機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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PHASE-100

SEED編では完結ラインでした。


PHASE-100 偽りの歌姫

 

 

 

 とあるホテルの一室。

 

 落ち着いた内装の中にある大きなベッドで眠るミーア・キャンベルの姿を見て、ミゲルは小さく一息ついた。

 

 

 “特務隊ミゲル・アイマン。本日付けで君をラクス・クライン護衛の任から解任とする────併せて、これより君はコンクルーダーズに合流し、クルースの指示に従って任務に当たってもらう事となる。”

 

 

 解任の指示に驚くのも束の間。次なる指示にはタケル・アマノが率いるコンクルーダーズへの編入が言い渡された。

 ならばとタケルはその場で、ミゲルにミーアを送り届ける様に指示を下し、こうして彼女を連れだしてきたのだ。

 

 ショックで気が動転していた彼女を落ち着かせて、眠りに就かせて。そうして漸く、ミゲルは今の状況を顧みた。

 

 現在地はミゲルの自宅近くにあるビジネスホテルの一室。ここであれば戻ってきたタケルとの合流も容易いだろう。

 今はとにかく、デュランダルに真意を問う為にあの場へ残ったタケルの報告を待つ状況であった。

 

「はぁ……頼むぜダチ公」

 

 別れ際に、彼女の安全は確保してみせると告げてくれた友の言葉を思い返し、ミゲルは祈る様に呟いた。

 特務隊とはいえ、所詮は組織の一員に過ぎない。ましてやミゲルには守るべき家族がプラントに居る。下手な事をして家族に迷惑を掛ける様な事態は避けなければならない。

 彼女の護衛を解任されたなら離れなければならないし、コンクルーダーズに編入されると言うのなら従わなければならない。

 タケルが言った様に、デュランダルとデスティニープランにとってミーアが邪魔となり、それ故に消される可能性があるのなら。

 傍に居られなくなってしまった今、何とかして彼女の安全を確保したかった。

 

 

「────絶対、お前を好き勝手にはさせねえからな」

 

 

 決意と共に、ミゲルは眠る彼女へと告げた。

 

 あの日デュランダルに連れられ、まだ今の姿になる前の彼女に引き合わされたその時から。

 ミゲル・アイマンにとってミーア・キャンベルは、守るべき大切な人なのだから。

 

 

 

 

 “すごい! 見てよミゲル! 私、どこからどう見てもラクス・クラインよ! 大ファンの私が言うんだもの、間違いないわ! ”

 

 

 まだ自分に課せられる事の重さに気が付かず、無邪気にはしゃいでいた彼女。

 

 

 “本当に私にできるのかなって、不安はあるけど……でも、ずっと進まぬ夢を見続けるよりは良いわよね。先の事なんて分かんないんだもの。何でもまずはやってみなくちゃ。よし、頑張るぞ! ”

 

 

 不安を抱えながらも、未来を信じて歩き出そうとした彼女。

 

 

 “────ミゲル、私ちゃんとできたかな? ”

 

 “皆、ラクス様の言葉だから聞いてくれてる。でも、それでも良い。私の気持ちは……皆を励ましたいって気持ちは嘘じゃない”

 

 ”がんばらなくちゃ。ラクス様のように、私の声も皆に届けられると信じて。早く戦争が終わる様に! ”

 

 

 過っていくのは、これまで共に居た中で見せられた彼女の素顔。

 降って湧いた大役に惑いながらも、ラクス・クラインに乗せられた期待に応えられるよう必死で演じ、もがいてきた。

 

 世界を想い、平和を願う気持ちは。例え仮初の姿に込められたものであっても、本物と何ら変わらない。

 護衛としてずっと傍にいたミゲルは、そんな彼女が見せてくれる素顔に、いつしか惹かれていた。

 

 

「全て終わった時には、議長に代わって今度は俺がプロデュースしてやるさ……」

 

 

 眠る彼女に届かぬ約束を呟いて、ミゲルは静かに少女を守る誓いを胸に刻むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ふむ、そう睨まないで欲しい。タケル・アマノ」

 

 仮面を取って厳しい視線を向ける目の前の男に、デュランダルは変わらずの柔和な笑みを浮かべながら言った。

 ミゲルがミーアを連れて出て行ってから暫く。デュランダルの指示で人払いが済まされた議長の執務室で、2人は静かに見合う。

 

「警戒しない理由がありますか、議長? このタイミングで護衛であるミゲルの解任。そしてコンクルーダーズへの編成。邪推とは言え十分に現実味を帯びてくる話です────ラクスの偽物と言う事実を抱えた彼女を、貴方は一体どうするつもりですか?」

「どうもしないさ。本当だ」

「では邪魔になった彼女を闇に葬るような事はないと?」

「そんなつもりは毛頭ないよ。ただ、本物のラクス・クラインが出てきた以上、彼女の重要性が無くなってしまった。であれば特務隊のミゲル・アイマンを遊ばせておくわけにも行かなくてね」

「だからミゲルをコンクルーダーズに?」

「不服かね? 君にとっても彼の加入は嬉しい事の筈だ」

「ならば彼女の安全はどうするつもりです。あの容姿ではおいそれと自由にできないはずだ。何も考えず元の生活に戻せば、要らぬ問題が起きる」

「勿論、監視下には置く事になるだろう。一先ずは別の護衛を着けて、月面のコペルニクスにでも避難してもらう予定だ。彼女は私と共に行動してずっと忙しかったからね。感謝の意も込めてゆっくり休んでもらうつもりだよ」

「安全は保障すると?」

「彼女に何かあれば君達からの信用を失う。それは今の君達を見れば良く分かると言うものだ。であれば、事を構えるのはデメリットでしかない」

「僕はともかく、ミゲルはそうでしょうね……」

「コンクルーダーズは私の切り札だ。このような話で失う事はできんよ」

 

 依然として変わらない、薄く笑んだ表情のままデュランダルは淀みのない応答を返した。胸中で、タケルは頷いた。

 全くの信用が置けるわけでもないが、デュランダルの言う事は納得できる内容ではあった。確かに、ミーア・キャンベルは利用価値が無くなっただけだ。表沙汰にさえならなければ問題にはならない。彼女を葬る事で大切な駒であるミゲルや、タケルから信用を失う方が痛手だと言うのは、理解できる話である。

 

「ならば議長、彼女の面倒をこちらで引き受けさせてもらっても?」

「バカを言わないでくれ。彼女をコンクルーダーズに入れると言うのか? 彼女は軍人ではない」

「そうではありません。ですが、僕達は丁度良くあの子達のお守りを探していました。それを彼女にお願いしたい」

「お守り……かね?」

 

 静かに、今度は表に出してタケルは頷いた。

 あの子達……そうタケルが呼ぶのは、スティング達エクステンデッドの3人の事だ。

 今後タケルとユリスはコンクルーダーズとして動き、メイリンもまたタケルの預かりとなってザフトへ復帰。タケル達と揃って職務に励むことになる。

 治療を受けている彼等を、自分達に代わり面倒を見る保護者として、ミーア・キャンベルを自分の足元で囲うと言うのだ。

 そしてそれは逆も然り。治療によってエクステンデッドとしての優位性が失われるとしても、生体兵器として仕立て上げられたスティング達は通常の軍人とは比較にならない高度な訓練を受けている。

 そんな彼等の傍に居れば、おいそれとミーアに手を出すこともできなくなるだろう。不安であった彼女の安全も確保できるというもの。

 

「なるほど。君達としては彼等の面倒を見て治療状況を隠さず報告してくれる目が欲しい。そして彼女に対しても十分な安全を確保する為の護衛が欲しい。それを両立させられると言う事かね?」

「スティング達もおいそれと自由にはできない存在のはずです。一緒にして秘匿しておく方が議長にも都合が良いのでは?」

「ふむ、そうだろうね。聞くところによれば彼等の施術自体は終わって後は経過観察と言う話だ。私としては特に文句もでない話────だが、私は随分と信用が無いみたいだね?」

「逆に聞きますが、議長は僕を信用しているのですか?」

 

 返す刀で切り返すように、質問を質問で返す。

 自分の事など信じ切ってはいないだろう、とタケルは結論付けていた。そもそも彼と手を組む事になった時に、タケルは自身の心根を打ち明けている。

 全てはオーブの平和の為。それ以外の願いは無い事を。デスティニープランで人類を変えるのは、その目的への副産物でしかない。

 ギルバート・デュランダルに忠誠を誓ったわけでもないのだ。

 

「君を信用しているかと言われれば、私の答えはイェスだよ、タケル・アマノ」

「なっ!?」

 

 しかし、デュランダルはそんなタケルの結論を事も無さげに覆して見せた。

 

「ご冗談を。僕は貴方の為にここに居るわけでは無い」

「そんな事は君を信じない理由にはならないさ。君が彼の仮面を着け、人類の愚かさに絶望し、そうして今こちら側に居る。私の隣にね────そうだね、程度を述べるのであれば私の無二の友である(ラウ)と同じくらいには信用しているとも」

 

 奇しくも同じ仮面を着け、2年前のラウと同じく世界と人類を見限った者同士。

 ラウ・ル・クルーゼと同じ結論へと至った事実────それだけで、ギルバート・デュランダルがタケル・アマノを信じるには十分であった。

 むしろ、タケルが自身を信用置けないと言うその様は、友であった己ですら心の底から信用してくれなかった在りし日のラウの様であり。タケルが嫌疑を向ければ向ける程、いっそ友の様な親しみを覚えるくらいである。

 

「君にとっては違うかもしれないがね。私にとって君は、失われた彼の成り代わりと言っても良い。無二の友を信じるのに、言葉や理由が必要かね?」

「────僕は、彼とは違います」

 

 首を横に振りタケルは否定した。

 

 自分は彼ほど潔くはない。いくら捨てよう思っても捨てきれず。いくら見ないふりをしても見逃せず。

 己が傷つくのを許容できず常に半端な事しかできない。

 今だってそうだ。先刻見せられたオーブとラクスの決意表明に対し、タケルは彼等と敵対する覚悟は未だできずにいる。

 何も顧みず、己が望むままに生き抜いた彼とは比べるべくも無い。

 

「本質は一緒だよ。君達は同じプロセスを辿り、同じ結論へと辿り着いた。自身がどんな末路を辿ろうが厭わない、その頑なな精神も含めて君とラウはとてもよく似ている」

 

 似ている……そう言われて反論できる言葉を、今のタケルは持ち合わせていなかった。

 2年前も自分達は同じ存在だと言われ手を差し伸べられた間柄である。その時に自分は捨てられないものが世界には多すぎると進むべき道を変えず、彼は捨てられないものなど世界には何もないと己の行く道を進み続けた。

 デュランダルが言うように、その先で自分がどんな結末を迎えるかを厭わない精神性には似通ったものがあった。

 

 押し黙ったタケルの様子に、デュランダルはまた1つ笑みを深くして見せる。

 

「まぁ、そう深く受け止める事でもない……一先ず、要望はわかった。彼女の事は君達に任せよう。先程も言ったが彼女はコペルニクスに避難させる予定だ。流石に私の膝元に置いておくわけにもいかないからね。必然、彼等もそちらに送る事になるが……」

「────治療自体は、もう良いんですよね?」

「医療施設からデータはもらっている。ナノマシンによる覚醒成分の抑制は十分に機能しているのを確認しているよ」

 

 戦闘状態への移行に伴う、人体のリミッターを外す成分の過剰分泌。スティング達に施された身体の異常であるそれを抑制し、更には人体の制御機能を正常に引き戻すためのナノマシンの投与。

 これらは既に終わっており、今後は経過観察の段階であった。

 タケルとユリスの要請によって、ギルバート・デュランダル直々にスティング達の治療は監査が行われており、その彼がデータを確認していると言う事は十分な事実の証明と言える。

 

「何かあった時の備えは?」

「担当者は同行させる。経過観察と、有事の際には対応できる様にね」

「至れり尽くせりですね……本当に」

「それだけの価値が、君と彼女にはあると言うだけの話だ。現に君達2人は、あの大量破壊兵器の排除に大きく貢献してくれた。プラントに住む大勢の命を救ってくれた対価としてはむしろ小さいくらいだろう」

「僕達だけの力ではありません」

「君達が要ではあったさ」

 

 あぁ言えばこう言う。小気味よく淡々と返してくるデュランダルに、タケルはまた言い募るを止めて押し黙った。

 きっとこの男には何を言っても受け流され躱される事だろう。無意味なやり取りでしかなかった。

 素直に頭を下げて感謝するだけである。

 

「要望を聞き入れて頂き、感謝いたします」

「なに、その分はしっかり働いてもらうさ────さて、本題に入っても良いかね?」

「えぇ、僕の方からも本題に入らせてもらいましょう」

 

 少しだけ緩んだ空気を引き締め直して、タケルとデュランダルは再度真剣な面持ちで向き直った。

 そう、ここに来た理由はなにもミーア・キャンベルの事だけではない。

 タケルは報告事項を抱えており、デュランダルもまたそれを聞くべく、タケルを呼び出そうとしていた所なのだ。

 

 

「話が早いね。では聞かせてもらおうか……君と彼女が懸念している事を」

 

 

 静かな要請に、タケルは肯定の意を返して口を開くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーモリーワンの襲撃を受け、進宙式を前に緊急出動を果たしたミネルバは、長い戦いの旅路から漸くプラント本国へと帰還した。

 ボギーワンの追撃。ユニウスセブン。地上に降りてからはオーブ沖での撤退戦に、インド洋やガルナハン。そして艦内に多くの爪痕を残したダーダネルスの海戦。

 続くベルリンではロゴスの影を見て、その後はヘブンズベースにオーブへの侵攻と、ロゴスを相手取った激戦の最中へ。そうして遂に迎えるは決戦となったダイダロスとアルザッヘル。

 重ねに重ねた激戦の歴史を振り返れば、その様は嘗てのアークエンジェルを思わせるものだ。必然、今後の戦果にも目が行くと言うもの。

 その期待に応えるためにも、ミネルバのクルー等には次なる任務を与えられるその時まで、少しばかり休暇が与えられていた。

 動き出したデスティニープラン。今後はこれをめぐりまた争いが起こる事だろう。

 次の戦いが巻き起こる事を予感しながらもクルーの殆どが下船し、多くは家族の元へと帰ることに。

 

 しかし、ミネルバクルーで唯一シン・アスカだけはミネルバに残るわけでもなければ、家族の元へと向かうわけでも無く、休暇を持て余す状況であった。

 そもそもの話だがシン・アスカは既に天涯孤独の身で、帰るべき場所も家族も居らず。一応の帰る家だけはあるものの、そこに誰かが待つわけでもない。

 同期のヴィーノやヨウランが両親に顔を見せられると嬉しそうな笑みを浮かべているすぐ傍で、寂しそうな顔をしながらミネルバを降りていくシンの姿があった。

 

 そんなシンを見兼ねて(好機と見て)ルナマリア・ホークは動き出す。

 

 

「ねぇ、シン」

「あ、ルナ……何?」

「その、さ……シンさえ良ければなんだけど」

「ん、俺さえ……?」

 

 どこか素っ頓狂な声で返してくる少年のなんと無垢な事か。普通こちらの雰囲気で何となくわかるものだろう。

 ルナマリアは内心で僅かに憤慨し、その何倍も羞恥を感じて頬を染めた。

 

「────休暇の間、ウチに来ない?」

 

 やっとの想いで告げるのは、既成事実(両親へ紹介)を済ませ、今プラントには居ないライバルとの差をつけておこうと言う画策────と言う建前の下、戦場で疲れ切っているであろう彼に少しでも温かな時間を過ごしてもらうべく、ルナマリアはシン・アスカを自身の生家へと招いた。

 

 嘗ての……それこそアカデミーで共に過ごしていた頃なら、このような申し出は考えもしなかっただろう。以前のシンは教官に噛みつくのが当たり前の問題児であったのだ。

 目上の者から一方的に抑えつけられる事を極端に嫌う。それも恐らくは理不尽な理由で家族を奪われた事の弊害であったのだろう。正に狂犬であった。

 そしてそんな彼を大人しくさせたのが、ヤヨイ・キサラギだ。同い年で、自分より小柄で、更には女の子────座学はともかく、実技においては負けるつもりの無かったシンを、しかしあらゆる分野で少女は完膚なきまでに叩きのめして見せた。

 以来、少年は少女の軍門に下ったかの様に大人しくなった。相変わらず教官に噛みつくのは変わらなかったが、少なくとも少女と良く共に過ごす様になり、少女から様々教えを乞う様になった。

 身近で明確な目標に、少女を据え置いたのだ。

 

 こうして見れば見る程、ヤヨイ・キサラギのヒロイン属性は高い。同性である自身をも虜にしていったあの人誑しは、主人公(シン・アスカ)に討たれて退場していくと言う劇的な幕引きを経て根深い傷を彼に刻み付けた。

 

 彼をいきなり実家へと呼ぶとは随分と大胆だと思いつつも、ここで踏みとどまってはヒロイン競争でおいて行かれてしまう。

 最近になって明確に彼への好意を自覚したルナマリアはここで二の足を踏むことを良しとできず、踏み出したのである。

 

「えっ、良いよ別に。折角の帰省なんだから家族水入らずに割って入るのは悪いだろう」

 

 何とも真っ当な。折角の誘いだと言うのにルナマリアとその家族への配慮を理由にきっちりと断って見せるシン。

 これもまた成長した事の証なのであろうが、今だけは釈然としない感覚をルナマリアに叩きつけるのであった。

 

「えっと……私が誘ってるんだから、そんな事気にしないで良いわよ?」

「良いって別に気を遣わなくて。俺、デスティニーのオーバーホールで工廠にも足を運ぶし、クルースと訓練とかしてるからさ。ルナは折角の休暇なんだからご両親に元気な顔見せて安心させてやれって。それにメイリンも帰るんだろ? 絶対俺が一緒じゃない方が良いって」

「あ……そう? あぁ~うん、それもそうね」

「だろ? だから気にしないで良いよ」

「わかったわ。それじゃ、また休暇明けに会いましょう」

「あぁ」

 

 何とも無様な。

 別れの挨拶と共に遠ざかっていく背中を見送りながら、ルナマリアはまさか彼に言い含められる時が来るとはとショックを受けて沈んだ。

 色々と目論見のあった誘いではあったが、それでも彼の事を想っての提案であったのは本当だ。だが、いっそ清々しい程に気を遣われて跳ね除けられ、もはやぐうの音も出ない。

 

「はぁ……調子狂っちゃうわホント」

 

 最近めっきり地に足が付いた彼。だからこそ好意を抱き自覚するに至ったわけだが。あの手がかかる弟みたいであった彼はもう居ないと思うと、それはそれで寂しいものであった。

 

「うん、仕方ない! これもシンの優しさって事で。さて、帰るとしますか!」

 

 声にして気持ちを切り替えると。ルナマリアは家路へと就くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、ではロゴスはまだ?」

「はい、何かしかあると見るべきでしょう」

 

 険しい表情のままタケルが頷いて、デュランダルもまたその表情を険しくさせた。

 

 タケルより挙げられた報告……それは、アルザッヘル攻略の際に垣間見たロゴスの動き。

 全面降伏ではなく、敗戦に対する弔い合戦でもなく。意図して時間を稼ぎ抗い、そして何も渡すまいと自決していった。

 

 見えてくる可能性は、まだ彼等が諦めてはいないと言う事実。

 

 まだ切れる手札があるからこそ、降伏は無く、そして情報も渡せない。言い方はあれだが前向きと捉えられる敗戦の仕方であった。

 

「──プラン導入実行を遅らせるわけには?」

「その余裕はない。先程のラクス・クラインの声明で足下でもプランへの疑問視が挙がって来るだろう。早急に進めなければ、プランへの反対の声は増すばかりとなる」

「ですが、ロゴスへの懸念を不確かなままにしておくわけには」

「それもわかってはいる! だが、懸念だ。それを気にしてばかりでは機を逃す」

「僕とユリスは確信をしています」

 

 小さく声を荒げたデュランダルに、タケルは対照的に落ち着きの声で諭すように告げた。

 ロゴスの中核に入り込んでいた筈の、ある男の存在。タケルにとってもユリスにとっても仇敵と言える様な彼が、まだその姿を見せていない。

 

「デスティニープランは公表された。もはや足を止める余裕は無いのだ」

 

 苦々しく、デュランダルは口を開いた。

 ロゴスとの決着、打倒を以て、漸くプランの公表へと踏み切れたのだ。

 それは今この時が一番、ギルバート・デュランダルに求心力がある時であるが為。

 時を置けばそれだけ、様々な人間が名乗りを挙げて反デスティニープランを掲げて来るだろう。

 

 動くは迅速でなければならない。

 

 

「──クルース、コンクルーダーズの状況はどうかね?」

 

 

 静かに、デュランダルは意を決して口を開いた。

 呼び名を変えたそれは、プランを支持する同志ではなく、ザフトに所属する組織の一員に対しての問い。

 意識を切り換えるべく、タケルも仮面を着けて応じる。

 

「現状ではミゲル・アイマンの機体が未完成です。イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマンの機体は既に彼等に合わせた改修を施しているので一週間以内には動き出せるでしょう。ユリスの機体は……本人は文句を言うでしょうが今のままでも出られます。ハイネも同じです。

 私の機体は……改修には少し時間を要するかと。動く必要があるのであればユリス同様後回しにしますが」

「それならば機体の方を優先してくれ。準備ができた者から即時任務に入ってもらいたい」

「任務ですか……目標は?」

 

 準備ができた者から任務に就く……となれば単独でそれぞれ行動を起こしていく特務隊と同様の動きである。

 それで一体何をさせる気だとタケルが訝しむ中、デュランダルは静かに告げた。

 

 

「目標は大西洋連邦────それが保有する軍事施設の全てだ」

 

 

 次なる戦いが、タケルの目の前に提示されるのだった。

 

 

 




生意気坊主を脱して大人になってしまったシン君。ルナマリアの気持ちには気づいていない。
仕方ないね。遺伝子的に究極の相性が良い女の子が先に提示されているから。
シンルナサヤヤヨイ+タケルで三角どころか多角形な関係性が形成される模様。

そしてコンクルーダーズの面子もひっそりと発表。
タケルとユリスに加えて、イザークディアッカにミゲルとハイネという豪華な顔ぶれ。
設定的にデスティニーは6機の予定だったとか?どこかで見てこの6人。ミゲルは専用機渡す予定だったのでシンのを除く残り5機がコンクルーダーズですね。

ステラ達の保護観察兼お守りとしてミーアの抜擢。懐いて歌をせがむステラとか、母性を感じて素直になれないながらも懐くアウル。密かに彼女の事情を聞き及び護衛に回るスティングと言った感じが思い浮かびますね。

次回はパイロットに合わせて改修されるデスティニー達の設定資料を挙げます。


完結に向けて邁進していきますので、感想で応援をして頂ければ幸いです。

この組み合わせ気持ち良すぎだろ!!

  • タケル&ユリス
  • キラ&アスラン
  • シン&サヤ
  • イザーク&ディアッカ
  • ミゲル&ハイネ
  • タケル&キラ(SEED編より
  • ラウ&ユリス(SEED編より
  • アサギ&マユラ&ジュリ
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