[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ 作:日常系好き
「アンタがキー坊…“宮沢熹一” 覇生に居た時から話には聞かされてたが、見れば見る程『強そう』ってカンジには見えねぇな 今
「なんや“イナリワン”言うたか…ミノルさんに負けず劣らず口の減らん娘やのォ ガタイはエエようやが、小柄過ぎてこの前ヤクザ
「あぁん!? アンタその発言はミノル兄さんの前にあたしと
「おうコラ、キー坊! アンタが口喧嘩買うのは勝手やが…『身長の話』はウチにも刺さるからそれ以上はやめとけや」
「おっと、今は引退したとは言え一線を走ってた“覇気”は健在のようだな “タマモクロス”…やっぱ、テレビよりも実物見た方が参考になるね」
「…お褒めに預かり光栄やな、“ミノル”さん キー坊から『静虎のオッチャンが昔世話になった』聞いとったし、礼の一つでもと思っとったけど…なんや随分と気持ちが良い男やないか」
現在、会話により“嘲り”、“応酬”、“激昂”、“窘め”、“関心”が渦巻く
そもそもの発端は熹一が『一度キチンとイナリに会ってみたい』という要望からの集まりであったがイナリの大井、中央の担当を務める“梼原親子”は用事が入り不在。
熹一側もオグリが急な遠征の為に来れなくなった為、たまたま居合わせたタマに声を掛けた結果の面子であったが、『覇生流にゴタゴタを持ち込んだヤツの関係者』と『妹と出掛けられる機会が
残りの二人が“緩衝役”になるという地獄の様な状況が出来上がっていた。
「いや、そう言ってくれんのは当然だな 俺ってば天才の上、思慮深いからよ キー坊に倣って『タマ』と呼ばせて貰うぜ?」
「構へんよ、ウチもその方が気楽でエエわ…ったく、キー坊もエエ年なんやしミノルさんみたいに“大人の対応”見せんかい」
「…せやな イナリ、出会い頭にスマンかったわ」
「……あたしも別にアンタに原因があるワケでもねぇってのに絡んじまって悪かったよ」
「その通りだぜ、イナリ それに
「…分かったよ、ミノル兄さん あたしだって映像だけど
「なんやもう…結局、二人してワシの事バカにしとんのやないか」
「“NEO宮沢熹一”の時は強そうな雰囲気出とったけど、同時に“近寄りがたい雰囲気”もあったからな 結局キー坊は今の坊主頭で丁度エエ言うこっちゃ」
タマのフォロー(?)に納得いかないという表情を浮かべるも頭を掻いて気持ちを切り替えた熹一は覇生の二人に話を振る事にした。
「…で? “覇生を抜けた
「あー…あたしが大井に居る時も中央に移るって話になってからも細々と嫌がらせは受けてたが、直接的なのはミノル兄さんが片付けてたんだ けどね、世話になってる“姐さん”と“
「なんや、カチ込みでもやったんか? 武術を修めてるとは言えウマ娘“らしくない”事やるんやな」
「ソイツは誤解さ、タマ
「……まさか、
熹一の驚いた顔を見たミノルが『待ってました!』とばかりに指を鳴らし、イナリが起こした偉業を語って聞かせる。
「そのまさかよっ! 覇生流の秘儀“風当身”による天鳴大太鼓の連続50回叩き!! 覇生の山に“一週間の大雨警報発令”だぜっ!!」
「ま、マジか…
「なんやキー坊? 太鼓叩くのにそこまで驚いてる所見るに…『バチがエライ重い』とかなんかか?」
「ちゃうわい バチなんぞ使わず己の手から出した風圧、“風当身”のみで大太鼓を鳴らす覇生の雨乞い兼、会得までの通過儀礼や」
「な、なんやて!? イナリ、アンタとんでもない事やるんやなぁ……いや、静虎のオッチャンも人間で20回も鳴らすんやから大したモンや」
「…
己の偉業を誇る訳でもなくむしろ『悔しそうな気持』を隠し切れないイナリに疑問を浮かべた熹一とタマの二人にミノルが“補足説明”を入れる。
「イナリが連続で打ち込んだ風当身は“15発”なんだよ そうすると、50発まで数が足りないよな…?」
「なんや、ミノルさんも手伝ったんか?」
「いやいや、タマ 流石に絶賛成長中である天才の俺でも追加で静かなる虎に並ぶ“20発”で限界を迎えちまった するとよ……」
「成程のォ…それは、確かに“偉業”やな」
「キー坊…今回はオチまで言わず感謝してやるよ その通り! 俺達の風当身に触発された“門弟達”が協力してあのイヤミったらしい狐面4人の前で“残り15発”を打ち込んでやったのさっ!!」
そう言って大笑いするミノルに釈然としない表情を浮かべるイナリ。
「けど、ミノル兄さん あたしは『覇生を抜けたけど、それでもここまで成長できた』って事を見せつけてやりたくて“50発”って宣言をしたんだ それなのに最後は兄さんや皆に手伝って貰っちまったなんて、そんなの……」
「打った風当身の“数”が重要なんじゃねぇんだ、イナリ お前の“泥臭さ”が着いて行った俺と見ていた門弟共の心を動かして保身ばかりのバ鹿共の鼻を明かしてやったんだ! これ以上に爽快な事があるかよっ!!」
「せやのォ…オグリやタマもそうやが、“時代を動かす選手”言うのは“華”がある
「…ったく、カッコ付けるなら最後まで決めんかい…“蓮の花”やろ? 仏さんも座っとるヤツや」
「おうっ! ソレやソレ!! イナリ、お前は人を動かすことが出来る立派な“華”を持っとる!! オグリの
「ウチも引退してなんや寂しさみたいなモン感じ取ったが…
「な、なんでい…アンタ等、急にあたしの事を褒めやがって」
急に熹一とタマの二人から送られた賞賛に動揺し、しどろもどろといった様子になるイナリ。
そんなイナリの背中を叩いていつもの不遜さを含んだ爽やかな笑みを見せたミノルは再び大声で笑い出す。
「はっはっは! こりゃあ良い! “畑違い”と“引退者”の心も惹いちまった!! 正しくお前は泥に咲く“蓮の花”だっ!! 決めたぜ、お前の“二つ名”……」
そして“風のミノル”はイナリを指差し高らかに宣言する。
「“
「“二つ名”…ミノル兄さんと同じ、“あたしだけの”二つ名……」
「ワシもエエ名前やと思うが…エエんか、ミノルさん? 今は居らん
「エエんやないか、キー坊……ウチもそうやけど、二つ名なんていくつあっても良いんや せやったら自分が気に入ったモン使い分けるのも“アリ”やで?」
「…そういう“ファッション感覚”は流石女子やな ま、本人が気に入っとればそれでエエか」
熹一とタマとの会話を尻目に当のイナリは体を震わせ…ついに我慢できなくなったのか天に拳を突き上げて『宣言』する。
「あたしはイナリ! “
こうして、店内での『選手宣言』を終えたイナリ達は他の客から『うるさい』と苦情を受けて店から退散する事となったのだった…。
オマケ
「…ったく、料理も食わんと店から追い出されるんは二回目やぞ…腹減ったわい」
「あの時はキー坊が悪いんやろが…アカン、思い出したら腹立って来たわ」
「いや、悪ぃ…今日はせっかく誘って貰ったってのにあたしの所為で……」
「へっ、気にすんなよイナリ いつの世だって声がデカイヤツは排斥されると相場が決まってんだ お前のレース見せて鼻明かしてやりゃあ良いだろ?」
「み、ミノル兄さん…ありがとうよ」
元・覇生流の仲の良さを見て心が温まっていた熹一であったが一つ気になる事を感じ、イナリに質問する事にした。
「そういや、イナリ お前の“狐面”やが…覇生を抜けたならいつまで付けてんのや? 正直あんまエエ思い出無いやろ」
「あん? この面は覇生のじゃねぇやい あたしが小さい頃に今世話になってる梼原の…姐さんと
「子供の頃の思い出っちゅうヤツか…分かるで ウチもオグリと初めて“かけっこ”した時のシューズは未だに捨てられへんからな」
「ワシも同じや
「いやっ! この流れで明らかに大事にしてない物挙げるとか空気読めて無さすぎだろうがっ!! ミノル兄さん、ホントに
「…まぁ、杜撰なのは“強さ”とはあまり関係無いしな 話に聞いた限りじゃ、血の繋がった幽玄の当主も世界中フラフラしてたって言うし…案外、適当な方が良い時もあるのかもな」