[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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タフグミの父の日コラボ(?)に笑ったので急遽書いてみました。


父の日編 オトン達を覚醒させろっ!

「…プロテインのミルク割、お待ち(ゴトッ」

「…ありがとうございます(グイッ」

 

 此処はラーメン屋“幽玄”、父の日を迎えた宮沢家の長、宮沢静虎は家族から祝いの品を受け取り…それと同時に家族からの催促を受けて愛息、熹一の実の父親である日下部覚吾との話し合いを行う為、この場所へと赴いていた。

 

「…ミルクは成分無調整、低温殺菌された物……お見事です」

「いえ…あなたの好みは娘であるオグリさんと、そのお母様から聞いていましたので」

「なにっ!? あの二人から…?」

 

 以前は拳を交えた事によってお互いの想いを汲み取りあった二人であったが、静虎からすれば愛する妻と娘が目の前に居る男と自分の好みを語る程の仲になっているという事実に驚愕し、己でも意図しない闘気を発散させてしまうのは致し方ない事と言えた。

 そして、その闘気を運悪く浴びてしまった哀れな犠牲者が此処に一人…

 

「(こ、怖えぇ……何でこのラーメン屋に“宮沢静虎”が来て、店長と臨戦態勢に入ってるんだよ!? 店長の方は平然としてるし、やっぱりタダ者じゃないんだな…)」

 

 オグリキャップの元担当、北原穣である。

 彼は以前、オグリ達にこの店を紹介して貰ってから味と店長の雰囲気を気に入り、すっかり常連となっていたのだが今日に限っては来店すべきではなかったと体を震わせながら後悔していた…。

 

「…はっ! 申し訳ありません、北原さん 私が未熟なばかりに不快な思いをさせてしまい……」

「い、いえっ! 大丈夫ですよ、宮沢さん むしろこれが一流の格闘家の圧なのかと…か、感激していたくらいですから……」

「す、すいません……(シュン」

「(宮沢さん…見た目は怖いんだけど、こういう所を見せるから警戒心が薄れるんだよな…不思議な人だぜ、ホント)」

「…ご気分を害されたなら謝罪します しかしご安心ください、あなたの奥様もオグリさんもあなたを大切に想うが故、私に美点や好みを語ってくれたのです 何卒勘違いの程、なさらぬように」

「…日下部さんも重ね重ね申し訳ありません 私自身、この様な激情が己の中にあったのかと恥じ入るばかりです」

 

 幼少期から格闘に明け暮れていた堅物二人と一般人の中年一人、何とも言えない空気感が辺りを立ち込め始めた頃にそれを破るのは意外にも一人の中年の言葉であった。

 

「何と言うか…お二人とも、不器用なんですね?」

「「 なにっ!? 」」

「いや…だって、そうでしょう? お互い普通に話したいだけなのに、『この人はどんな言葉を求めてるんだろう』とか『この言い回しは相手を不快にさせないだろうか?』なんて牽制しあってるのが傍から見ても分かるんで何ともじれったい、と言うか……」

「いえ、北原さんの言う通りでした…どうにも場の空気に緊張してしまい、立ち合いの感覚で臨んでしまっていた様です」

「はい…オグリさんのトレーナーさんの仰る通り、私も自分が思っている以上に平静を保てていなかったようで……本当に、ありがとうございます」

「いやいやお二人とも、頭なんか下げなくて良いですって! それに、私はオグリの担当と言っても今は……」

「何を仰いますか 私の娘は『自分を見出してくれた凄い人なんだ』とあなたの事を今でも尊敬しているのです 御自身を卑下するような真似はよして下さい」

「熹一もあなたの事は『話していると場の雰囲気を和らげてくれるエエ人なんや』と褒めていたのですが、その意味にお恥ずかしながら今…気付きました」

「あ、あははは……それは、どうも」

 

 本人としては見たままの事を言っただけで明らかに自分より格上であろう格闘家二人に心からの賞賛を受けているというこの状況、北原の脳は驚きと喜びで“店長が宮沢熹一を呼び捨てにしているという事実”を忘れてしまう程には仕事を放棄させていた。

 

「北原さんのお蔭ですっかり私も緊張が解けましたので、良ければ私のつ、つ、つ、妻から頂いたお酒でもご一緒に如何でしょうか……」

「………はいっ! 私で良ければ付き合いますよ!!」

 

 『結婚して長いだろうに未だに“妻”って呼ぶの恥ずかしいのかよ、この人』という言葉を飲み込み、北原は大人の対応で静虎の誘いに快諾した。

 

「それではグラスは……宜しければ、裏に居る私の元弟子達もご相伴に預からせても良いでしょうか? 宮沢さん」

「はいっ、構いませんよ! そうなって欲しいと熹一とオグリからは酒の肴になる物をプレゼントとして、たくさん貰って来ましたので!」

「ありがとうございます おい、お前達! 宮沢さんのお許しが出たぞ!!」

 

 覚吾の一声と共に裏で待機していた“幽玄死天王”である犀の大観、疾風の春草、鼬の観山、大蛇の武山が瞬時に静虎達の前に現れた。

 

「なぁ、春草 俺達も参加して本当に良いのか?」

「覚吾さんと宮沢静虎が許可してくれたんだから構わないだろ しかし“父の日”ね…俺もこの飲み会が終わったら、久々に家族サービスでもやるか」

「今は日本に越して来てんだろ? 家族には会えるうちに会っとけよ疾風」

「鼬…今から“男達の時間”なんだ、そういう湿っぽい話は後にしろ 前回の奥さんの時は上等な酒をただ眺めているのは苦痛だったんでな、今日はこの“大蛇”の名の通り、たらふく飲ませて貰うぜ」

「(えっ…!? 何だこの人等、いきなり現れた…ってかビジュアルがスゲェ! 妖怪かよっ!?)」

 

 突如現れた四人に北原が慄いているのを無視するかの如く、客もおらず閉店間近の幽玄を当の店員達が飲みの場へと瞬く間に変えていった。

 そして完成されたスペースの中央で音頭を取るのは言わずもがな、店長である“日下部覚吾”である。

 

「よしっ! 準備は整ったな!! それでは…本日の今日、この日を祝って……」

「「「「「「「  乾杯っ!!  」」」」」」」

「ガチャッ)店長、配達が終わったが一体何の騒ぎだ?」

 

 忘れ去られていた幽玄最後の弟子“金城剣史”が到着した事により、再び乾杯の音頭を取り直す事となったであった…。

 

 

オマケの宮沢家

 

「キー坊…お父さん、大丈夫だと思うか?」

「心配すんなや、オグリ 親父(おとん)も…親父(オヤジ)も良い大人なんやし、顔突き合わせていきなり喧嘩とまでは行かんやろ」

「そうよオグリ、熹一の言う通り この前、覚吾さんと話した時に私思ったのよ あの二人は絶対に相性良いんだって」

「…お袋(おかん)もこう言っとる ワシ等に出来るのは滅多に飲まん親父(おとん)がへべれけになっとる所を家に帰すって仕事だけや」

「あら? その仕事はお母さんが行くわよ 静虎さんが酔っ払うなんて面白くてかわいい所、滅多に見られないんだから独占しとかないとね」

「お母さん…」

「ホンマ、ワシ等のお袋(おかん)には敵わんなぁ……」

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