変化ですね。
タケルがミネルバ育成ターン入ってますので、彼女にも頑張っていただかないと。

最近ちょっと反響が少なくて……贅沢な悩みではありますが、読者のお声がモチベになりますので
お声を頂けたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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