[ウマ娘×TOUGHシリーズ] オグリ家と宮沢家との日常シリーズ   作:日常系好き

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たまにはこういう話を。


皇帝とジンギスカン

 都内 ジンギスカン料理店───

 

 其処には目の前の鉄板に野菜を敷き詰める宮沢熹一と彼の向かい側で羊肉(マトン)の準備を行うシンボリルドルフの姿があった。

 

「ルドルフ、野菜が丁度良くなってきたから上に肉置いてくれや」

「分かった だがキー坊…前から疑問だったのだがこれでは肉の油が落ち切らないのではないか?」

「いや…直に塩かけて焼く方法も勿論あるんやが、こっちの方が“匂い”がマシって聞いたんでな 店に入った時点でそこら辺は気にしとらんかった様やが念の為にや」

「…確かに、付き合いで何度か食べた事はあったが匂いは気にならなかったな 代わりに帰りは服に匂いが染み付いてしまうのが難点ではあったが」

「ワハハッ、ワシと違ってルドルフは上等な服着とるからな 焼肉の匂いは結構なダメージやろ?」

「フッ…“友人付き合い”で来る場にその様な事を気にしてはいないさ それよりキー坊の方こそ大丈夫か? “今日の格好”は一張羅じゃないのか?」

 

 ルドルフの指摘する通り、現在の熹一の格好は“NEO宮沢熹一”の物であり、それを聞いた熹一は『何でもない』とばかりに手を振った。

 

「あー、構へん構へん 最近はこの格好する機会も多かったんでな、そろそろクリーニング頼もうと思うとったんじゃ グラサンやら他にも変装グッズはあるし気にせんでエエよ」

「…前に一度見たが、あの“可笑しなサングラス”か できれば今の姿より“不審者”に見えるから少なくとも中央ではやめて貰いたいな」

「んなっ!? ルドルフも中々言うのォ…」

 

 自身のファッションセンスを直球で否定されて苦笑を浮かべる熹一にルドルフは申し訳なさはありつつもほんの少しのからかいの色が覗く微笑で返す。

 

「いや、済まないな あのサングラスは君のお気に入りなのだろうが“アレ”を付けて意気揚々と中央を練り歩かれると生徒の中には笑いを堪え切れない者が出て来るのでね なるべく控えてくれると助かるんだ」

「そ、そうか…そないな事になっとるなら、今後は気を付けるわ」

「ああ、そうしてくれるとこちらも…いや、“私の表情筋”も助かるよ」

「何や、“一番笑っとる”のはルドルフってオチやったんかい…ったく、そろそろ肉も焼きあがったし皿に取り分けるで」

「ん? キー坊がよそってくれるのか? 私としても助かるが……」

「“こういう場”ではレディに気を遣うんが男の役目やろ ホレ、皿出しぃや 食えん野菜があったら今の内に言うてくれ」

「いや、大丈夫だ しかし…可笑しな物だな 私と君がこうやって一緒に食事をする仲になるとは」

「そこまで可笑しな(モン)でも無いやろ たまたまお互いフリーな時間が出来たんで飯に誘ったらルドルフがOK出してくれたんで、こうやってワシがオススメのジンギスカン屋に来れたってだけやぞ?」

「関係性の問題、とでも言えば良いか…私とこうやって『二人で食事をしよう』と誘う者も中々居なくてね “異性の友人”もあまり居ない為か、何だろうな…今は立場も忘れて『ワクワク』してしまっているよ」

「ワシからすれば(オグリ)とそう年も変わらんお嬢さんや しゃあけど、“立場”って(モン)もあるからこうやってワシも変装して『周りの事気にせんと羽でも伸ばそうや』思って誘ったんじゃ……良し、羊肉(マトン)のジンギスカン一丁上がりや 熱いから気を付けるんやで?」

「…ありがとう 君のその気遣いと共に喜んで頂くとするよ」

 

 熹一から受け取ったジンギスカンは彼の言葉通りかなりの熱を持っていたが、それと同時に彼が持つ人間的な“温かさ”を感じたルドルフは満足気な表情で箸に手を付ける。

 

「モグモグ)…ふむ、これは驚いた ジンギスカンと言えば子羊(ラム)しか食べた事がなかったが成羊(マトン)の方が味がしっかりしているな 栄養素はこちらの方が上と言っても臭みが強いと聞いて今まで敬遠していたのだがこれは……」

「どや、中々の(モン)やろ? この店では脂の下処理に力を入れとってな、タレも果物をベースにして肉の臭みを消す努力をしとるんで連日盛況なんや」

「いや、見事だ これ程の物をご馳走になるとは…心から感謝だな」

「それ聞けたらワシも嬉しいで なんせ、この店はワシが出資しとる所の一つやからな」

「なっ!? そうだったのか……」

「いやな ワシも昔に“食べるサプリ”や聞いて成羊(マトン)食わせて貰ったんやが、噂と違って臭みが無いヤツだったんでな、これは『近場で食いたい』思ってのォ…出資者になって都内に店構えて貰ったんや」

 

 熹一の思った以上のバイタリティに驚いたルドルフは一旦箸を止めて質問する事にした。

 

「それは“税金対策”の一環か? 漠然とだが、そういう事は他人に任せているタイプだと思っていたよ」

「“それ”も勿論あるんやが…一番は“オグリ()の為”や オグリもぎょうさん食うんやが、お蔭で初見の店には『喜ばれる』か『イヤな顔』されるかの二択でな…身内の店なら遠慮せずに食えるんやないかと思って食い物屋の出資を始めたんじゃ」

「……大した物だな、『妹を想う兄の気持ち』というのは」

「神戸、都内、カサマツと手を広げてるがタイでも出資をしとるんや ルドルフも行く機会あったら店長さんの旦那がムエタイのトレーナーやっとる屋台に寄ってみるとエエわい 美味い(モン)ご馳走してくれるぞ」

「そうだな…機会があれば是非、立ち寄らせて貰おうか」

 

 友人のあまりのシスコン振りに若干引き気味になるも、本人は気にする素振り一つ見せずに自身にもお勧めの店を紹介するのに対して段々と『仕方が無いな』という気分になったルドルフは止まっていた箸を動かす事にした。

 

「モグモグ)…うん、本当に美味しいな これなら“ホゲット”と呼ばれる肉も試してみたくなって来る」

「ラムとマトンの“中間”のヤツやな? メニューには載っとるから食い終わったら頼んでみるか?」

「それは有難い、是非頼むよ しかしキー坊…随分と羊肉に詳しいがそれも出資の為に勉強したのか?」

「いや…昔、『羊みたいに従順』なんて評されたヤツがおってな 人間と羊は違うと思いながら、なんとなしに調べただけや 毛の刈り方やら食い方やらの…“利用方法”についてはな」

「…そうか」

 

 熹一の纏った雰囲気が少しだけ暗さを帯びた事によって『語るべき話題』では無かった事を察したルドルフは目の前の皿を片付けると別の話題を振る事にした。

 

「それにしても、今のキー坊の格好は普段と違って強さを全面に押し出しているな まるで“百獣の王”を想起させるよ」

「…ライオン(アレ)も人間が付けた勝手なイメージやが、それ故に“近い姿”ならイメージを相手に植え付けられる ワシが前にこの格好をしとった理由の一つやな」

「そうだったか…だが、やはり私は普段のキー坊の方が落ち着くな 『強者である事をひけらかさない』、普段通りの君がな」

「…スマン、気ぃ使わせた 内心の乱れを見透かされるとはワシも精神修行をやり直さんとアカンな」

(此処)にはお弟子さん達も“妹”も居ないのだから構わないだろう それに私としても最強の男の“そんな姿”を見れるのは友人として役得と思っているよ」

「…男っちゅうのは“そういう姿”見られるのが『恥』と思っとる所があるから、あんまりイジらんといてくれや」

「フフッ、承知した 私も男性との付き合いがあれば今の言葉を肝に銘じておくとしようか」

 

◇◇◇◇◇

 

「ふむ…久しぶりに量を食べたな 後に頼んだホゲットの食べ応えもだが、デザートも充実していて成程…確かにこの店は“オグリ向き”だな」

「やっぱり、ルドルフも“ウマ娘”やな オグリ程やないが人よりガッツリ食えとる 羊肉はカルニチンが多く入っとるから『太りにくい』と女性にも評判やし、気に入ってくれて嬉しいわ」

「ああ、大変満足したよ 場所も中央に近いし、今後も機会があればこの店を利用させて貰おうかな」

 

 その後テーブルにはデザートとドリンクしか残っておらず、片付けた二人は会話をしていたのだが、その空気は和やかな物であった。

 

「しかし…羊肉が如何に脂肪を燃焼すると言っても今日はいささか食べ過ぎたな 戻ったら何か運動メニューを考えなければ……」

「せやったら、“あの連中”にメニュー考えて貰ったらどうや? ホレ、最近親父(おとん)の伝手で外部指導員として採用された……」

「“元・チームD”の方々か そう言えばキー坊もこの前、“秋川清風”さんと一緒にロッククライミングへ行ったと聞いたが…」

「おうっ! “裸足のアキちゃん”とは今でも飯食いに行ったり乱取り付き合って貰ったりと付き合い続いとるからな この前はルドルフの言う通り、尊鷹も交えての“命綱ナシ”のロッククライミングやって来たわ」

「“命綱無し”とはこれまた剛毅な……万が一の事があればご家族が悲しむから程々にしてくれよ?」

 

 “金貸し道元”という男がハイパー・バトルの為に発足した“チームD”、オーナーが決勝後に米国の黒幕(フィクサー)共々破滅した事によりフリーとなってしまった彼等だが、熹一の父である静虎の勧めで中央の外部指導員として採用される事となった。

 その中の一人と共に荒行染みた山登りを行ったと笑う熹一の姿は『豪放磊落』を体現する物であるとルドルフは感じ、付き合いは短い物の友人の性格を理解していた故に『程々』という言葉を用いて戒めを贈る事にする。

 

「わーっとるって で、話を戻すんやが…体調管理やったらリーダーの“キクさん”に頼むのはどうや? あの人、ハイパー・バトル後はエライ健康に気ぃ使うようになったからのォ」

「“ハイパー・キクタ”…菊多サナエさんか 過去に薬物に頼ってしまったのも生来の生真面目さ故で今は猛省しているし、私としても彼の様な愚直に“弱さを乗り越えようとしている人”には好感が持てる キー坊の言う通り、明日にでもトレーニングメニューを考えて貰おうか」

「そうしてくれ キクさんも未だに昔の事をウジウジ考える所あるんでな、ルドルフみたいな“自信持った人”に頼られればそんなん忘れる位、やる気になって働いてくれる筈や」

「外部指導員のメンタル調整も考えなければならないか…君も私も望んでやっている事とは言え、やる事が多いな」

「ワシ等も他人(ヒト)から何言われようがお節介焼くのが変わらん性分なんやし、しょうがないわ きっと、この“自己満足”は死ぬまで続くんやろなぁ……」

「自分一人がこの性分を抱えていると思えば嫌になる時もあるが…幸いにも私の周りには目の前の君を始めとして多くの心根を同じくする者が居るからな そう考えると、今の私はとても恵まれているよ」

「何や、若いのに年寄りクサイ事言うのォ…今後、競技者を完全に引退しても人生は続くんやぞ? んな枯れた事言っとらんと未来の話をしようや」

「ふむ…“未来”か………」

 

 熹一からの言葉に感じ入る物があったのかルドルフは口元に手を当てて思考状態に入るが、しばらくするとそれが終わり熹一の目を真っ直ぐに見据える。

 

「私の望む“夢”は恐らく私の代では出来ても基盤作りが精々だろう 夢を託す子供を作る為のパートナー選び、引いては“結婚”を考えている」

「…女の子やったらまず考える事なんやろうが、言い方が固い上に重いのは親父(おとん)を思い出させるのォ…」

「フッ、女性であれば大抵はショックを受ける発言なのだろうが…『静虎さんに似ている』と言われるのは思った以上に嬉しい物だな」

「ま、ワシも親父(おとん)を好き言うてくれる(モン)は無条件で高評価やけどな…で? そないな事言うなら“相手”の目星は付いとんのか?」

「…残念な事にその様な相手には未だ出会えてはいないが、人生は長いんだ それこそ中央を去った後にでも世界中を回って相応しい相手を見定めてみるさ」

「ルドルフのお眼鏡に適うなんぞ、それこそ“立派な男”に違いないんやろな?」

「いや…能力ではなく、ただ“私を受け入れて信じてくれる人”が居ればそれが最良なのだが…これも高望みなのだろうか? キー坊とオグリの関係性を見ているとそれが“理想像”になってしまっていてね」

「…ソイツは光栄やな ワシとオグリは“兄妹”やが“家族”や 結婚となると家族になるって事やし、そう思える人と一緒になるってのは確かに理想やろな ワシは応援しとるで」

「ありがとう 私の好みからは外れる物の、君の様な“立派な男性”から応援されると自信が湧いて来るよ」

「いや、そりゃ良かったが『好みからは外れる』って前置きはいらんやろ…?」

 

 ルドルフの言葉に熹一が渋面を作ると彼女は年頃の少女だと実感させる鈴の鳴る様な笑い声を上げた。

 

「アハハッ! 私も気心知れた相手に嘘を吐くのは苦手な性分ではあるのだが、キー坊があまりにも『打てば響く』反応を返してくれる物でね…今日は君をからかう生徒達の気持ちが理解出来たよ」

「…そりゃあ、良かったのォ」

「いや、申し訳ない 君の事は“得難い友人の一人”と思っているのは本当なんだ 故に…という訳でもないのだが、キー坊…君の方こそ結婚の予定は無いのかい?」

「何や…悲しい位に予定は無いが、んな事聞いてどないすんのや?」

「何、私にウマ娘の子供が生まれて走れる様になったら切磋琢磨出来る“ライバル”が欲しいと思ってね 君の子がウマ娘であれば相応しいと思ったんだが、気が早すぎたな」

「相手も見つけんとそんな事考えんのは、それこそ『取らぬ狸の皮算用』ってヤツやで そないな事やったら何ぞ、“名前”まで考えてそうやのォ……」

「まあ、漠然とだが…心身共に“強い者”であって欲しいし、皇帝と異名を付けられた私を超える“帝王”になって欲しいと思っているよ」

「…エエ感じやん よしっ! ワシに子供が出来たらの話やが、ルドルフの子供とは“友達”付き合いさせたる! 相性悪くて疎遠になっても恨むなや?」

「おお、それは嬉しいな! 何、大丈夫さ 君が育てた子供ならばきっと仲良くやれるとも」

 

 客もまばらになり始めたジンギスカン店で二人の“最強”は未来の話に花を咲かせ、それからしばらくの間笑顔で語り続けたのであった。

 

 

 

オマケ

 

 同時刻、ラーメン屋“幽玄”にて───

 

「ゾバッ!)……この気配は?」

「どうしたの、オグリちゃん?」

「モグモグ)…いやベルノ、何やら漠然とキー坊が『結婚を考えている気配』を感じてしまったんだ」

「…何それ?」

 

 店内に居た客のリクエストに応えたオグリキャップによる“手を動かさずにラーメンを食べる芸”を披露していた所、突如動きが止まった友人に理由を尋ねた結果『兄の結婚の気配を感じる』という訳の分からない答えが返って来たベルノライトは思った事をそのまま口に出してしまう。

 そして、そんなオグリに反応したのは彼女の目の前に居たもう一人の男───

 

「…オグリ、今の話は本当かい?」

 

 幽玄の店主にて宮沢熹一の“血の繋がった”父である日下部覚吾であった。

 

「いや、覚吾さん…私が何となくそう感じただけなんだ 混乱させる様な事を言ってしまって済まない」

「そうか…いやしかし、熹一も良い年なのだ…そういう相手が居ても可笑しくは…だがしかし……」

 

 与えられた情報により自己崩壊を起こしそうになっている店主の姿に不安感を覚えたベルノは咄嗟にとある提案を試みる。

 

「か、覚吾さんの“手を動かさずにパンチするの”見てみたいです! 前にネットで拝見してから凄いなーってずっと思ってて! 宜しかったらで良いので、ぜひっ!」

「“幻突”の事か…だがベルノ、前にキー坊から実演して貰ったから目新しさは無いんじゃないか?」

「そ、その…覚吾さんのも見たくなったの! 営業時間中にこんな事言うのは迷惑ですけど、ダメですか…?」

「…ああ、別に人に見せても真似出来る技術(ワザ)では無いから構わないが…待っていなさい、余った巻き藁があったと思うので店の外で披露しよう 他の皆さんも構わないでしょうか?」

 

 ベルノの突然の要求に驚きの表情を見せるも真剣な様子に覚吾は他の客の了承を取り、店外での演武の為に一旦、その場を離れるのであった。

 

「…良かった 落ち着いてくれたみたいで」

「ベルノは凄いな 私は覚吾さんが混乱してるのは分かったがどうやって治めるのか分からなかったんだが、直ぐに正解を引き当ててしまうんだからな」

「アスリートって“普段通りの行動”をやろうと思うと落ち着く所があったから、武術家の人達も同じなのかなって提案してみたんだけど…成功して良かったよ」

「やるもんだな、ベルノちゃん 俺が未だに役所勤めだったら是非ともスカウトしてたぜ」

「だ、誰ですか!?」

「“犀の大観”さんだ そう言えばベルノは裏に居る彼等と会った事がなかったな」

「見せて貰ったぜ…オグリの友人をやれてる所以をな」

「“大蛇の武山”さん 表情はあまり変わらないけど、とっても真面目な人なんだ」

「覚吾さんもどことなく嬉しそうにしてたし、俺等も久々に幻突を見れるんで楽しみなんだ ありがとよ」

「“鼬の観山”さん 前に動物園に行った時に話したのがこの人なんだ」

「覚吾さんを前にしてビビりながらも自分の意見を言える…実に“良い女”じゃないか」

「“疾風の春草”さん この人だけ四人の中で動物の二つ名じゃないんだ」

 

 続々とベルノの前に集結する“幽玄死天王”であったが、未だに出て来ない人物が居た事に気付いたオグリが彼等のリーダーに質問する。

 

「春草さん、“ジョー”はどうしたんだ?」

「あー、“金城剣史”だが今日は灘・真・神影流の道場に行くって事で休みだ 和香ちゃんと万次から様子は動画で送られてたけど真面目にやってるんで安心してくれ」

「そうか むやみやたらに“悪人退治”をやってなければ別に良いんだ」

「アイツは幽玄の中で一番の格下だってのに好き勝手やり過ぎなんだよ ま、今は俺等が迷惑掛けない様に目を光らせてるから安心してくれ」

「あの…『好き勝手』って、具体的にはどんな……」

「何、オグリやベルノちゃんみたいな“優しい子”には一切関係ない話さ」

「そ、そうですか……」

 

 春草の発言に物騒な響きが混じったベルノは質問を試みるも相手が笑顔ではぐらかす様子を見せたので『触れない方が良い話題』である事を察し、それ以上の質問は止める事にした。

 

「そんな事より覚吾さんの“幻突披露会”だ 鼬がさっき言った通り、俺達も久々に見れるのは嬉しいんでね 君には感謝してるのさ」

「そうだな さっきはベルノに『目新しさは無い』とは言ったが私も覚吾さんの幻突はキー坊のより凄いと思っているから見れるのであればもう一回見たいな」

「確かに…覚吾さんの“足を踏み込んだ音”って凄かったもんね…あっ! 近所迷惑になっちゃわないかな…?」

「流石に全力ではやらないから大丈夫だとは思うが……ベルノ、準備が出来た様だぞ 私達も外に行こう」

「う、うん! 分かったよ!」

 

 こうしてベルノの機転から始まった“拳聖”日下部覚吾による幻突披露会は店内に居た客のみならず店外を歩いていた者にも好評でラーメン屋“幽玄”の新たなリピーター確保に繋がる結果となったのであった。

 

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