時は、少し遡る。
ギルバート・デュランダルによってデスティニープランが公表され、オーブとラクス・クラインが揃って反対声明を出した、その一週間後の事であった。
所はユーラシア連邦首都ブリュッセル。
秘密裏に打診され、カガリ・ユラ・アスハは再びこの地を訪れていた。
訪問理由────それは、デスティニープランに対する地球圏の緊急サミットである。
文を出したのはユーラシア連邦大統領。無論その裏では事務次官ボルト・ミュラーの働きかけがあった事だろう。
そうして地球圏の各連合母体から代表者が集まり、会合となったのだ。
ユーラシア連合。東アジア共和国。赤道連合などの中立も参加。
そしてオーブ首長高連邦代表首長カガリ・ユラ・アスハと、更には大西洋連邦からジョゼフ・コープランド大統領も出席。
緊急でありながら世界の首脳が集まる一大サミットとなった。
「お集まり頂き誠に感謝致します。各国首脳の皆様」
ボルト・ミュラーの声に、議場の空気は一段と重くなる。
今からこの場で行われるのは世界の行く末を決めるかもしれぬ会議だ。議場の片隅で警護のSPとして入っていたサイ・アーガイルは思わず息を呑んだ。
ミュラーの副官として同室して傍らに控えていたフレイも同様。世界を動かす者達が一堂に会しているこの場を、歴史的瞬間で有ると捉え、自然と身体が強張るのを感じていた。
「前置きは良い。早速本題に入ってくれ」
赤道連合代表からの声に皆が頷く。
時間は有限。そして状況はひっ迫している。社交辞令も世間話も、今この時必要なことではないだろう。
応じる様にボルト・ミュラーは切り出していく。
「では────皆様、盟文はご理解頂けているかと思います。
先日、プラントのギルバート・デュランダルより公表されたデスティニープラン。これについて我等は強く危機感を持ち今回お集り頂く運びとなりました。
まずは皆さんに、このデスティニープランの是非を問いたい」
各国の受け止め方はどうか。
議場を睥睨する様に視線を巡らせたミュラーの声に、まずは東アジア共和国代表が手と声を挙げた。
「明言はできない、と言う回答になってしまうのは許して頂きたいが、我らの陣営でも意見が割れているのが現状だ。余りにも荒唐無稽が過ぎる。妄信するには現実味が足りない。明確なヴィジョンが見えないと来ている。
だが、それでも────それらを踏まえた上で、私は賛同を唱えたいと考える。人類は減り過ぎた。ここ5年かそこらの内にな。平和を叶え、今一度人類が発展する為には劇薬と言えるものも必要だろうて」
東アジア共和国代表は、しみじみと言い切った。
人類の存亡を賭けた最後の防衛策────デュランダルがプランを公表した時に銘打った言葉だ。
血のバレンタインをきっかけに勃発した先の大戦。
エイプリルフール・クライシスで犠牲になった人間は10億を下らない。続くヘリオポリスの崩壊。アラスカの消滅。両陣営の軍事基地だけに限らず、中立国オーブは国土ごと戦火に見舞われたし、最終的に核の撃ち合いとなった。
2年前、人類は決定的な終末を予感させる戦争を行っていた。
仮に、ジュエネシスが地球に放たれていたなら────その被害がどの程度になり、今の地球がどうであったかは、デュランダルによって先日公表されている。無論、地球の破滅と呼んで相違無い結果だ。
人類は正に、滅亡の瀬戸際にいた。
そして、此度の戦争のきっかけとなったブレイク・ザ・ワールドの悲劇。
世界中に落ちたユニウスセブンの残骸は、エイプリルフール・クライシスの再来と言える規模の被害を出し、またも億を下らぬ人々の命が消えた。
新たに巻き起こった戦火の中、宇宙でもまたプラントが再び破壊される事態となり数百万の規模で人命が失われている。
東アジア共和国代表の彼が言った様に、ここ5年程で失われた命は余りにも多い……多過ぎるのだ。
人類存亡を賭けた最後の防衛策と言うのは、誇張でもなんでもなく事実なのだと。被害の全容を知り得る者達は改めて理解した。
「私は────先日の声明で述べたように、賛同はできない」
静かに、カガリ・ユラ・アスハは口火を切る。途端に皆の視線が集中し、議場はまた新たな緊張感を漂わせた。
集った面々と比較すれば、恐らくは半分も年月を重ねていないであろう若すぎる代表の声。でありながらも、世界中の首脳陣が目を離せない程にその声と言葉は、皆の興味を引きつけた。
今現在明確に立ち位置を示している数少ない国家の1つ。その上、世界に多大な影響を与えられるであろう、ラクス・クラインを手元に置いている事がわかっている。
カガリが示す意思と言葉は、ラクス・クラインも同様であるというわけだ。
「アスハ代表……我々も貴国と彼女の声明は聞き及んでいます。しかし、二度も戦火の被害に見舞われた貴国は……貴女こそが最も平和な世界を望んでいるのではないですかな」
「それは間違いないでしょう。ですが、私にはどうしても、デスティニープランが平和を齎すとは思えないのです」
はっきりと。断言する様に。
カガリは首脳陣を相手に言ってみせた。
強く興味を覗かせる彼等の顔を見回しながら、カガリは一度大きく息を吐いて、そこから続きを語りだす。
「────私は、思慮が浅く愚かな人間だ」
いきなりの独白に、皆が訝しんだ。
「考えるより先に手が出て、頭で考えるより先に身体が動いて。気性は荒く理性的ではない────凡そ政治家には向かず、いまこうして皆と顔を合わせて、論ずるような人間ではないだろう」
本人談とは言え、ぼろくそな評価に思わず皆が苦笑した。
確かにカガリ・ユラ・アスハは、思い切りが良く、各国が沈黙を辿る中でも直ぐに動いて見せた。
思慮が浅いと言えばそうだし、鉄火場の最前線に出張って声を張り上げる気性も、一国家の代表と言う事を鑑みれば理性的とは言い難いだろう。
「デスティニープランが私の道を指し示したなら、私はきっとMSに乗って戦場にでている方がお似合いだとでも言われるのだろうな。
偉大な父の跡を継ぎ、オーブの代表となって2年……私は、幾度となく己の不適に泣いてきている」
そんな事はない、と叫びたくなる衝動をその場で聞いていたフレイはどうにか抑え込んだ。
悪い所を見ればカガリの言う事は間違いが無いのだろう。が、逆を言えば裏表のない信ずるに値する誠実さを備えた代表だ。己の責務と真っ直ぐに向き合い、皆に支えられながらも邁進する姿に国民は惹き付けられている。
オーブ出身のフレイ・アルスターにとって、カガリ・ユラ・アスハは目指すべき目標地点とも言える偉大な代表首長なのだ。
そんなフレイの気持ちに先んじる様に、カガリはふっと、小さく笑みを浮かべて見せた。
「それでも私は、今こうしてオーブの代表としている事が幸せだと断言できる。己に合わない事であろうとも、父の意思を継ぎオーブの為に戦っている今を……国民の為に戦う事を、私は不幸だとは微塵も感じていない」
あぁ、そう言う事か……と、その場にいた者達は合点がいった。
デスティニープランの主題。それは平和な世界も勿論そうだが、根本は1つである。
誰もが、幸せに生きる事ができる世界の実現である。
己の人生の選択を遺伝子に委ねる事で、最良の人生を歩み続ける。
それは、不幸や理不尽とかけ離れた、幸せな人生を約束するだろうと。
人類全てがプランに従えば、誰もが不満を持たず幸福な人生を歩むことができると言うのである。
「遺伝子によって人生を選択。遺伝子によって幸せな生き方を示す────表面的に見れば、人類にとって有益な事は確かだ。
だが、何が幸せか。何がその人にとって大切か。それを決めるのは本人の意思だ。その意思を汲むことなく、遺伝子の示すままに生きる事が正しいと言うのなら……それはもう、存続しながら人類と言う種の終わりだと私は考える」
自らの意思も無く、ただ遺伝子の命じるままの道を歩む人間は、その為に作られ命じられたままに動き続ける機械と何が違うのだろうか。
生きる指針を……意思を持たない人間とはそう言う事なのだと、カガリは断じた。
「ふむ……しかしアスハ代表。それは強い貴方だからこそ言える事ではありませんか? 世界には貴方の様に、己の不適格を笑い飛ばして生きていける程強い者ばかりではない。楽に生きられると言うのは、それだけ余裕が生まれると言う事だ。余裕があれは争いは起きにくくなる。平和への確かな道筋ではあるまいか」
反論するはオーブ同様に中立の立ち位置を取りながら、戦火に巻き込まれたオーブの二の舞を恐れてデスティニープランに傾倒していた赤道連合代表。
人生の選択に誤りが無く、不幸や理不尽無く豊かに生きていけるのなら、人の心に余裕が生まれる。転じて、争いの起きにくくなる世界になると言うのは間違いのない話だ。
「ではお聞きする。
今ここにいる者達は概ね、社会的に恵まれた者達だと思う。血筋、功績、その他様々、何かしかがあって今その立ち位置に居るはずだ。
問おう────貴方方は遺伝子が秘めた天命に従って今の立ち位置に在ると思うか?」
一同が、僅かに顔を顰めた。
どれだけ優れた人間であろうとも、その人生の中で苦難や挫折を知らない等、まずあり得ない。
寧ろ、国の舵を取る立場の者達は紆余曲折こそあって然るべきだ。それ故の今があると言って良い。
過ちもあった。苦難もあった。だからこそ今、自分達はこうして今の立場で、今を生きている。
少なくともデスティニープランが示した、選択に誤りのない人生からは程遠い者達であった。
「再度問おう。貴方方のこれまでに幸せはあるか? 不幸はあるか? 今、貴方方は自身が幸せだと胸を張って言えるか?」
再び、唸る様に皆が口を噤んだ。漸く、カガリの言いたい事に彼等は気がついた。
仮に、遺伝子が秘めた才覚によって今の立場についたとしても、これまでに苦難が訪れなかったわけがない。
仮に、遺伝子が秘めた才覚を知らず、異なる道を歩んできたとしても、これまでに幸せが訪れなかったわけがない。
遺伝子が示す生き方をなぞったとしても、なぞらなかったとしても。
人が“生きる”と言う事に。そこに幸せも不幸も付いて来ることに、何ら違いは生まれないのである。
「デスティニープランは断じて、人類を救う手段になり得ない。幸せも不幸も、人が人足らんとする意思の下に成り立つもののはずだ」
獅子の娘は世界を相手に、粛々と己の意思を吠えて見せた。
パチパチパチ、と。
渇いた音が数度、静まり返った議場に響き渡った。
皆が目を向けた先、音の出所は大西洋連邦ジョゼフ・コープランド大統領が打ち鳴らす拍手の音であった。
「────真に素晴らしい。アスハ代表」
「コープランド大統領……」
沈黙を辿っていた彼の発言。それが、オーブの代表首長カガリへ向けたものと言う事もあって、議場には微かに緊張が走る。
2度の戦火に焼かれたオーブ。
2年前は直接。そして此度のオーブ崩壊も、大西洋連邦と最も繋がりが深かったロゴスによる画策。奪った者と、奪われた者の構図がそこにあった。
自然とカガリの目つきは厳しいものへと変わる。
「お褒めに預かり光栄だ。まさか貴方からその様な賛辞を受けるとは思わなかった。コープランド大統領」
「
議場を見回せば、各代表たちの表情には色が付いていた。納得した様に頷く者。どこか生気を宿した様な熱を持った視線で見つめる者。ボルト・ミュラーもまたそのうちの1人で、真剣とも険しいとも言える表情でありながら、期待を込めた視線でカガリを見ていた。
「────何が言いたい? コープランド大統領」
「貴方の言う事は尤もだ。デスティニープランに我々が乗っかるわけにはいかない。自国の国民だけでなく人類を衰退させる禁忌の施策だろう────だが、そうだとして。これから我々はどう対処するべきかね?」
プランが人類にとって不要なものだとわかったとて
ならば、これからどうすれば良いか。コープランドは自身の答えを持ち合わせている様な声音でありながら、勿体つける様にカガリに問いかけた。
「議長と会談し、デスティニープラン導入の否決を取るのがまずは第一だろう。しかし、彼の意見にも尤もな部分はある。先の話にも出たように人類の数は減り過ぎてしまった。プランの導入は賛同できないが、あの技術は人類に有益な──」
「それでは甘いのですよ、アスハ代表。貴方は理想を信じ過ぎる」
カガリの論を遮って、コープランドは割って入った。
嫌な遮り方を受けながらも、嘗てオーブにてユウナ・ロマ・セイランにも同じような遮られ方をしていた事を思い出して、なんとなくカガリは懐かしさを覚えていたのは内緒だ。
「どういうことか? コープランド大統領」
「用意周到なあの男が大々的に動き出したのです。会談などしても引き下がる事は無いでしょう。話し合いによる解決ができる段階は、奴がプランを公表した時点で終わっている」
静かに、コープランドはミュラーへと目配せした。
傍に控えていた何名かが動き出すと、議場のモニターに映像が映し出される。
無論、そこに映るのは今話題に挙がっていたギルバート・デュランダルその人である。
『────よって我々プラントは、人類を破滅させるロゴスの温床となった大西洋連邦を、人類の敵と断じ。これが秘匿し保有している非人道的軍事施設の一切を排除することをここに宣言します。
デスティニープランが公表された今、プラントの安全を脅かす勢力を、放置しておくことはできません。そして、我々の安全を脅かすものは今や人類の敵なのです』
それはオーブの状況だけで手一杯であったカガリの耳には、まだ届いていない話であった。
「我々は既に、プラントの特殊部隊によって軍事施設の大半が標的にされている。これだけの強行姿勢。奴が止まる気が無いのはお解りでしょう」
「それは大西洋連邦だけの話ではないか? 議長が言った様にロゴスの温床となっていた大西洋連邦には、そうされるだけの理由があるとお見受けするが」
「では貴国であれば奴が会談に応じ、プランを引き下げると? 先のオーブ戦役では、代表のお言葉も届かず、開戦になったと記憶していますがね」
痛いところを突かれて、カガリは視線の鋭さを増してコープランドを睨みつけた。
元よりその原因となったのはロゴスのジブリールがオーブへと逃げ込んだこと。結局のところ根本はロゴスが原因であり、大西洋連邦も無関係ではない。
それを棚上げにされて、まるでカガリが至らなかった様な物言いに、怒りを覚える。
「────もう一度聞く。何が言いたい、コープランド大統領」
再度問われたコープランドは、今度こそ笑みを大きくして見せた。
「我々を1つに束ねた同盟の結成を、私は提案しよう。そう、反デスティニープランの同盟です。
一方的にプランを提示し、従わぬ我々を人類の敵と断ずるギルバート・デュランダルこそが我々の……世界の敵だ」
「っ!? この期に及んでまだ戦争をしたいと……貴方はそう言うのか!」
世界がこれ程までにボロボロとなってしまったのは、ロゴスの────その隠れ蓑となっていた大西洋連邦の責であると言うのに。
ロゴスが壊滅した今、新たな戦争の火種に火を灯さんとするコープランドの提案に、カガリは怒り心頭で声を挙げた。
「お間違えの無いようにアスハ代表。私は戦争をしたいのではありません。私もまた貴女の言葉に感銘を受け、人類を守るべく方策を打ち出しているのですよ」
「何っ!?」
「代表が言った通り、プランは人類という種を殺すものだ。それを推し進められ、更には押し付けられ様としている今、我々は抵抗するしかありますまい。そう……武力をもって。
仕方ないでしょう。プラントは既に武力を展開し動いているのですから」
大西洋連邦に対して、ではあるが既にプラントは武力による弾圧を開始し、大西洋連邦を人類の敵と断じている。
そうされるだけの謂れがあるのは事実だが、しかしそれを受け入れて大人しくやられる筋合いも無い。
後ろ盾のロゴスが壊滅したからこそ、己の正義に則り、コープランドはデスティニープランを否定し人類という種を守る大義名分を携え、新たな同盟を打ち出してきたのである。
「そしてこの同盟の盟主として、私はアスハ代表を推薦させてもらう……これに異論がある者は、恐らくここには居ない事でしょう」
「なっ、何をバカな事を。第一に、何故オーブがその同盟に賛同し、参加しなくてはならない!」
バカも休み休み言え。そんな声音で、カガリは突っぱねた。
元よりカガリは話し合いによる解決を望んでこの場に居る。
確かに武力による解決が必要な時は動くつもりでもいたが、それはあくまでオーブとしてではなくカガリ・ユラ・アスハ個人として。
キラやアスラン、アークエンジェルと言ったオーブ国防軍の組織体系に組み込まれていない、半ば個人戦力に近い彼等のみでの動く予定だった。
ラクス伝手に繋がっているクライン派と手を取り合い、最終手段として武力による解決も視野に入れていたに過ぎない。
何故なら今のオーブに、国軍を動かして戦う余裕など皆無だからである。
レクイエムによって吹き飛ばされた首都オロファトの跡地は、今でも瓦礫の撤去と人命救助に追われている。国防軍はそれに掛かりきりとなっているし、国外へ避難し難民となった国民達の支援も、まるでままならない。
叔父のホムラが生き残っていたものの、政治家としてたった1人生き残る事となってしまったカガリとオーブに、同盟を組んで世界と向き合っている余裕などまるでないのである。
端的に言えば、自分達の事で手一杯なのだ。
デスティニープランに立ち向かう為の同盟に組み込まれ、更にはその盟主となって動くこと等、今のカガリにできるわけがない。
「お待ちを、コープランド大統領。確かにアスハ代表が盟主となる事に賛同しないものなどここには居ないかもしれない。しかし今のオーブの状況は貴方も……いや、大統領の方がよくお判りのはずでしょう。
同盟への参加も、盟主についても、今のオーブへそれを願い出るのは酷な話と言わざるを得ない」
待ったを掛けたユーラシア連邦代表の声を受けるも、コープランドの不敵な気配は変わらなかった。
「今のオーブだからこそ、なのですよ。
オーブの惨状、それは私も重々承知している。だからこそ、この同盟には締結する意味がある」
「────なるほど、ブレイク・ザ・ワールドの折に結ばれた同盟という訳か」
コープランドの言葉に、東アジア共和国代表は静かに呟いた。
そう、これは嘗て大西洋連邦より発信され締結された同盟条約の再来。
ブレイク・ザ・ワールドの被害を受け、対プラントを見越して打ち出された同盟と同じだ。
つまりは、表と裏の顔を持つ。
「各国は同盟を上げてのオーブ復興の支援。同時に、反デスティニープランを早々に打ち出し、一度はデュランダルによって攻め込まれたオーブを守る為に、我々は手を取り合う。
そしてこの繋がりを以て、人類の敵となったプラントを。デュランダルを討つのです」
良く考え、仕組まれた同盟だ……カガリは表情に侮蔑を残しながらも否の声を挙げられずにいた。
現時点では、戦争の大勢はほぼ決している。
ロゴスを抱えていた大西洋連邦は、ザフトを相手に成す術がない程弱体しており、戦力事情はもう無い袖は振れぬと言う状況だ。
だがそれでも、大西洋連邦と言う国際母体が持つ戦力以外の国力は厚い。
戦力は出せない……が、世界を陰で牛耳っていたロゴスの母体だった大西洋連邦は、戦力以外の人、物、金が揺らぐことが無い程に盤石だ。
たかが小国の島国1つ。支援すれば簡単に立て直せるだけの国力を備えている。
これは他の同盟各国も同様だ。
プラントとギルバート・デュランダルに対して、既にオーブは声明を出し、矢面に立ってくれているのだ。
オーブへの支援さえ約束すれば、自分達が立ち位置を明言しなくとも、同盟と言う形に従うだけで良い。
プラントの矛先は、盟主たるオーブへと向かい、リスクを負うことなく反デスティニープランに与する事ができる。
そしてオーブにとってもまた、これはメリットが非常に大きい話である。
先のオーブ戦役に置いて、多少の被害はでたものの国防軍の損耗は少ない。
ロゴスの攻撃によってモルゲンレーテの工廠は失われているが、オーブは元々、宇宙のコロニーやオノゴロ以外の各諸島にも軍事施設は多く、国の被害に対して、国防軍は未だ健在なのだ。
何もかもが立ち行かなくなったオーブに置いて、唯一振れる袖が国防軍を始めとした軍事力。それを回すことで、同盟各国からオーブは多大な支援を受ける事ができる。
明日は我が身と及び腰になっていた他中立国も含めて、同盟がなされれば地球圏の全てがオーブを助けるために手を差し伸べてくれると言って良いだろう。
その恩恵は、想像に及ばない程大きい。
「────いかがかな、アスハ代表?」
いつの間にか、議場の空気はコープランドが支配していた。
銘文を出したユーラシア連邦大統領や、今回のサミットの発起人であるボルト・ミュラーですら、カガリに何かを期待する様な目を向けている。
だが、カガリとしてはおいそれと頷く事は出来なかった。
他国を侵略せず、侵略を許さず、介入しない。
オーブが中立を謳う為の理念。それは未だ根強くカガリの心にある。
代表就任の際にもカガリは永世中立を謳った。国元を追われ、一時はウナトによってその理念を崩され様とも、カガリの根本には父から託されたその想いがあった。
コープランドに提示されたこの同盟を受ければ、確かにオーブは助かる。困窮した国民達の多くが、救われるだろう。
しかし、それはカガリが守り続けて来た永世中立のオーブが失われる事と同義だ。
ウナトが締結した時と同じように、同盟に従いプラントを討つ事になるのである。
「私は……オーブは……」
苦悶と共に吐き出される呟きに、カガリの胸中が乗せられていた。
カガリの想いと、中立のオーブを犠牲に。
地球は今、1つになろうとしていた。
適当にそれっぽいこと書いてるだけ。重要なのは結果こうなったよって話。
以前から申し上げてる通り、政治的な話は作者にはご法度なのです。意味不明だったりしたら許してください。
書きたかったのは同盟できたよって話。
これが前回の最後の出てきたカガリの経緯というわけでした。
感想、どうぞよろしくお願いします。
この組み合わせ気持ち良すぎだろ!!
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タケル&ユリス
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キラ&アスラン
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シン&サヤ
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イザーク&ディアッカ
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ミゲル&ハイネ
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タケル&キラ(SEED編より
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ラウ&ユリス(SEED編より
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アサギ&マユラ&ジュリ