[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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本棚からデビデビ引っ張り出して書いた話です。


“奇跡の子”と“怪物”を繋ぐは悪魔のお蔭

 ある日、父である静虎へフランスでの護衛の仕事が入ったので『向こうのレース場を一度見てみたい』という希望を出したオグリキャップ。

 娘の滅多にない“おねだり”に静虎は二つ返事で頷き、二人でのフランス旅行が始まった。

 そして現在、首都パリの“ルーヴル美術館”から出て来たオグリ。

 『レース場へは二人で行こう』という父との約束もあり、父の“仕事”の打ち合わせ中に空いた時間でせっかくだからと叔父である鬼龍が前から薦めてくれていた“芸術鑑賞”を堪能し、その顔は満足気であった。

 すると美術館前で一人、キャンバスに向かっている自分とそう年の変わらない少女を見かけるも、何故か惹かれる物を感じ…気付けば足はその方角へと向かっていた…。

 

「…上手だな プロの画家なのか?」

「…ッ!?」

「驚かせてしまって済まない……いや、そもそも日本語は通じないか」

「いえ…少しなら、ダイジョウブ アナタの事もテレビで見た オグリキャップ…デショ?」

「うん、その通りだ 改めてさっきは済まない 君の描いた絵が綺麗だったからつい、声をかけてしまった…えっと……」

 

 謝罪すると同時に自分は目の前に居る子の名前を知らない事に気付き、オグリは言葉を言い淀んでしまう。

 すると少女はその様子が面白かったのか鈴が鳴るような声音で笑った後、自己紹介を始めた。

 

「私のナマエ、“マリア”言います 絵を描くのはスキだけど、プロじゃないです」

「そうだったのか…しかしマリア、君の絵は凄いな 私の叔父が言ってたが『何もない所から“美”を生み出すのは人が持つ最上の能力』らしいんだ だから私も君の事を尊敬しているぞ」

「……えっ?」

 

 急に呆然とした表情を浮かべたマリアを見たオグリは心配になり、彼女に声をかける。

 

「だ、大丈夫か…マリア? 私が何か気に障る事でも言ってしまっただろうか?」

「いえ…違いマス、オグリ 私が小さい頃にミタ“不思議な夢”に出てきた“おじさん”も似たような事、言ってたカラ……」

 

 それからマリアはポツリポツリとオグリに対して語り始めた。

 子供の頃に見た“世界はウィルスで滅び”、親ともはぐれて一人でパリを彷徨っている時に出会った“美術品を守るおじさん”の夢の話を…。

 

「私のパパもウィルスのせいで怪物になっちゃって…アッ! “こっちの”パパは元気ダヨ! その…“向こうの”パパとお別れする時とそのアトも私とイッショにいてくれたおじさん…もう顔も思い出せないけど、“日本の人”って事は覚えてタノ」

「そうか…だからマリアは日本語を覚える事にしたんだな」

「ウン、あの夢をミテから私も今まで出なかった声が出せるようになったカラ……ケッキョク“夢の話”だし、今もおじさんとは会えてナイんだけどね…でも、今日はヨカッタ! お蔭でオグリとこうして話しができたんだモノ」

「ああ、私もこうしてマリアと話せて良かった しかし…マリアの夢に出て来た“おじさん”は聞けば聞く程、私の叔父“宮沢鬼龍”に似てるな」

「エッ! そうなの⁉︎」

「うん “絵は下手”だし、“とっても強い”し、“ぶっきらぼうだけど優しい”所は間違いなく鬼龍おじさんだ」

「オ、オグリ…その人の写真ってアル?」

「あるぞ 待っててくれ、今携帯にあるのを見せるから……」

 

 言うと、オグリは持っていた手提げのカバンから携帯を探し始めた。

 “此処では無い何処かの世界”で出会った恩人とマリアが再会するまで、あと少しであった…。

 

 

オマケ

 

 今回の静虎の“仕事”も無事に終わって約束通り、フランスでのレースを二人で観戦する事になったのだが…其処には“もう一人”、オグリと友人関係になったマリアの姿があった。

 

【最終コーナー! “スワ―ヴダンサー”と“ミエスク”の一騎打ちだぁ!! 勝利の女神は一体! どちらに微笑むのかっ!?】

 

「スワ―ヴダンサーか…『雲の様に走り、抜き去る姿は風の如し』とは正にその通りだな、マリア」

「ミエスクだって同じ芝が適正なんだカラ! 『諦めを知らない女傑』のスパートはこれからダヨ、オグリ!!」

「オグリとマリアちゃんはすっかり意気投合している様ですね 私の仕事の打ち合わせ中に二人は仲良くなった様だが……」

「そうナノ! “鬼龍おじさんにソックリ”のパパさん! 私とオグリはすっかり仲良しダヨ!」

「うん “不思議な縁”だけど、鬼龍おじさんが大好きな子と友達になれて良かったよ」

「“鬼龍が繋いだ縁”…か う~ん…そうか……」

 

 自身が幼い頃より一族に迷惑を掛け通しの兄のお蔭で紡がれた“縁”。

 若干、複雑な思いを抱えつつも、愛娘の見せる笑顔を見て『まあ、ええやろ』と気分を切り替えた静虎は彼女等と共にレースの行く末を見守る事にしたのだった。

 

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