機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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PHESE-2 戦いを経て

 

 

 アストレイを起動したタケルはメインカメラで周囲を確認する。

 ザフトの目的はXシリーズのみで他には目もくれていなかったのだろう。

 機体が拾う周囲の映像には、奪われたのであろうXシリーズの機体達が、次々と飛んでいくのが見て取れた。

 

「動かないのか兄様? せっかくの新型機が奪われているのに」

「あのねぇ、カガリ……この状態で下手に戦闘なんかできないでしょ。このままひっそりとしてやり過ごす。戦闘なんて万が一の時だけだよ」

「結局はそれか。己の身可愛さに何もしない。やはりオーブの理念なんて見せかけだけの飾りだ」

「いい加減にしないと怒るよ」

「ふんっ、怒ってみれば良いさ──痛っ!?」

 

 態度を変えないカガリへの仕置きとばかりに、コクピットが大きく揺り動かされる。

 その勢いに流され、カガリはコクピット内に強かに頭をぶつけた。

 恐らくは瘤になるだろう勢いであった。

 

「兄様……このっ」

「喋らないでカガリ……舌を噛む」

 

 次の瞬間、カガリを軽い浮遊感が襲う。

 立ち上がったアストレイはスラスターを吹かせ、空中へと跳躍していた。そして、続く空気を裂くような轟音が連続で鳴らされる。

 カガリが知らぬところで、タケルは敵機を捕捉していたのだ。

 

 それはXシリーズを奪取する援護としてヘリオポリス内に侵入してきていた、ザフトの主力MS“ジン”であった。

 アサルトライフルや巨大な物理大剣の重斬刀をメイン武装とした機体で、高い汎用性を持つ。

 

「カガリ、シートに捕まってて」

「えっ、ちょっと待て兄さ──」

「あと喋らない!」

 

 そこから先はカガリが声を出すことは無かった。

 歯を食いしばり、コクピットのシートとタケルにしがみつく。そうでもなければ、ジンのアサルトライフルに対して回避軌道を行うアストレイの動きにより、さらなる瘤を量産していた事だろう。

 そんなカガリの様子など露知らず、タケルはアストレイを狙うジンを見やった。

 

「向こうからすれば未確認MS。大方これも確保しようって魂胆だろうけどね……」

 

 ジン“如き”でこのアストレイを仕留めようなど、片腹痛い────そんな感情がタケルの胸を埋めていく。

 MSがお前たちの専売特許だと思うな。こちらは既に、お前たちのずっと先の機体を開発している。

 開発に携わる者として、またMSパイロットとして素直に目の前の敵機に対して、タケルの内で敵意の鎌首がもたげる。

 

「カガリ、ちょっとだけ意識飛ぶかもしれないけど許して」

「待て、兄様。流石にこんな所でそれはその後が悲惨にな──」

「喋らない!」

 

 同乗したカガリにもはや拒否権は無かった。むしろ反論すら許されない。

 スラスターを切って重力に従い急下降。人間と違いこれだけでも普通のパイロットなら射線から抜けられる。

 降りた勢いを膝で支え、そのままスラスターと一緒に斜めに跳躍。

 軽業師のように機体を翻させて、ジンの側面へと回り込むと、立て続けにそれを行い後方、逆側面へと回り込みながらジンに近づいていく。

 ジンのパイロットは、MSらしからぬ軽快な動きと挙動に翻弄され、ロックオンがままならない。

 これでは射撃を当てるのは無理だと悟ったか、ジンはをアサルトライフルを捨て重斬刀へと切り替えた。

 

 メインカメラがアストレイの着地の瞬間を捉えて、一気にスラスターを吹かして踏み込む。

 

「甘いよ──その程度」

 

 着地の瞬間、膝の駆動を最大にして勢いのままに地面へと転がる。

 前に飛び出したジンの側面へと転がり込んだアストレイは即座に機体一機分だけ跳躍をすると前のめりとなったジンの頭部を掴み、機体重量と併せて地面に叩きつけた。

 ジンのメインカメラである頭部はぐしゃりとひしゃげ完全に破壊した。

 

 数秒後に脱出装置を起動させて逃げていくパイロットを見送りながら、無手のままジンを制圧したタケルは、ほぅと小さくコクピット内で息を吐いた。

 

「なんとか……なったかな」

 

 息も絶え絶えである。なにせ初の実戦だ。

 テストパイロットとしてアストレイは乗りこなしているし、シミュレーターで何度も戦闘経験は積んでいた。

 だが、本当に実戦に出たのは初めてであった。

 心臓はバクバクに脈打っているし、呼吸は荒い。伝う汗は身体的なものではなく、このわずかな時間で疲弊した心的なものだ。

 それでも、大切な妹が共に乗るこの状況でむざむざやられるわけにはいかないと、タケルは腹を括ったのだ。

 

 アストレイの目茶苦茶な動きのせいで、大変な事になっていたカガリであったが、それでもまだ操縦していなかった彼女は平静に近かった。

 肩で息をして、汗をびっしりとかいているタケルの姿に、どこか……壊れそうな雰囲気を感じた。

 気づけば、兄の震える肩を抱きしめていた。

 

「ひどい姿だ……私も、兄様も。でもおかげで私はこうして生きている。ありがとう──兄様」

 

 素直に感謝の言葉を紡いだ。

 己と自身の命を守れたのだと、そうタケルに認識してもらいたかった。

 戦闘の恐怖心から戻ってきてほしかったのだ。

 

 こういう所が、妹ながら本当に可愛い子だとタケルは感じ入った。

 いつもは敵意剥き出しだが、それでもこうしてタケルが苦しい時。辛い時、余裕がない時。

 まるで心を読んだかの様に、安心させてくれる何かをしてくれる。

 普段は兄貴風をふかしていても、肝心な時にタケルに余裕など無い。どんな状況にも物怖じしないカガリの方がタケルより強かった。

 

「──カガリ。もう少し落ち着くまでこのままで居ていい?」

「好きにしろ……でも、二度とこんなことはしないからな」

「──うん、ありがとう」

 

 周囲の喧騒が徐々に収まっていく。

 騒ぎが落ち着くその時まで、カガリはコクピットの中で震えるタケルを抱き続けるのだった。

 

 

 

 

 どれ程の時をそのままでいたのだろうか。十分に落ち着いてもカガリの温もりが心地よくてタケルはたっぷりと浸っていた。

 時間にしてはそれ程でもないだろう。だが、外の喧騒は完全に収まりを見せ、ヘリオポリスの住人の殆どが避難した今、先程までが嘘のようにコロニー内は静寂を見せていた。

 

 そんな静寂を、数発の銃声が切り裂いていく。

 急な音に現実へ引き戻されたか、カガリはハッとしたようにタケルから離れ、タケルもまた意識を軍人としての頼られる仮面に切り替えアストレイのセンサー類を確認する。

 やや遠いところの広場が音の出所のようであった。

 アストレイのメインカメラを最大望遠で拡大すると、タケルは見知った顔を見つけた。

 

「あれは……ラミアス大尉?」

「兄様、さっきの男の子も」

「他にも何人か民間人が……銃まで突き付けて、こんな時に何を!」

 

 慌てたようにフットペダルを踏んでタケルは広場近くへとアストレイを動かしていく。

 ある程度距離を詰めてから、警戒されぬ様先んじて外部スピーカーをオンにして。アストレイ越しにマリューへと声をかけた。

 

『そこまでにしてください、ラミアス大尉』

「っ!? この声……アマノ二尉?」

『銃を下ろしてください。いかなる事情があろうと、僕の目の前でオーブ国民に銃を向ける事は承服できません』

「たとえアマノ二尉の言葉であっても、こちらにもまた譲れない事情があります!」

 

 毅然と返すマリューにやはり実直な人だなぁ、とタケルは1人ごちた。

 どことなく隣にいる妹にも通じるところがある。

 

「降りるよ、カガリ」

「あ、あぁ……わかった」

 

 広場の至近にまでアストレイを寄せたタケルは、コクピットを開くとカガリを抱えてアストレイから降りていく。

 目の前にはタケルとカガリを見つめるキラ。そして未だ銃を構えたままのマリューが居た。

 足を怪我しているカガリは近くのベンチにいた女の子、ミリアリア・ハウの元へと向かい簡単な治療を受けさせてもらうようである。

 

 そんなカガリの姿を見やってから、タケルはマリューへと口を開いた。

 

「事情があることは察します。ですが、民間人に銃を突き付けて話をするのは違いませんか?」

「──そうでしたね。申し訳ありません、少し感情的に反応をしてしまったようです」

 

 マリューもまた自らの非を認め、静かに銃を下ろした。

 落ち着いたところでタケルはこの状況に至った経緯をマリューより詳しく話を聞きだしていく。

 

 曰く、ここにいるキラの友人達はマリューが戦闘によって気絶している間に、唯一奪取されなかったXシリーズの一機“ストライク”のコクピットへと乗り込み好き勝手に触りまくっていたという事だった。

 それを聞いて、思わずタケルは額に手をやって呻く。

 そりゃあ銃も突き付けられるというもの────招聘された自分ですら機体を眺めるだけしか許されなかったのだから。

 むしろ自分も見れなかったストライクのコクピットまで乗り込むなんてうらやま……いや、許せないと思っていた。

 

「知らぬこととはいえ、多大なご迷惑をおかけしました」

 

 話を聞き終えたタケルはそうマリューへと返した。

 

「私も、他国の民間人に銃を向けたどころか発砲までしました。アマノ二尉からすれば許されることではないでしょう」

「それも事情が事情です。威嚇目的だったのでしょう? 当たっているわけでもないですから、そこは水に流しましょう。

 それより、その肩の傷……」

 

 タケルが見やるマリューの方には簡易的ではあるが治療の跡。

 別れる直前まで戦っていたことを考えれば、その経緯には察しがついた。

 

「さっきの工廠の戦闘で、ね。それで危なかったところをそこのキラ・ヤマト君に助けられました」

「それでキラ君もここに……脱出艇に乗ってるはずがここにいるから驚いたよ」

「えっ、あっはい────あの後脱出艇には向かったんですけど、もう脱出艇に繋がる部分が破壊されてたみたいで……この人と一緒にストライクに乗って」

「なっ!? それじゃ、ストライクは動かせたんですか?」

 

 ストライクを見上げながら、マリューへと問いかけるタケル。

 工廠での動かせないとは何だったのか……あのマリューの表情を信じていただけに少しショックを受けた。

 

「ご、誤解しないでください!! OSが出来上がってなかったのは本当です。乗り込んだ時もまともに動けず、キラ君がストライクのOSを戦闘中に構築しなおしたんです」

「はい? 戦闘中にOSを構築しなおす? 本当に?」

 

 マリューからキラへと、タケルの視線がぐるりと巡った。

 

 全く持って信じられない話だった。

 機体のOSとはまさにMSの根幹だ。わずかな数値の違いが機体の挙動に大きな影響を与える。

 未完成でまともに動く気配がないMSのOSをまともに動かせるように短時間で構築しなおすなど、職業柄得意であるはずのタケルでもできるかどうかだ。

 それを民間人であるキラが、それも戦闘中に……タケルはまた別の意味で額に手を当てて呻いた。

 

 いるもんなんだなぁ……天才って。驚嘆と嫉妬がタケルの胸に僅かに沸くのは仕方がないと言える。

 

「一先ず状況を整理させてください。

 彼等はストライクに触り、地球軍の最新鋭機の機密に触れた……民間人として解放することはできず、地球軍の監視下に置くことになると?」

「そう、なります」

 

 僅かに、タケルは目を伏せた。

 これは難しい状況であった。本当であれば、すぐにでも空いている脱出艇に乗せて彼らを安全な場所に送りたい。

 だがこうなった以上、マリューが言うように民間人とはいえ連合の監視下に置かなくてはならないだろう。

 タケルがいくらオーブの軍人とはいえ、外交を担う程大きな権力を持っているわけでもない。

 

「あのぅ……貴方はオーブの軍人さんなんですよね?」

「ん? っと、君は?」

 

 思考するタケルを、傍らから掛けられた声が現実に戻す。

 見れば先程までマリューに詰められていた民間人の一人。眼鏡をかけた青年がタケルに声をかけていた。

 

「あ、僕はサイ・アーガイルです。アマノさんでしたよね。僕達の件、何とかならないんですか?」

 

 キラも含めた彼等の中でも、いわゆるリーダー格なのだろう。

 代表して自分達の事を助けて欲しいと要請しに来たようだった。

 

「難しいね……僕は所詮一介の軍人。連合の処置に対して異を唱えるほど、強い発言力は無い」

「大体、こんな見るからに最新鋭機。機密に触れるなんてわかるだろう普通。気軽に触ったお前達が悪い」

「カガリ、正論かもしれないけどその言い方はダメ」

「何がダメだ。知らなければ何しても良いわけがないだろう。お父様と一緒だ…………知らなくても、やってしまったなら責任は取らなければならない」

「はぁ、それは今関係ないでしょ。とにかく、今はラミアス大尉の指示に従ってもらうしかない。申し訳ないけど、今の僕では助けられないんだ」

「そう、ですか────わかりました」

 

 オーブの軍人であることが信用に繋がったのか、タケルの答えに意気消沈はしつつもマリューの決定を飲み込むしかない事をサイは理解したようだった。

 この場にいた他の友人達。トール・ケーニヒとカズイ・バスカークも同じだ。

 鼻で息を鳴らすカガリの言葉が厳しかったのもあり、タケルの表情は申し訳なさに歪んだ。

 

「ご理解いただけたこと、感謝いたします。アマノ二尉」

「ご迷惑をおかけしたこと、申し訳なく思います。ラミアス大尉」

「そのやり取りはいつまで続ける気だ?」

「必要な事なの、黙っててカガリ────それでラミアス大尉、この後はどうするつもりですか?」

「はい、彼等に手伝ってもらって、ストライクの外部武装パックを運んでもらいました。

 これを装備してストライクのバッテリーを回復したところで、ヘリオポリス内の地球軍に連絡を取ろうかと」

「そうですか、わかりました。それでは僕のアストレイでも連絡を発信してみましょう。キラ君、ストライクに乗って通信をお願い」

「わ、わかりました!」

 

 足早にストライクへと向かうキラを見送ると、タケルもアストレイへと向かう。

 先の戦闘では特に武装を使う事もなかった為バッテリーには十分に余裕があった。

 通信システムを起動して、すぐさま周波数を探る。

 

 

『こちら、ヘリオポリス内部、X-105ストライクです。地球軍、応答願います』

 

 

 うんともすんとも返事がない。タケルはめげることなく呼びかけを続けた。

 

 

『こちらヘリオポリス内部、X-105ストライクです。地球軍、応答願います』

 

 

 応答は無し。電波障害かあるいは受信側である地球軍が先の破壊工作で壊滅に遭っているか。

 タケルの脳裏に嫌な考えがよぎった。アストレイのメインカメラが、外部武装を装備しようとするストライクを捉えていた。

 電波障害であれば、ストライクの通信機能でなら行けるかもしれない。

 ともかく、今は呼びかけを続けるしかないだろう。

 

 

『こちら、ヘリオポリス内──

 

 

 タケルの声をヘリオポリス内に響き渡る破壊音が遮った。

 

 

 皆が視線を向けた先、爆煙と共に現れるのは、白く染められたMS────ザフトの指揮官用MSシグーと地球連合のMAメビウスの発展改良機メビウス・ゼロである。

 今回の騒ぎの中でヘリオポリスの外で戦っていた2機が、戦場を変えてコロニー内部にまで辿りついたのだ。

 

 

 

 

 

 白いシグーに乗るザフト軍、クルーゼ隊隊長ラウ・ル・クルーゼは自機のコクピット中で眼下の地上へと視線を向けた。

 

「ほぅ、あれが最後の一機。だが、それならばあちらの機体はなんだ────ふっ、おもしろい」

 

 興味深そうに、ストライクとアストレイを見やったラウは、付きまとうメビウス・ゼロをすれ違いざまに重斬刀で損傷させると、ターゲットを変えて地上へと向かった。

 

 既に帰還した部隊員からの報告で鹵獲失敗したXシリーズ最後の一機は把握していた。ならば、その傍らにいるもう一機はなんだ。

 新型がもう一機あったのか? であれば帰還した隊員からの報告にもあるはず。

 それによく見れば、Xシリーズとはどことなく趣が違うように見える。

 全く別系統────或いは既に量産化に入っていたか。

 

 様々な憶測を脳内に描きながら、ラウはシグーを飛翔させた。

 狙いはまず……ストライク。

 

『キラ君、換装を急げ!』

 

 外部スピーカーからタケルの大きな声が響き、突然の事態に固まっていたキラとストライクが動き出す。

 同時、開いていたコクピットを閉じたタケルはアストレイを臨戦態勢へ。

 跳躍に合わせてスラスターを全開。コロニー内部であれば少し高度を上げるだけで重力は大きく失われる。

 半無重力空間へと突入したアストレイは接近するシグーに応ずるように突撃していく。

 

「無鉄砲な……何のつもりだ」

 

 距離を縮めていく2機。衝突するまであと僅か。

 勇み足で突撃してきたアストレイに一瞥をくれると、ラウは完璧なタイミングで重斬刀を振りぬいた。

 

「何!?」

 

 振りぬいたはずだった。

 アストレイは寸前で更にスラスターを吹かして距離を詰め僅かにタイミングを先取った。重斬刀を握るシグーの腕にはシールドが叩きつけられていた。

 

 先に終えた初めての実戦が、タケルの身体から一つの緊張を奪っていた。

 今のタケルは狙った通り、思った通りにアストレイを動かせる。そして、一度の実戦はタケルに敵機との戦闘というものを叩きこんでくれていた。

 はたから見ても手練の敵機────であれば意表を突く、それが彼の狙いであった。

 

「狙い通りだ!」

「やってくれる!!」

 

 即座に反応したラウは、重斬刀を手放しアストレイを蹴りつけて距離を突き放した。

 すぐさま構えたアサルトライフルで追撃しようとするが、またもタケルとアストレイは奇策で対応する。

 先程シグーを殴りつけたシールドを今度は投げつけたのだ。

 シールドとはいえ機体の大部分をカバーできる大きなものだ。その重量は直撃すれば大きな衝撃となる。

 アサルトライフルを構えたところでこの近距離では撃ち落せるかも定かではない。

 

「くっ、対応が早い!?」

「ちぃ、次から次へと!」

 

 仕方なくラウは回避しながら距離を取ろうと後退し、タケルもまた深追いはせずに距離を取った。

 

「──この人、なんて反応だ」

「──君は一体、何者だ」

 

 苦々しく吐き捨てるラウは再びアサルトライフルを構える。

 だがタケルとアストレイもまたその場に留まるわけもなく、大きく後退して地表へと落ちていこうとしていた。

 

 どこまでも意表をついてくれる。

 

 ラウの胸中でにわかに剣呑な感情がせり上がってきた。

 無策かと思いきや意表を突く突撃。相手の調子を狂わせてからそのまま先手を取り、落ち着かれる前にきっちり後退。

 やった方はさぞ満足だろうがやられた方は不愉快極まりなかった。

 

「ふっ、そう簡単に逃がしはしな──」

 

 追撃に入ろうとしたラウの意識がアストレイから別の方向へと向かされる。

 コロニー内に響き渡る轟音。恐らくは艦船ドックがあった場所だろう。

 そこからは爆煙が上がっており、一目で何かが爆発したのだとわかった。

 

 今なお動きが読めない謎の機体に注意を払いながらも、ラウはシグーのセンサーで爆煙の場所を拾う。

 そこから出てきたのは、ラウの想像を超えた巨大なものであった。

 

 

 地球連合新造艦アークエンジェル。 

 

 轟音と共に現れた白亜の戦艦が、ヘリオポリスの狭い空を飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大切な者を守りたい。ただその想いから力を尽くして戦う2人。

 が、放たれた砲火はそんな想いを聞き届けはしない。

 向けられた銃と銃の間にあるものは、ただ生と死と、憎しみと。

 そのトリガーを引く訳、を今改めて少年達は知る。

 

 次回、機動戦士ガンダムSEED

 

『崩壊の大地』

 

 迫り来る脅威、討て、ガンダム! 

 




いかがでしたか。

キラ君ちょっと影薄い。他の子達も……対してマリューとカガリの存在感。
まだまだこれからなのでご容赦を。

感想、頂けると励みになりますのでお願いします。
高評価とか別にいいので、とにかく読者の声が聴きたいです。
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