全然文章にならなかった。
物議を醸すとおもいます。どうぞお楽しみください
目の前でこちらへと向かってくる者達を見て、タケルは妙に感傷的になっていた。
改めてみれば壮観な光景である。
名実ともに伝説となったフリーダムとジャスティス。その背後には専用運用艦であり、ラクスの名と共に名高いエターナルが居て。
嘗ての愛機シロガネと、暗夜の色合いのシンゲツ────特徴的な鏡面装甲はオーブ製ハイエンド機の象徴だ。
そしてその2機を従えるは不沈にして英雄、アークエンジェル。
ここにオーブの艦船アマテラスでも並べれば、気分はさながら2年前の三隻同盟を思わせる構図だ。
そんな彼等と真っ向から対峙する形となり、タケルは感慨深く目の前の光景を見つめていた。
そうこうしているうちに、フリーダムとジャスティスはミーティアを外してタケルとユリスのもとへとやって来ると、ミネルバへの帰路へと立ち塞がった。
「タケル!」
「見つけたぞ!」
「随分な挨拶だな、フリーダムにジャスティス。人様の目の前をビームで遮ったかと思えば、そのまま通せんぼとは──―何のつもりだ?」
「お前こそそんなものに乗って…………一体どういうつもりだ!」
「何のつもりかなど改めて問うまでも無いはずだ。
戦闘前に宣言した通り、私はザフト特殊戦術機甲部隊コンクルーダーズの隊長クルース・ラウラだ。何のつもりも何も、プラントの為に戦ったまで」
意識してひねり出すは平坦な声。
通信越しとは言え、再び被ったラウの仮面が己の表情を隠してくれることに、タケルは小さく感謝した。
対して、タケルの応対からのらりくらり躱そうとする気配を感じて、キラとアスランの胸中は荒れていく。
皆にあれ程の心配をかけて。大切なカガリやサヤ、ナタルを泣かせておいて…………それなのに、まるで悪びれもない様な返答を返してくる親友に、2人の感情は直ぐに振れていった。
「────それが、勝手に居なくなった結果お前が出した答えなのか?」
「その機体に乗って……ザフトで一体、何をするつもり?」
「余計な問答だな。何故それを無関係な人間に開示しなくてはならない? 言ったはずだ……今の私はザフトのクルース・ラウラだと」
「タケル!」
「お前!」
思わず詰め寄ろうとする2人の前に、ユリスのデスティニーが割って入った。
「全く何を怒ってるのかしらね」
「ユリス・ラングベルト、お前には関係──」
「いいえ、無関係なのは兄さんの方よアスラン・ザラ。
貴方も目の前で聞いたはず……兄さんは既にオーブ国防軍としての籍を失い、国から追いやられた身。どこに行こうが兄さんの勝手じゃないかしら?」
あの日ユウナによって告げられた話。
既にタケル・アマノの名はオーブ国防軍には存在しない。
更にはモルゲンレーテの技術設計局としての立場も抹消されている。
それは偏に、自由を失ったタケルが今後どのような動きをしようとも、オーブに迷惑を被らせないためのユウナの配慮であった。それを、タケル自身も了承していた。
ユリスが言うのはつまり、既に無関係な人間となった今、糾弾される謂れは無いだろうと言う事である。
「ユウナのそれはザフトに入る為の口実では無い!」
「だとしても! オーブでの責任から解放された兄さんに、貴方達が詰め寄る権利など在りはしない────さっさと回れ右をしてお仲間の下に帰りなさい」
紫のデスティニーが、微かに臨戦態勢を見せる。
これ以上邪魔立てするのなら押し通る……そんな気配に、キラとアスランも身構えた。
「やめろ、ユリス……無用な戦いだ」
「いいえ分からせるべきよ。ここに居るのはタケル・アマノではないと」
「ユリス、頼むから」
僅かに揺れる声音を受け取り、ユリスは数秒逡巡────身構えていた紫のデスティニーは、戦意の気配を抑えた。
「これ以上問答する事は無い。通してもらおう」
静かに。刺激を与えない様にスラスターを吹かしてゆっくりと────タケルのデスティニーはフリーダムとジャスティスの間を割っていく。
MS越しに見せられたその背中から、明確な拒絶の意思を受け取り、キラとアスランは言葉を失った。
「お兄様!」
「隊長!」
再び、タケルの眼前を別の機体が遮った。
紅蓮の翼をもつシンのデスティニーと、サヤのシンゲツである。
「──お兄、様」
聞こえてくる妹からの声に、タケルは理性を総動員して表情を取り繕った。
「シン、ミネルバへ帰投するぞ」
「えっ、でも隊長」
投げられた大切な妹からの通信すらも、意図的に聞き流して。
声音に必死さを漏らさない様にしながら。どうにか、デスティニーを動かしていく。
だがそのわかりやすい姿が、見送りかけていたキラの心をまた揺らす。
数秒の後、タケルのコクピットには警告音が鳴った。
「──何のつもりだ?」
コクピットの警告音。それは捉敵照準が向けられた証。
タケルが乗るデスティニーに、フリーダムのライフルが向けられていた。
「行かせないよ、タケル。これ以上サヤを……ナタルさんもカガリも、悲しませちゃダメだ」
意図してサヤの声を無視した事が、かえってキラにタケルの胸の内を悟らせる事となった。
必死に自身を押し殺しているはずだ────あの身内に甘すぎる男が、大切な妹にあのような態度をとるわけがないと。
あの日……ダーダネルスでタケルの戦死の報を聞いたカガリとナタルの様子を。
先日、タケルの胸の内を推し量る事ができなかったと嘆いたサヤの姿を思い出して。
彼等に背を向けるタケルを止めるべく、キラは使命感に突き動かされた。
そんなキラの言葉を聞いて、同様にアスランもまた動く。
ジャスティスを再びデスティニーの眼前へと回り込ませて、キラと同じくライフルを向けた。
「ジャスティス……そちらもまた改めて立ち塞がると言うのか?」
「あぁ、お前がそうして自分の気持ちからも背を向けると言うのなら……俺達は力尽くでもお前を連れ帰る」
「君がザフトに居たいと言うのなら僕だって止めはしない……けど、そんなのは絶対にタケルの本心じゃないはずだ」
何故なら、彼がどれだけ必死にあの国を守ろうとしていたのかを2人は知っている。願い、備え、必死に戦ってきたこれまでを……キラとアスランは良く知っているのだ。
だからこそ今、オーブに背を向けようとする彼を捨て置くわけにはいかなかった。
それはきっと、彼の心をまた壊す事になるだろうから。
まるで一歩も引かない2人の雰囲気に、いよいよを以てユリスの気配も険悪なものへと変わっていく。
「貴方達、いい加減──」
「キラ、アスラン……ライフルを降ろしてくれないかな」
横合いからそれを抑えつける様に、タケルは声を被せた。
これまで彼等の名を呼ばなかったタケルが漸く、仮面を剥いでタケル・アマノのとして応対する気配を見せる……だが、キラとアスランには先程までよりも今の方が余程強い声音な気がして、小さく身を竦ませた。
重たい空気が、通信越しに皆を包み込んでいた。
「聞こえない? ライフルを降ろしてと言っているんだ。
先の防衛戦で戦った君達は今、オーブが保有する戦力なんだよ……僕が何でシロガネを置いてきたのかわからないの?」
その理由は偏に、オーブを目立たせこれ以上世界の悪意に晒さない為。
新しく製造された、タケルにとって最強の剣たるシロガネ。それを置いてユリスと共にその身一つでプラントへと渡ったのは、レクイエムを撃たれ見る影もなくなったオーブに、更なる被害をもたらさない為である。
「誰が乗っているか知らないけど前のシロガネまで持ちだしてこんな所に来て…………理解して居ないようだから教えてあげるよ。今ここにいる君達は“オーブ軍”なんだ。
それが、ザフトへ正式に所属している機体へと銃を向ける意味……分からないわけないよね? またプラントにオーブを攻め込ませるつもり? もはやどこを守れば良いかもわからない今のオーブを」
「っ!?」
「それは……」
思わず歯噛みする2人。
確かに、キラとアスランは先のオーブ戦役でカガリのアカツキと共に出撃し、そうして防衛戦に参戦している。
アークエンジェルも同様だが、既にオーブ所属の戦力である事を否定することはできない。
それが、明確にザフトの所属機へと銃を向けると言う事は────タケルが懸念する通り、それは今のオーブを更なる厳しい立場へと追いやる事になるはずである。
理解すると同時に自然と、両機のライフルは下へと向けられた。
クルースとしての仮面を剥ぎ、タケル・アマノとして漏らした今の言葉は間違いないく本心であろう。
結局何をしていたとしても、タケルの行動理念はオーブの為という所に帰結しており、それに反する2人の行動を見過ごすことはできなかったという訳だ。
「力尽くで止める……そんなバカな考えは止めてよね」
釘をさす様に、キラとアスランには厳しい声が向けられた。
連れ戻そうとする親友たちへと、必死に己を押し殺して言葉を投げる。
国に居る事が最適解ではない。籍を失い、国を離れられる自分だからこそできる事があると。
それでオーブを守れると信じたからこそ。タケル・アマノはプラントへと赴き、ギルバート・デュランダルを訪ねたのだ。
その決意を、一時の情に絆されて反故にするわけにはいかなかった。
「お兄様!!」
今度は暗夜色を纏う機体がタケルの前へと出る。
聞きたいけど聞きたくない……大切な妹の声に、仮面の奥で表情を苦しくさせながらタケルは求める声に応じた。
「サヤ……君も僕を連れ戻したいと言うの?」
「それは、無論あります。ですがそれより────何故。どうしてあの夜、サヤに偽りを告げたのですか!」
記憶を取り戻し、父祖の地で漸く再会できたあの日。
喜びに打ち震えた己の浅はかさもそうだが、兄は先の様な呪詛を吐くほど憎悪を抱え込んでいたと言うのに、それを露ほども感じさせず追い払うような偽りを述べたのだ。
サヤにはその事実が、悔しくて悲しくてたまらなかった。
「言えるわけないでしょ。僕がザフトに行くなんて言えば、サヤは止めようとする。叶わなければついて来ると言い出す……ようやくオーブに戻れたサヤを、僕の勝手な都合で再びザフトに連れ帰るなんて御免だ」
「ですが! 偽りを述べ騙す様な事……お兄様らしくありません!」
少なくともサヤが知る限り、タケルは心配を掛けまいと己の状態を偽る事はあっても……あの夜の様に己の気持ちをひた隠し明確にサヤを騙す様な嘘を述べた事はない。
その場に居られては困ると……不都合だからと偽りを述べて追いやるような行為は、これまでサヤに心配を掛けまいとする偽りとは本質的に違うものだ。
そこにサヤは、これまでとは決定的に違う何かを、兄から感じていた。
「僕らしくない、ね。それでもいいよ……望む結果が得られるのなら」
思わず、タケルは苦笑いを溢す。
らしくない……そんな事は百も承知だ。
こうして抑えきれない怒りと憎悪を胸に抱き、報復の為に戦う。その為の立場と大義を得るために、デュランダルをも利用した。
確かに、サヤが知るタケル・アマノであればあり得ないだろう。他の皆にしても同様だ。
だが、タケルは自分の事だからこそ良くわかっている────自身は情が深すぎる分だけ激情家なのだと。
以前からそのきらいはあった。
目の前でユリスにサヤを墜とされた時もそう。カガリと共に乗り込んだアークエンジェルでも、カガリを脅かそうとするイザーク達へと憎悪を振りまいて戦闘に臨んだ。
大切なものを壊す者達には、深すぎる情が反転して憎悪へと変わってしまうのだ。
らしくないのではない……これまで顕在化せず見えていなかっただけに過ぎない。
「お兄様、どうか……オーブにお戻りください。カガリ・ユラ・アスハもお兄様の帰りを待っています。ナタルお義姉様だって──」
「やめてくれ」
どこか過敏な反応であった。
ナタルの名前が出た瞬間に、タケルは明確に声の調子を1つ暗くさせる。
「お兄様──」
明確にわかる何かを避ける様な気配を、サヤは感じ取った。
そんなタケルの胸中をが漏れ伝わったユリスは、背後でおもむろにデスティニーに臨戦態勢を取らせる。
キラにも、アスランにも。サヤの登場にも揺らがず、己の意思を貫く事ができても……それでも、
壊れかけた心を救ってくれた、タケルが最も愛する彼女の声にだけは……きっとタケルは抗い切れず諭されてしまう。揺らいでしまう。
アークエンジェルで。砂漠の夜に彼女に救われたあの日から。
守れなかった己を責め続けるタケルにとって、ナタルは絶対的に許しを乞える相手なのだ。
故に避ける────彼女の事を。
故に示す────己の意思を。
この悪意に塗れた世界の中で、望む平和を叶えるその時まで。
タケルは決して、己と世界を許すつもりはないと。
「良いよ、わかった」
沈黙の後……今度は、タケルのデスティニーがライフルを構える番であった。
「タケル!」
「お前、何を」
「フリーダム、ジャスティス。君達の要求に応えよう。
力尽くで連れ帰りたいと言うのならそれに応え、私は私の意思を力で以て示そう────グラディス艦長」
タケルは、再びクルース・ラウラとして声を挙げ、モニタリングしているであろうタリアを呼び出した。
『何かしら、クルース?』
「状況はみていますね。以前と同じく、これより観測される戦闘記録の一切を破棄してもらいたい」
『何故そんな指示を? 一体何をするつもり?』
「今から行われるのは私闘です。軍務でもなく、そして国家の事情も関与しない。彼等に私の意思を示すためのものだ────どうか、容赦願いたい」
『それを聞かされて、私がはいそうですかと許すわけないでしょ。貴方、さっき自分が言っていた事を忘れたの?』
今ここにいるのはオーブ軍だと。タケルはそう言った。
同じくとるのなら、今ここにいるのはザフトのクルース・ラウラ。そして銃口を向けるはオーブ軍である彼等。
その構図は、先にタケルが言った通り相対する彼等……彼の国への敵対行動と取れる。
その実情を鑑みれば、タリアが素直に頷く道理はない。
「マリューさん、こちらも一切の記録の破棄をお願いします」
「キラ君!?」
静かに……タケルが出した要求にキラは応じる姿勢を見せた。
「タケル、僕はカガリに君を連れて帰ると約束した」
「キラ・ヤマト、待って下さい。お兄様は──」
「俺もやらせてもらうぞタケル。今のオーブとカガリには、お前が必要だ」
強まる戦意の気配に、止めに入ろうとするサヤを差し置いて、アスランもまた臨戦態勢を取った。
閣僚のほとんどを失い、正しく一人で国を背負う事になってしまったカガリには、ずっと傍にいた双子の兄の支えが必要な筈だ。
例え彼女をいくら想おうとも、アスラン・ザラでは支えきれない。 今のアスランにできる事は、カガリの為にもタケルを連れ帰る事だけ。
ならばせめて、それだけでも成し遂げねばならなかった。
「ふざけたことを、あなた達のそれがどれ程──」
「ユリス!!」
漏れ出たユリスの怒りを、タケルは抑えつけた。
その意図を汲んだユリスは苦々しく一度舌打ちをしてから、彼女もまた臨戦態勢を取っていく。
流石にタケル1人でフリーダムとジャスティスの相手は分が悪すぎるだろう。
ここだけは譲らないと言わんばかりに、ユリスはタケルの隣に並び立った。
「わかったわよ……だったらせめて、参戦させてもらうわ」
「あぁ」
そうして、4人は向き合う。意識は揃い、気持ちは整った。
キラとアスランは、タケルをデスティニーから引きずり下ろし、オーブへと連れ帰るため。
タケルとユリスは、そんな彼等の手を払い、己の意思を示すため。
「隊長、あんた何考え──」
「ミネルバへ帰投しろ、シン。巻き込まれるぞ」
シンのデスティニーを後ろ手に隠す様にして、タケルとユリスはキラ達から距離を取った。
「キラ・ヤマト、矛を収めてください! こんなことは──」
「悪いけど、サヤも下がってて」
「あの2人が相手となると、他に気を回す余裕は無い」
同様に、サヤのシンゲツを後ろに控えさせるようにして、キラとアスランも少しの距離を後退していく。
陣形はシンプルに前衛と後衛。
前に出るユリスとアスランに対して、後ろに控えるタケルとキラの構図となった。
「行くぞ、ユリス」
「腑抜けたら承知しないわよ」
「やるぞキラ」
「うん、必ず」
ロゴスとの戦闘で、既に4人はSEEDを発現し疲弊している。
だと言うのに漂う空気は、今これよりフルパフォーマンスの全開戦闘を行うに相応しい張り詰めたものを纏っていた。
地球で。ダーダネルス海峡で向かい合った時よりも余程激しい死闘となりそうな────そんな予感を携えながら。
4人が遂に、死闘の火蓋を切ろうとした瞬間であった。
『ダメだ、タケル!!』
タケルの耳を、
展開への批判は……やめてよね(懇願
捕捉しておくとユリス以外は全員今メンタルブレイク中なので……短慮で短絡的なのは目をつぶってあげて下さい。
あと、仕事しんどすぎて今回みたいに更新スパン空いて来るかも。
頑張りますので、読者の皆さん少し気長に待っていただければと思います。
感想、宜しくお願いします。
この組み合わせ気持ち良すぎだろ!!
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タケル&ユリス
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キラ&アスラン
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シン&サヤ
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イザーク&ディアッカ
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ミゲル&ハイネ
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タケル&キラ(SEED編より
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ラウ&ユリス(SEED編より
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アサギ&マユラ&ジュリ