東京・新宿にある欲望の町、神室町。今日も夜なのに凄いにぎわいようだ。この町が眠ることはない。そしてこの町にも伝説がある。
そう、堂島の龍だ。これはその堂島の龍と極道達の物語。
~セレナ~
「いやぁこうしてお前とゆっくり飲めるのは久しぶりだなぁ桐生。最近忙しくてよぉ」
そう言ってるのは警視庁4課、通称マルボウの刑事、伊達誠。桐生一馬とは長い付き合いである。
桐生「だからと言って飲みすぎじゃないか?伊達さん・・・」
彼は桐生一馬、東城会4代目にして堂島の龍と言われてる伝説の極道。
その二人が飲んでる場所はセレナというスナックで行きつけの場所だ。
伊達「いいだろたまには?こうして堂島の龍とサシで飲めるんだ。少しくらい飲んでよ」
伊達は少し酔ってるのか機嫌がいい。
桐生「そう言って前も酔っぱらってただろ・・・全く」
あきれた感じで桐生が答える。しかしその顔はどことなく穏やかだった。堂島の龍の唯一安らぐ場所の一つだから。
伊達「まぁそういうなよ桐生。俺とお前の仲なんだしよ」
桐生「ふっ・・・」
伊達「それに最近また忙しくなってきたしな。俺だってたまにはゆっくりしたいんだよ」
桐生「忙しい?」
いつも言ってることじゃないか、とはあえて言わず話題転換のためにそう尋ねてみた。
伊達「あぁ、実は最近四国の極道達が勢力を拡大してるんだ。少数だがこの神室町に来てるって話だ」
どうやら四国の極道が力をつけてるらしい。
桐生「…四国?」
伊達「あぁ...四国央会(しこくおうかい)ってのを本家に活動しているらしい。ここ数年でかなり伸びている」
桐生「...」
桐生は沈黙した。また何か起こるのだろうという予感なのだろうか。
伊達「とにかく桐生も気を付けてくれ。何があるかはわからないからな」
桐生「わかった。ありがとう伊達さん」
そのあと一時間程度飲んでその日は解散した。しかし胸の中にある少量の不安は消えることはなかった...
~東城会本家~
大吾「皆ご苦労、これより幹部会を始める」
そういったのは東城会6代目会長の堂島大吾。関東極道組織東城会のトップだ。
大吾「今回の議題は...四国の極道達が急速に力をつけていることについてだ」
幹部1「6代目、調べたところ急速に力をつけたのはここ数年前です。今では近江にも負けないほどの数がいるとのことで」
大吾「なるほど...近江に動きは?」
幹部1「これといった動きはないですが、一部接触が起きた程度で特に注意する必要はないかと」
大吾「うむ...冴島さんはどう思いますか?」
冴島「おそらく...誰か裏におるんちゃうか?確かにあの伸びようは少し変やしな」
そう答えたのは東城会直系組織、冴島組組長冴島大河、極道18人殺しの名を持つ極道だ。
真島「ま、ワシに喧嘩売ってきたらやることは一つやけどな」
そう気楽そうに答えるのは東城会直系舎弟頭真島組組長の真島五郎、嶋野の狂犬と言われとり冴島大河とは兄弟分。東城会の中で一番幅を利かせている組である。
大吾「これから先どう転ぶかわからない。皆もいざという時の備えは頼む。」
幹部会の空気が少しひりついた。おそらく最悪のパターンを皆が想定しているのだろう。
その空気を真島と冴島が破った
真島「ま、ワシのとこだけで片付けたるわいざという時は」
冴島「おいしいとこ持っていく気か?真島の兄弟」
真島「言うなや兄弟!いわなかったらバレへんとこやったのに」
そんな冗談交じりのやり取りで少し場が落ちついた。といってもこんなやり取りはいつもの後継なのだが
やがて幹部会が終わり、冴島と真島は大吾に呼ばれ残った。
大吾「冴島さん、真島さん、いざという時は桐生さんたちと一緒にこの街を守ってください。攻めてきたとき桐生さんも黙ってはいないでしょうし」
二人を残してこう話すのは東城会の中で最も影響力のある二人もあるが大吾本人が心から信頼してるからだ。
冴島「任せろや大吾、近江だろうが四国だろうがやったるで、なぁ兄弟」
真島「ま、桐生ちゃんともやり合いたいとこやったしな。ちょうどええわ」
冴島はともかく真島は桐生とケンカしたいのだろう。しかし、やる気は十分伝わってきた。
大吾「お願いします。桐生さんはおそらくどこかから情報を手に入れてるかと思いますが、念のためにいつかお伝えしようかと思います。お疲れさまでした」
そう言って無事終わった。
こうして四国央会との物語は始まるのである。