機動戦士ガンダムSEED カガリの兄様奮闘記   作:水玉模様

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うーん、本当にこのドラマCD形式難しかったです。
何ならフレイの演説考えるより難しかった。
これにて終章となりますオーブの夜に。どうぞお楽しみください。


オーブの夜に sideT

 

 

 

 

「──むぅ」

 

 

「あの、タケル……そんなに怒った顔をしないで下さいな」

「誰のせいだと思ってるのさ」

「もう、ラクスに当たらないでよタケル」

「だから、誰のせいだと…………全部こんなパジャマを用意した」

「用意した私のせいだな。というか、兄様の自業自得だろう? 私はやり返しただけだからな」

「悪びれもしない!?」

 

「さーて、勝手にメディアへと私の写真を流したのどこの兄様だったかなぁ?」

「おかしいね? 僕は決してカガリを貶める写真を提供してなかったはずだけど? 全部カガリが国家元首に就任するに当たって相応しいものをチョイスしたはずだ」

「あぁそうだな。だから、私も、この場で共有するに相応しい、兄様の”魅力的”な写真を提供しただけだ」

「どこか魅力的なのさ! 人を羞恥に追いやるそれを出しておいて、良くもぬけぬけと──」

「おいタケル。ラクスに続いてカガリにまで当たるのはやめろ……大体、そんな状態で凄んでも、何の説得力も威厳も無いぞ?」

 

 

「えへへ……ハムスターのお兄様を後ろから抱きしめる事が出来るとは。サヤ・アマノ至上の幸福でございます。今この時だけは古妹にも感謝です」

 

 

「信じられない破顔っぷりね。アカデミーから一緒の私達でもこんな顔見たことないわよ」

「いいなぁ、サヤ…………私もタケルさんの事抱えたいよぉ」

「メイリン、貴女はジャンケンで負けた身でしょう。潔くそこで燻っていてください」

「ずるいよぉ、私もハムスターのタケルさんを愛でたいって!」

 

「あのさぁ、それ僕の後ろと隣でやるのメンタルゴリゴリ削られるからやめてもらって良い?」

「その場合は2人がそのまま癒すから何も問題ないじゃない? あら、とんだ永久機関ね」

「フレイ・アルスター、まさか君までこの状況を楽しんでいるんじゃないだろうね?」

「まさか────楽しいに決まってるでしょ? 私と並んで機関の実質トップに位置する男がハムスターのパジャマを着て……ぷっ」

「カガリ……今日程君を恨んだ日は無いよ」

「まっ、まぁまぁ良いじゃないですか隊長。小さい頃の隊長、可愛かったですよ?」

「ルナマリア、傷口に平然とナイフを突き刺しているという自覚はあるかい?」

「い、いえそんな」

 

「さっ、タケルの事は放っておいて俺達は給仕係だ。行くぞ2人共」

「あ、うんそうだね。ラクス、飲み物のお替り持ってくるよ」

「はい、お願いしますわ」

「あ、じゃあ俺もそっちに……何を手伝いますか?」

「ん、じゃあシンは追加のお皿を準備してくれる?」

「了解です」

 

 

「──ねぇ、サヤ?」

「はい? なんでしょうかお兄様」

「放してくれないと、僕もあっちに回れないんだけど?」

「別に良いだろ兄様。給仕係に3人も4人も要らないし」

「カガリ…………僕にここで残って、ガールズトークの間ずっと置物になってろって言うの?」

「その通りだが?」

「悪辣!?」

 

 

「良かったわねアマノ総括。今なら赤裸々に語られる女の子の本音も全部聞けるわよ? 役得じゃない?」

「いや、僕あの3人よりは朴念仁じゃないつもりだから、君達の本音を赤裸々に語られてもそんなに驚かないよ?」

 

 

 〈白んだ視線が突き刺さる〉

 

 

「良く言う。私に言われなきゃ義姉さん(ナタル)との関係すら踏み込めなかった癖に」

「ナタルとの関係はカガリに言われなくても時間の問題だっただろうしなぁ。確かにあの頃は僕もナタルも、そう言った気持ちには疎かったけど……」

「当時からサヤはお兄様に全力でアタックしておりましたが?」

「それは……サヤには申し訳ないけど、妹として一線引いていたから直視しないでいたし」

「ではミネルバにいた頃────ルナマリアの気持ちには気づいて居られましたか?」

 

 

「──えっ?」

「何だと!?」

「うそっ!?」

「まぁ!」

 

 

「えっ、いぇあっ、ちょっ────やめてよサヤこんな所で」(小声)

「お兄様────お兄様がダーダネルスで討たれたあの日。ルナマリアは自責の念に咽び泣くサヤにこう言ってくれました」

 

 

『大切な人の大切な想い……悪い形で終わらせないであげなさい。泣きたいほど大切な人なら、尚更ね』

 

 

「それはなんとも、僕の気持ちを代弁してくれる嬉しい言葉だね」

「はい。サヤには芯に染み入る金言であり、同時にルナマリアの事を意識するきっかけともなった出来事ですが……後になってからハッとしました。それ程までによくお兄様を見て、理解していたのだ……と」

「お姉ちゃん……」

「止めなさいメイリンその目は! 怨念が目に見えてるわよ! 

 あぁもう……そりゃあ当時だけ切り抜けば事実は事実だけど、ホントに全然、そんな気持ち、今はもうこれっぽっちも無いんだから!」

「本当に? お姉ちゃん?」

「いや、だから!? その顔やめなさいって…………そりゃあ、当時で言えば自分の欠点も克服できたわけだし? 戦場じゃ常に冷静で頼りになって、問題児のシンも上手く手綱を握ってて。おまけに面倒見も良くて優しいとなれば、そりゃ意識しないほうが無理だっての! 

 おまけにザフトじゃ有数の特務隊FAITHよ? 私からすれば理想の上官で理想の大人なわけだし」

「あぁそう言えば…………お姉ちゃん割と年上好きだったっけ」

 

 

「まっ、待ってルナマリア!? 嬉しくもあるけどその評価は後々の僕にあちこちの方面から刺さるからやめて!」

「そうだな。兄様の評価はそんな大層なもんじゃないぞ。今ルナマリアが述べたのは“外向き”の兄様だけだしな」

「今の姿を見ればわかるでしょ? 身内相手じゃこんなもんよ?」

「アイシャさんやシモンズさん相手だと、逆に子供扱いですし。孤児院でも子供達からは同じ目線で遊んでくれる友達感覚らしいですから」

「遠慮もなしに畳み掛けないでくれないかな!」

 

 

「虚勢ばかりで本音は見せない。抱えてばかりで勝手に潰れてく。頼りになるなんてのとは真逆だぞ兄様は」

「いや、それはまぁ…………私ももう存じてますけど」

「頼むから最後にそこで納得しないでくれないかい? さっきの事実にも驚いたけど今の君の帰結にもびっくりだよもぅ!」

 

 

 

「で、結局のところどうなのですかルナマリア? 本当にお兄様にもう未練はないのですね?」

「しつこいわよサヤ。当時はあった。それはまだ見えてないことが多かったからでもあるし、今は多くを知ってるわけで…………何より、当時だって想いの自覚はあったけど、同時にあんたやメイリンに比べたら足元にも及ばないって自覚もあったんだから────勝手に巻き込むんじゃないわよ」

 

「だ、そうだぞ。良かったな兄様?」

「うん、そうだね。ただ、もっと早くにそこまで述べてくれれば僕もイジられなかったんだけどね」

「人たらしな兄様が悪いんだよ。こんな話、別に彼女に限った話じゃないんだぞ?」

「限った話じゃないって何さ? 他にも誰かいるっていうの?」

「そうですわね。3年前、エターナルでこのようにパジャマパーティーをした際にも、タケルの名前は出ておりましたわ」

 

 

「えっと、それってもしかして…………」

「流石にわかるだろ? そうだよ、アサギ達だ」

「えぇー!? そうだったんですか? でも以前オーブでお会いしたときはそんな感じ全然」

「メイリンさんがお会いしたというと、恐らく大戦以後でしょうし、当時のパジャマパーティーの時点で御三方とも気持ちの区切りはついていたみたいですから」

「男女の好きよりも兄様を見てる事が好き、だったかな? 良かったじゃないか兄様。少なくとも嫌われてはいないぞ」

「いや、それくらいは流石に。ある程度教官として慕われてる自覚くらいあったさ────というか、ちょっと待ってよ。なんで赤裸々に明かされてるのが僕の人間関係なわけ!? 今日って男子禁制の女子会で僕は給仕役のハムスターなんじゃないの!?」

 

 

「あら、自認ハムスターはもう受け入れたのね」

「そこじゃない! こういう話普通、男である僕の前でする話じゃないでしょって!」

「ハムスターを前に何を遠慮する必要がある? 今ここにいるのは兄様じゃなくてハムスターなんだろう?」

「そうですわ。さぁ、タケルはハムスターに徹して、そこでサヤに抱かれててくださいな」

「ぐっ、それとこれとは──」

 

 

「はーい、お待たせー!」

 

 

「皆、追加のおつまみと飲み物を持ってきたよ」

「まずこちらから軽くスモークしたホタテに、白エビと桜エビのシュリンプカクテル、それからウニをあしらえた海鮮サラダ」

「飲み物はこっちっす。フルーツ系のジュースとか、一応炭酸飲料なんかも」

「ではトラさん、葡萄のジュースをください」

「あっ、私も!」

「ハイハイ、仰せのままに────ちぇっ、サヤもルナも遠慮なしだよなホント」

 

 

 

「ふーん、あぁいう素直じゃない感じは、確かにキラともアマノ総括ともちょっと毛色が違うわよね。

 ねぇカガリ。あの子確か、最初はもっとやさぐれてたって聞いたけどホント?」

「そういえば、わたくしも疑問でしたわ。アークエンジェルで共に戦った彼しか知りませんので。なんでも、出会った当初は随分と酷い態度だったとか」

「あ、あぁまぁ、それ自体は事実なんだがな。シンも当時は一杯一杯だった。それだけの話さ──なぁ、シン?」

「えっ、あ、いや、それはまぁ────そんなに睨まないでくださいって、アスラン」

「悪いが俺はまだあの時の態度を完全に許しちゃいないぞ。もちろん、今の態度もだが」

「それなら俺だって! L4でアンタが言った事、忘れてませんよ!」

「ほぅ? 何だ、俺の発言のどこに問題があったんだ?」

「ぐっ、だぁからぁ──」

 

 

 

 

「ねぇラクス、何あの2人? 犬猿の仲ってやつ?」(小声)

「私も詳しくは…………ただ、アスランは面倒見は良いけど色々と配慮や言葉が足らず顔を合わせるたびに言い合っていた、とはアサギさん達からお聞きしていますが」(小声)

「カガリさん、ウチのシンがすいません。後でキツく言って聞かせますので」(小声)

「別に公の場じゃ無いなら気にしなくても良いさ。だが確かにあの態度は少し疑問だよなぁ。ルナマリアは何か知らないのか?」

 

 

「えっ、えぇまぁ。そうですね…………一応は聞いてはいます、けど…………」

「煮えきらないわね? そんなに根が深い理由なの?」

「差し支えなければ、教えて頂けないでしょうか?」

「いえ、そんな。根が深いとか差し支えあるとかでは無いですけど、ちょっとシンにとっては大事な話と言いますか」

 

 

 〈顔を見合わせる代表3人〉

 

 

「えぇっとですね……結局のところ、理由は隊長に行き着くと言いますか」

「またタケル、なのですか?」

「そういえば、セルヴァでもみてたけど彼、アマノ総括には随分素直よね?」

「はい。と言うのも、シンにとって隊長は目標…………と言うか、もう人生の道標、みたいな感じでして」

「道標? また大層な話だな」

「機関への誘いを二つ返事で受けた時、シンから聞いたんです」

 

 

 

『俺さ、ずっと隊長に自分を重ねて見てたんだ。

 4年前、オーブで何も知らず平和に暮らして、そうして全てを失った。今でもやっぱり、あの時の蟠りが全部なくなったわけじゃ無いけど。

 でもあの日、隊長はずっと戦って、全てを賭けて抗って────それでも守れず、失ってたんだ。その後だって、2年前にまたオーブを撃たれて、全部奪われて。そうして俺なんかよりずっと必死で生きてきてたのに、守れないことばかりで。

 強くなってきた今だからこそわかるんだ。あの人がどれだけ失う事を…………守れない事を恐れていたのか。

 だから俺、あの人を助けたいって思ったんだ。同じように失って、奪われて、それでもずっと戦い続けるあの人の、その手を引けるだけ、強くなりたいんだ』

 

 

 

「だからシンにとって、隊長は目標でありもう1人の自分なんです。あの人と一緒に戦うことは、シンにとって強くなって守れるようになった自分の証明なんですよ」

 

 

「へぇ」

「それはまぁ」

「何とも、嬉しい話だな。そうして兄様を理解して、支えてくれる人がいるって言うのは。あぁ、じゃあさっき言ってたL4での発言って言うのは……」

「はい、あの日L4で私達が戦った時のことです。シンってば、あの時アスランさんが隊長を糾弾したことを根に持ってて」

「ですがそれなら、キラも同様だと思いますが?」

「キラさんとはアークエンジェルで結構打ち解けられたから蟠りがないみたいです。デスティニーのシミュレーションデータ作成に付き合ってもらったとか、色々と。ただアスランさんとはどうもウマが合わなかったみたいで…………結局のところ、好き嫌いの話だとは思うんですけどねぇ」

 

 

 〈言い合うシンとアスランを見やる〉

 

 

「まぁ一回根付いた印象とかは簡単には消えないわよね。私だって未だに、彼と深い関係を築くのは難しいと思ってるもの」

「お、おいフレイ……こんな場で」

「裏表は見ておいたほうが良いでしょ。特にルナマリア・ホークは、今後私の下で働いてもらうわけだし────有った事は、無かった事にはできないのよ」

「えっと、一体何の……l

「貴女もザフトだったなら知ってるでしょ。ザラ隊とアークエンジェルの戦い。聞くところによれば結構有名な話なんでしょ?」

「はい、それはそうですが……まさか?」

「えぇ、そのアークエンジェルに私は居たのよ。ついでにカガリやアマノ総括もね。詳しくは伏せておくけど、彼の部隊の執拗な攻撃で、私は友人を失った」

 

「それは……」

「もちろん、今更許す許さないなんて問うつもりは無いわ。でも……どう飲み下しても、蟠りは胸の内に残るものよ」

「まぁ、アスランも自覚はしてるだろうからな」

「私にだけは、ちょっとよそよそしいものね。でもま、それで良いのよ。結局のところ思うところあってもいつかは消える。前を見続けてればね」

「前を見続けてれば、ですか?」

「そうですわね。詰まるところ蟠りとは過去の因縁。過去を見続けていなければ、いずれはそれも消えると言う事ですわ」

「そんな簡単なものですかね?」

「意外と軽いものよ。根付いた感情なんて。

 私なんてラクスと出会った頃はブルーコスモスの思想に近い言動してたんだから」

「うぇえ!? 本当なんですか?」

「そんなこともあったな。確かに、少し後には180度違うフレイになってたっけ」

「全部サイとカガリのお陰よ」

「ふっ、それは光栄だな」

 

 

「と言うわけで、私達はみんな前を見続けていくんだから、そのうち彼も変わっていくわよ」

「はぁ、確かにそんな気もしてきますけど……」

 

 

 

 

「ちょっと落ち着こうってシン。アスランも、いくらカガリに喧嘩腰だったからって、いつまでも根に持たないでよ」

「俺はそんなつもりはないぞキラ。ただ、まだ覚えていると言っているだけだ」

「それを根に持ってるって言うんでしょうが!」

「それはお前の受け取り方の問題だろう?」

「ほらほら、シン。来る前に言ったはずだよ。機関の一員としてアスランと揉めないようにって」

「アスラン・ザラ、貴方も。良い加減シンを目の敵にするのはやめてください。L4でキラ・ヤマトと2人揃って負け越したからですか? 大人気ないですよ」

「バカを言うな。誰がそんな事で──」

「あぁ、気にしているのそれだったんだ。タケル対策でシンとシミュレーションしてる時、やたら本気だなぁって感じてたんだよね」

「うわぁ、アスラン…………そうやって後輩虐めて楽しい? あまり酷いとカガリに言いつけるよ?」

「タケル、それならもう何回か言われてるんだ。アスラン(SEED状態)がシンをボコボコにしてるのを見かねてね」

「あぁ、ちょっとキラさん! 隊長にその事は──」

 

 

 

「──へぇ? そんなにボコボコにしてくれたんだ?」

 

 

 

「お、おいタケル?」

「どうだったかなアスラン、シンは強かった?」

「ま、まぁな…………」

「でもボコボコって事は物足りなかったよね? じゃあ今度は僕とやろうよ。そろそろ決着もつけたいし」

「い、いや、この平和な世界で殊更決着を急ぐこともないだろう」

 

 

 

「あらまぁ、やってしまいましたね、キラ・ヤマト」(小声)

「どうすんですかぁ、隊長完全にキレちゃってますよ」(小声)

「ごめんって、タケルが教え子大好きマンだって事忘れてたんだよ」(小声)

「えっ、ちょ、どう言う事サヤ!? タケルさん、私の知らない薄ら寒い笑み浮かべてるよ!」(小声)

「お兄様は大切な教え子をバカにされるとキレるのです。アサギさん達を軽んじたフラガ大佐然り」(小声)

 

 

 

「モルゲンレーテに行こうか。エリカさんにお願いしてシミュレーターを使わせてもらうように手配するよ」

「落ち着け、今日はそう言う日ではないだろ」

「ねぇカガリ、ラクス! キラとシンがいるからアスランとちょっと遊んできて良いかな?」

「あぁ、良いぞ」

「かまいませんわ」

「そんな!? カガリ」

「うん、それじゃ────逝こうか、アスラン?」

 

 

 

 〈着信音〉

 

 

 

「ん、僕のだ────えっと、マリューさん? 

 はい、タケルです…………えっ? もぅ、何でまたそう言うことに…………どうせ無理にまた…………はい? はい、わかりました、すぐ向かいますね」

 

 

「どうしたんだ、兄様?」

「ごめん皆、今日はちょっともうお暇させてもらうね。マリューさん達と飲んでたナタルが酔い潰れちゃったみたいで、迎えに行ってくるよ」

「あ、でしたらお兄様、私も──」

「あぁ良いよ大丈夫だから。サヤとメイリンはこの場を楽しんで。カガリ、ラクス、あとをお願い、それとごめんね」

「気にするな。それより早く義姉さんを迎えに行ってやれ」

「お気になさらず。バジルールさんをお願いしますわ」

「うん、ありがとう────アスラン、後で連絡するから覚えておいてよね!」

「断固拒否する!」

「あはは、それじゃみんなお休み」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 繁華街を外れた海沿いの道。

 

 

「──んっ、うぅ」

 

 〈微かな揺れで目を覚ますナタル〉

 

「マリュー、申し訳ないがまた水を」

「ん、はい。ナタル」

「ありがとう、ございま──タ、タケル!?」

 

「あぁ、落ち着いてほら。あまり動くと背中から落ちちゃうから」

「──すまない、迷惑をかけて。今日はカガリ達に呼ばれていたんだろ?」

「気にしないでよ、ハムスターにされて散々だったし。むしろおかげで助かったから」

「ハムスター?」

「あぁいや何でもないよ、こっちの話────それにしてもすごいお酒臭いね、ムウさん? それともマリューさん?」

「いや、その────グラディス艦長と意気投合してしまってな。話が弾んでいつのまにかこんなことに」

「あら、予想外な名前が出てきたね」

 

 

「彼女から聞いたぞ、タケル…………君がデュランダル議長から最後の言葉を託されたと」

「あぁ、グラディス艦長から聞いたんだ。うん、その通りだよ」

 

 

「────重荷じゃ、ないのか?」

「どうだろうね。重たいは重たいけど、今の僕はそれだけではないから」

「そうか、そうだな──」

 

 

 

 

「なぁ、タケル」

「ん、なに?」

 

 

 〈小さなリップノイズ〉

 

 

 

「ありがとう」

「ふふ、僕のほうこそ────ありがと、ナタル」

 

 

 

 

 

 

 こうして静かに。

 オーブの長い夜は更けていった。

 

 




イチャぁ!
ちょいと裏話。
アークエンジェルにいた時、アスランがタケルのことをバカヤロウ!って言ってたのが気に食わなかったシン君。
そしてそんな忠犬をボコにされてオコな我らが主人公。
弟子の仇のためならSEEDの奥へ入ることも辞さない。


難しいドラマCD風も終わり次回から普通の執筆に戻ります。
ちらっともう一つか2つサイドストーリー書いたら、そろそろ劇場版に入ろうかと。
どうぞ応援(感想)よろしくお願いします。
楽しんでいただければ幸いです。
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