機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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SEED編と違いPHASE100では終わらない予感


PHASE-88 断ち切る力を

 

 

 宇宙を二つのMSが翔ける。

 

 プラント本国の工廠で機体を受領したタケルとユリスは、デュランダルの指示の下、月面のレクイエム攻略作戦へと赴く為出撃していた。

 

「──ユリス、調整は終わった?」

「もう少し……そう焦らせないでよ。兄さんと違って、こっちは今まで整備士にお任せでやってきてるんだから」

「いや、それで僕と互角って言うのは恐れ入るんだけど」

 

 小さく、タケルは慄いた。

 タケルがMS戦闘に置いて類稀な強さを発揮できる理由としては、やはり彼自身がMSという兵器を完全に熟知している事が大きいだろう。

 設計段階から己の為だけに練られた専用機。機体の細かな調整も全てが自身の能力に合わせて調整できる、完全なワンオフ機体に仕上げられるからこその強さだ。

 勿論、パイロットとして彼自身の能力が高い事も大いにあるが、そんなタケルと互角の戦いを繰り広げていた彼女はやはり規格外である。

 100%のパーソナライズをせずとものあの実力だ。

 如何せん本人の精神性が足を引っ張っている所は有るが、嘗ての様に完全に戦う事だけに振り切っているのなら、パイロットの中で彼女の上に立てるものなど居ないのかもしれない。

 

「────っと、終わったわよ」

「それなら急ぐぞ。イザーク達が中継点を攻略してくれてるみたいだけど、根本はあの兵器を破壊しなければどうしようもない」

「わかってるわよ。今はステラ達もプラントに居るし……見逃せるもんですか」

 

 針路を確認して、機体を最大戦速へと移らせようとしたところで、2人のコクピットに戦闘反応が表示された。

 

「熱源多数……イザーク達が攻略している中継点か?」

「どうやら上手くいった様ね。敵部隊は撤退するみたい」

 

 遠めから確認する限り、敵部隊は戦場から離れていってる。作戦は成功したのだろう。

 

 そう考えて1つ小さな安堵を覚えて息を吐いた次の瞬間、タケルは悪寒を覚えた。

 それは、繋がりを以てユリスにも伝わり、2人は在る一点を見つめる。

 

「敵部隊が集結している……」

「何か在るわ、あそこに……兄さん!!」

「分かっている!!」

 

 即座に最大戦速で機体を走らせた。

 2人の位置は幸いにもジュール隊よりも件の場所に近い。

 そして動き出すのもまた、中継点フォーレが姿を現すよりも早かった。

 

 そのわずかな時間が、2人に対応する時間を作らせる。

 

「中継点──ミラージュコロイドか!!」

「兄さん、狙撃の一点集中で位置をずらす! 援護しなさい!」

「あぁ!」

 

 SEEDへと至り、そして互いの意識を感じ取る。

 ユリスは機体背部に備えられた大型ビーム砲塔を展開。狙うは廃棄コロニーを動かす移動スラスター。先端部に設置されたそれを、立て続けに狙い撃ち大きな爆発を起こして中継点の向きをずらすつもりだ。

 

「はぁあああ!」

 

 タケルもまた、機体バックパックに備えられたドラグーン兵装を展開。2人の接近を察知した敵部隊を穿っていく。

 

「動きなさいってのぉ!!」

 

 最後に続けた3点射で立て続けにスラスターが爆散。

 

 その衝撃が、僅かにフォーレを揺らした。

 

 

 

 次の瞬間、フォーレ内部を巨大な閃光が通過していく。

 それは特殊な力場に因る偏向を受け2人の眼前を駆け抜け、プラントへと向かっていった。

 

「やられた!?」

「くそ、ふざけんじゃないわよ!!」

「僅かに逸れたはずだ……プラントは!!」

 

 タケルが急ぎ状況を確認していく。

 レクイエムの光が通過したコース……その先の軌道上に在るものを。

 

「プラント、ヤヌアリウス市のワンが直撃……くっ、角度からするとツーもか!」

「何のプラントよ!」

「微細工学がメインのプラントだ。医療系ではないがそれでも……」

 

 微かにホッとするユリスの気配とは裏腹に、タケルの胸中は荒れた。

 

 プラントの人口は1基辺り約50万人程度と言われる。

 勿論、各市によって微妙に人口幅はあるが、数にして2基……概算で100万の命がまた奪われた事になる。

 

 これがまたオーブを狙うものであったのなら……その可能性が頭に過り、タケルの心はまた恐怖で震えていた。

 

「必ずこの世界から消してやる……行くぞユリス!」

「わかってるわよ!」

 

 ステラ達の命が危うかったこの事態に、ユリスの怒りも膨れ上がっているのを、タケルは感じ取っていた。

 

 こんな脅威をばら撒く存在を、生かしておくわけにはいかない。

 

 共鳴する様にその意識を高めた2人は、ダイダロスに向かって機体を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……あぁ……」

 

 目の前を駆け抜けた閃光。

 自分達の無力を思い知らされるその光景に、イザーク達は呆然自失となっていた。

 

「──くっ、ボルテール! 被害状況を教えろ!!」

 

 一早く我にかえったイザークは、通信を開き怒鳴りつける様に問いかけた。

 その声が喝となって、同様に呆然としていたボルテールの艦橋を動かしていく。

 

『は、はいっ! 確認される被害はヤヌアリウスのワンとツー。それから残骸によって隣接しているディセンベルにも軽微な被害が出ています!』

「クソッたれ! むざむざ撃たれやがって……何をしてるんだ俺達は!」

 

 ハイネからの自責の声に、イザーク達も同様の面持ちで唇を噛んだ。

 作戦の成功を悟り、一時でも気を抜いた少し前の己を呪う。シホが警告できたように、相手の動きを注意深く観察していれば、こうなる事は察知できたかもしれない────否、察知できた筈なのだ。

 目の前の小さな勝利に酔いしれた、その代償であった。

 

「くそっ、今度こそあれを──」

 

 隊列を立て直し再び中継点の攻略を図ろうとした所で、イザークは機体のエネルギーが限界ギリギリであった事に気が付いた。

 そう、既にギリギリの綱渡りの戦いでどうにかグノーを押し切ったのだ。

 仮にフォーレに気が付けたとして、あの時点で何かをできたかは怪しい。そしてそれは、周囲に居る部隊員も同じ事だろう。

 

 再び現れた中継点フォーレを前に、即座に仕掛けるには何もかもが足りない。

 苦渋の想いで、イザークは全機に通信を飛ばした。

 

「各機、一時撤退だ。ゴンドワナと合流して大至急補給を済ませる! その後に再出撃だ。何としてもあれを落とすぞ、良いな!!」

 

 向かってきているであろう大型空母ゴンドワナと合流し、補給と戦力の補充を済ませての再度の攻撃。

 これが今取れる最善である。

 あれだけの規模の攻撃だ。再チャージまでのサイクルはその威力に見合うだけの時間があるだろう。

 無為にせめて落とせない事態こそ、在ってはならない。

 

 イザークの指示に従い、ジュール隊とジャニス隊は母艦へと一時撤退。

 激しかった戦場に、僅かな間の静けさが戻る。

 

 

 悠然と構えるフォーレは、変わらずプラントへとその砲口を向けているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おやおや……アプリリウスを狙ったのに外れてしまいましたか』

 

 通信モニターに映る彼からの声に、ダイダロス基地司令官は小さく溜め息を破棄ながら肩を落とした。

 

「申し訳ありません。報告では直前にフォーレへ攻撃を加えられたようです」

『グノー攻略の部隊が泣け無しの攻撃でもしたんですかね……まぁ良いでしょう。続いては例の機体のテストをお願いしますよ。データはこちらにすぐ回してください』

「はい。では、こちらはお任せを」

 

 通信が切れると、緊張の緩みで司令官はまた肩を落とした。

 同時に、報告するのを待っていたオペレーターから次々と状況報告が飛び込んでくる。

 

「接近中の艦船在り。ミネルバです」

「他にはないのか?」

「現在の所、他の艦影は確認できず」

「ミネルバとは言え艦船1隻とは、相手には不足だが……仕方あるまい。守備軍を出せ。デストロイも全機出撃させろ」

「了解!」

 

 司令官の指示の下、ダイダロス基地もまた動き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼前を光が過った。

 

 

 いよいよこれから戦闘に入る────その特大な緊張感の中で、シンがトリガーに指を掛けようとした矢先の事であった。

 

 ダイダロス基地より大きな光が立ち上り、そして宇宙を引き裂いていく。

 遠く離れていくのに、変わらず明瞭に見えるその光は彼等の大切な場所、プラントへと向かい飛んで行った。

 

「艦長、今のは──」

「バート! プラントの被害は!」

「不明です! しかし、軌道から予測するにプラントへ命中したかと思われます!」

「そんな!?」

 

 これから決戦というその時に────嫌な展開だとタリアは表情を険しくさせた。

 ミネルバクルーの中にも、プラントに家族が居る者は多い。と言うよりはほとんどがそうであろう。

 皆そうして、国と家族を守る為に戦いに赴いているのだ。

 その家族が先の光に呑み込まれたのかもしれないとなれば、戦々恐々で任務どころではない。

 

 タリアの懸念が見て取れる様に、艦橋内は浮足立っていった。

 

「全員、気を引き締めろ!! どんなことがあろうとも、私達のやる事は変わらない! 次射を阻止する為にも、何としてもこの任務を完遂する。各員、己の責務を果たせ!」

 

 そんなクルー達を叱咤する様に、厳しい声音でタリアは激を掛けた。

 今ここで嘆こうとも、不安に駆られようとも、既に起こった現実は変わらないのである。

 今自分達にできる事は、次なる被害を防ぐこと……ただそれだけ。

 

 それだけを見据えなければならない。

 

「アーサー! 呆けるな! 艦載砲起動。戦闘用意!」

「は、はい!! ランチャー1、10。ナイトハルト装填。トリスタン、イゾルデ起動!」

 

 起ち上っていく艦載砲と共に、浮足立っていた空気が払拭されていく。

 アーモリーワンを出た頃は新人だらけだったこの艦も、激戦を潜り抜け今や百戦錬磨。態勢を整えるのに、それ程の時間はかからなかった。

 

「行くわよ……戦闘開始!」

 

 機関部が唸りを上げ、ミネルバがダイダロスへと進軍していく。

 

 こうしてここに、ダイダロス基地攻略作戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 拳を握り、シンは己の平静を確かめる。

 変な力は入らず、どこか落ち着いた心持ちとなっているのが自分でも良くわかっていた。

 

 眼前を通り過ぎていく破壊の光。

 ミネルバの艦橋は大騒ぎとなり、クルー達には一様にプラントへの心配が見て取れた。

 両親をプラントに残しているルナマリアにしてもそうだろう。レイもまた、デュランダルがプラントに居る以上その心配は尽きないはずだ。

 

 

 初めてであった。

 今ではなんとも思っていないものの、決して良くはない己の境遇に感謝したのは。

 

 シン・アスカにとって大切な人はプラントに居ない。

 全てを失った彼にとって、今いる場所……ミネルバこそが大切な場所であり、クルー達こそが家族に近い。

 そんな彼等が心配と不安に嘆くその傍で、今この時に何の気兼ねも無く戦える己の境遇を、シンは喜んだ。

 大切な居場所となった彼等の為に、己が使命を果たせることを嬉しく感じた。

 

 あの時と……ヘブンズベースでの戦いと同じ感覚が、シンを包んでいく。

 全てを排し、使命を果たすと決意したあの時と同じ……

 

 

 

 

 ────種が開いた。

 

 

 

 

「レイ、俺が突っ込むから援護してくれ」

「シン? 何をいきなり──」

「さっさと終わらせよう。こんな戦い……こんな、争いばかりの世界は」

 

 通信越しの音声に、レイはただならぬ気配を感じ取った。

 怒り……ではあるのだろう。あの光景とプラントが撃たれた事実を考えれば、この少年がそこに行きつかないはずは無い。

 だが、それにしては妙に落ち着いている。その気配はまるで盤石と言う様であった。

 

「────わかった。背中は任せろ」

「頼む」

 

 瞬間、デスティニーは光の翼を広げて飛んだ。

 迎撃に出て来たMS部隊。そして巨大兵器デストロイ。

 それらの真っ只中へと、まるで何も考えていないかの様に無造作に突っ込んでいった。

 

 思わずレイが目を見開くその先で、シンのデスティニーは向けられる砲火の悉くを躱していく。

 防ぎ、躱し、そうして懐に潜り込めば……その先では味方識別信号が邪魔をして敵部隊は射線を取りにくくなる。

 

 そこからシンのデスティニーは、縦横無尽に暴れ始めた。

 アロンダイトでデストロイを両断したかと思えば、ライフルとフラッシュエッジを駆使して次々とウインダムを屠る。

 

 鬼神の如き活躍を、シンは見せていく。

 

「──シン」

 

 ハッとした様に、レイは意識を切り換えると、前線へと参戦していく。

 宇宙空間での初戦闘。漸くレジェンドもフルスペックを発揮できると言うものだ。

 

 切り離されたドラグーンは、その数多の砲門から光を吐き出し、夥しい量の閃光が敵機を穿っていく。

 

 

 デスティニーとレジェンドの驚異的な性能の前に、ロゴス側は既存の戦力ではまるで太刀打ちできず。

 戦局はすぐさまザフトへと傾いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラクス、プラントが撃たれたって!?」

 

 事態の報せを聞いて、キラ達はエターナル艦橋へと集まる。

 既に艦橋ではアークエンジェルと通信が繋がっており、モニターにマリュー達が映し出されていた。

 

「キラ……はい、先程ファクトリーより連絡が。あの兵器がプラントに放たれたと」

「ラクス、被害はどうなっているんだ?」

 

 仮にも自分が生まれた場所……アスランは、険しさを湛えてラクスへと詰め寄った。

 

「現時点ではヤヌアリウス市のプラントが2基直撃だそうです。また、残骸による二次被害も確認されていると」

「そんな……」

 

 血のバレンタインと呼ばれたユニウスセブンの悲劇。

 プラント1基の被害ですら、先の大戦の引鉄となる事態であったというのに。

 こんどはそれが2基。そして、今後も被害は拡大していく事だろう。

 

「プラントが報復に動く前に、何としてもあの脅威を排除しなければなりません」

「うん……もしプラントがまたジェネシスみたいなのを持ち出して来たら……」

「あぁ、それこそ世界は終わりだ」

 

 先の大戦の末期は確かに悲惨なものであったが、それでも最後の一線は超えなかった。

 連合の核ミサイルはギリギリでプラントに命中することなく墜とされたし、ジェネシスも地球を撃つ前にどうにか破壊することができた。

 

 だが今この時、既に先の大戦の限界ラインを超えてしまっている。

 レクイエムによってプラントが破壊された以上、最高評議会も穏健を貫き続けるのは不可能だろう。

 プラントがその方針を固める前に、何としてもこの世界の脅威を排除しなくてはならない。

 

『こちらの準備はもうできてるわ。シンゲツもシロガネも、発進可能よ』

「幸いと言っちゃなんだが、そろそろ月基地も目の前だ」

 

 マリューとバルトフェルドの言葉に、一同が表情を引き締めた。

 厳しい現実に浮足立ったのも束の間、決戦の時は目の前である。

 

「では、ラミアス艦長」

『えぇ────我々はこれより、月基地を襲撃し敵兵器の排除作戦を開始します。各員、準備に掛かれ!』

「こっちも準備するぞ。パイロットは搭乗機にて待機だ」

「了解」

「了解した」

 

 アークエンジェルとエターナルは第一戦闘配備へと移る。

 

 光学カメラが、戦場となる月面のダイダロス基地を映しだしていた。

 

 

 

 

「私達はまた……間に合わなかったのかもしれません」

 

 動き出す皆の喧騒から外れて、眼前の戦場を見ながらラクスは己の無力を感じ入った。

 いつの間にか……ラクスが何もできず手をこまねいている間に、気が付けば世界は嘗てと同じ────否、それ以上に酷い事態へと向かおうとしていた。

 

 

 “ラクス・クラインの名と存在の影響力は大きいでしょう。しかしそれは、今ここに居るラクス・クラインではない。今その影響力を背負っているのはこちら側に居るラクス・クラインです”

 

 

 脳裏に過るは、いつかデュランダルに言われた言葉。

 己の使命から目を背け、他者へとその名と立場を明け渡してしまった証の言葉。

 

 2年前……終戦後に自分がプラントへと戻っていたのなら。今の世界はこうでは無かったのではないか。

 少なくとも、ここまでの争いの裏ではギルバート・デュランダルの暗躍があった事だろう。勿論、ロゴスについても同じくである。ー

 それらに対して、ラクスが何をできたかは定かではない。

 だが少なくとも、プラントでデュランダルが専横することは無かっただろう。

 アスランと共にプラントに戻っていれば……定められた婚約に従い関係を作り直していれば。ザラ派の過激派もどうにかできたかもしれない。

 

 幾つものもしかしたらが、ラクスの脳裏に浮かんでは消えていく。

 

 それらがもし現実となっていれば…………オーブはもしかしたら、撃たれていなかったかもしれないのだ。

 憎悪に染まったタケルの声が、ラクスの脳裏に過ぎった。

 

「ですが、だからこそ……私達は止めなければなりません」

 

 過ちだったのかもしれない。そう気づいたところで変えられるのはこれからだけだ。

 だからこそ今、彼等は全力で戦っている。

 

 

「止めて見せます。この世界と……タケル、貴方を」

 

 

 呟かれた声はとても小さく、誰に聞かれることもなく溶けて消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シンゲツ、シロガネ、発進シークエンスを開始します。パイロットは搭乗機にて待機してください』

 

 鳴り響くミリアリアのアナウンスを聞いて、サヤとネオは、己の機体へと乗り込んだ。

 

 白銀に輝く鏡面装甲を持つ機体シロガネと、暗夜を思わせる色合いの鏡面装甲を持つシンゲツ。

 両機がアークエンジェルのカタパルトへと運ばれていく。

 

「ネオ・ロアノーク。以前は敵であったとは言え、今は共に戦う仲間です。1つここはサヤとバディを組んでいただけますか?」

「んあ? なんだ藪から棒に……」

「私も貴方も不慣れな機体の筈です。お互いカバーをした方が無難と言うものでしょう?」

「そりゃあ、まぁな」

「それに、ビャクライユニットを積んだシロガネの加速は殺人的です。貴方がいつ意識を落とすやもしれませんから」

「おいおい、そんな物騒なのかこの機体?」

「お兄様が設計した、お兄様しか乗る事を想定していない機体ですので。身体への負担など度外視です」

「あのユリスのそっくりボウズ……そんなヤバい奴だったのかよ」

「何か言いましたか?」

「いんや、何でもねえって────了解だ。こっちはできるだけ振り回されない様に援護に徹する。それで良いな?」

「分かりました。前衛はサヤが務めましょう」

 

 互いに役割を確認していよいよ発進準備は完了となった。

 

『シロガネ、シンゲツ、発進どうぞ!』

「ネオ・ロアノーク────シロガネ、行くぞ!」

「サヤ・アマノ────シンゲツ、参ります!」

 

 星々の光をその身に受けて、煌く2機は戦場へと飛び出した。

 

 

 

 

 同時にエターナルでもMSの発進準備が進められる。

 

「さぁ行くよ、野郎ども!」

「おう」

「あいよ」

 

 ヒルダ、ヘルベルト、マーズの3人が駆るドムトルーパーがカタパルトへと運ばれて、順次出撃していく。

 そこに続けて、フリーダムとジャスティスが発進シークエンスへと入った。

 

「キラ、分かっているな」

「うん。ミーティアで接近しての電撃戦。僕が露を払って──」

「俺が突入して破壊する」

「でも、大丈夫? 敵の防衛戦力だってきっと」

「ジャスティスのシールドは強固だ。いざとなったらミーティアを乗り捨てて単身突撃すれば良い」

「突撃って……自爆は無しだよ?」

 

 突撃と言う単語に少しだけ嫌な予感が過って、キラは思わず忠告する様に言葉を投げた。

 嘗て、ストライクで彼とやり合った時もそうだ。カガリから聞くところによればジェネシスを破壊する際にも、内部へと突撃してジャスティスを自爆させている。

 この友人はもしかすると自爆癖があるのかもしれない。

 

「へ、変な事を言うな。俺はその時の最善を選んだだけで決して──」

「それじゃ、最善だったらまた自爆させるじゃないか。ダメだよそんなの。カガリを泣かせたら怒るよ」

「分かっている……今のカガリを悲しませられるわけないだろ」

「分かってるなら、良いけど」

 

 心配性な友人に少しだけ疲れるアスランと、フラフラと危なっかしい友人に不安が尽きないキラは共に小さく溜め息を吐いた。

 そうこうしている内に、2機は発進準備が完了となる。

 

『フリーダム、ジャスティス。発進願います』

「了解、キラ・ヤマト────フリーダム、行きます!」

 

 蒼翼を広げて、自由の名を冠する機体が戦場へと飛びだした。

 

『続けてジャスティス、発進どうぞ』

「アスラン・ザラ────ジャスティス、出る!」

 

 続いて鮮やかな紅を纏い、正義の名を冠する機体もエターナルより出撃する。

 

「ミーティア、リフトオフ!」

 

 両機が発進すると、バルトフェルドから指示が飛びエターナル艦首に装着されたアームドモジュール“ミーティア”が切り離された。

 

 戦艦数隻分にも及ぶ超大火力を備えるアームドモジュールとドッキングを果たした2機は、先んじて出撃した味方機を置き去りにする圧倒的速力を引き出して、戦場へと向かう。

 

 

 憎しみの連鎖────それを再び断ち切る為。

 

 自由と正義は、流星となって宇宙(そら)を翔けた。

 

 




微妙に中の人ネタ。

シンゲツのカラーリングはナルガクルガの色合いをイメージ。
あれが歴戦王ばりにメタリックになった感じ(これでわかるだろうか……

さぁ、次回はいよいよ決戦本番。
キラ達も参戦してのレクイエム攻略作戦。どうぞお楽しみに。


感想、どうぞよろしくお願いします。

この組み合わせ気持ち良すぎだろ!!

  • タケル&ユリス
  • キラ&アスラン
  • シン&サヤ
  • イザーク&ディアッカ
  • ミゲル&ハイネ
  • タケル&キラ(SEED編より
  • ラウ&ユリス(SEED編より
  • アサギ&マユラ&ジュリ
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