機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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大変長らくお待たせいたしました。
どうぞお楽しみください。


PHASE-103 激突

 

 

 L4宙域にて勃発した、ザフトとクライン派の戦い。

 

 シン達ミネルバMS隊に加え、タケルとユリスのコンクルーダーズ最大戦力を伴いやってきたミネルバ。

 対するは、旧式のシロガネを駆るネオ・ロアノークとサヤ・アマノが駆るシンゲツと言う布陣を敷いたアークエンジェル。

 

 2年前の大戦と、先のダイダロスにおける戦闘からもアークエンジェルとエターナルが共に行動している事は明白である。

 姿の見えないエターナルに別動隊を看破したタリアはコンクルーダーズを前線に出さず温存。

 インパルスを哨戒に回し戦況の把握を第一として立ち回った。

 

 結果、対決するはシンとレイ、サヤとネオによる2対2の図式。

 

 光の大翼と光の花を背部に開かせ、シンのデスティニーとサヤのシンゲツが初手からの最大戦速でぶつかり合った。

 

 

「シン!」

「ヤヨイ!」

 

 

 デスティニーのアロンダイトと、シンゲツの多目的ライフルゲツエイが火花を散らす。

 同時に確認の様に接触回線から互いの声を拾うと、2機は即座に離れた。

 

 次なる手にシンゲツは背部大型ビーム砲塔を選択。対してデスティニーはアロンダイトをマウントし、フラッシュエッジを手に取った。

 

 先んじたのは────デスティニーである。

 

「遅い!」

 

 投射されたビームブーメランにサヤは出遅れた事を歯噛みしながらも、デスティニーへと狙いをつけてプラズマ収束砲を撃ち放つ。

 同時に大きく機体を翻しビームブーメランを避けるも、その動きは次を考慮したものでは無くサヤの意識がデスティニーから逸れた。

 

 瞬間、悪寒が過りサヤは反射的に腕部の光波防御帯発生装置を局所展開。直後にはシンゲツの頭部目掛けて極大の光が叩きつけられた。

 デスティニーの掌部零距離ビーム砲、パルマフィオキーナである。

 

 光波防御帯で受け止め切ったものの、その衝撃にシンゲツは大きく後退させられる。

 

「くっ!? 私を相手に腑抜けてはいないかと思っていましたが、余計な心配だったようですね────随分と殺る気の様ではありませんか、シン!」

 

 再び構えられるアロンダイトに、サヤもまたシンゲツを身構えさせた。

 意地っ張りだが心優しき少年の彼が、迷いをまるで見せず掛かってきた。その気配に、何らかの決意をサヤは感じ取る。

 

「良いでしょう。お兄様を止めるためにもまずは貴方を越えなければなりません」

 

 でなくば、彼と同じ機体を駆る兄を止めること等叶いはしないだろう。

 サヤはシンゲツのコクピットの中で、黒曜の瞳に闘志を燃やし視線鋭く眼前のデスティニーを射抜いた。

 その奥に居るであろうシン・アスカへ、胸の内でざわめく彼女(ヤヨイ)の想いに蓋をして、戦意を昂らせた。

 

「お父様……力をお貸しください!」

 

 心根にまで叩き込まれた亡き父の教え。そこに絶対的な信頼と誓いを込めて。

 サヤは今この時を天王山とし、目の前の敵を討つ事に全霊を込めた。

 

 

「いざ、尋常に────勝負です!」

 

 

 絶影となって、サヤは再び己が運命とぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で。

 シロガネを駆るネオと、レジェンドを操るレイも一騎打ちへと突入していく。

 

「ちぃ、この感覚……あの時の白いボウズか!」

「このラウに似た感覚……まさかお前か、ムウ・ラ・フラガ!」

 

 ラウ・ル・クルーゼ。

 ムウ・ラ・フラガ。

 そして、レイ・ザ・バレル。

 

 数奇な運命と縁を辿り、2年越しの戦いが再び繰り広げられた。

 

 先手を取ったのはレジェンド。背部バックパックから8基のドラグーンを射出。

 機体周囲に展開させ、接近してくるシロガネに迎撃射撃を敢行する。

 

「うぉっ!? あっぶねぇな」

 

 それをネオはビャクライユニットの異常な加速に任せて、一気に振り切って難を逃れた。

 機体重量、スラスター設計、操縦性の放棄。これらタケル・アマノのこだわりによって追及されたシロガネの機動性と速力は、2年で改修された事もあり未だ異次元のものだ。操縦者の負担を度外視すれば、デスティニーと並んですら渡り合えるスペックを誇る。

 

 予想外の速力にドラグーンを振り切られたレイは、顔を顰めた。

 

「流石はクルースの愛機という所か……だが!」

 

 乗り手まで同じではない。見る限りその速力に翻弄され手綱を取り切れてないと見るや、レイは再び攻勢に出た。

 ハイパーデュートリオンを前提とした出力設計をされている以上、レジェンドとて鈍重ではない。

 その出力から十分に得られるだけの機動性を確保しており、そうシロガネに引けを取るわけも無いのである。

 

 接近しながらドラグーンに因る光の檻を作り、逃さず仕留める……その為に前に出た。

 

 ある程度距離を詰めて、再び展開されるレジェンドのドラグーン。

 次いで、シロガネの全方位を囲む様にして光の雨が降り注いでいく。

 

「くっ、このぉお!!」

 

 それをネオはまた、シロガネの高い機動性と運動性に頼り躱していく。

 ドラグーン兵装はネオにとっても既知のもの。その感性が危機を察知して、ギリギリの所で光の檻を掻い潜っていった。

 

「────何だ、この感じ」

 

 脳髄を叩いて来る妙な感触に、ネオは回避を続けながらも惑った。

 相手の感触ではない。既視感と言うか、どこか懐かしいとすら思える何かが、ネオの脳裏に過っていく。

 

 

 

 “これが望みか、貴様の! ”

 

 “私のではない! これが人の夢、人の望み、人の業! ”

 

 

 

 討ち合った────互いに相容れない者として。

 

 

 

 “貴様の理屈だ! 思い通りになど! ”

 

 “既に遅いさムウ。私は結果だよ────だから知る! ”

 

 

 

 戦った────ただ、愛する者との平和を掴むために。

 

 

 

 脳裏に過った微かな記憶と共に、ネオの胸の内に沸々と湧いて来る戦う意志。

 それはこれまで、ネオ・ロアノークとして戦ってきた中では薄かった、戦う意味を胸に抱かせるものであった。

 

 記憶を失っても尚、ムウ・ラ・フラガは愛する人が乗るあの艦を守りたいのだ。

 

「────これはどうも、負けたくなくなってきたな!」

 

 降り注ぐ光の雨を振り切ると、シロガネもドラグーン兵装ジンライを展開する。

 

 戦後増設された8基ずつのジンライとビャクライは、本来アイシャとタケルが複座で乗る事を想定して備えられたものだ。ジンライを制御するタケルと、ビャクライユニットの制御に回るアイシャが居て初めて同時運用が可能となる。

 必然、1人でシロガネを駆るネオに同時運用は不可能だ。遠近でジンライとビャクライを使い分ける器用な運用がネオには求められる。

 

 嘗てのストライクとは違う。シロガネの速力であれば、接近することは可能だろう。この機体の扱い方は共に出撃している少女に嫌と言う程叩き込まれている。

 そして彼には、ムウ・ラ・フラガとして戦い続けて培われた能力と、連合の軍人ネオ・ロアノークとして生きて来た、植え付けられた記憶がある。

 正味2人分の経験が、光の雨へと臆することなく飛び込ませるだけの自信を与え、ネオはシロガネを走らせた。

 

 

「この状況で接近だと────嘗めるな!」

 

 

 再び行われるレジェンドの迎撃射撃。

 対するシロガネは、降り注ぐビームの光に対して機体周囲に展開したジンライによって、それを弾いて押し進んでいく。

 ドラグーン1つ1つから放たれるビームの出力は決して高くない。鏡面装甲ミカガミで覆われ、機体の様に内部フレームも持たないジンライであれば、容易にその光条を受け止める事が可能だ。

 いわば、ジンライ8基を用いた疑似シールドである。

 降り注ぐ光に対して的確な位置へとジンライを制御する必要があり、求められる技量はビームサーベルでビームを切り捌くくらいに異次元の領域であるが、ネオはそれをどうにか捌き切った。

 

「バカなっ!? ちぃ!」

 

 驚愕も束の間、レイはレジェンドのバックパック上部に備えられた、大型のドラグーンを射出。

 ビームスパイクを出力させ、迫りくるシロガネを正面から打ち抜きに行く。

 

「甘く見るなよ、白ボウズ!」

 

 2本のビャクヤを展開。出力されたビーム刃で接近してくるドラグーンを切り払えば、彼我の距離は埋まっていた。

 

「もらった!」

「ちぃ!」

 

 叩きつけられるビャクヤに対し、レジェンドも腰部からビームジャベリンを抜いてそれを受けとめた。

 光の刃が火花を散らし、2機を淡く照らす。

 

 出力に任せてレジェンドが押し返すと、2機は再び距離を取った。

 

「やってくれる……彼程ではないだろうと、たかを括っていたか」

 

 旧式ではあるシロガネ。そして、例え誰が乗ろうとも正式パイロットであるタケルの実力には及ばないだろうと考え────そうして目の前の敵機を低く見積もっていた己の浅はかさを、レイは恥じた。

 

 旧式とは言ってもそれは正当後継機であるシロガネ・コクウが生み出されたが故に過ぎない。

 デスティニー等サードステージに位置付けれらる機体が出てくるまで、旧シロガネやオーブ製フリーダムがMSの中で最強に位置していた事は、ダーダネルス海峡の戦いで立証されている。

 決して侮る事ができる機体ではないのである。

 

「────だが、こちらにも負けられない理由ができた」

 

 ラウにとっても、レイにとっても因縁の相手。

 ムウ・ラ・フラガ────レイとラウの元となった、アル・ダ・フラガの息子。

 そして、レイとラウが生み出されるきっかけともなった人間であった。直近でのユリスとの語らいもあってその事実を再確認したレイは、湧いて来る悪感情を当然のものだと受け入れた。

 

 シロガネに乗るのが彼と判った以上、それを討つ理由がレイにはあるのだ。

 

「俺達を生み出した元凶の1人であるお前を、俺は許しはしない!」

 

 互いのドラグーンを置き去りにしてビームジャベリンとビームサーベルが再びぶつかり合う。

 

 ネオとレイの戦いもまた、激しさを増して死闘の領域へと突入していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルダート、てぇー!」

 

 アークエンジェルより次々と放たれるミサイル。

 ミネルバは近接防御火器CIWSでそれらを迎撃しつつ2連の収束火線ビーム砲トリスタンで反撃を見舞う。

 

「トリスタン、てぇー!」

「回避、取り舵二〇!」

 

 艦船とは思えぬ機敏さを見せて、射線から身を翻すアークエンジェルに、タリアは内心で唸った。

 流石は英雄艦と言う所だろうか。砲身の稼動。艦首の方向などから一早く攻撃の手を察知して回避と迎撃を的確に選んでくる。

 艦性能では最新のミネルバの方が上であるにも関わらず、艦船同士の戦いでは互角……否、タリアも含めた艦橋クルーの差で僅かに後手に回っている。

 

 これが幾多もの戦いが潜り抜けて来た者達との、経験の差と言う事だろうか。

 タリアだけでなく、火器管制のアーサーに操舵のマリク。各種オペレーターのバート等も同様に、アークエンジェルとの練度の差を感じていた。

 

「艦長!」

「わかってるわ!」

 

 不安を押し殺したようなアーサーの声に一喝で返すと同時に、ミネルバが揺れる。

 迎撃を潜り抜けたミサイルの一発が艦体に命中したのだ。

 

「敵艦両舷を狙い撃つ。バリアント、ゴッドフリート照準!」

 

 ミサイルの命中を見て、ナタルは畳み掛けに入った。

 アークエンジェルがバリアントの射線を取るべく回頭しミネルバへと艦首を向ける。

 

「ノイマン、操艦そのままだ────てぇ!」

 

 吐き出される両舷併せて計6門の砲門からの火線。

 

 察知が遅れたミネルバは、次なる反撃の姿勢も考えられぬ大きな回避を強いられた。

 

「艦長、このままでは!」

「アーサー、弱音を吐かないで頂戴! 艦首下げヒッチ角20! アークエンジェル下方へと回り込む。マリク、回避任せる。アビー、ルナマリアからの報告は?」

 

 再び一喝し、タリアは指示を下していく。

 

「はい。現在インパルスはポイントデルタ3を進行中。現在の所敵影は確認できないと──」

 

 報告の途中で詰まるアビーに、タリアは嫌な予感を感じた。

 その予感を肯定するかの様に、アビーは端末からタリアの方へと振り返り焦燥の声を挙げる。

 

「艦長、敵襲です! インパルス被弾! 敵はMS3と……エターナルです!」

 

 挙げられた報告に苦渋の表情をしながら、タリアは奥歯を噛み締めた。

 潜んでいた事は予見できていた。その為のルナマリアの哨戒である。そうして敵の陣容を全て把握したところで、コンクルーダーズを出撃させてエターナルに対応させる腹積もりであった。

 それが逆撃でインパルスが奇襲を受けたとなれば、考えが甘かった事を認識せざるを得ない。

 

 艦の防衛に余力を残そうと判断を下した、タリアとタケルの失態である。

 

『艦長、出撃します。ユリスをルナマリアの救援に。アークエンジェルには私が対応します。全容が知れた以上、燻ってる必要はなくなりました』

 

 飛び込んでくる通信に、是非もなく頷くタリア。

 それを受けて、アビーはすぐさま準備万端で待機していたユリスの発進シークエンスを最速で進めていく。

 

「デスティニーtype-C、発進どうぞ」

『ユリス・ラングベルト────デスティニー、出るわ!」

 

 紫の大翼を広げ、ユリスのデスティニーがエターナル目掛けて戦場を駆け抜けていく。

 

 

「続いてtype-L、発進準備完了。タイミングをクルース・ラウラに譲渡します」

『了解した。では──』

「待ちなさい。クルース」

 

 発進しようとしたタケルを、タリアの声が抑えた。

 

「わかっているでしょうねクルース────撤退指示は絶対よ」

 

 どこか意味深に告げられる言葉に、タケルは小さく息を呑んだ。

 

『承知しています。約束は違えません』

 

 2人と、そして格納庫で待機中のメイリン・ホークだけが理解できるやり取り。

 何の話かと問えばそれは、戦闘が勃発するより少し前に遡る。

 

 

 先だってタリアは、メイリンよりとある報告を受けていた。その内容はタケル・アマノの体調が著しく悪い事についてだ。

 

 オーブ崩壊の悪夢にうなされ、タケルがミネルバへと乗艦してから一睡もできていない事に、メイリンは気が付いていた。正確にはタケルの状態が容易に分かるユリス伝いではあるのだが、タケルの状態を慮りメイリンはタリアへと報告を挙げていたのだ。

 

 過剰なストレスによる身体への障害────タケルの精神状態はとてもMS戦闘に赴いて良い状態には無いと。

 

 そうして報告と共に提案されたのが、メイリンが細工したデスティニーコクピット内のアラートシステム。

 これまでにタケルの手伝いとして、様々手伝ってきた彼女だからこそわかる、タケルのパイロット能力を基準として、反応速度やバイタルサインからタケルの操縦パフォーマンスが一定ラインを割った際には、戦闘続行を不可能とするアラートが出る様にされている。

 これが出た際にはタリアから即時撤退の指示が出される────その取り決めが彼等の間には成されていた。

 

 当然ながらタケルは猛反発。

 勝手な事をしたメイリンも含めて、聞くつもりなど無いと突っぱねたが、そこへタリア達の側にユリスも付いて、まともに戦えれば何も問題の無い話だろうとねじ伏せられる事となる。

 

 その結果が先のやり取りである。

 念を押す様に言い聞かせるタリアの言葉に、タケルは毅然とした声で了承の意を返した。

 

 

「(わかっているさ……戦えば、良いだけだ)」

 

 

 操縦桿を握りしめる。

 それがどれだけ辛い事であろうとも、こうなる事は覚悟の上で自身はプラントに渡り、デスティニープランを求めたのだ。

 全ては、大切な人達が平和に暮らせる世界を作る為に。

 その為に彼等と戦うという矛盾を孕んでいても、それはタケル個人の問題。平和な世界という大義の前には些末な事だと己に言い聞かせて、タケルは今ここに居た。

 

「肝に銘じて頂戴。貴方はこんな所で討たれるわけにはいかないのだから」

『────自分の役目から逃げるつもりなど、ありません』

 

 

 モニター通信を切ると、タケルは一度深く呼吸した。

 既にハッチは開かれ、目の前には戦場が広がっている。

 

 

「クルース・ラウラ────デスティニー、出るぞ!」

 

 

 己の感情を律する為、タケルは背水の陣で戦場へと飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォースシルエットを装備し、哨戒に回っていたインパルスは、ポイントデルタ3へと差し掛かったところで光学カメラに映る違和感を捉えていた。

 

「あれは──」

 

 宇宙の中で一際異質感を以て映えるローズピンク。

 岩塊の偽装で大部分を隠して居ながらも、隠し切れないその色が示すのは、艦船エターナルの存在。

 

「エターナル! やっぱり近くに────っ!?」

 

 ルナマリアがミネルバへと通信を繋ごうとしたその瞬間である。

 センサーが接近する熱源を検知。コクピットにアラートが鳴り、ルナマリアは反射的に機体を後退させた。

 

 同時にその場を過っていった実弾の弾頭。次いで後退した矢先にインパルスを襲う高出力のビーム。それをシールドで受けた時には、敵はもう目の前に迫っていた。

 

「はっ!? くっ、ぁああ!」

 

 振動と共に、振り上げられたビームサーベルによってライフルを保持していた右腕部が切り落とされ、後退しながらルナマリアは襲撃者を確認した。

 

「あの機体……ダイダロスにも居た」

 

 暗黒の宇宙に溶け込むような黒と、深い紫のカラーリング……ZGMF-XX09T、機体名ドムトルーパー。

 それを駆るは、ヒルダ・ハーケン率いるハーケン隊。ルナマリアがエターナルを見つけるのと同時、彼等もインパルスを捉えており強襲してきたのだ。

 

「ちっ、仕留め損なったか。意外と勘が良い」

「伊達にザフトの新型に乗っちゃいないって事かね」

「無駄口叩くんじゃないよ野郎ども!」

 

 ハーケン隊は即座に散開。三位一体の動きで再びインパルスへと迫っていく。

 

「くぅ……この機体状況じゃ!」

 

 弾速の遅い実弾バズーカによる牽制。そこから穴を突くように狙い撃たれるビーム。それをどうにか躱したところで最後の詰めはまたも接近。

 翻された光の刃は、回避軌道を取ったインパルスの左脚部を切り取った。

 

「うぁああ!?」

 

 襲い来る衝撃によろめきながらも、ルナマリアは必死に流されるインパルスを駆った。

 脚部破損で崩れたバランスをすぐさま制御。ザク、インパルス、ザクと乗り換えて養ってきたルナマリアの感覚は、機体状況の厳しさを跳ね除け、思いの他上手くインパルスを操ってくれた。

 

「大人しくやられて、たまるもんですか!」

 

 状況は既にミネルバへと知らせた。後はこの状況をどうにか生き延びるだけ。

 相手のパイロットはエース級の手練れだと最初の一合で理解したが、だからと言って簡単に落とされる気はルナマリアにも無かった。

 

「次で終いだ。行くよ、お前達!」

 

 ヒルダを先頭にしてハーケン隊はインパルスへと吶喊した。

 放たれるバズーカの弾頭を、インパルスは後退しながら頭部のCIWSで迎撃し爆煙の目くらましを張る。

 

「そんなもんで!」

 

 爆煙を抜けながらマーズのドムが迫る。放たれるはマルチバズーカから放たれるビームの光。波状攻撃の連携も3度目となれば、ルナマリアにも十分に予見できる戦術である。

 

 後退して逃げながらも、放たれる光条を残ったシールドで防御していく。

 

「仕留める!」

 

 接近────ヘルベルトのドムがビームサーベルを翻した。

 

「ここぉ!」

 

 シールドを投げ捨てて、インパルスもビームサーベルを出力。振り下ろされた光の刃を受け止めた。

 

「ほぅ、良い反応だ──だが!」

 

 3度目の正直……ヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロット達が同じ攻めをただの繰り返しで終わるわけもない。

 ヘルベルトの背後から追従して来ていたヒルダとマーズはインパルスの左右へと回り込み、マルチバズーカを構えていた。

 

 センサーが捉えた2機にルナマリアが意識を持っていかれた刹那、ヘルベルトはインパルスを押し切り、ビームサーベルを握る左腕部をも切り落とす。

 

「くっ、あぁあ!?」

 

 体勢を崩したインパルスは最後の抵抗とばかりに、背を見せて後退。どうにか左右から向けられた射線を躱そうとルナマリアはインパルスを動かした。

 

「終わりだよ、子猫ちゃん」

 

 

 そんな抵抗を嘲笑う様に。

 

 

 狙いを付けて放たれる光条がインパルスのバックパックを貫いて、その場に大きな爆発を起こすのだった。

 

 

 




色々とバランスの難しい戦い。
戦力の逐次投入は下策とは言え、伏兵の可能性を見据えながら全戦力投入するのもって言う話。

原作には無かったレイとムウの因縁対決。
遺伝子の相性ゆえに熾烈な争いへと突入していくシンとサヤ。
さてさて、どんな戦いとなることやら。次回をお楽しみに。

感想、よろしくお願いします。

この組み合わせ気持ち良すぎだろ!!

  • タケル&ユリス
  • キラ&アスラン
  • シン&サヤ
  • イザーク&ディアッカ
  • ミゲル&ハイネ
  • タケル&キラ(SEED編より
  • ラウ&ユリス(SEED編より
  • アサギ&マユラ&ジュリ
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