突如現れた巨大兵器、デストロイによる破壊行為は、駆けつけたミネルバとアークエンジェルが要する部隊によって辛くも破壊に至り、どうにか状況は1つの終息を見た。
ベルリンを始めとしたユーラシア西区域の都市が3つ滅ぶという、未曽有の被害。
遺された爪痕は重く、深く。プラントはすぐさま救援部隊を派遣。現地に僅かでも残る生き残った人々を救うべく動き出した。
また、本来ならこの地を管理していたユーラシア連邦もフットワークの軽い動きでプラントと同時に救助の手を回す。そこにはユーラシアとプラントの結びつきを見せる政治的な意味合いも含まれていたが、現地で被害に遭った人達にとっては正に救いの手となった。
非道を行った大西洋連邦に対するカウンターとしては悪くない一手である────その手に救われる命の数が、決して多く無い事を除けばだが。
行われたのは破壊行為である。自然災害の様に生温いものでは無く、ビームとミサイルの嵐に見舞われたのだ。
都市部に居て生き残っている者など、ほとんど居なかった。世界中が目を向ける戦場の跡地にはただただ何もなくなってしまった瓦礫の荒野だけが広がっていた。
脅しとしては、これ以上はないだろう。
元より、今回の連合の作戦は見せしめ。プラントに傾倒していく地球の勢力に釘を差すための盛大なパフォーマンスである。
世界中に発信されたその映像は、連合による恐怖の支配に落とし込むにはもってこいのものであった。
だが、そんな情勢の最中。
プラントでは着々とギルバート・デュランダルによる反撃の手が進められていた。
世界へと向けて放たれる。大きな反撃の声の準備が……
アークエンジェル艦内医務室。
上半身を露わにし、随分と包帯で覆われているキラがベッドに横たわっていた。
「キラ……」
その傍らで、カガリは心配そうにキラの様子を伺う。
右肩から腕に掛けて、それなりに深い火傷をキラは負っていた。
あの時、デストロイが最後に放ったスキュラによってフリーダムは右半分を消し飛ばされ撃墜。光の奔流は、ギリギリのところでコクピットまでは巻き込まなかったものの、カガリが回収したフリーダムの残骸はコクピットが剥き出しになるまでの損傷であった。
どうにかキラを回収したアークエンジェルだったが、艦も右舷スラスターに甚大な被害を受けており、連合の追撃を恐れてアークエンジェルは近くの海へと逃げ延び、海中へと潜行。現在は再びの海中暮らしを強いられている。
帰還したカガリが抱えたフリーダムのコクピットに居たキラは、パイロットスーツが右肩から腕に掛けて至近を通ったスキュラの熱で融解しており、迅速な対応をしたもののキラは大火傷を負ってしまったのだ。
「全く、兄様と同じで無茶ばかりして……私の気持ちも、少しは考えろ」
そうでもしなければアークエンジェルが巻き込まれて落ちていただろう。
仕方ないとは思いつつも、発射直前のデストロイの砲口に向かって突撃した弟に、カガリは聞こえないように悪態を吐いた。
「その坊主はまだ目覚めないのか? 嫌味の1つでも言ってやりたいんだがな」
そこへ、背後から聞こえる覚えのある懐かしい声に、カガリは眉間に皺を寄せた。
またこの声を聞けるのは正直嬉しいと言う気持ちだ。だがしかし、素直に喜べない大きな問題も抱えており、カガリはため息交じりに振り返る。
「そっちこそ、まだ思い出せないのか? ムウ・ラ・フラガ少佐」
「だぁから! 俺はネオ・ロアノーク大佐! 勝手に降格するんじゃないよ、お嬢ちゃん」
「そのお嬢ちゃんと言うのはやめろと2年前にも言ったはずだ……大体、キラにやられてコクピットだけのダルマにされてるんじゃ、どの道少佐への降格は待ったなしだろうさ」
「んぉ! 言ってくれるじゃないか。んな事言っても、相手は伝説の機体フリーダム。俺如きがウインダムなんかで敵うわけもないだろうが」
「ストライクに乗りたてでいきなりキラとフリーダムに模擬戦を挑んでおいて良く言う」
「だから、知らないってのそんな話!」
「──ちぇっ、本当に覚えてないのかよ。何もかも」
カガリは呻くように漏らして、キラへとまた向き直った。
そう、カガリの背後でもう1つのベッドに転がされてる男。緩く波打つ金髪に、顔の傷が少し目立つ男性。
ネオ・ロアノーク────またの名をムウ・ラ・フラガ。
先の戦闘において、キラが撃墜しカガリが回収したウインダムのパイロット。
戦闘後キラの対応が終わってからこじ開けられたコクピットから彼が発見された時は、格納庫が騒然となった。
現在、アークエンジェルに居るクルーはそのほとんどが以前と変わらぬ人員である。皆が、彼の死を知っていた。乗り越えていた。
だというのに、目の前に現れたムウ・ラ・フラガの姿をした男。混乱は一入であった。
それでも、死んだと思っていた戦友の帰還。喜ばぬはずがない。医務室に連れていき、目覚めを待っていた彼等であったが、現実は非常であった。
記憶喪失……検査の結果、ムウ・ラ・フラガ本人だと判明しておきながら、目覚めた彼は知らない誰かになっていた。
艦長であるマリュー・ラミアスの悲しみは計り知れないものであった。
目覚めをすぐ傍で待ち続け、そして開口一番に言われた言葉は。
“俺の顔に何かついてるかい。美人さん”
ムウ・ラ・フラガであるのなら、絶対にありえない言葉だ。
彼が、マリュー・ラミアスを忘れるはずもない。その時、マリューは全てを悟った。ムウ・ラ・フラガはもう死んでしまったのだと。
普段から温和で、戦闘中は気丈な姿を見せるマリューが、恥も外聞もなく涙を流し医務室を出ていくのを、カガリは見送る事しかできなかった。
掛けられる言葉は、カガリには思い浮かばなかった。
胸に燻る不満は、全てを忘れてのうのうと連合の佐官に落ち着いていやがったネオ・ロアノークへと向けられる。どうにか思い出せと言わんばかりに、カガリは先のやり取りの様に昔を思い出しながら噛みついてしまったのだ。
「なぁ……ネオ・ロアノーク」
「あん? なんだよ急に萎れた声を出して」
「今のお前に、大切な人は居たりするのか?」
「あぁ? 何でお嬢ちゃんにそんな事──」
「良いから答えろよ! 好きな女とかそういうの……居ないか?」
記憶を失ったムウが新たに大切な人を作っていたのだとしたら、それではあまりにマリューが浮かばれないだろう。
そんな事実がもしあったとしたら、彼とマリューを引き離すべきかもしれないと、カガリは俄かに考えた。
「──年頃で興味津々なのは分かるが、悪いけど俺にそんなの居ねえよ。大体、お偉いさんにずっとこき使われてばっかりだったんだから。いっそこうして捕まっちまって肩の荷が降りたくらいだぜ」
「そ、そうか……良かった」
「ただ……」
ただ? 少しだけ寂し気な声音に、カガリは眉を顰めた。
まさか子供がいるわけではあるまいな、と変な方向に思考が回っているのは内緒だ。
「大切になってた奴等なら……居た」
「大切に、なってた? なんだその奇妙な言い回しは」
「失ってから気付かされるんだよなホント……大切なもの程さ」
生体部品。情を抱いてはならないと言い聞かせながらも、やはりネオにとって彼等は唯の道具にはなり得なかったのだろう。
これまで取り繕って道具扱いしておきながら、手元から離れた途端後悔する等。都合の良いものだとネオは己を卑下にするが、連合から離れてしまった今ネオは自身の気持ちに嘘はつけなかった。
命令に逆らえず彼等をラボに送り返したことに、後悔が募っていた。
そんな彼の何とも言えない気配を察して、カガリも疑念の視線をひっこめる。
「そうだな……本当に。後になってから気が付く事ばかりだよ、この世界は」
もっとやりたい事が、伝えたいことがあったというのに、その時を生きるだけで必死になってしまい、本当に大切な事を忘れてしまう。
きっといつだって、誰もが失って初めて気付かされるのだ。傍に在るものの大切さを。
「なんだ、その年でお嬢ちゃんも何か失ったってのか?」
「あぁ……大切な存在を、かけがえのない人を……私も失ってしまった」
キラの寝顔を眺めながら、カガリはしみじみと呟くのだった。
ミネルバの休憩スペース。
現在は警戒態勢も解除。死闘を潜り抜けたミネルバクルーは順次休息に入っている。
彼女、メイリン・ホークもその内の1人で休憩スペースとなるこの場でうとうと頭を揺らしながら眠りに落ちかけていた。
「メイリン」
「うわひゃあ!?」
耳を揺らす冷めた声音に、一気に意識を覚醒させる。奇妙過ぎる驚きの声を挙げてしまい、メイリンは周囲の視線を集めてしまった事に頬を赤く染めながら俯いた。
「ヤ、ヤヨイ~、もう少し静かに声掛けてよ」
「いえ、静かに声はかけたはずですが? 貴方が勝手に驚いただけでしょう」
心外だと言わんばかりにため息を吐きながら、サヤはメイリンの対面へと腰を下ろした。
「あっ、そう言えばヤヨイ。戦闘、お疲れ様。怪我は無い?」
「えっ? えぇ……はい。まともな被弾も無かったので。メイリンも、お疲れ様です。いっそ私より疲れていそうですね」
「言わないでよ。この後またすぐバートさんと交代で入らなきゃいけないから、ここで少し休憩してただけなんだもん。私はオペレーターだし、しょうがないでしょ」
言ってメイリンは口元を尖らせた。
MS隊は戦力の要。言わば艦の生命線だ。前線に出たパイロットはとにかく休ませるのが普通である。命をすり減らして戦う戦闘────後方で控える艦内のクルーとは疲労度が違う事など語るべくもない。
故に、最優先で休むパイロット達の代わりに、本当に安心ができるその時まで、艦橋クルーは気を張り続けなければならない。
それが索敵を担当する管制オペレーターなら尚更だ。
「ならば部屋で仮眠でもすれば良いのに。そんな体たらくで艦橋に入ればそれこそ艦長に怒られますよ」
「だって、部屋はお姉ちゃんがもう休んでるから、途中で部屋を出入りしたら迷惑だと思うし」
「そんな変な気を遣って、貴方が艦橋で怒られる方がルナマリアも嬉しくないでしょう。何なら、私の部屋を使いますか?」
「えっ、でも良いの? ヤヨイだって疲れて休むんじゃ……」
「構いません。私はまだやる事がありますし、私は2人部屋を宛てがわれてます。ベッドはもう1つが空いてますので」
「それじゃ、使わせてもらって良い?」
「えぇ、では行きましょうか」
言って、サヤはふと自然に行われた自身の行動に違和感を覚えた。サヤ・アマノはこれほどまでに周囲を気遣うような人間であっただろうか。
良くも悪くも兄一筋な生き方をしてきたはずである。大切な兄の事ならばいくらでも変化を見出し、常々自愛せよと文句を言い続けて居た彼女ではあるが、それに反してその他の人間には関心がなかった。
カガリやキラと言った、兄と近しい者達とはそれなりに親しい関係を築いていた気はするが、少なくとも記憶を取り戻したサヤ・アマノにとっては、ザフトに居る面々は全てが他人。
先日のルナマリアに向けた言葉も考えるに、随分とサヤはヤヨイ・キサラギに引っ張られているのだと、自覚させられた。
「(あぁ、でもこれが……お兄様の言っていた事なのですね)」
ずっとタケルの事ばかり気にかけていたサヤに、タケルはもっと色んな人と関わって欲しいと常々説いていた。
記憶を失くしたことが切っ掛けとは言え、こうしてタケル以外の人間に関心を持ち気を遣う様な関係性を育めている事は、サヤにとってどこか心地が良いものであった。
「存外……悪くないものです」
「えっ、何か言った?」
「いえ、何でもありません」
そうしてサヤは自室へと向かい歩き出した。
未だ欠伸が止まらず眠そうにしているメイリンを見ると、自然と笑みが浮かんでくる────本当に、悪くない気持ちであった。
「(そういえば……)」
しかし、それは魔が差したようにサヤの思考に過る。
前触れもなく、サヤは自室へと向かう足を止めていた。
「ん、ヤヨイ?」
「────メイリン」
「うん?」
「貴女も、私の事はもう聞き及んでいるのですよね?」
「えっと……記憶を取り戻したっていう話? それなら一応お姉ちゃんから──」
「であるなら、私はサヤ・アマノとしてどうしても貴女に聞いておかなければならない事があるのですが、良いですか?」
何故かは分からない。しかし、メイリンはその時危険な気配と同時に、うんと応じてはならない予感を感じた。
第六感的な感覚が、メイリンにこれでもかと警鐘を鳴らしていたのだ。
「えっと……その、今は凄く眠いから、出来れば落ち着いてる時にでも……」
「ご安心を。聞けば直ぐに目も覚める話だと思いますので」
「えっ、えぇ!?」
先導していたサヤが振り返る。その目は見開かれ、端正な顔立ちと相まって、それはそれは恐ろしい形相に見えた。
メイリンはひっ、と小さく悲鳴を挙げながら一歩後ずさる。
「な、なななにを聞きたいのかな、ヤ、ヤヨイ?」
「それは勿論……サヤを前にして貴女がお兄様をデートに誘いましたあの日の事です」
「ひぃ!? ち、ちがっ、あ、あれは艦長からの指示で──」
「そうでしたね。ですがあの日以降、随分とお兄様と仲が良さげでした。一体何があったのでしょうか? 全部教えてくれませんか。あの日貴女が、お兄様をどう誘惑したのかを」
「ゆ、誘惑なんて、そんな人聞きの悪い──」
「ほぅ、誘惑はしてないと? わかりました。ここでは話辛いと言うのでしたら話は部屋で聞きます。では、行きましょうか」
「えっ、えぇ!? ちょっと待って、私の仮眠は!」
「安心してください。人間2日くらい寝なくても死にはしません。お兄様もそうでした」
「私なんかとタケルさんを一緒にしないでよ!」
畏れ多い、と言う様に思わずメイリンは叫んだ。哀れ、少女はそれが更なる危険へのトリガーとなる事を知らない。
「──タケル、さん? たった1日で、お兄様を名前で呼ぶ関係にまで入り込んでいるというのですか……どうやら聞かなければならない事が増えた様ですね」
「ひぇえ!? 地雷踏んだ!? えっ、いや、ちょっと待って!」
「待ちません。微に入り細を穿って、全てを白状してもらいます。今夜は寝かせませんのでそのつもりで」
聞き様によっては……と言うかルナマリアが聞けば顔を朱に染めそうな言葉を吐きながら、サヤの気配は鋭さを増していく。
「いや、待って、お願いヤヨイ! 私何にも悪くないって! 助けて、お姉ちゃぁああん!」
少女の悲痛な叫びは、ミネルバ艦内に木霊するのだった。
「む?」
所変わり、ラボに居るタケル。
時刻は夜も深くなって来た所。現在はラボ内のサーバーにアクセスして必要なデータをコピーしている最中であった。
そんな時、タケルは何かを感じ取って天井を仰ぎ見る。
「何よ、兄さん?」
「なんだか、妹が泣いてる気がして……いや、怒ってる?」
「知らないわよ。って言うか、キモいからそのくだり止めてって言ってるでしょ。死ね」
1日に1回はこのくだりをしている気がして、ユリスは心底うんざりした様に侮蔑で返した。
「そこまで言わなくても。大体、大なり小なりユリスだってステラの事を妹みたいに大切に思ってるだろ」
「当然でしょ。あんな可愛い子他に居ないもの」
「うわぁ、同じ穴のムジナって言葉を知ってる?」
「知らないわよ。大体、兄さんと一緒にしないで」
「しっかり理解してるじゃないか。とことんひねくれてるね君は」
「兄さんこそ、シスコン拗らせすぎて頭おかしくなってない?」
「兄としては名誉な事だね」
「キモい。ステラに近づかないで頂戴」
「ステラから来てくれるからどうしようもない」
ぞわっと総毛立つ程の気配を滾らせて、ユリスが悔しそうにタケルを睨みつけた。
既にゆりかごの調整を終え、スティングやアウルは色々と小型艇に積み込むべく動いてくれている。
その最中、ステラだけは、精神年齢が幼い為何もせずの待機と命じているわけだが……この大きな幼女、大人しく待ってることができない質であった。
フラフラうろついては、ユリスを見かけてダイヴ。タケルを見つけては飛びつくような事を繰り返す。
そして、専ら母性の欠片も備えないユリスより、ステラに対して父性が垣間見えるタケルの方がステラにとっては飛びつきやすい相手であった。
子供の感覚とは時に非情であるのだ。
故に、ユリスからすれば大切な妹分を奪われた気しかしなくて、激しい嫉妬の心が渦巻いていた。
「そう言う気配が良くないんだと思うけど?」
「うるさい!」
「大声も良くないね。ステラが怯える」
「黙ってなさい陰険ロリコン兄貴!」
「清々しい程に誹謗中傷だね。僕にその気は無いんだけど」
ふと、キーを叩いていたタケルの手が止まった。ユリスが気がついて画面を見れば、画面にはタスクの完了が示されていた。
「終わったの?」
「とりあえず必要なデータは。資料の類はこれで全部かな……残りは各種機材と、色々と残されてる物資を積み込んで終わり。そしたらできるだけ早くここを離れよう」
「そうね……そろそろ奴等も動くだろうし。何ならもう近くに──」
瞬間、ラボ内部に警報が鳴った。
タケルが小型艇の索敵システムと連動させた警報システムであり、これはつまりラボ周辺に不穏な気配ありと言う知らせであった。
タケルはラボ内から、小型艇にいるスティングへと通信を繋いだ。
「スティング、状況は?」
『小型艇2を確認だ。こっちに真っ直ぐ来てやがる』
「距離はどのくらい?」
『距離2800。速度は遅いな。恐らく警戒してるんだろう』
「兄さん、ディザスターで片付けてくるわ」
「頼む。ミラージュコロイドで接近。接敵は一瞬。通信の1つも出させずに終わらせて」
「なかなか無茶な事を言ってくれるわね」
「下手に応戦されてこちらに流れ弾が飛んでくる方が困るんだよ。まだ全部終わってない」
「わかってるわよ。スティング、機体の準備をしておいて頂戴」
『あいよ、カタパルトは無しだな?』
「えぇ、その通りよ」
言うや否や、ユリスは俊足で駆け出していく。ラボ内を疾走し、停泊している小型艇へと向かった。
「スティング、一応緊急発進の構えだけはしておいて。最悪は脱出する」
『ユリスがしくじるとは思えねえけど……』
「ミネルバ相手にしくじらない事あった?」
『おまえっ……嫌味な奴だな。俺達まで耳が痛ぇじゃねえか』
「絶対は無いって事だよ。僕も一旦そっちに戻るから、とりあえずお願いね」
『へいへい。わかったよ』
通信を終えると、タケルはデータを取り込んだ端末を手に取って駆け出した。
その間に小型艇へと辿り着いていたユリスは即座に格納庫へと向かい乗り慣れた紫の機体へと乗り込むと、最速でシステムを起動する。
「さて、もうバレてるわけだし…………派手に花火を打ち上げてやるわよ!」
鎮圧部隊が送られてきた以上、ラボの異常は把握されている事だろう。そして、タイミング的にも自分達が関与している事は頭の回る奴なら理解できるはず。
もう、ひっそりと戦う必要はない。ここからは真正面からの敵対行動になる。
反抗の狼煙を上げるべく、悪魔の機体は暗い夜の海上へと飛び出していくのだった。
いや別に、妹だけ取り揃えようとしてプロット組んでるわけじゃ……
妹スキーはどうぞ感想お願いします。