[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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今までの設定の整理の為に書きました。


宮沢熹一 中央を歩く

 現在、中央の施術師を務める宮沢熹一は“とある目的を持って”歩いていた。

 その目的に歩く必要性は無かった物の、臨時で参加している仕事であるとはいえ部屋で書類を書いてただ患者が来るのを待つという立ち位置は彼にとって苦痛でしかなく、空いた時間での日課のトレーニングを済ませると本格的に暇を持て余してしまったので周辺を回る“トラブル探し”の為の散歩であったのだが…驚く位に“平和そのもの”な学園の様子に落胆が三割、喜びが七割であった。

 

「何事も無いのが一番やがホンマ、ヒマやのォ……周りの子達も困ってる様子は無いようやし、ボチボチ親父(おとん)も待っとる施術室に戻るか…」

 

 周囲のウマ娘達は何やらソワソワした様子で『自分を見つめている事』には気付いていたが何の用も無く女学生の領域(テリトリー)に居る自身に『“警戒”しているのだろう』と結論付け、居心地の悪さを感じ始めたのでその場を離れようとした時であった───

 

「あ、あのっ!! 宮沢さん…ですよね?」

「…おうっ、何やこの前ワシが足の施術した()か その後の調子はどうや?」

「はいっ! お陰様で今は何の問題もありません!! 本当にありがとうございましたっ!!」

「そうか…会った時と比べたら、すっかりエエ顔しとるで ワシも力になれて嬉しいわ」

「い、いえ…そんな あの……宮沢さん? 今日は何で……」

「いや、ヒマなんで散歩がてらに辺りを歩いとったが、お嬢さん方を警戒させたようやな さっさと退散するんで勘弁してくれや」

「あの…別に私達『警戒してた』ってワケじゃなくて……『気になった』だけっていうか……」

「あー、デリカシー無い男でスマンのォ ワシもこんなんやが、施術は本気でやるから気が向いたらでエエんでまた施術室に来たってや」

「あっ、ハイ……」

 

 勇気を振り絞って話し掛けてくれたであろうウマ娘がそう言ってしょげる姿に『やっぱりのォ』という気持ちが湧きあがり、背を向けてその場を後にする熹一であったが、後方からの『もっとお話ししたかったのに…』という声や『宮沢さんの“アレ”、どうしたんだろうね?』という声が彼の耳に入る事は無かった。

 

───────────────

 

「…熹一さん、“こんな所”でどうしたんですか?」

「ん…ベルノちゃんか? 何や、“サポート科”の近くまで来とった様やな」

 

 しばらく熹一が歩いていると呼びかけられたので振り返れば、其処には妹であるオグリキャップの親友であるベルノライトが大荷物を抱えて立っているのを確認する。

 

「いや、『何かないか』とそこら辺ブラついとったんやが丁度エエわ ベルノちゃん、荷物持つの手伝うで」

「い、いえっ! お気持ちは嬉しいんですけど、熹一さん……“今の状態”だと、ちょっと私には『刺激が強い』と言いますか……」

「ん? 『今の状態』って何や? まさか“ゴア博士”……あの爺さんにセクハラでもされて気分が参っとんのか!? ならワシに相談せい、すぐにとっちめたるからな!!」

「いえいえっ!! ゴア博士は立派にサポート科の技術顧問を務めていますし、私も時々ですがお手伝いさせて貰って充実しているので何の問題もないですよ!!」

「…ホンマか? ベルノちゃんが言うんやったら信用するが、何かあったら親父(おとん)やオグリでも良いから、ちゃんと打ち明けるんやで? ベルノちゃんは溜め込むタイプやからのォ」

 

 その言葉を言い終わるやいなや、熹一はベルノが抱えていた荷物を瞬時に己の手元に移動した。

 

「えっ…あれっ!? いつの間に……」

「ま、取り敢えずは“手元に溜め込んだ物”から引き受けたるわ」

「そ、そんな…本当に大丈夫ですって!」

「ベルノちゃんも力のあるウマ娘であると同時に“女の子”やからな 男みたいな(モン)、『可愛い子の助けになる』のが好きなバ鹿な生き(モン)なんやし、ワシの自己満足に付き合ってくれや」

「だから、熹一さん…“今の状態”でそういう事言うと『刺激が強い』んですってば……」

 

 その後、ベルノと共にサポート科に向かい、研究に没頭していたゴア博士を一睨みして問題が無い事を確認すると熹一はその場を笑顔で後にしたのだった。

 しばらくするとサポート科から聞こえる『ベルノ氏! 誰ですかあの“イケメン”は!?』という叫び声には彼が遠くに去った後なので当然ながら気付かなかった。

 

───────────────

 

 所変わって此処は運動場の裏手側。

 其処には神妙な顔をしたイナリワンとヤエノムテキが熹一の前に立っていた。

 

「オイオイ、本当に“大丈夫”なのかい…?」

「安心せェ、中央(此処)に来る時に書いた誓約書にある『ウマ娘関連で起きた事故は自己責任』っちゅう箇所は確認しとるし、“万が一”があってもワシがお前に迷惑を掛ける事は何一つ言わんと約束したる」

「イヤ、あたしが気にしてんのはそういう事じゃねぇんだが……」

「ええから早よ来いや、さっき試しに見た威力やったら何の問題も無いわ」

「……なんだい、その言い方だと『舐められてる』みたいで腹立つじゃねぇか…後悔すんなよっ!? “風当身”っ!!(ボッ!」」

 

 熹一の挑発に当てられてイナリの掌から放たれたのは覇生の秘儀“風当身”という名の衝撃波。

 ウマ娘の力で放たれた“ソレ“は熹一の腹部を直撃するも彼が苦悶の表情を見せたのは一瞬のみでその後、技を放った形跡が残っていたのは“風に靡く彼が羽織っていた上着”のみであった。

 

「…やっぱりのォ 初めてミノルさんから受けたヤツよりも威力はあるが、『相手を殺る気概が無い』から腹に張っとった“気膜”を抜けとらんわ」

「当ったり前だろうが! アンタが『あたしの風当身を受けてみたい』ってリクエストに応えてやっただけで、殺す気で打ち込むなんてバ鹿な真似誰がするもんかいっ!!」

「…そういう『相手への気遣い』が強すぎる()が多いから“ウマ娘の格闘家”はそないおらんねんや 最近、辺りも物騒になって来たし…皆、お前位の護身術でも覚えてくれればエエんやけどな」

「……そう言う事であればキー坊、“次”は私が」

「おうっ! ヤエノちゃん、来いや!!」

 

 続いて熹一の前で構えを取ったヤエノは一気に距離を詰めて手足を自在に操り、“かつて”彼の前で見せた物とは別次元の動きで打撃を放つ。

 しかし、熹一も常人であれば目視出来ない“ソレ”を紙一重で躱し、時には相手から放たれる打ち手を直前で読んで止めるという離れ業を彼女に対して見せた。

 

「ハアッ…ハアッ…ハアッ…押忍っ!! ありがとうございました!!」

「ホンマ…強くなったなヤエノちゃん こんだけ強けりゃそこら辺の野蛮人なんぞ相手にはならんわい」

「いえ…昔と変わらずキー坊に一撃も入れる事が出来ない未熟な私なんて……」

「何、その“悔しそうな顔”出来とる内は人ってどこまでも強くなれるんやぞ なんや『堅っ苦しい美人さんになった』思っとったが、相変わらず可愛げある()で安心したわ」

「び、『美人』!? 『可愛い』!?」

「あー…“昔は”コレ言って怒らせたの忘れとったわ スマン、今の無しで頼む」

「い、いえ! “今は”別に、気にしておりませんので……」

「あたしは今、一体何を見せられてんだい…?」

 

 バツが悪そうに頭を掻く熹一と恥ずかしそうに頭を下げるヤエノを見てついそんな言葉が口から出るイナリであったが、そんな三人に声を掛ける“二人組”が姿を現す。

 

「なンだァ? こんな裏手でゴチャゴチャうっせェから“イジメ”かと思って来てみればよォ……」

「キー坊…だよな? ウマ娘二人も侍らせて何やってんだ?」

「悪かったのォ、“ブラッキー”…心配で見に来たんやろ? 後“ディクタ”…『侍らす』なんぞ危ない言い方すなや、お前はワシをクビにしたいんか?」

 

 ブラッキーエールが周囲を見回して熹一の言う通りトラブルの有無を確認しに来ており、彼女の友人であり熹一の施術を受けた経験のあるディクタストライカが呆れた様な視線を向けていた。

 

「心配っつーか、興味本位だよ イジメなンて“負け犬共のやる遊び”なら止める気だったのは確かだけどな」

「別にアンタがクビになっても……イヤ、小内(トレーナー)オグリ(ライバル)絶対(ゼッテー)テンション下がるし、施術の腕のいいヤツが辞めるのはオレとしてもフツーに困るな」

「…ったく、安心しな キー坊(コイツ)の武術家としての“ワガママ”に付き合ってやっただけで“問題”なんてひとっつも起きちゃいねぇやい」

「そうです キー坊の胸を借りた事で私達“武を修めるウマ娘”は新たな気付きを得て感謝している位なのですから」

「いやぁ、ヤエノ…あたしゃ別に得るモンなんて何も無かったんだけどね……」

 

 格式ばった口調で目を輝かせていたヤエノに一言物申したいイナリを見ていたブラッキーが思い出したことがあったのか熹一に話し掛ける。

 

「そういや、兄さん 姫次のヤツなンだけどよォ、『新しい技習得した』ってンで兄さん探して校内回ってんだ ウゼェから“いつも通り”ボコってアタシの前に連れて来てくンねェ?」

「任しとけ…その後メシでも食いに行くんか?」

「…そうだな この前『カサマツにある沖縄料理屋が美味ぇんだ』ってしつこかったから今日はそこに行くわ」

「“ゲンの所”か…分かったわい、顔と腹は極力狙わんとボコっといたる ほな、早速行ってくるわ」

 

 そう言って熹一は上着を翻してバ鹿弟子である鬼塚姫次討伐の為にその場を離れたのであった。

 

「…何だよ、兄さんの“あの格好” 印象がガラっと変わンじゃねェか」

「分かるぜ オレも最初別人かと思っちまったよ」

「普段のダサいTシャツに坊主頭でヘラヘラ笑ってると『弱そう』って思えんのに“あの格好”で殆ど笑わねぇと『歴戦の猛者』みたいに感じるんだから不思議なもんだよ」

「何を言ってるんですか、皆さん “どんな姿”であろうとキー坊は尊敬に値する素晴らしい格闘家です」

 

 彼女等が言った各々の感想も当然、熹一の耳に入る事は無かった。

 

───────────────

 

「なんだい、随分と“血生臭い”じゃないか? 格好といい、まるで“あの男”みたいだ」

「クンクン)…なんや、姫次には殆ど攻撃貰わずに成敗したんやが……流石ウマ娘やな、気ぃ悪くさせたら謝るわ」

「ハハハ! 何、安心しな! 私も縁あって“あの男”の指導を受けた身でね、血の匂いには特別過敏になってるのさ 他のヤツ等じゃ気付かないだろうね」

「そういやアンタ、“鬼龍”の近くに居たのを見た事があったのォ 確か名前は……」

 

 姫次への“指導”を終えた熹一が廊下を歩いていると突如、呼び止められたので振り返れば其処に居たのは叔父である宮沢鬼龍を思わせる『傲岸不遜』を絵に描いたような美女であった。

 その名は───

 

「“シリウスシンボリ”さ!! 尤も、鬼龍(あの男)とは現在、距離を置いているが…最近入った施術師が今日になって雰囲気がガラっと変わったもんで気になってつい、話し掛けちまったよ」

「せやった、外では偶にするんやが…“この格好”を中央の中ですんのは今日が初めてやったわ 道理で皆ワシの事ジロジロ見る訳や、『不審者』やと勘違いしてもおかしないな」

 

 熹一はそう言って改めて己の格好を見直す。

 “NEO宮沢熹一”…長いコートを羽織り、長髪のカツラを被って普段より表情筋が乏しくなった自身の姿を見て自虐的な笑いを浮かべた。

 

「いや? 随分と今日は女受けが良さそうな格好をしていると思ってな、普段からそうしていれば良いだろうに」

「…生憎やが、普段の『女受け悪い姿』が“本来のワシ”や こんな『悪魔が憑いた』ような格好、変装以外では趣味やないからやらんわ」

「ふぅん……どうやら、あんまりその恰好に突っ込むのは“野暮”らしいから話題を変えるか だったら、何でまた今日はそんな変装をしてんだい?」

「今日は『記者が押し寄せて来る日』やろ? しゃあけど、中にはウマ娘やなくてワシ等“表の格闘家”に取材しようとするヤツもおって、前にそれでウンザリしたからや」

 

 吐き捨てる様に言い放つ熹一にシリウスは疑問を覚える。

 

「何だい、普段のアンタを見て勝手に『目立ちたがりのお調子者』と思ってたんだが…どうやら評価を改めなきゃいけないようだね」

「…“学生の頃のワシ”はその評価で合っとるが、下手に有名になった今じゃ身動き取り辛くのォ……何より中央(ここ)の主役はウマ娘(アンタ等)や 部外者が目立つなんてありえへんやろ」

「………ククク…ハーハッハッハ!! 成程な、“ルドルフ(会長サマ)”の言う通りだ!! アンタは大した男らしいね!!」

「…なんや、会長さんがどうかしたんか?」

「いやいや、前にアンタの事をルドルフ(会長サマ)に聞いたら『我々ウマ娘の事を一番に考えてくれる素晴らしい男だ』なんて言ってたんだが、こっちとしても半信半疑だったもんでね、今日ようやく得心がいったってだけさ」

 

 そう言って笑い続けるシリウスに対して熹一は納得がいってないような表情をするばかりであった。

 

「会長さんもアンタもワシの事を評価しとるのは有難いが、ワシは(オグリ)がウマ娘で昔っからの付き合いがあるから“そういう考え”を持っとるだけや それに此処に居る人間は皆、ウマ娘を大切にしとる人ばっかやぞ」

「何言ってんだい 最近、ウマ娘(私達)にちょっかい掛ける荒くれ共を親父さん達と一緒に人知れず片付けてる“正義のミカタ”がさ」

「……何の事や?」

 

 最近になって近隣に出没する気弱なウマ娘を狙う“悪漢達”、そんな輩に熹一は協力関係にある宮沢静虎と日下部覚吾の“二人の父”と共に顔を隠して人知れず対応していたのだった。

 それが中央(勤め先)に知られている事に心が急速に冷え、熹一はシリウスの探るような視線をただ真っ直ぐに見返す。

 

「…いいね、その“眼” ルドルフ(会長サマ)はアンタの事を『強さをひけらかさない人格者』なんて評したが、『自分こそがこの世で最強の生物』って自負があるからこその道化振りなんだろ? “今の格好”だと猶更そう思うよ」

「…“男と女の関係”みたいなもんやろ 常にエエカッコしても無理しとる限り、疲れが溜まって参ってまうわ なんやかんやでワシは“普段のお調子者”な自分を気に入っとんのや」

「いやいや、結果として“女受け”はすこぶる悪いようだが?」

「やっかましいわ! ったく…鬼龍の教えを受けとっただけあって良く口が回る娘っ子やな…で? 中央は“ワシ等”をどう扱う気なんや?」

「…『私が今話すまでアンタは気が付かなかった』 これが“答え”さ」

 

 『見逃されている』という現状に納得した熹一は軽く息を吐いて踵を返し、シリウスに背を向けて歩き出した。

 

「おや、私との会話は打ち切りなのか? まぁ、意地の悪い言い方をした自覚はあるが…私も含めて中央(ここ)に居る連中はアンタ等に感謝してるのさ これからも宜しく頼むぜ? “正義のミカタ”さん」

 

 シリウスの言葉に返事をする事なく、代わりに熹一は軽く手を振ってその場を後にしたのであった。

 

───────────────

 

「キー坊、その恰好はどうしたんだ? 中央では初めて見たぞ」

「オグリか……ジャーン! “NEO宮沢熹一”中央デビューやぞっ!!」

「…大丈夫か?」

「いや、素面で返すなや…傷付くやん」

「ああ、済まないな……思い返せばキー坊、何で自分の名前に“NEO”なんて付けたんだ?」

「何でって…そら、親父(おとん)に『ワシ、メッチャ悪くなったで』って伝えたくて……せやな、何で“NEO”なんて付けたんか自分でも分からんわ その場のテンションでついとしか……」

 

 妹であるオグリキャップと会った事で“普段通りの自分”を見せる熹一であったが、直後にオグリから訊かれた『名付けの意味』を真剣に考えだし、再び“NEOの顔”になってしまった。

 

「でも…お父さんは家に帰って『熹一が人間的に劣化してもうたわ』って落ち込んでいたから、私もお母さんもそれで信じてしまったんだ」

「言っちゃ悪いが、親父(おとん)純粋(ピュア)過ぎるわ…ま、そこが親父(おとん)のエエ所でもあるんやけどな」

「うん、それは私もお母さんも思ってる でも、キー坊を実際見たら『無理してる』って私達も分かったからあの時は本当に辛かったよ」

「……家族(みんな)にはホンマ、心配かけて悪かったな」

「良いんだ 今はこうして家族(私達)の所に戻って笑顔でいてくれるんだからな」

 

 そう言って笑顔を見せるオグリに熹一も笑顔を返し、和やかな雰囲気で作られ始めた頃に突如、二人の後ろから声が聞こえた。

 

「あっ! 居た、居ました!! キー坊さーん…キー坊さん、ですよね?」

「なんや、“たずな”さんか? いつも言っとるが、ワシの事はキー坊だけでエエって……」

「いえ、それより尊鷹さん見ませんでしたか!? 先程、『運動場の木の上に立っていた』って目撃情報があったんですが!!」

 

 先代と現理事長の秘書を務める才女、“駿川たづな”が普段の彼女には珍しく慌てた様子で前理事長である宮沢尊鷹の行方を訊いて来た。

 

「…あのオッサン前理事長言うても今は“フリーの身”やん? 何をそんなに必死に探しとんのや」

「それが…本日いらっしゃった記者さんの中に大変高名な方が居て、尊鷹さんと知り合いらしく『先程、敷地内で見たから是非話しをしたい』と仰られたので急いで探しているんですが…心当たりありませんか?」

「……ワシも今日は色んな所ブラついとったが、見かけとらんぞ 携帯はどうや?」

「何度も連絡してるんですが一向に繋がらなくて……全く、あの人は何時だって自由に振る舞って本当に……」

 

 たずながストレスのあまり“昔の顔”を覗かせ始めた頃、オグリは思い当たった事があったのか二人の前で手を叩く。

 

「ポンッ)そうだっ! さっき用務員室に『知らない小柄の職員さんが居る』ってクラスの子達が話していたから、ひょっとすると尊鷹おじさんの変装の一つである“土竜さん”かもしれない! 二人とも行ってみよう!!」

「エエ情報や、オグリ! たずなさん、ワシ等も行くで!! いざとなれば“弾丸(たま)すべり幻突”を解禁してでもあのオッサンを捕まえたるわいっ!!」

「うぅ…頼りになる甥っ子が居て私も嬉しいです……お願いしますねっ!!」

 

 こうして最早UMA扱いされていると言っても過言ではない男、宮沢尊鷹の捕獲の為にたずなと共に“灘の天才二人”である宮沢熹一とオグリキャップは彼が待つであろう用務員室へと駆けだすのであった。

 

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