機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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次でダーダネルス戦終わりの予定。



PHASE-45 交錯する戦線

 

 

 蒼天の翼を持つMSが、戦場を睥睨する。

 

 それはまるで、その場所を支配するかの如く威風堂々とした様相であり、戦場に居た誰もが視線を釘付けにされるものであった。

 

 ZGMF-X1OAフリーダム。

 

 先の大戦で伝説となった機体。

 正確には今キラが駆るフリーダムはその再現機であり全くの同じという訳ではないが、そのような事情を知らぬ者からすれば伝説は伝説。

 

 蒼翼を広げた白亜の巨人は、繰り返された逸話を事実だと知らしめるだけの気配を携えていた。

 

 

 

「──ザフトの赤い機体。あれがサヤの」

 

 

 そんなフリーダムのコクピットの中で、キラは間一髪のタイミングで介入できたことに安堵を浮かべる。

 ミネルバは落とされる寸前。その結果を以てすれば、オーブとプラントの関係性は容易に崩れる事になるだろう。

 考え得る悪い想定をするのならば、その状況すら(デュランダル)が狙う通りなのかもしれないのだ。

 

『そこの赤い機体のパイロット。動けるなら今すぐ撤退して』

「──えっ?」

 

 短距離通信で回線を開いてキラはセイバーへと呼びかけた。

 

「な、何をいきなり……何故見ず知らずの貴方にそんな指示をされなければならないんですか」

 

 聞こえてくるは戸惑いながらもどこか苛立たし気な声音。

 だが、それはキラにとってはある種待ち望んだ声でもあった。

 

 生きている────サヤ・アマノが。

 守り切れず失われたはずの命が、確かにこうして生きている。

 思わずキラは目頭が熱くなった。

 

 彼女の死を目の当たりにして後悔と自責の念に囚われ続けていたのは、何もタケルだけではない。

 大切な友となり、兄弟と言える関係性にもなったタケルのそんな姿を見る度に、キラの胸にも後悔が募った────キラの胸を締め付けた。

 

 願わくばもう一度。叶うなら今一度。

 そう願い続けた事が現実となって目の前にある。

 あの日、自身の全てを聞かされた折に誓った────果たせなかった約束を果たす時であった。

 

 

 胸に浮かぶ不退転の決意。

 ザフトのミネルバを討たせることなく、派兵されたオーブ軍の全てを無力化する。

 オーブ国防軍はカガリを守る要だ。ここで無為に失う事も出来ない。

 必然キラは、メインカメラや武装だけを狙う、命を奪わぬ戦いを強いられる。

 

「でも、やってみせる」

 

 しかし、キラが怖気づくような事は無かった。

 ここで成すべきはキラとフリーダムをもってしても簡単とは言えないミッションであるが、同時にこれは、その戦い方を熟知している自分にしかできない事でもある。

 

 見据えるは紫電を思わせる悪鬼の如きMS。

 その姿を見れば、嘗ての己の不甲斐なさと同時に、二度と失うものかと力が湧いた。

 

 ──種が開いた。

 

 守るべきものを見定めたキラの心は、容易に己を抑えつける扉をこじ開ける。

 

「まずは──」

 

 スラスターを全開。

 フリーダムの肩からビームサーベルを引き抜くと、ディザスターへと切りかかった。

 

「はっ、嘗めないでくれるかしら!」

 

 ユリス・ラングベルトはタケルと同じく因縁となる敵の出現に獰猛な笑みを浮かべる。

 真っすぐな何の変哲もない突撃。

 SEED領域下に置ける彼女の危機察知能力は、難なくフリーダムの光刃を後退して躱して見せた。

 

「次!!」

 

 間髪入れず、距離を取ったディザスター目掛けて両翼を広げたハイマットフルバーストを斉射。

 総数6門の一斉射がディザスターを襲う。

 

「そんな予定調和な攻撃で!!」

 

 光条の隙間を縫う様に躱し、今度はディザスターが接近。

 サーベルをフリーダムへと叩きつける。それを腕部のシールドで受け止めたフリーダムは弾くようにして後退。バラエーナプラズマ収束砲で再びディザスターを狙う。

 

「そんな射撃が当たるとでも思ったの!」

「くっ!?」

 

 機体を翻して躱したかと思えば、反撃とばかりに残っている1門のシュヴァイツァでフリーダムを狙撃してくる。

 やはり彼女の相手は簡単ではない。キラとフリーダムの組み合わせであってもその事実は変わらなかった。

 

 しかし────それは彼女だけの話だ。

 

 

 

「イケヤ機被弾!」

「メインカメラに損傷。帰投するとの事!」

「ゴウ小隊、戦闘続行不可能!」

 

 タケミカヅチの艦橋にて、オーブのMS隊における被弾報告が相次いだ。

 

 そう、彼女の唯一の欠点と言えるだろう。

 インド洋でタケルが見せたように、味方の存在を意識せずに戦うユリスの背後では、フリーダムの射撃に巻き込まれカゼキリが被害を被っていた。

 

「フリーダム。何故こんな所に。という事はカガリも近くに……索敵、レーダーに他の反応はあるか!」

 

 艦橋からでも確認できる乱入者(フリーダム)に、ユウナは慌ててクルーへと確認を取らせる。

 

「──いえ、レーダーにもソナーにも、これと言って反応は」

「単独行動だって? 一体どういうつもりなんだあれは」

 

 こちとらオーブの立場を揺るぎないものとするべく、こんな遠くまで来たと言うのに。

 まさか身内であり直接的なやり取りこそないが味方で在る筈の者に邪魔をされるとは、ユウナは思っても見なかった。

 必死にこの状況における正解の行動を模索する。

 

「何だ……何の狙いが……」

『ユウナ・ロマ・セイラン』

 

 思考の時間は僅か。

 艦橋へと飛び込んでくるネオの通信に、ユウナは顔を顰めながら音を出さずに舌打ちした。

 少し状況を整理する時間をよこせとは思うものの、ここで直ぐに通信に出ないのも印象が悪い。

 渋々と回線をオープンさせる。

 

「こちらでも、状況は確認しているよ」

『では聞かせてもらおう。あれは先のオーブ防衛戦の折に確認されたフリーダムに間違いないかな?』

「あぁ、そうだろうね」

 

 嫌味な問い方にユウナは不快感を覚えながらも、声だけは取り繕って返す。

 間違いも何も無いだろう。どうあがいたってあんな特徴的な機体、その他の陣営のMSには見られない。わざわざ確認してくるあたり、いかにもこれはどういう事だと言わんばかりである。

 

『間違いが無いのならお聞かせ願いたいな。オーブ軍の所属機が、ここで我々の作戦を邪魔立てして来るその意味を』

「申し訳ないね。ただこちらとしても混乱の中にある。

 あれは正式にはオーブ国防軍の機体ではない。前代表が懇意にしていた、いわば個人戦力。傭兵の類だ。残念ながら、今の僕達にあれの真意を知り得る事はできないよ」

 

 フリーダムは今のオーブとは無関係。

 陣営を定め、この立ち位置に居る今、関係を断ち切る事しかユウナにはできなかった。

 

『ほぅ……では妨害してくる敵性機体として、撃っても構わないという事でよろしいのかな?』

「無論だよ。ただ、知っての通りあれは簡単に墜とせる存在ではない。ミネルバだけでなくあれも相手、となると……オーブ軍が精鋭であるとはいえ厳しいだろうね」

『ふっ、こちらも血を流せと?』

「作戦目的を完遂するにはここで尻込みするわけにはいかないんじゃないかな? 戦果も踏まえて」

 

 通信越しにネオとユウナは睨み合う。

 陣営を同じくするとは言え、決して単純な仲間とは言えない両者。どちらもが、自分達の被害を少なくし、十分な戦果を手にしてこの戦いを終えようとしている。

 その目論見と体裁、そして作戦の成功を天秤にかけた睨み合いであった。

 

『ふむ、さすがはオーブの指揮官という所ですな。では、こちらも一気に攻勢へと出ましょう────MS隊、全機発進だ。あいつ等も出せ!』

 

 通信を終えたネオは、艦隊へと指示を下す。

 小手調べとも言えたオーブとミネルバの攻防から一転。ここからは一気に数を増やしての殲滅戦という事だろう。

 勝負を決めに行く姿勢が、連合艦隊の動きによく見られていた。

 

 

「──よろしいので?」

 

 通信を終えて一先ずの安堵に浸るユウナへと、傍らに居たトダカが問いかけた。

 幾分か険しい表情なのは、ある程度この状況を理解して居るが故だろう。

 

「フリーダムに乗っている彼も、僕達が今どんな立場に居るのかは理解して居る事だろう。姿は見せていないが、カガリも承知の上での行動のはずだ……意味の無い、無作為な介入ではない」

「では、黙認と?」

「黙認と言うよりはどうしようもないって事だね。下手な予測や勘繰りをしていても仕方ない。僕達はやるべき事をやる────ミネルバを墜とす! MS隊に再度の通達だ。同時にタケミカヅチも攻撃用意!」

「了解しました──MS全機、ミネルバへの攻撃を再開しろ! ミサイル発射用意。照準、ミネルバ!」

 

 連合艦隊に呼応するように、タケミカヅチとまだ残るMS部隊が再び動き出す。

 

 激闘は、さらなる激しさを増して海を揺るがし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……やってくれるじゃない。まさか兄さんみたいな嫌らしい手を使ってくるとはね────だったら!」

 

 インド洋の戦いでネオに言われたようにこれ以上の無様を晒せないユリスは、キラの狙いを先の一合で看破した。

 ならば、とユリスは距離を詰める姿勢を見せる。

 好き放題に攻め手に回らせない。苛烈な攻めの姿勢でフリーダムを抑え込み、これ以上の被害を出させない算段だ。

 

「くっ、気づかれたか!」

「他にうつつを抜かしてないで、私だけを見なさい!」

 

 接近しながらビームライフルの射撃。

 距離を詰めれば、腕部2本のビームサーベルがフリーダムを狙う。

 

 それらをキラは弾き、逸らし、躱して。全てを退けていく。

 

「あっはは!! 流石ね、キラ・ヤマト!!」

 

 だが、それに応じるように。ユリスの勢いは増していく。

 互いにSEEDに至り、タケルと同じレベルでの攻防をこなして見せるキラを相手にして、ユリスは燻らせていた戦いへの疼きを満たせる事に喜び、気勢を上げていく。

 

「もっと、もっと、見せて頂戴! 兄さんに勝るとも劣らない、最高のコーディネーターの力を!!」

「くっ、完全に狙いを定めて来たか……なら!」

 

 瞬時にキラは状況打開の糸を手繰った。

 フリーダムとディザスターの大きな違いと言えば、その機動性の豊かさだろう。

 10枚の能動性弾力翼がもたらす細かな機動制御は、SEED領域下でその性能の高さをまざまざと見せつける。

 寸分違わぬ回避軌道。隙間1mを割る動きでディザスターのサーベルを潜り抜けると、フリーダムはシールドでディザスターのメインカメラを殴打。

 瞬間の意識の隙間を生み出して、即座に腰のクスィフィアスを至近で発射。

 実弾故にTP装甲がダメージを無力化するが、その衝撃にディザスターは大きく後退させられた。

 

「くっ……本当に、やってくれる!」

「今だ!」

 

 距離を取り仕切り直そうとしたディザスターに背を向け、キラはフリーダムを全く別の方向へと走らせた。

 狙うは1つ────ミネルバへと向かうオーブのMS隊である。

 既にユリスの意識は完全にキラへと向いている。彼女は餌に釣られるようにフリーダムを追うだろう。

 

 出鼻を挫かれたディザスターが大きく遅れて動き出す中、フルスロットルで戦場を駆けるフリーダムはニシザワ隊を強襲。

 

「フリーダムっ!?」

「狙いは俺達なのか!?」

 

 最大戦速で向かってくるフリーダムに虚をつかれたニシザワ隊は、すれ違い様にビームサーベルでメインカメラを切り飛ばされた。

 

 そのまま、先の攻防で被弾していたイケヤ小隊とゴウ小隊を捨て置き、更にフリーダムは戦場を駆ける。

 次なる標的は……インパルスと戦闘中のアマギ小隊。

 

「隊長! フリーダムが!」

「今は敵だ。撃て!!」

「りょ、了解!」

 

 味方が撃たれたとなれば、いくら先の防衛戦で共に戦ったとは言え、迷いは消える。

 アマギ小隊から迎撃に放たれるビームライフルは高い精度を以て、フリーダムを狙った。

 

 しかし、SEEDに至ったキラは全ての射線を読み切り、それを掻い潜っていく。

 

「なっ、バカな!!」

 

 アマギが驚愕を浮かべるのも束の間、衝撃がカゼキリを襲い、アマギ小隊もメインカメラを切り飛ばされて無力化された。

 

「──次、はっ!?」

 

 電光石火で次なる標的へと向かおうとしたキラであったが、瞬間的に悪寒を感じてフリーダムを退かせる。

 

「キラぁああ!!」

 

 飛びかかるかのように突撃してくるは白銀のMS。

 アスラン・ザラの駆るシロガネが、ビャクヤを片手にフリーダムへと切りかかった。

 

「シロガネ!? アスラン!」

 

 シールドとサーベルを用いて応じるフリーダム。2機の間に光の火花が散る。

 同時に、接触回線が2人を繋いだ。

 

「何をしているんだ、キラ!」

「アスラン!」

 

 SEEDへと至っていないアスランを、キラは反応速度に任せて切り返す。

 2本のビャクヤに応ずる様に2本目のサーベルを展開。

 翻された光刃を嫌って、アスランはシロガネを後退させた。

 

「一体何のつもりだキラ! こんな事!」

「わかってる……君が言いたいことも、君の正しさも」

「だったら──」

「でもダメだ! 君とタケルが討ち合うのも。タケルとサヤにオーブを討たせるのも。勿論、オーブにあの2人を討たせるなんて事も。僕には見過ごせない!」

 

 牽制に放たれるビームライフルを、ビャクヤで切り払いながらアスランはキラの言葉に息を呑んだ。

 

「討てば戻れなくなる……引き返せなくなる! それがどうしようもなく、仕方のない事だとしても。道を違えて討ち合ってしまったら、止まれなくなってしまう事を。僕達は知ってるはずだ!」

 

 思い出されるは2年前。

 互いの友と仲間を奪われて、止まれぬ心に翻弄され死闘へと至った記憶。

 もしここでミネルバが討たれようものなら。もしここでオーブが討たれようものなら。

 2人が今いる立場が、嘗ての死闘を演じさせるかもしれない。

 その可能性を捨て置くことなど、キラにはできなかった。

 

「だとしても! 今更オーブがここを退けるはずがないだろう! お前がやっていることは、ただいたずらに戦場を混乱させているだけだ!」

「それでも──」

「私を捨て置くとは良い度胸ね、キラ・ヤマト!!」

「くっ!? ディザスター!」

 

 ようやく追いついてきたディザスターがフリーダムを急襲する。

 しかし、接近していくディザスターの眼前は、別から来る大きな閃光が切り裂いた。

 

「お前にキラまでやらせるものか、ユリス!」

 

 アスランを追いかけてきたタケルのエスペラントがガラディンを構える。

 再び弾かれたトリガーによって吐き出される閃光を後退してかわすと、ユリスは苛立たさを舌打ち1つで吐き出し、フリーダムからエスペラントへと標的を変えた。

 

「ちぃ、兄さん……上等よ、先に兄さんから沈めてあげるわ!」

 

 ぶつかり合うタケルとユリス。同時にキラとアスランも再び光の刃を交えた。

 

 すれ違う視線と思惑が、戦場をさらに加速させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フリーダムの攻撃で撤退模様となったイケヤ小隊。

 おかげで対峙していたハイネは、戦場で一息つくくらいの余裕を得ていた。

 

 3対1の状況であったとはいえオーブの部隊練度は高く、ハイネは落とされない様にするだけで精一杯であった。

 フリーダムの介入によって結果的に救われたことに、ハイネは収まりの悪い心地だ。

 

「ちぃ、状況は一気に混乱。オーブ機を退けてもらったのは助かったが、代わりに連合の部隊も動き出したか…………ミネルバ、そっちの状況はどうなっている?」

 

 ハイネとて先程ディザスターによる一撃でミネルバが大きな被害を被ったことは確認していた。

 このまま戦闘継続ができるのか……場合によっては自身が殿(しんがり)を務めてでも撤退の進言をするべきかとハイネの脳裏には嫌な予感がよぎる。

 

『タンホイザーの発射直前に被弾した事もあって被害は大きいわ。なんとか動けるけど、次に迫るは地球軍よ。MS隊は迎撃に回って頂戴』

「クルースは?」

『オーブと地球軍機、それにフリーダムと混戦しているわ。熾烈な戦いをしている……今は、貴方が頼りよ』

 

 遠回しにタケルからの援護の期待も、タケルへの援護の余裕も無いことをタリアに告げられ、ハイネは改めて状況の逼迫さを確認した。

 オーブ機が退がったところで依然としてミネルバに余裕はない。

 タンホイザー破壊の影響で着水してしまったミネルバを艦隊が囲い始め包囲殲滅を掛けようとしていた。

 ハイネはすぐさま動きだす。

 

「了解した────各機、地球軍の迎撃にシフトだ! シンは俺に続け。レイとルナマリアはそのまま甲板で迎撃を続けろ! ヤヨイは一度退がっとけ。その状態では戦えねえ」

 

 ディザスターとの攻防で片腕を切り落とされたセイバーの状況を確認して、ハイネはヤヨイに撤退を促した。

 

「ハイネ、変形状態であればセイバーはまだ戦えます! この状況で1人引き下がることなど!」

 

 変形し巡行形態であれば、その高い速力と背部のプラズマ収束砲をメインに立ち回ることが可能。

 片腕が使えないのであれば他にもやりようはあると、ヤヨイはハイネの指示に否を示した。

 

「────本当にやれるのか?」

「この程度の状況は、ラウラ隊長の訓練に組み込まれています」

 

 疑問視するハイネの声に、ヤヨイは迷いなく返した。

 機体が損傷を受けた時を想定した訓練。無論、タケルが課してきたものであったが、その中身は損傷して限定された兵装の中、敵の攻撃を捌き無事に帰投すると言うものである。

 間違っても、戦闘続行を狙うものではない。

 

 それを知ってか知らずか、ハイネは逡巡。

 オーブとは違い、連合の戦力となるとやはり数が多い。

 航空戦力であるセイバーが抜ける穴は大きく、戦えると言うのであれば是非もない状況であった。

 ハイネは、僅かな思考から決断を下す。

 

「わかった、だが前に出過ぎるな。前衛は俺がいく────シン、ヤヨイをフォローしろ、いくぞ!」

「了解!」

「え、あぁ、了解!」

 

 向かいくる連合の部隊へと機体を走らせる3人。

 敵はウインダムを主とする中に、カオスやアビスが混ざっており、因縁の敵の出現にシン達には新たな緊張が走った。

 

「敵を牽制します!」

 

 変形したセイバーがウインダム部隊の真ん中にアムフォルタスプラズマ収束砲を撃ち込む。

 練度の低いパイロットはこれに巻き込まれて落ちるし、大きく回避せざるを得ない。

 一気に隊列を崩して散開するウインダムへと、グフとインパルスが強襲。

 ハイネのグフはテンペストソードと、高周波格闘鞭スレイヤーウィップを装備。テンペストソードでウインダムを切り裂き、スレイヤーウィップの高周波振動破砕で砕いていく。

 シンのインパルスはその高い機動性を活かして撹乱しながら、1機ずつ確実にライフルで撃ち抜いていく。

 

「ははっ、お待たせってねぇ!!」

 

 そこへ突如、海面から光の束が放たれインパルスを襲う。

 海中より顔を出して破壊の光を放つはアビスだ。

 

「ユリスのおかげで手負いか……だが、手加減はしねえぞ! 紅いの!」

 

 そしてセイバーにはカオスが迫っていた。

 

「ちぃ、こいつらぁ!」

「カオス! これまでの因縁。ここで決着にして見せます!」

 

 ウインダムを引きつけるハイネのグフの目の前で、セカンドステージの機体達もまた浅からぬ因縁に火花を散らしていく。

 

「ちっ、厄介な連中を持ち出してきやがって……もう一機はどこに…………はっ!?」

「いやぁああ!!」

 

 グフのコクピットに響くアラート。

 背後からの急襲を察知し、ハイネは機体を翻した。

 直後、その場を黒い機体が……ステラの駆るガイアが変形状態で翔け抜けていく。

 そのまま近くの陸地へと着地したガイアは、睨みつけるようにハイネのグフを見上げて、すぐ様追撃のビーム突撃砲を放った。

 

「やろう……ここで俺まで捕まっちまったらミネルバが」

 

 シン、ヤヨイ、ハイネと3人ともが足止めをくってしまえば、ミネルバはウインダムの大部隊と艦隊からの波状攻撃に曝される。

 甲板で迎撃に回るレイとルナマリアだけでは到底追いつかないだろう。ハイネは一気に窮地へと至った戦況に歯嚙みした。

 

「くそっ、どうしろってんだ!」

 

 放たれるガイアからの放火を躱し、グフはドラウプニルで牽制。

 そのまま互いに隙を見出しては、テンペストソードとビームサーベルをぶつけ合う。

 機体の性能差を覆しての互角と言えば十分な戦いであろうが、今この時においてはなんら足りない。

 互角にまでしか持っていけない不甲斐なさを呪いながら、ハイネは必死にステラと鎬を削っていく。

 

 

「ちぃ、何とかしろってんだよ、クルース!!」

 

 

 必死に繋いだ通信から届ける声は、情けないとわかっていても。ハイネは恥を忍んで叫ぶ。

 

 それはこの状況を打開してくれる可能性のあるものへと向けた、切なる願いであった。

 

 

 




色々と原作とは違う状況、違う展開に。
色々とツッコミどころがあるかもしれません。
説明不足、描写不足となる点もあるかもしれませんが、何卒ご容赦を。

感想よろしくお願いいたします。
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