[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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前にとあるコラ画像を見たのを思い出したので衝動的に書きました。


鯱と弾丸

「せや…そのまま、ゆっくりでエエ 息を吸って同じ位の強さで吐くんや」

「スゥー…ハァー…スゥー…ハァー……」

 

 有馬記念を終えた中山レース場の控え室で灘真影流創始者、宮沢熹一はとあるウマ娘に“気による施術”を行っていた。

 施術される側である彼女の反応は当初、端正ながらも険のある顔立ちを歪めた胡散臭げなモノであったが“中央が認めた施術師”であり、熹一に対しての個人的な興味もあったので治療を受けてみると血が流れていた頭部の痛みを直ぐに自覚し、同時にその痛みが徐々に…しかし確実に癒えて行く事に驚いていた。

 

「ゲートにぶつかった時にできたモンやろうが、アドレナリンがドバドバで気付かんかったやろ? 歩き方で失血以外に血流が悪くなっとるのは分かっとったが…これで自然治癒の応急処置は完了や カットバン貼るから後で腕のエエ外科にでも縫って貰え」

「……マジかよ、痛くねぇ 前にアンタの闘ってる所をネットで観たけど…明らかにワープしながら空中で蹴り合ってたり、見えない打撃なんて打ってるからよ…絶対に『トリックだろ』って思ってたんだが、どうやら本当(ガチ)らしいな すげぇよ、オッサン」

 

 施術を終えて熹一に礼を言った“ディクタストライカ”は不適さを含みながらも人懐っこそうな笑顔を向けた。

 

「“オッサン”ってお前…まぁ、エエわい 後な、人には『気による施術を受けた』なんて無暗に言わんどけよ 『頭おかしくなったー』言われるのがオチやからな」

「…そういうモンか? むしろオッサンのお蔭で頭の調子が良くなったんだけどな」

「こういうモンは“人前でやらん”のがミソや そうせな、世の中ニセモンで溢れかえってまうからな」

「ふ-ん…だったらよ、今オレ達の前に居る“もう一人のオッサン”には見せても良いのかよ?」

 

 ディクタの指摘通り、彼女らの目の前にはもう一人“屈強な肉体を持つ男”が立っていた。

 

「“オッサン”…オグリキャップといい、キー坊 ウマ娘ってのは礼儀知らずばかりなんスか? コレ、忌憚のない意見なんスけど」

 

 

 ネオ・プロレスラー“鯱山十蔵”、彼はディクタの『オッサン』呼びに憮然とした態度を取りつつも内心、傷付いていた…。

 

「鯱山、お前の口から“礼儀”なんて言葉が出るとはのぉ これ位の女の子からしたらワシ等なんぞ皆オッサンやん いちいち気にすんなや、しょーもな……」

「あー…なんか悪かったな 熹一サン、鯱山サン…で良いか?」

「ワシはキー坊で構わんよ で、ディクタか…鯱山(コイツ)はエエんや 『灘の活法を習いたい』言うんで今回連れて来ただけやし」

「“活法”…オグリのヤツがたまにやってる変な整体だよな 最近、巷で流行ってるのは聞いてたが今日、実際に受けてみて確かに効果が凄かったのは認めるよ」

「せやろっ! 神戸と都内に支部があるんやが施術院も並行しとるんで御用の際は…」

「キー坊、何営業モードに入ってるんスか 昔のストイックさは何処行ったんだよ」

「アホゥ! ウマ娘への支援金貰ってもオグリの食費に対して雀の涙なんやっ!! ワシ等家族が貯金して引退、老後の事も考えんとアカンやろがいっ!!」

「……悪い、言い過ぎたっス」

 

 未だかつて見た事が無い形相で詰め寄る熹一に引き気味で謝る鯱山にディクタは破顔し、大笑いをする。

 

「ハーッハッハッハ!! オグリのヤツも大概“ブラコン”だと思ってたがキー坊、アンタも大概に“シスコン”なんだなっ!!」

「な…何やとっ!?」

オグリ(アイツ)さ、中央で事ある毎にアンタの話ばっかで又聞きでも『うぜぇ!』ってくらいなのに当のアンタも相当でもう逆に笑えて来たぜ…」

「…分かるぜ、それ ブル・マツダの特訓から始まって俺との試合の時も居たし、その後も付かず離れずみたいな距離感でよ、オグリが中央行ったら落ち着くのかと思えばトレーナーになれないからって施術師になって中央に入り込むんだ もうある意味、バ鹿だよバ鹿」

「マジかよっ! “世界最強”の看板背負った男が“バ鹿”って…アホくせぇなオイ!!」

「なんやねんお前等! 家族を大事に思っとるワシに対して辛辣過ぎやろがいっ!! 次からは教えんのも治すも金取んぞっ!!」

 

 突然の二方向から来る『シスコン』呼びに熹一は二人に対し、まるで猿の様に威嚇のポーズを取った。

 そんな“バ鹿丸出し”の様子に二人は吹き出すも、しばらくすると落ち着いたようでディクタが熹一に対して謝罪をした。

 

「あー、悪い悪い でもよキー坊…アンタのお蔭でオレも“肚が決まった”よ」

「俺もだよ…“再確認”って言うんスか? 覚悟決まったっス」

「…何を言っとんのや、お前等」

 

 訝しむ熹一の目をしっかりと見ながら二人は示し合わせた様に宣言する。

 

「「 “最強”になる為には“バ鹿”になるしかねぇ!! 」」

「なにっ!?」

 

 二人の宣言を聞いた熹一は驚いた様子であったがディクタと鯱山は互いに目線を合わせてニヤリと笑う。

 

「へへっ、だよな鯱山サン」

「若いのに分かってんじゃねぇかディクタ 道は違えど互いに“最強”目指してんだ、バ鹿が本道ならこのまま突き進むだけさ」

「オレは“レースバ鹿”に!!」

「俺は“プロレスバ鹿”になっ!!」

 

 年齢も、性別も、種族も違う二人の“バ鹿を目指す者”が今日この日を持って新たな友諠を結んだ瞬間であった。

 

「いや…なんやねん、この状況は……」

 

 

 

オマケ

 

「そういや鯱山サンってよ、何で今日はキー坊から活法を習おうと思ったんだ?」

子供(ガキ)の頃から面倒見て貰ってたトレーナーの山本さんが最近、体の調子を崩しちまってな キー坊に相談したら『なら自分で治せたら恩返しになるやん』って言われたから、折角だしと思ってよ」

「普段世話になってるトレーナーへの感謝か…オレも小内(トレーナー)にたまには何かしてやるかな……」

「おうっ、そうしとけ 感謝なんて受け取れるんは相手が生きとるウチだけやからな」

 

 

オマケ2

 

「キー坊、そもそも今日はオグリ()がGⅠタイトル取ったのに何で本人の所に行かなかったんスか?」

「アホゥ、今日はタマとの戦いの“一区切り”だったんや 二人だけの時間持たせてやって家帰った時にでも盛大に祝ってやればエエねん…“タマの家族も”含めてな」

「…さっきまで『妹がー』とか五月蠅かったヤツとは思えねぇほど気ぃ使ってやがる」

「“バ鹿”なだけじゃなく“優しさ”もなきゃ“最強”じゃねぇって事か…やっぱり難しいな、強くなるって」

「ま、取り敢えずオレ等も身近に居るヤツ等に優しくすることから始めるかね…鯱山サン」

 

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