[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ 作:日常系好き
「ズズッ)…なんやこのブレンド、イケるやん この喫茶店は“アタリ”やな」
「成程…どれ、私も(クイッ……本当だ 甘味と併せるよりも、『単品で完成してる』印象を受けますね」
「おっ! 分かるか? “マーチ”ちゃん!! オグリのヤツもグルメなんやけど、コーヒーに関して『如何に食事に合うか』しか判断せんからな」
「フフッ…
「ワシはオグリと
「“最強”になる為に必要なのは『ストイックさ』と『度量の深さ』…という事でしょうか? 久しぶりにお会いしましたが、勉強になります」
「相変わらずカッタイ娘っ子やのォ、マーチちゃんは…まぁ、変わっとらんで安心したわ」
宮沢熹一とカサマツ時代のオグリキャップの
「イヤ…よく見たら“髪切っとった”な 走りを追及する為にか?」
「いえ、これは本当に…“色々”あってです 宮沢さんこそ、髪を伸ばしたんですね?」
「ちゃうで、ワシのは“ヅラ”や 外出るにも中央行ってからは更に野次ウマ、野蛮人がぎょうさん押し掛けて来てのォ…鬱陶しいから変装しとんねん」
「そ、そうだったんですね……」
不服そうに語る熹一の姿は“NEO宮沢熹一”の物であり、マーチは“普段の姿”とのあまりの雰囲気の違いに驚いていた。
「まぁ、ワシの事はエエねん それより今日はワシ等兄妹とベルノちゃんが中央行ってから久し振りの『呼び出し』や しかも、御指名はワシ“一人だけ”…理由を聞かせて貰ってもいいか?」
「はい、その…何と言えば良いか……『オグリの近況』を聞きたかったんです」
「んっ? なんや、
「確かに…オグリとは今でも電話で話したり、この前は『これからどうすべきか』を相談されたのでアドバイスをした事もありましたが……」
「それ、ワシも聞かされたで 『日本一のウマ娘になれ』…やろ? あの日はワシも夜回りしとったが、
「お恥ずかしい限りです あの時は『頼られた』という嬉しさもあり、
「トレーナーだった北原さんや、
当時を思い出して気恥ずかしさを見せていたマーチに対し、熹一は穏やかな笑顔で礼を述べる。
「御家族からそう言って貰えると、大変ありがたいです そもそも…私も最初から最後までオグリに対しては他の皆の様に“友好的”とは言えない態度でしたので、競うべき相手に対し『失礼』だったのではないかと…」
「何言っとんねん、マーチちゃんが“真正面から”バチバチにぶつかって来てくれたお蔭でオグリはアスリートとして一皮剝けたんや ワシから見れば立派な『盟友』の一人やぞ」
「……ありがとうございます」
「それに何や、『失礼』言うなら“カサマツ三人娘”のが相当やったで 特に“ノルン”のヤツはオグリを物置に寝かせようとしたってな、『シンデレラの継母』かっちゅうの!」
「…“ノルンエース”の仕打ちか オグリ本人は気にして無いようで…むしろ『広い部屋で嬉しかった』と言ってたそうですよ」
「知っとる知っとる、そんなんオグリから『ワシ等の神戸の実家が狭い』言われてるみたいでショックやったわ…実際、狭いんやけどな?」
「あぁ、ノルンと初めて会った時に『何とも言えない』表情をしてたのはその所為だったんですね」
「まぁのォ……今じゃヤンキー娘の“ルディレモーノ”…イタズラっ
そう言ってため息を溢す熹一に『気になるワード』を拾ったマーチは質問を行う。
「…『先生』? あの三人から何か習ってるんですか?」
「マーチちゃんも教わっとるやろ? “イマドキの女の子”がやっとる流行りの遊びっちゅうヤツや」
「! 確かに…そうですね この前も『プリ』とやらに誘われたのですが、正直『写メで十分じゃないか?』と思って必要性は感じませんでした」
「やっぱそう思うか!? ワシもこの前、試しにやらされたんやが…目をデカくされたり、周りをキラキラされた挙句に出来上がったモンに『キモイ、怖い、新手のクリーチャー』とか言われたんやぞ! オグリの
「…見事に『玩具』にされてますね、お疲れ様です」
「……皆、『根がエエ
「私も“似た様な物”です 自分でも少々『世間ズレしている』という自覚はあったのですが…あの三人と関わっていると思った以上にそのズレが大きかったのだという事に気付けて…正直、有難いとは思っています」
熹一の今までの経歴に共感を覚えたマーチは彼の言葉にシンパシーを感じて同意を示す。
「ベルノちゃん辺りとも買い出しなんかでたまに出掛けるんやが、あの
「世界最強の称号を持つ男に物を教えられる“先生方”か……大切にしないといけませんね」
「おうっ…不本意ながらやけどな……って、『噂をすれば影』やんか」
マーチが熹一の言葉に反応し、入り口付近を見ると其処には確かに『噂の三人』が来店しており、二人を見かけるとテーブルに近づいて来た。
「やっほー、マーチじゃん? こんなトコで『イケメンとお茶』なんてスミに置けないねー、このこのっ!」
「イヤ、待てよノルン まさか“コイツ”……雰囲気違うけど、キー坊かっ!?」
「えっ? ルディ、なに冗談…ってマジじゃん! うわー、『変装しての密会』なんて超スクープ! 写メ撮って週刊誌にリークしよ(ピロンピロン」
熹一と共に居るマーチへ気さくに話し掛けながら茶化す“ノルンエース”と隣に居た男が熹一と気付き驚く“ルディレモーノ”、彼女の言葉でイタズラ心に火が付いた“ミニーザレディ”が楽しそうに二人を撮影する。
「ちょっ、やめなってミニー! キー坊のヤツ、あーし達が見た中で未だかつてない位『不機嫌な顔』してんだけど!」
「お前等は“相変わらず”やのォ……ミニーは今すぐ撮った画像消せや マーチちゃんに迷惑も掛かるし、何よりワシは『今の姿茶化されんのが』一番嫌いでな 万が一、写真が記者の手に渡るとなったらその記者と“話し合い”せなアカンねん…分かってくれるな…?」
「…ウス、分かりました ホラ、この通り消したんで機嫌直してよー…ねっ?」
「それでエエ…前にタマにも“今みたいな”迷惑掛けたしな、メディア関係っちゅうんは思った以上にシャレにならんねん」
「しっかし、なんだぁ? キー坊も変装…だよな? そんな恰好してマーチと何話してたんだ?」
「おうっ、『オグリの近況』をちょっとな……折角や、お前等にも話しとくか 練習帰りなんやし時間あるやろ?」
「えっ、そうだったん? なら…ちょっとだけ、あーし達もお邪魔しちゃおっかな」
「そうと決まればマーチ、ちょっと席詰めなっ! 今のキー坊の隣って何か威圧感あっし、女子同士で座るぞ!」
「あ、あぁ…分かった」
「えー、ルディそんな事言ってたら“いつも通り”キー坊に奢って貰えないよー」
「気にすんなやミニー、お前等の遠慮ない物言いこそ“いつもの通り”やろがい オグリに比べりゃ、お前等に奢るなんぞ文字通り『お釣りが来る』わ 残さんのやったら、何頼んでも構わんぞ」
「「「 さっすがキー坊、太っ腹! 」」」
若干、呆れの色が見える熹一の微笑に三人娘は黄色い声を上げ、嬉々としてメニューを開くのであった。
「宮沢さん…良いんですか?」
「構へん、構へん ワシ等兄妹が普段世話になっとる“授業料”みたいなモンや…マーチちゃんも制限設けとらんかったら、好きな
「そ、それでしたら…来店してから気になっていた“女子力アップゼリー”という物を頼んでみたいです」
「ほぉ、コラーゲン豊富なヤツか…『若い内にケア怠ると年取った後キツイ』って
こうして三人の女子が加わり、“姦しさ”と“華やかさ”が増した店内で熹一達は笑顔でオグリ関連の話に花を咲かせるのであった。
オマケ1
「そういや今更だけどキー坊ってさ、何であーし達は呼び捨てでマーチやベルノには“ちゃん付け”なの?」
「そんなん、“悪友”と“
「いえ…それは、そのですね……」
「それはさー、あーし達がキー坊に会う前にオグリのトレーナーを交えて…ってか主催の“格闘技の鑑賞会”やったからなんだ」
「ああ、“アレ”な!? アタシ達は『人間が空中を飛びながら闘うとかありえねー!』とか笑いながら見てたんだけどよ…」
「ファンだった北原のオッサンが急に熱弁して来たと思ったら、何かマーチまで乗っかって来てさ……」
「いや、みんな! 宮沢さん達の“あの動き”は決してトリックでは無かったぞ!? あれこそが『鍛え上げたヒトが到達する境地』に他ならない! 若くして、そこまでストイックにトレーニングを重ねたであろう宮沢さんを私は心から尊敬しているんだ!!」
三人娘の意見とは逆に自分の闘いを熱く語るマーチに照れが入ったのか、熹一は頬を掻いて視線を逸らす。
「まぁ…アレやな あの時はワシも相手に引っ張られたっちゅうか…ワシを格闘家として成長させてくれた“
「はい、私もです…競い合いで成長したのはオグリだけじゃない、私も一緒ですから! お陰で『新たな目標』を定める事が出来たんです!!」
「んっ? 『新たな目標』言う事はマーチちゃん、まさか……」
晴れやかな顔で迷いの無い瞳のマーチに熹一が何かを察して声を掛けようとした時である……ノルン達が二人の間に屈託の無い笑顔で割り込んできたのだ。
「イヤイヤ、二人ともさー そんなマジメな顔やめて笑顔でコッチ寄ってよ?」
「そうそう、今からオグリ達に『アタシ等元気してっから!』って写メ送ってやんなきゃだからよ キー坊も今回は特別に入れてやっから」
「ただし、近づき過ぎたらここの支払いとは別に料金発生するから注意しなよ-…?」
「……おうっ、せやったらワシも参加させて貰おうかのォ ホレ、マーチちゃんも笑って行こうやないか」
「…はい! ところでみんな…どういう風に並べば良いんだ…?」
語るべき事は『次の機会まで』と心を切り替えた二人は三人娘からの提案に応じ、笑顔で写真撮影に臨むのであった。
オマケ2
同時刻・都内のファミレスにて───
「…あの、先程は危ない所を助けて頂いてありがとうございました」
「…挙句、こうやってご飯まで奢ってくれるのは有難いが…『今回は』何を企んでいるんだ?」
「おいおい、“親戚”が友達共々ピンチだったら助けてやるのは当たり前だろ? お前の中で俺はどういう立ち位置なんだ?」
「ケッ…! 偶に現れたらオグリんに嫌がらせかます“メンドクサイ弟”みたいなモンやんか! 今回、ウチ等にちょっかい掛けて来た野蛮人をとっちめてくれたのには感謝しといたるが…お前の事を信用したワケやないからな!!」
「おいコラッ、タマモクロス 口の利き方には気を付けるんだな
「上等やんっ! ちぃーと金持ってるからってウチに対してそう簡単にマウント取れるとは思うんやないぞ!? おうっ、コラ! “悪魔王子”サンよぉ!!」
オグリキャップ、ベルノライト、タマモクロスの三名の前に座るのはオグリが中央に移籍してから度々出没する“親戚”、悪魔王子であった。
初めは余裕を持った表情でオグリ達に向き合っていたが、タマに喧嘩腰で話し掛けられるとすぐにバ脚を現して食って掛かる姿勢をみせるも、それをオグリに咎められたのである。
「タマも悪魔王子もお店の中でケンカはやめるんだ “キー坊の時”みたいにまた、何も食べれずに追い出されるのは私はイヤだぞ?」
「…チッ これ以上は
「…しゃーない、オグリんに免じて今回は鉾収めといたるわ」
「ありがとう、二人とも」
「(やっぱり、オグリちゃんってすごいなぁ…)あの…悪魔王子さん、ですか? 今日の格好なんですが、私が“知ってる姿”とは違くて…イメチェンしたんですか?」
悪魔王子とは今回が初対面となるベルノであったが、以前からオグリ達によってその容姿や性格は聞かされていた物の“実物との差異”に戸惑って本人に理由を尋ねる事にした。
「ベルノライト…ベルノでいいか 今日の格好だが、似合うだろ? “この姿”こそ俺の名前に相応しいと思って今回は着替えて来たのさ」
「うん…見れば見る程『若い頃はこんな感じだったのかな?』と思えるな」
「ホンマ、“鬼龍のオッサン”によぉ似とるわ…まじまじ見んかったら本人と見間違うくらいやな」
悪魔王子の遺伝子提供者…“父親”である宮沢鬼龍の格好をした彼はオグリ達の感想に『ご満悦』といった表情を見せる。
「この格好でお前等を助けてやったのも俺が『パパの息子である事』をアピールする一環さ 悔しいが俺の評判はまだパパに比べて下なんでね、むやみやたらに悪党共を支配下に置くよりも効率が良い方法を選んでいるんだ」
「今回オグリんにちょっかい掛けて来たんは『鬼龍のオッサンに潰された裏カジノの報復』やったか…わざわざ姪っ子狙うとはしょーもない連中やで」
「珍しいなタマモクロス、同意見だぜ そんなクズ共を恐れてるパパの姿でぶちのめすと躾けられた犬ッコロみたいに従順になって支配しやすくなるんだ 今回の連中は少なくともお前等ウマ娘には手を出さない様に再教育しといてやるよ」
「……『暴力で回っている世の中』っていうのも真理なのかもしれませんけど、なんだか悲しいですね」
「ベルノ、お前みたいな“お優しいヤツ”は俺等の領分に近づくんじゃないぞ 精々、“力ある弱者”の陰にでも隠れて過ごすんだな」
「…えっ?」
「小声)ベルノ…つまり、『キー坊やお父さん見たいな強くて優しい人達に守って貰うと良い』と言ってるらしい 会って話すと分かるんだが、
「聞こえてるぜ、オグリ 俺もウマ娘程じゃないが耳は良い方でね…とんだ風評被害だ 俺は別に
悪魔王子の発言にベルノは『困惑』、タマは『胡乱気』、オグリは『諦観』の表情を見せるも本人は気にしない態度を崩さなかった。
そんな“ガキ大将”振りを発揮する男にどう話題を振るべきか彼女達が考えているとオグリとベルノの携帯にメールの着信が鳴り、開くとカサマツの友人四名と熹一が一緒に写った写真が添付されていた。
「オグリちゃん、“コレ”って…」
「ああ、ベルノ……コレは“羨ましい”な みんなキー坊と楽しそうにしてるし、テーブルには美味しそうな物でいっぱいじゃないか」
「…えっ!? “そっち”!?」
「ベルちゃん、オグリんは昔っからズレとる所あるんでそない気にする事ないで…って! キー坊のヤツ“NEO宮沢熹一”やんっ!? アッハッハッ! こらウケるわぁ!」
「何だ? 俺にも見せてみろよ……ふぅん、今日の“遊び”は決まったな おい、お前等…俺達も写真を撮って送り返してやるぞ」
「「「 えっ!? 」」」
送られて来た写真を確認すると突如として“遊びの提案”をして来た悪魔王子に驚きの表情を見せる三人であったが、提案者はどこ吹く風で遊びの理由を説明し始める。
「折角、“可愛い妹達”が居るってのに他所の女達とヨロシクしてる兄貴にお灸ってヤツを据えてやろうと思ってな どうだ、やってみないか?」
「小声)ベルちゃん…どないする?」
「小声)写真を送る位なら問題ないと思いますけど…オグリちゃんが何て言うか」
「……よし、分かった 私達も写真撮影をしよう」
「「 !? 」」
「何だ、てっきり『兄貴が心配するからイヤだ』位の事は言うかと思ったが…構わないんだな?」
「ああ、構わない キー坊が私達抜きでみんなと遊んでるのもちょっとだけ悔しくはあるが、それ以上に悪魔王子…『お前と一緒に写真を撮ってみたい』と思ったんだ」
「………何だと?」
オグリのまさかの参加理由に高い知能を有する筈の悪魔王子の脳内は処理落ちを経験し、返答に若干の遅れを見せてしまった。
「お前の言葉の端々から“家族写真”なんて撮った事が無さそうだったし、お前の言う通り『せっかく』だから記念撮影をしよう タマ…ベルノも構わないか?」
「…オグリんの“そういう所”、ウチも嫌いやないし…エエわ、付き合ったる!」
「オグリちゃんが良いって言うなら、私は別に構わないよ」
「…二人から許可は貰えたから、後はお前だけだ 私達と一緒に写真を撮ってくれないか?」
提案する立場が何時の間にか“逆転”している事に気付いた悪魔王子は苦虫を嚙み潰した様な表情を見せるも、渋々と言った様子でオグリからの提案を飲む事にした。
「…いいぜ、“特別に”許可してやるよ」
「そうか、ありがとう」
「やっぱりお前は“面白い女”だが…同時に“腹が立つ女”でもあるな」
「なんだ、そんな事か カサマツに居た頃から私は『似た様な事』を言われてたんだ…もう慣れたよ」
こうして四人の不格好ながらも初めての“記念写真”は無事撮られ、兄である熹一の元へと送られたのであった。
その後、写真を見た熹一がカサマツから大急ぎで都内へ戻り、悪魔王子との激闘を繰り広げる事になるのだが…その話は割愛させて頂く。