[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ 作:日常系好き
ベルノライトからの薄い矢印あり。
しばらくの間、その少女は宮沢家の玄関前を行ったり来たりしている様子であったが遂に意を決したようで、おそるおそるインターホンを押した。
「おじゃましま~す…」
「いらっしゃいベルノ、よく来てくれたな」
「うんっ 『うちに遊びに来てくれ』って言われた時には驚いちゃったけど、誘ってくれて嬉しいよ」
「本当なら家族を紹介したいんだが生憎、皆出掛けてしまっていてな…今、家にはキー坊しか居ないんだ」
「キー坊って…オグリちゃんがいつも話してるお兄さんだっけ?」
「そうだ 宮沢熹一、TKGとかいう格闘大会で決勝まで進み、ハイパー・バトルでは遂にお父さんを超えた強い男なんだ」
「TKG…? あっ! “TDK”!? 昔、クラスで話題になってたからそれ知ってるよ!」
「TDKだっけ…? 主催者が子供の頃にお父さんとキー坊に酷い事したヤツだからあまり真剣に覚えてなかった」
「そ、そうなんだ…それにしても格闘家って……」
『なんだか恐そうな印象があるなぁ…』ベルノは思わず自身の口から出そうになった一言を飲み込みむも、その雰囲気を感じ取ったオグリは彼女が言いたい事に気付いた様子であった。
「? キー坊はとっても優しいよ お父さんの教えをしっかり守って強いだけじゃない優しい男に…」
「オグリ~、玄関先に友達足止めして何べちゃくっとんねん 早よぉ居間までご案内せぇや」
「ひゃあっ!?」
「あっ、キー坊…長髪に鬼龍おじさんのに似たコート…その恰好はどうしたんだ?」
オグリとベルノの前に現れた熹一の姿は彼が嫌悪し、封印してきた“NEO宮沢熹一”の物であった。
「外出るにも無駄に顔が売れとるから変装や変装 本当なら再びこんな格好するなんて死んでもゴメンなんやが、その最悪な気分のおかげで表情筋も死んで丁度エエんじゃ」
「そうなのか? 私は相変わらず格好良いと思うんだが?」
「んかあっ やめーや! けったくそ悪い!」
「今のは朝昇さんのマネか? なかなか似ているな」
「おー、朝昇も今こっちに居るって連絡貰ってな、ヨッちゃんと一緒に飯食いに行く事になったんよ」
「“ヨッちゃん達とご飯”!? なあキー坊、良かったら私達も…」
「アホゥ、お前はともかくそこの可愛らしいお嬢さんを面識の無いむっさい男共の群れに突っ込ませる気か あー…ベルノさんやったけ?」
「ひゃ、ひゃい!」
「悪いんやけどワシは今から出掛けるんで、お茶やらお菓子は居間に用意しとるからな 本当ならアスリートっちゅうんで宮沢家特製スペシャルライスでも振る舞いたかったんやが堪忍な…ってもうこんな時間やないかい! ほなな、ごゆっくり!」
「何ていうか…すごい人だったね (でも、コート越しでも分かる鍛え込まれた身体…長髪の間から覗く憂いを帯びた瞳…話し掛けられた時に感じた包容力…何て言うか…)」
「(ガタガタガタガタ)」
「!? どうしたのオグリちゃん!?」
「な、何てことだ…その昔、お母さんの手によって封印された“宮沢家特製スペシャルライス” キー坊、復活させるつもりだったのか…」
「え、えっと…大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ…ご飯なら私が作るからベルノは居間でゆっくりしていてくれ」
「そんな、大丈夫だよオグリちゃん! 私も手伝うから」
「そうか、ありがとう 今日はどて煮を作ろうと思っていたんだ」
「知ってる! それ名古屋の名物料理だよね?」
「ああ、味に関しては前にお父さんが泣きながら全部食べてくれたから安心してくれて良い 材料はお母さんが用意していたから早速取り掛かろう」
「うんっ! あ、オグリちゃんあのね…」
「どうした? ベルノ」
「お兄さん、格好良い人だね!」
「! ああ、キー坊は格好良いんだ」