ヘブンズベース。
地球連合軍最高司令部となる軍事基地だ。所在は大西洋連邦北部アイスランド島にあり、つまりはザフト前線基地であるジブラルタルの目と鼻の先にある。
その規模は小都市規模であり、先の大戦で失われた大都市規模のJOSH-Aに次ぐ基地施設と軍事工廠を備えている。
そんな現地球連合の最大拠点であるヘブンズベースに、ロード・ジブリールを含めたロゴスの面々は難を逃れていた。
ギルバート・デュランダルによって扇動され暴徒となった民衆に嗅ぎ付けられ、追われ────身の安全と、反抗の時を待つべく避難してきたのだ。
そして今この時。ヘブンズベースを目前にして集結するは反ロゴス連合。
陣頭指揮にミネルバへと乗艦したギルバート・デュランダルを旗頭に掲げ、同盟を結んでいたユーラシア連邦や、東アジア共和国からも戦力が集結。
正に世界を束ねる一大勢力となって、ロゴスを打倒せんとこの地へ詰め寄ってきていた。
『我等ザフト及び地球連合軍はヘブンズベースに対し以下を要求する。
1.先に公表したロゴス構成メンバーの即時引き渡し
2.全軍の武装解除。基地施設の放棄
これらの要求に応じられない場合は、武力を以てヘブンズベースを制圧する』
ジブラルタルを通して投げられた最後通告である。
随分な強気だと、デュランダルは内心で自嘲した。
いくらユーラシアや東アジア共和国の一部が反ロゴス同盟を組んだとはいっても、地球連合の戦力の大々的な母体は大西洋連邦。依然としてその戦力差は大きいだろう。
数に対して質で勝るのがザフトの定策だが、ベルリンで見た巨大兵器デストロイの事を考えれば、それも不安と言える。
デスティニーやレジェンド、インパルスを保有するミネルバMS隊の活躍は、不可欠となるだろう。
「要求への回答まで後5時間です」
「やはり、無理かな? 戦わずに済めば、それが一番良いのだがね」
タリアに返すデュランダルの声には少しだけ呆れも含まれていた。
ヘブンズベースの戦力は確かに十全だろう。この基地を守る為だけにあちらも地上の総力を結集させている。
だがしかし、それで勝利したとて世界の情勢は変わらない。
既にロゴスの存在は
ここであがいた所で、この地に集結した戦力を見れば分かる様に、彼等に付き従う者はもう多くないのである。
「それでも、まだ戦いを望むかね? ジブリール」
メディアを通じて世界中が目を向ける中。
世界の武力を結集した戦いが、幕を開けようとしていた。
「ふんっ、大方勝ちを確信しているのだろうな。デュランダルはさぞ気分が良い事でしょう」
ヘブンズベース指令室では、虎視眈々と戦端を開く準備がされていた。
要求への回答は沈黙。つまりはだんまりを決め込んでいる状況だ。元より、話し合いなどするつもりはないし、ましてや受け入れること等あり得ない。
「だがこれで本当に守り切れるのか? ジブリール」
「守る? 何を仰っているんですか! 我々は攻めるのですよ、今日、ここから!
我々を討てば戦争は無くなり平和な世界になる? はんっ! そんな言葉に易々と騙されるほど、確かに民衆は愚かです。だが、だからこそ! 我々がここで奴を討たねばなりません!」
ジブリールが嘯くのは、大儀の在る言葉であった。それは勿論、彼等にとってのではあるが……
「本当に取り返しのつかない事になる前に。この世界が、奴とコーディネーター共の世界になる前に!」
「確かにのぅ。我等をここで討ったとて、奴らが取って変わるだけじゃわ」
「正義の味方や神の様に成れる人間などいるはずも無い事を、我々は良く知っている」
投げられる言葉に、ロゴスの面々は頷いていく。
そうなのだ。どのような人間であろうとも、朱に染まれば赤くなる。それは連綿と続いてきたロゴスという存在が証明していた。
どれ程高潔な人間が生まれようとも、それは一代限りで、先には続かない。
人類の中で支配構造がある以上、一時的にロゴスが討たれたとしても、そう遠くない未来に同じ様な存在が生まれてくることだろう。
ここで彼等が討たれる事は、歴史的に何ら意味のない変化であるという事だ。
「準備ができ次第始めますよ。議長殿が調子に乗っていられるのも、ここまでだ。格好つけてノコノコと前線に出てきたことを、奴にたっぷりと後悔させてやります────あの世でね」
薄暗い指令室で、ジブリールの瞳は妖しさを湛えて見えた。
居並ぶロゴスメンバーはそんな彼の様子に一抹の不安を覚えながらも、基地周囲を映すモニターを眺める。
回答期限までは、残り4時間を切っていた。
「あーあー、ったくよ。何でヒヨッコ共が最新鋭機を貰って俺達がグフなんだ? おかしいだろって」
「バカ言ってんなよハイネ。グフだって指揮官用で作られたハイスペック機だろうが。ザクとは比較にならねえんだぜ」
ミネルバ艦内の格納庫で、2機のグフを見上げながら、FAITHのエンブレムを引っ提げた男2人が戦闘に向けて機体のチェックをしていた。
ミネルバMS隊の隊長ハイネ・ヴェステンフルスと、ヘブンズベース攻略作戦の為に臨時増員されたミゲル・アイマンである。
ミーアがジブラルタルに滞在している事から、護衛の任務を別部隊に任せて、ミゲルはパイロットとしてミネルバへの出向となったのだ。
ハイネのグフは有名なオレンジ。ミゲルのグフは橙赤色のパーソナルカラーで染められており、指揮官機のグフが2機並んでいる姿は本来贅沢な光景であった。
その隣にデスティニーとレジェンド、インパルスが置かれていなければ、ではある。
「それにしても、また核動力か……」
デスティニーとレジェンドを見て、ミゲルはどこか陰鬱とした声で吐き出した。
「何だミゲル。前に乗ってた機体が恋しいか?」
「バカ違ぇよ! 開戦からいきなり連合の核攻撃があったし、動力に核ってのはうちらの方が実績あるからな。不思議じゃねえんだが……」
「ねえんだが?」
「結局、ユニウス条約なんて締結しても無意味だったって思うと、虚しくなってくるなと思っただけだ」
「仕方ねえだろ。こっちは真面目に守ってたのに、向こうが完全に無視してくるのなら、守る意味だってねえ」
「そう言う事じゃねえんだよ。2年前あれだけ必死に戦って、あんなにもの犠牲を出して。それで漸く平和になったのに、またすぐこれかって話だ」
核ミサイルが撃たれ、ジェネシスが放たれる。
そんな地獄の様な戦争の先で結ばれた条約は今や形骸となり、現状は再び嘗ての凄惨な世界へと逆戻りしようとしている。
必死に戦って迎えた平和の脆さに、ミゲルは遣る瀬無い気持ちで一杯であった。
「とは言ってもなぁ…それも仕方ねえ話だろ。なっちまった以上は。割り切れよ……でないと、今度は自分が死ぬぞ」
「ヒヨッコと一緒にすんな。戦場じゃ余計な事は考えねえよ」
「なら良い。さーて、隊長らしくメンタルの弱い部下達に発破を掛けに行くとするかね」
「誤るなよハイネ。ああいうのは一歩間違えるとドツボに嵌るからな」
懐かしきデコッパチの同僚を思い出して、ミゲルはハイネへと釘を差した。
彼も大概、割り切れなくて右往左往していた人間だったが、ニコルの戦死を目の当たりにしたときは、何を言っても募る復讐心を深めるだけであった。
その結果訪れたのは、ストライクとの死闘。後になって知った事だが、幼い頃からの親友との、命を喰い合う殺し合いだった。
心折れかけている人間に下手な事を言っては危険だという事を、ミゲルは学んだのである。
「お前こそ見誤るなよ。あいつ等だって色々と乗り越えて来てんだ。大丈夫だっての」
「まぁ、それもそうか。タケルの奴が見てたわけだしな」
「そう言う事だ。行こうぜ」
2人は肩を竦めて笑い合うと、ヒヨッコ達が居るであろうブリーフィングルームへと向かって歩き出すのだった。
ミネルバ艦内。ブリーフィングルームにて。
既にパイロットスーツに身を包み、待機中のシンとレイにルナマリアは、漂う緊張感の中ただ時を待つ。
そんな中で、ルナマリアはどこか忙しなく視線を彷徨わせたり、しきりに手を開いたり閉じたりと落ち着かない様子である。
「ルナ……緊張してるのか?」
音で表すのなら“びくぅ!? ”と言った感じだろうか。“ぎくぅ!? ”かもしれない。
とにかく、随分と大袈裟に肩を震わせたルナマリアに、シンもレイも首を傾げた。
「だ、だれが緊張なんて……」
「安心しろルナマリア。緊張しない者など居ない。俺達は戦場に出るのだから当然だ。増してやこれが、世界の行く末を決めるとなれば、それも大きくなる事だろう」
「それじゃ、レイも?」
「いや、俺はまぁ……程々だ」
「説得力ないじゃない!」
縋るようなルナマリアの問いに、手の平をあっさり返したレイ。ルナマリアが声を荒げるのも無理はあるまい。
「落ち着けよルナ。俺だって、その……緊張はかなりしてるし」
「はぁ……良いわよ気を遣わなくて。あんたは最新鋭機を任されるスーパーエース様ですもんね。お下がりでインパルスを渡された私とは土台から違うんでしょ」
「別に、そう言う事じゃ!」
少し冷めた声に、シンは押し黙った。
ルナマリアが言った通り、デスティニーの受領に伴い、インパルスにはルナマリア・ホークが抜擢された。
当初はハイネの方がとの意見も出たが、彼女は一度インパルスへと乗り換えをした経験がある。ローエングリン砲台攻略作戦で、十分に機体を扱っていた事からも、わざわざ不慣れなハイネを乗せるより実績のあるルナマリアの方が良いだろうという判断であった。
だがしかし。これまでの戦いの中で成長してきたからこそ分かる、シン・アスカとルナマリア・ホークとの技量の差が、彼女を随分と委縮させていた。
一度は乗りこなした以上、インパルスのスペックは体で覚えている。扱う事自体は難しくないだろう。
だが、ダーダネルス、ベルリン、直近では連合の施設で邂逅したディザスターとの戦闘。
それらの経歴をみて改めて思うのだ。隔絶した実力の差を。
自身にあれだけの動きができるだろうか、と問えば、それは否となってルナマリアに返ってきた。
インパルスの扱い方こそ、厳しい訓練を課してきた今は亡き隊長のお陰で身に付いているが、それだけだ。十全ではない。
インパルスを任されるプレッシャーは、随分と重たいものであったのだ。
「大丈夫だ、ルナ」
「えっ?」
静かに呟かれた優しい声音に、ルナマリアは顔を上げた。
そこに浮かぶは、随分と気持ちを固めた感じが見受けられる少年の決意の瞳であった。
「シン?」
「俺、もう絶対に……二度と失わないって決めたから。あんな想いしたくないし、仲間の誰にもさせないって」
自らの未熟が招いた、大切な仲間の死。
ヤヨイ・キサラギの死を乗り越えて、少年の心に息づくのは、怒りに囚われず戦う意志。
“お兄様はきっと、喪いたくない。その一心だったと、私は思います”
思い出される彼女の言葉。推し量れる彼の心。
自分も同じはずだ。もう二度と失うものかと決めたのだ。
ならば、シン・アスカは、彼と同じ高みまで至ろうと決めた。
彼がいるだけで安心できる。信頼できる。そんな皆を支えられるだけの強さを持つと。そう決めたのだ。
「守るから。俺が絶対に、インパルスを────ルナを」
「シン……」
真っ直ぐに誓いを立てるシンに、ルナマリアは少しずつ気持ちを落ち着かせていく。
そこへ、ブリーフィングルームの入口より声が掛かった。
「いっちょ前のセリフを吐くじゃねえか、シン。だから言ったろミゲル。大丈夫だって」
「ハイネ」
「アイマンさんも」
「お疲れ様です」
同僚として上下無く扱えといったハイネはともかくとして、同じFAITHであるミゲルの登場に、3人共が居住まいを正した。
「あぁ、楽にしてくれよ。別に俺もそんな偉いもんじゃねえさ。それよりシン・アスカ。思ったより元気そうだが、本当に大丈夫なのか?」
「あっ、えぇ……はい。問題はないです」
「まぁ、守りたい人間が居るってのは大きな力に成るからな。ルナマリア・ホークがお前のそう言う存在になってくれるなら、お前はきっと頑張れるだろうさ」
「ア、アイマンさん!? 私達別にそういう関係じゃ──」
「良いじゃないのルナマリア。仲良いってのは良い事よ? お互いを支え合えるなら、願っても無い事だろって」
「ハイネまで、悪ふざけはやめてって!」
「ルナマリア、そう強く否定してやるな。シンを見ろ」
レイに言われてハッとしたルナマリアがシンを見れば、先程の決意の表情から打って変わって、随分と歪んだ表情のシンが居た。
「あっ、シンっ!? 違うの! 別にシンの事がどうとか言う話じゃなくて、私達は別にそう言う関係じゃないでしょって事を言いたいだけで──」
「べ、別に良いって……ルナがそうだっていう事は俺知ってるし……」
口元を尖らせて、見るからに気落ちした様子である。
シンにとって先の言葉はこれからの己を決める一世一代の決心を固めた言葉だった。ただそれだけなのだが、守ると決めた少女が、憧れの人とは言え別の男に靡く様は年頃の少年には中々に厳しい現実であった。
「ははっ! 面白いなお前等……まぁ、俺も守りたい大切な人ってのが居るから必死で戦えてる。同じ想いで戦うお前が強くなれるのは保障してやるぜ」
「はぁ!? ちょっ、待てよミゲルお前いつの間にそんな人が。一言も言ってなかったじゃねえか」
「なんでわざわざお前に教える必要があんだよハイネ」
「つれないな、ダチだろう?」
「悪いけどいくらお前でも言えないな。とりあえずそろそろ警戒態勢に入る時間だ。機体で準備しておけよ」
「おいおい、そりゃねえだろって。俺達兄弟みたいなもんじゃねえか。なぁミゲルって──」
妙に情けないハイネの声をバックに流しながら、2人がブリーフィングルームを出ていく。
残された3人は今しがた残された事実に各々反応を示していた。
「その、気を落とすなよ……ルナ」
「べ、別に、私はメイリンと違って唯の憧れよ。特別な感情じゃないわよ」
「ふっ、どうやら2人は元気づけに来てくれたようだな。さぁ、俺達も格納庫に向かうとしよう」
「りょーかい」
「はぁ、なんだか逆に気が抜けちゃったわ」
「丁度いいだろう。緊張して肩に力が入るよりは」
「それもそうね。あっ、あとさっき思ったんだけど、シンったら生意気。何が私の事を守るよ。私はそんなに頼りないわけ?」
「別にそんなつもりじゃ……あれはルナが緊張してそうだったから」
「何それ? じゃあ緊張してなかったら決意表明も無しってこと?」
「それもそんなつもりじゃ……あぁ、もう良いだろ別に」
離れていく声音は、先程までの緊張感をまっさらに払拭し、いつもの彼等に戻してくれていた。
回答期限まで──あと3時間。
『こちらヘブンズベース上空です。デュランダル議長の示した要求への回答期限まで、あと3時間を残すところとなりましたが、未だ連合軍側からは何のコメントもありません。このまま刻限を迎える様な事になれば、自ら陣頭指揮に立つデュランダル議長を最高司令官としたザフト、及び対ロゴス同盟軍によるヘブンズベースへの攻撃が開始される事になるわけですが、ここは基地施設の他にも軍事工場を擁する連合軍の一大拠点であり、通告にあった制圧というのは──』
ファクトリーにて。
流されるメディアの映像を見ながら、タケルは憂いの表情を浮かべていた。
「タケル、動きはありましたか?」
「あっ、ラクス……ううん、今のところはまだ」
「ですが、どうなるかは読めているのでしょう?」
見透かしたように蒼白の瞳がタケルを見た。
静かに、タケルは頷いて返す。
「譲歩は無いだろう。ロゴスも……議長も。衝突は避けられないよ」
「そうなれば、次は恐らくオーブですわ」
「気が早いよラクス。まだヘブンズベースは堕ちてない」
「ここまで万全の準備をしてきたのです。デュランダル議長がここで詰めを誤るとは思えません」
確かに。諸々の疑惑が真実だとすれば、今この瞬間すらも、彼にとっては予定調和。しくじるはずはないと言える。
だが、そんなラクスの声にタケルは頭を振った。
「甘く見過ぎだ、議長もラクスも。正攻法でしか考えていない」
「では連合には何か切り札が?」
「2年前、オーブではそうだったんだよ。正面からの撃ち合いでは制することができても、連中はこちらが想定しない……と言うよりはやってはならない事ですら平気でやる」
嘗て、オーブが侵攻された際。
正面から打破して見せたオーブ国防軍に対して、大西洋連邦はオノゴロから本国へと狙いを変更。
オノゴロに住まう市民の避難だけでも手一杯だったオーブ政府は、大西洋連邦の狙いであったオノゴロの軍事施設を破棄。
侵攻する意味を奪う事で、それ以上の侵攻を阻止するしかなかった。
「だとしたら、一体どのような手を用いてくるのですか?」
「差し詰め、洋上艦隊への核ミサイル攻撃かしら? 芸が無いけど発射されればまぁザフトにはどうしようもないわね」
「ユリス……」
同じく情勢を見に来たのだろう。ユリスもまた、タケルとラクスに並んでモニターに映るヘブンズベースを見つめた。
「大気圏内では宇宙空間の比じゃないわ。発生する熱と衝撃は洋上に並ぶ艦隊を一掃できる」
核爆発だ。そんなものを洋上で起こせば、艦体が居並ぶ範囲くらいは容易に熱と衝撃で吹き飛ばせるだろう。
艦船の迎撃兵器ではどれだけどれだけ遠くで撃ち落としても被害が避けられない。
「ですがそれは、地球での核戦争に繋がる恐れがあります。リスクが高すぎるかと……」
ラクスは嫌な想像を脳裏に描いた。
11月に行われたプラントへの核攻撃も、まだ未遂で終わっているからプラントは穏健を貫いて来れただけだ。
しかし、連合側が地上でそれを持ち出すというのなら、もうプラントにも躊躇は無くなるだろう。
再び、核の撃ち合いを。それも、被害が甚大となる地球圏内で起こすことになりうるのだ。
「死なば諸共。追い詰められたバカは何をするかわからないのよ────ここに良い前例が居るでしょ?」
思わず、タケルとラクスは何とも言えない表情を見せた。
クソッたれな世界に絶望し、人類すべてを諸共に破滅の道を歩ませた者が言うと説得力が違う。
言っている意味は分かるが、酷く趣味の悪い例えの出し方だ。それを聞かされる身にもなって欲しいものである。
「随分な自虐だねユリス。とどのつまり理屈じゃないと?」
「そう言う事よ。お姫様はそう言う所が箱入り過ぎていけないわ。だから愚かな連中の愚かな思考が読めない」
「お恥ずかしい限りですわ」
「そう普通に返されるのも割と癪なんだけど……」
今度はユリスが何とも言えぬ表情を見せる番だった。
軽口も皮肉も何のその。ラクスのまるで揺らがない態度に、面白くないと言った感じである。
「ここまで連合は散々コケにされて来てるのよ。なりふり構っては居られないはず────決めつけるのは、まだ早い」
不安を煽るようなユリスの言葉に、タケルとラクスは険しい顔でモニターを見つめる。
回答期限まで────残り2時間。
散々言ってるけどいよいよ。ヘブンズベースですね。
ミゲルとハイネ。本当は並べたくないけど、やっぱり並べざるを得ない2人。
すぐに死にそうな2人ですがどうなることやら。
次回からヘブンズベース戦開始です。
感想よろしくお願いします。