今日も日向は暖かい   作:licop

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到着

結果として、海軍本部に着くまでの間、毎日ガープとの模擬戦が恒例になっていた。

本人曰く

 

「オレとちゃんと戦ってくれるやつが少なくてな。本部では、ゼファーとかセンゴクぐらいだが両方忙しくてかなわん。余計に身が入ってしまった。お前がそこそこちゃんと戦えるのが悪い。

 

とのことだった。

まぁ、個人的にもありがたかった点は多かった。ありがたいなんて死んでも言わないけど。

イーストブルー間での習得できなかった武装色に関しての研究や取得に一歩近づくことができた件だ。

 

きっかけは、気という概念を見直したことと、しこたま殴られたことに限る。

 

気という概念自体は前世の状況でもあった。

外気功、内気功と言われる太極拳の概念である。

 

内気功は自身の身体能力や心拍数などの体内状況をコントロールし、時には身体能力の向上、時には回復能力の向上といった自身の体のあらゆる能力を集中や瞑想などの気を高める行為によって生み出すこと。

 

外気功は、自身の気を他者へ譲渡することで他者の体の回復能力の向上など、他者の身体に影響を及ぼす概念。

 

上記内容は、全部自身の生命エネルギーといわゆる管理する概念だろう。

 

 

武装色や、覇王色というものもいわゆるこの概念と通じるところがあるのではないかと見直し始めたところから、だんだんと武装色についても感じるようになってきたのだ。

 

いわゆる自身の生命力を、何かの方法で一部の身体部位に集中をすることで気を集中させ、集中した結果が黒くなるのだろう。

いまだに黒くなる意味は不明だが。

 

 

後のところは、ガープにひたすら殴られ続けたのも大きい。

ガープの強靭な生命力が表面化して、私を殴ってくるわけだから、殴られている状況でガープの拳より伝わる感覚を自分の中で探せば良いのだから。

 

結局、乗船期間は1ヶ月に満たないぐらいの期間だった。元々武装色を追い続けて8年といった月日もかかったが、やっと取っ掛かりを手に入れた。

 

強靭な生命力があれば、武装色に至れる可能性があるのであれば、昆虫などでも使えるやつがいるのだろうか。

黒い、ピカピカした、滑空してくるやつとか。

 

あれが武装色を纏って飛んでくるなんてことがあったら、地獄絵図だろう。

考えれば考えるだけ恐ろしさが増すため、考えるのはやめにした。

 

恐ろしい。

 

 

 

帰りもガープにタコ殴りされることは決定しているらしいのも、非常に気が重たい。

まぁ、武装色がないとロギア系に立ち向かえないので、やるしかない以上やるけれども。

 

現在の成果としては、指先のコンマ数ミリであれば黒くなるかな。ぐらいである。

 

 

そんな中で原作でも大きな意味を持っているマリンフォードについたのだった。

 

 

 

「やっと到着したわ!フェンよ、到着早々そんなに大きいため息をつくな。」

 

「誰のせいよ、誰の!!あなたがちゃんと入る気がないって伝えといてくれれば、気持ちももっと軽やかだったわよ!」

 

「中将もフェンさんも、こんなところで喧嘩しないでください!さっさと、到着の報告に伺わなきゃならないんですから。センゴク大将ももう待って頂いてると言っていたではありませんか!」

 

本来マリンフォードへは、前日に到着する予定だったのだ。

それをこのジジイ、途中で「煎餅なくなったから、買って行ってもいいか」だの「ここの島面白そうだな、寄っていこう」だの時間に余裕があるからといって、寄り道放題しやがったのだ。

 

挙句に、ボガードに時間がないですよ!って急かされて到着したのは、面会当日だった。

 

「わかっておるわ。行くぞ!」

 

いつまでも、不貞腐れていてもしょうがない。

真っ向から入りません宣言をしてこよう。

 

ガープも流石に申し訳ないから、海軍所属の件はできないと進言してくれるとのことだ。

 

マリンフォードは漫画や原作で見るよりもよっぽど壮観だった。

数千人なのか、数万なのかの兵士が見る限りところで模擬戦や鍛錬をしており、その顔は言うまでもなく真剣。

もう目の届く範囲では、全部が鍛錬をしている兵士で埋め尽くされているのだ。

 

また、もちろん鍛錬であるが故に気合の入った怒声や返事が飛び交っており、見ても聞いても、思っていた以上の迫力だった。

 

「驚かれますよね。私も最初に来た時は、こんなに海兵が一堂に集まることあるんだって驚きましたし、迫力からびっくりしすぎて空いた口も塞がらなかったです。」

 

「驚いている気持ちもわかりますけど、ごめんなさい。フェンさん、今は急いで行きましょう!」

 

ボガードから、自身の顔より感情を読まれて微笑ましい顔をされたことに恥ずかしさはあるが、ボガードの言葉で我に返る。

これ以上、センゴクを待たせて気分を害するリスクは流石に避けたい。

 

頷いて急ぎセンゴクの元へと向かった。

 

 

 

建物も相応に広く、迷子になりそうだったのでボガードとガープを見失わないようについていく。

ただ、到着と共に沈んでいくガープの表情を見ていると不安に駆られる。

 

「やめてほしいわね。あなたがそんな表情をすると、私も不安になるでしょう。」

 

「だってな、考えてもみろ。オレはセンゴクに絶対怒られるわけだ。あいつの説教は長いんだぞ。億劫にもなるわ。」

 

「あなたねぇ。これじゃあ、ボガードさんの気苦労が絶えないわね、かわいそうに。」

 

「わかってくれる方が1人でもいてくださるだけで感無量です!!」

 

話しながらも移動していることもあり、そろそろセンゴクの作業している部屋に到着するらしい。

 

「ここの部屋にセンゴク大将がいらっしゃいますので、行きましょう。」

 

「オーっス!センゴクついたぞ!」

 

「中将!まずは謝罪からって言ったじゃないですか!」

 

ガープが堂々とドアを開けて中に入っていくと、見ただけで感じ取れるぐらいに青筋を立てたセンゴクが部屋の奥にある机でこちらを睨んでいた。

 

「おい、ガープよ。お前は本来、もっと早くの到着予定だったはずだな。」

 

「そうだな。」

 

「今、何時か言ってみてくれるか。」

 

「予定より3時間遅れだな。」

 

「一応、上司にはじめに言わなきゃいけない言葉があるのではないか。」

 

「おう、すまん。」

 

「すまんで済むわけがないだろうっっ!!!!!!!この馬鹿者が!!!!」

 

思いっきり顔面を殴られて、部屋の隅に吹き飛ばされるガープを見てひとまず落ち着いたのか、センゴクの目線がこちらに向けられた。

 

「ボガードよ。いつも世話をかけてすまんな。ガープの手綱を握れるのがお前だけなのだ。苦労をかけるがもうしばらく頼むぞ。」

 

「はっ!承知いたしました!」

 

ボガードに向けられる表情は非常に優しく、そこには苦労の滲む表情でもあった。

そんなにいつも自由奔放に行動してるのか、このジジイ。

 

「それで、こちらが例の子だな?」

 

「はい、かの有名な智将殿にお招きいただき光栄でございます。フェンと申します。」

 

「そんなに畏まらんでもいい。そこのガープと同じ感覚で話して構わん。」

 

「センゴク、お前結構な力で殴っただろ!」

 

「当たり前だ!!!ちっとは反省しておけ!!」

 

少し壁にめり込むぐらいの勢いで殴られたはずのガープもピンピンとしている。

頭部を打ったのか、頭をさすっているぐらいだ。

 

「センゴクは、別に立場なんぞ気にせん。普通に話して良いと思うぞ。」

 

話すガープを見るたびに、目頭を揉むような。

イライラを抑えるような仕草をするセンゴク。

 

イライラしているのを見るたびに、私の気持ちがどんどん重くなっていく。

 

「そう。なら、普通に話すのだけれど。今日はなんで呼ばれたのかしら。」

 

「そうだな。ガープへの説教ばかりでは話が進まん。早速本題へ入ろう。」

 

 

センゴクの口より語られた内容は嬉しい報告を含めいくつかの内容に分かれていた。

 

まずは嬉しい報告だが、奴隷で囚われていた三姉妹の回収には成功していること。

これはもう現在完了しており追って今連れてきている最中だと言うこと。

 

明日には到着するとのことで、本日は私が泊まる客室が用意されているらしく、今日はゆっくり休み明日面会の予定だそうだ。

 

「この内容に関しては正直に言うとさほど難しくはなかった。『うちの海兵を奴隷として連れて行けるわけないでしょう。うちの海兵なんで返してもらっても良いですか』と話しただけだからな。」

 

とのことだった。

 

実際のところ、奴隷になるのは民間人や海賊連中で海兵に関しては世界貴族に関しても奴隷として持っていくことは出来ないのだそうだ。

 

ただこの内容を民衆にどう伝えるかの部分が難航していると話していた。

品位の回復は急務であるらしい。ただでさえ、ワガママ放題のゴミ相手に保護を謳って護衛までしているのだ。品位や民衆の信頼などその点においては地に落ちている。

 

世界貴族は天災か何かと一緒にされるぐらいである。

 

まだ海賊を狩って、回復を狙っているも目につくのは海賊を狩るよりも世界貴族の内容の方が目につきやすいだろうしな。

 

「これはただの愚痴だ。いずれにせよ、新聞にでもリークすれば良いだろう。たちまち世界に広がるしな。世界貴族連中は俗世の事情になんて興味はない。新聞なんて見ないだろうしな。」

 

「本題はここからだ。フェン殿、海軍へ入隊する気はないか」

 

ほらきた。案の定だよ。

海軍本部になんて呼ばれるんだもん、そりゃそうだよな。

 

「なぜ、私なのか聞かせてほしいわ。別に私なんぞ入隊しなくても、外で練兵している状況を見れば、兵の練度も高く、相当な実力の方々が数千人や数万人規模でいらっしゃった。その中で、わざわざ私を呼びつける意味を教えてほしいの。」

 

「確かに兵の練度はまずまず高い。また皆、向上心を持ち日々の研鑽も力を抜くことなく努力をしているのは、俺も言うまでもなく毎日見ているからな。そこはわかっている。」

 

「俺が欲しているのは、フェン殿の使う技術や武術の部分だ」

 

語るセンゴクの目からは嘘や偽る気持ちはなく、真っ直ぐにこちらを見て話を続けていた。

 

「フェン殿の育てた兵たちの中には、ここ海軍本部での勤務をしている者たちも多い。無論、俺も新兵の教練に顔を出すこともあることに加え、ゼファーという俺たちの同期が面倒を見ることも多い。その中でゼファーも俺も、多々驚くことがある。戦闘スキルや技術もそうだが、その闘い方に驚かされた。」

 

「俺たちの使う体術はもちろんある。俺たちの使う技術というのは、ただ実践のみでほとんどが磨かれ、自身に合ったものを自分で実践や組手をもとに研鑽していくといったものがほとんどだ。また、悪魔の実で成り上がってくるものも多く、実際のところ武の研鑽としては中途半端になってしまうことも多い。」

 

「それぐらい、悪魔の実の力は凄まじく手っ取り早い。正直、武術や武を磨くのであれば悪魔の実の力を極めたほうが強い状況がほとんどだ。」

 

「フェン殿の技術の何に驚いたのかといえば、自身の体や身一つで戦う技術。その技術力の高さだ。動きの一つ一つは完成され、どの動きを取っても無駄は悉く削ぎ落とされている。」

 

「加えて、この技術は弱者が強者に勝つために作られた技術なのか、相手の力を利用する動きも多く、自身の力以外でも大きいダメージを与えることもできる。」

 

「さらに、驚いたのが武装色まで浸透する内部攻撃の数々。その技術は我々海軍では持っていない技術だ。」

 

そりゃあそうだろう。

別の世界の技術だし、この世界では悪魔の実こそ全てって感じだろう。

 

「己の身のみで戦うと言っても、ゼファーやガープの戦い方は教育で学べるものでもない。」

 

「その中で、教練と自己研鑽で弱者でも強者に勝てる知識の詰まった技術は目新しく、また自身の才に限界を感じている海軍連中には目から鱗だろう。」

 

「フェン殿が教えた海兵も、その技術で他の海兵より短い期間で階級を上げているものも多い。」

 

それで、是非ともと考えて連れてきたということだった。

 

「センゴクよ。こいつは今はイーストブルーから離れる予定はないそうだ。」

 

「そうね。ここまで連れてきてもらったこととか、私のお願い聞いてくださったこと、ここまで私を評価してもらったのは嬉しいのだけれど。私はまだ今住んでいるところを離れるわけにはいかないの。」

 

そういうと、私の目を見て歎息をした。

 

「諦めきれぬ話だがな。その目は言っても聞かない目をしている。無理を言うつもりもないからな。」

 

また深いため息をつくセンゴクに、ここまでお願いしている身からしても申し訳ない気持ちもつのる。

 

「海軍には所属ないけれど、流石にここまで協力いただいて何もしないじゃ申し訳ないわ。私の技術でいいのだったら、ココヤシ村に近い海軍支部だったら定期的に教えにいってあげることはできると思うわ。」

 

「何!本当か!」

 

「うん。ただ、あなたやガープのような超人に勝てるような技術とは思えないのだけれど」

 

「俺らのようなものは俺らで受け持つ。悪魔の実以外での対人スキルも磨いておかねば、悪魔の実以外のものが来たときに戦えなくなってしまうからな。」

 

「それでは、定期的にフェン殿のスキルを身につけたいやつを支部に送るとしよう。」

 

「無論、オレも行っていいよな!」

 

「お前は言っても聞かんから諦めとるわ。今回はよくやった、ガープよ。」

 

書類で正式に依頼されるらしく、定期的に報酬も出るらしい。

書類をまとめて、明日またここに来いとのことだった。

 

「明日、例の奴隷もここへ連れてくる。また明日ここに来い。」

 

その後は、話しているうちに日が暮れてきたこともあり、部屋へと案内され、この日は就寝となった。

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