[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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小内トレーナーと宮沢親子の話です。
今更ながらキー坊の年齢は龍継ぐの『ワシは“数年前”にオトンとハイパー・バトルで戦っとる』発言を基準に二十台半ばで設定しています。
なんやねんその“TOUGHから10年後”、“キー坊の生年月日”、“田代さん時空”って? ワシは知らんで


灘の食法を体験しよう

「“小内”さん、野菜はこれ位で宜しいでしょうか?」

「はい、静虎さん これだけあれば十分だと思われます」

「…なんや、肉が足りんのォ 親父(おとん)も小内トレーナーも『選手の為に鍋を振る舞おう』言うならもうちっと、肉用意した方がエエんやないか?」

「何を言っとるんじゃ、熹一 栄養バランスが崩れがちになる“若い内”こそ野菜を取るべきやろ」

「私も…静虎さんと同意見です 担当であるディクタストライカも野菜を敬遠する傾向にあるので…この機会に中央の施術師を務める静虎さんと熹一さんのお二人に是非とも、鍋の極意をご教授願いたいのです」

「小内トレーナーは喋り方がホンマ、カッタいのォ…ワシの事は『キー坊呼びでエエ』言うとるのに頑なに呼んでくれへんし」

「当たり前やろが熹一 小内さんの立場を考えれば軽々しく呼ばん様に己を戒めとるんじゃ、強制する必要はないやろ」

「…いえ、静虎さん 私も熹一さんには担当が負傷した際に治療をして頂いたので、出来る限り彼の要望には応えたいとは思ってはいるのですが…何分、性分と言えば良いのか気恥ずかしさが勝ってしまい…なかなか呼べないのです」

「…ま、小内トレーナーのペースでエエわい 六平のオッチャンや金剛八重垣流の師範代からも最近は呼ばれとったからこの際、中央の皆から呼ばれるのもオモロイ思っとっただけやしな」

 

 近所のスーパーにてカートを押しながら中央のトレーナーである“小内忠”と会話をする宮沢静虎と熹一。

 中央において『最近の選手は食生活で栄養をしっかり摂れているのか?』という議題が出され、調査の結果『僅かばかりの偏りが見られる』との結果が出たので改善の為に白羽の矢が立ったのは数多くの実績から中央への信頼が厚く、“灘の食法”を知る宮沢親子であった。

 尚、滅多に中央に顔を出さない尊鷹と宮沢親子と顔を合わせると必ずと言って良い程トラブルを招く鬼龍は選考の時点で除外された。

 

「お二人とも道場の経営もあると言うのに、本日は誠にありがとうございます」

「いえ、私達の食法がお役に立てるのであれば喜んでお手伝いしますよ」

親父(おとん)の言う通りや それに、中央の()の好みもそれぞれやしな 『まずはトップ層の好き嫌いを知ろう』って事で小内トレーナーに声掛けたら二つ返事で来てくれて助かっとるで」

「…今回は六平トレーナーと小宮山トレーナー、奈瀬トレーナーを都内の道場に呼び、食事会という名目での“会議”です 有意義なお話を出来ると思い、参加させて頂きました」

「いえ、ですが…皆さんからメモ書きは頂いているので買い出しならば私達だけで良かったというのにスーパー(ここ)まで着いて来て下さり、ありがとうございます」

「年配の方と女性ばかりの集まりなのです 私の様な“若い男手”が率先して動くのは当然ですし、それに……今日はお二人ともゆっくりお話しをしてみたかったので」

 

 そう言って自身の掛けている眼鏡を“少しだけ震える手”で直す小内。

 2mはある体躯を猫背にし、少しだけ暗めで二十代とは思えぬ雰囲気を醸し出す彼の仕草に熹一は吹き出し、静虎も眼鏡を直す。

 

「ぶははっ! 何やアンタ! タダ(モン)やない気配出しとる思うたら“緊張”しとっただけやったんか!?」

「熹一、失礼やぞ ワシ等も格闘家として多少は世間に認知されとる身…“暴”の気配を僅かばかりでも感じさせてしまった己の未熟さを恥じる所や」

「い、いえ誤解です…お二人からはその様な気配は一切感じられず、むしろ“安心感”さえある程ですが、その…“憧れの選手”と会えたのが嬉しくて、つい」

 

 小内は少しだけ慌てた様子で二人に弁明し、再び眼鏡を直す仕草を取る。

 

「なんや小内トレーナー アンタ…ワシ等のファンやったんか? 格闘技とか観るタイプには見えんけどなぁ…?」

「はい、仰る通りです しかし熹一さん…私が若い時分、たまたまテレビで観た“TDK”、その後の“ハイパー・バトル”でも貴方の活躍が鮮烈だった物で印象に残ってしまいました」

「…私達、親子の戦いも観ておられたのですね?」

「ええ…己の全てをぶつけ合い、認め合う二人の姿は輝いて見え…私は思ってしまったのです 『こんな光り輝く選手を支えられる人間になりたい』と」

「…で、今は“中央のトレーナー”か ワシ等の“親子喧嘩”にそう思ってくれとるのは嬉しい反面、なんや…むず痒いのォ……」

「私にたまたま“そちらの才能”が有った為、今の立場に居ますがお二人に対する感謝は忘れておりませんので 本日はこうしてお会い出来て光栄だと思っています」

 

 そうして小内は僅かばかり口角を上げ…彼にとっての“笑顔”を二人に見せる。

 

「私達も武術家として未熟なばかりで未だ“戦わずして勝つ境地”に至らぬ身ですが…それでも小内さんの心に何かを残せたのであれば、それは大変喜ばしい事です」

「せやな…結局、親父(おとん)もワシも生まれついての“戦う人”や しゃあけど、ワシ等の戦った道の途中で小内トレーナーみたいな“導く人”に影響与えられたなら…それって上等やん?」

「…私が現在、担当しているディクタストライカも間違いなくお二人同様“輝く”ウマ娘です 彼女なら貴方達が見せてくれた物と同様の感動を世間に与えられると信じていますから」

「…ホンマ、エエ話聞かせて貰ったわ ディクタ(あの嬢ちゃん)もきっと喜んどるな……おい、“お前等”隠れとらんと早よ出てこいや」

 

 熹一の突然の呼びかけに(ラック)の影から姿を現したのは顔を真っ赤にしたディクタストライカとそれを心配そうに眺めるオグリキャップの二人であった。

 

「……ディクタストライカ 何故此処に居るんですか?」

「いや…これはディクタが灘の道場に興味を持ってくれたから私が案内しようと思ったんだが、途中でお腹が空いてしまいスーパーで何か買おうと立ち寄ったらみんなが居たのでディクタが隠れようと……」

「オグリィ! ンな事どうでも良いっ!! トレーナー(アンタ)こんな所で何をこっ恥ずかしい事言ってやがんだ!!」

「なんや、陰気な雰囲気に反して“熱い男”やろがい 思春期言うても、もうちっとリスペクトしたれや」

「うるせえ! キー坊(アンタ)も気付いてんなら無視しろよっ!!」

「それはムリやな ワシは何時だって“常在戦場”やし、気付いたら教えたるのもオモロ……“優しや”やん?」

「おい! 今、『オモロイ』って言おうとしやがったな!? クッソ、ウゼェーっ!!」

 

 熹一のからかいで更に顔を真っ赤にして怒りを露わにするディクタを尻目に静虎とオグリはカートの中身を確認していた。

 

「これは…鍋の材料か お父さんごめん、今日は道場で何か用事があったんだな?」

「何、気にするな 折角だからお前も友達誘って一緒に参加したらエエわ “現役の選手”の意見も聞けたら丁度エエと思っとったんじゃ」

「何の話なのかは見当が付かないが…分かった お父さんとキー坊の役に立てるなら誘えるだけ誘ってみるよ」

 

 その後、都内の道場にはオグリの誘いにより数多くのウマ娘が集まっての鍋パーティが開催されたのだが…“野菜が多めの鍋”に対し、数多く不満が集まったのでやり直しが決定された。

 

「お父さん、やっぱり動物性のタンパク質を増やした方が良かったんじゃないか?」

「いや、しかし…人間は『本来、草食動物』というデータもある事やしな……」

「それ毎度思うんやが、親父(おとん)の好みってだけやろ? 年取ったら食えなくなるんやし、もうちっと若い(モン)に肉食わせたれや」

 

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