今日も日向は暖かい   作:licop

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2日目

波乱の1日目を終え、朝を迎える。

少しは地面の柔らかい砂浜で夜間を過ごしたとて、やはりベットで過ごしていた環境と比べると天と地ほどの差があり、寝ては目覚め、寝ては目覚めを繰り返し、寝れたのか寝れていないのかといった気分での起床だ。

 

 

さて本日の予定を発表しよう。

 

・鍋や鍋の代わりになりそうな物を探す

・年表を整理し、やりたいイベントを考える(また、ワンピースの世界と言えども原作に沿って進んでいくとも限らないため経過観察)

・水づくり

 

 

本日の予定といったら、こちらの内容だろう。

 

まず一つづつクリアしていきたい物だが、如何せん現代の無人島のようにゴミが滞留している様子もなくもちろん金属器などが転がってるなどのこともない。

 

また、土を選別して土器を作るにも戦闘経験や知識はインストールいただけた模様だったが生活知識や付随する知識は自信の中含め持ち合わせていない。

 

となると、有力なのは有人の島へと足を伸ばさないといけないわけで。

 

 

そこでネックになるのは、こちらの猫耳だった。

この猫耳は後にわかったことだが、この体のことも手紙の片隅に書いており、ミンクと人間のハーフといった設定らしく、身体能力は非常に高いことがわかっている。

 

その点は、ハーフ設定もありミンクの特徴に準じているようだ。

またその点もあり空中浮遊もできるようになっており、ミンク様様である。

 

ただそのところ、原作を多少読んでいた自身ではそのハーフに関しての話はなかったように思う。

 

そうなると懸念されるのが

 

非常に希少な状況ではないか

希少故に迫害対象ではないか

天竜人に出会ったらまずいのではないかという点になる

 

 

イーストブルーに天竜人がいたという記載はなかったような気がするため、4つ目はグランドラインに入ってからの懸念にはなるが、うち2つの可能性があるわけで……。

 

 

 

さて、まずは耳を隠す布か何かを見つけ隠す。

そして、隠した状態で目算は1km程度だろうか、離れている島へ上陸。

そこから人の反応を確認と、可能であれば鍋の取引。

 

不可であれば、こっそり盗んでくるしかないだろう。

 

 

 

本日の予定は決まったため、次は今後の行動指針だ。

 

せっかくイーストブルーにいることもあり、できれば関わっておきたいイベントがある。

ベルメール殺害事件だ。

 

 

 

おそらく時系列から考えると、今より8年程度経った後に起こると考えられる。

主人公周りの状況のおおよその記憶しかないわけだが、現代人としての倫理観は持ち合わせているつもりだ。

 

 

 

オハラは流石に遠すぎて、どこまで通用するかの実証が出来てない今では無理だが、同じイーストブルーでの状況で母がいないとなってしまう状況は、なんとか出来るようであればしてあげたいところだ。

 

 

 

今後の行動方針としてはこんな物だろう。

まあ、8年としばらく猶予はありそうだ。

 

 

まずは目下の鍋確保の問題を早急になんとかしないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行動指針を決めてから、1日目には行わなかった付近の探索をしてみたが、この島には目ぼしいものはあまりない。

もちろん無人島故にブティックや服屋はあるはずもなく、布という布がない。

 

あるとすれば現在身に纏っているボロきれのような布生地。

 

また隠せそうなものは少し大きめの葉っぱぐらいだ。

 

他にあるものといえば、動物が少々いる程度。

 

 

血抜きなんかしていては、待つまでの間で脱水症状を起こして死んで終わりだ。

そんな悠長に時間を待っている暇はないわけで。

 

 

 

 

そしてこの島の広さは、この体で十分に一周できる程度で、上空から空中浮遊(インストールされた体の使い方の経験より抜粋)で見てみても、東京ドームが2〜3個程度といった広さであった。

 

 

全く役に立たない無人島へ転生してくれたものだ。

 

 

こうなると、葉っぱで頭を隠しながら、偽装のため筏で隣の島まで移動しなくてはならない。

身体までは、漂流者で流してくれても頭の葉っぱまでは流してくれない気はするが最悪奇特な人だと思われても、バレなければいい。

 

こうなると、鍋を盗まなくてはいけない状況も視野に入れてか。

 

 

 

 

決まったら行動は早い。

 

まずは筏の作成に取り掛かる。

空中浮遊で出発も考えたものの、外見のリスクや空中を移動できる種族ということの露見する危険性も考え、筏作成の素材調達から進めていく。

 

 

 

素材調達は非常に簡単だ。

 

 

そもそもミンク族が非常に高い身体能力を有している種族ということもあり、話した通りハーフの私ももれなく身体能力は凄まじい。

 

その辺に生えている木程度であれば、手刀できれる。

あとは何本か手刀でカットしてきた木を長さを整える。

 

 

また森に行き、木のつるを持ってきて結べば簡易的な丸太の筏の完成だ。

マストはなく、乗るだけの仕様だ。

 

どうやって進むのかというと、この身体、本気で拳を振り抜くと拳圧による衝撃が起こるのだ。

ワンピースの世界といえど、個人で特典込みとはあってもこの状況は非常に恐ろしいものだが、この際気にしてられる状況ではないため一度置いておこう。

 

 

今回はその衝撃を利用して、自身が船に乗って後ろに拳を振るい続ける。

その衝撃の推進力でエンジンの代わりをしようという魂胆だ。

 

 

 

 

早速作ったマルタ号を海岸より海へと浮かべる。

つるがバラバラに解けてしまう心配もしていたが、木も素手で切れ、かつ拳から衝撃が出るほどのスペックできっちりと結んでいるため、ひとまずは解けずに浮かんでくれていた。

 

 

 

私も筏の上に乗り込む。

ワンピースの世界観や、内容、キャラは非常に好ましいものだった。

ただ現実となった今は、その世界に関われるワクワク感はあるものの、命の重みの軽い世界というだけで憂鬱だ。

 

 

 

さて、現地人第一号は受け入れてくれる方であればありがたいものだが。

 

 

 

行うこと自体は簡単である。

 

ただ筏のヘリに腰掛け、ヘリを足で固定し、反対側に拳を全力で振るうだけ。

と思っていたのも束の間、振るった瞬間に筏が大破した。

 

 

私の拳の推進力に耐えられなかったらしい。

 

 

 

 

 

試行錯誤して、何度か筏と推進力の調整を行っているうちに、3つ目の筏でコツを掴んだ。

筏のヘリで足をバタバタさせているだけで、この身体のスペックなら進めるらしい。

 

 

筏いらないっぽいです。

考えてみれば、いや、考えなくてもここまでのスペックであるならば1km程度の距離泳いだ方が早いわけで……。

 

たっ、ただ偽装しなきゃならないしな。

 

誰に言い訳するわけでもないが、己に言い聞かせ必死に筏の上でバタ足だ。

 

見た目だけで言えば、海辺で浮き輪を抱えてバタ足をしている幼女といったところだろう。

まあ軽いバタ足でも、こちらの体のスペックだと上空数mの水飛沫のため、全く可愛くはないが。

 

のんびりしていて海王類などに絡まれても厄介なため急ぎ、隣島へと移動する。

 

 

こちらに来てから、海王類はまだ遭遇してない。

ミンクのスペックや原作序盤で打倒している状況も踏まえると、この体で負ける要素はないのだろうが、ゴジラばりの大きさの魚類など見るだけでも怖そうだ。

 

勘弁してほしい。

 

 

 

 

 

筏での移動も、中程まで進むと島の状況がよりくっきりと見えてくる。

どうやら人が一人だけとか、住んでいるけど街などはないです。などではなく住居は立ち並び、見る限りでは、八百屋や服屋なども少なからずある模様。

 

また人も歩いている状況も見えており、人たちの顔も明るく、にこやかに見える。

 

 

よかった。

とりあえず、スラム街のような場所ではないようだ。

すぐに奴隷云々といった状況も、まずは希望が見えてきた。

 

 

 

偽装工作用のオールに持ち変え、島への航路を進める。

頭に葉っぱを木のつたを通して作った、冠??帽子??を被るのも忘れない。

 

 

さてさて、めっちゃ緊張する。

腹いたい。

 

 

好印象でありますように、鍋もどうにか手に入りますように。

 

 

 

どんどんと順調に島への距離も近くなり、街の船着場へと筏を停泊させる。

錨などは用意していないため、流されていった場合は泳いで帰るとしよう。

 

帰りは不審に思われても、ほしいものさえ調達してしまえば問題はない。

 

 

「嬢ちゃん!どうした、その格好!もうボロボロじゃねえかよ!」

 

この世界に来て、初めて人の声を聞いた。

言語は理解できるらしい。

 

これも何かの特典の一環だったのだろうか。

 

声をかけてくれたのは、船着場に停泊している船の男だった。

立派に髭を蓄えており腹も少々出ているが腕っ節の強そうな、いかにも船長な風貌のおじさんだった。

 

 

「知らない……、気づいたら隣の島にいた。服もこれだけ。おじさんは船長さん??」

 

「おう。この船の船長だ。って、そんなことより大丈夫か嬢ちゃん。海王類なんかはこの辺では滅多にみねえけど、よくもまあこんな筏でここまでこれたもんだ。お父さんやお母さんはどうした?」

 

 

腰を曲げ、わざわざ目線を合わせてこちらと話してくれるこの船長は、眉を顰めながら心配そうに声をかけてくれた。

 

「お父さんも、お母さんもいない。1人だけでそこにいた。ご飯はあるけど、水がないの。鍋が必要だから、鍋売っているところを教えてほしい」

 

「お嬢ちゃん一人なのかよ!(お父さんもお母さんも居ないってこたあ、捨て子かなんかかい。胸糞悪いなあ、おい)まあ、鍋売っているところに案内するのはいいが、金か金目になりそうなものは持っているのかい、嬢ちゃん」

 

「なんとかする。ただ場所を知らないと買えないから、場所だけでも教えてほしい」

 

「わかった。案内してやらあ。ちょっと船の錨下ろしてくるから、待っときな」

 

おじさんは船の錨を降ろしにいった。

とりあえず第一関門クリアだ。

 

まだ見る限り、軽蔑や変なものを見るような印象はなく、かわいそうな少女として扱ってくれている。

このおじさんだけなのか、街での状況なのかは不明だが、色々今のうちに聞けるだけ聞いておこう。

 

 

 

「待たせたな!そしたら、すぐそこだから行くか」

 

おじさんと一緒に歩き出す。

目的地に着くまでの間は、おじさんから現在の位置と周辺との位置関係と、街の状況を聞いた。

 

現在地は、思っても見なかったがシェルズタウンらしい。

 

ここは街の裏側にどちらかと言うと位置しており、反対側には海軍本部があるときた。

 

どう考えても、斧手のモーガンイベント地だよな。

どうやら現在の大佐は聞いたこともない名前だったが、原作通りならば、いずれ赴任してくるのだろう。

 

 

原作の5年前赴任だったため、後20年後といったところか。

 

はて、この肉体年齢は幾つなのかは不明だが、原作開始の際にはいい歳になっているのか。

主人公が20歳行くか行かないかだったため、おばさんになっている頃合いである。

 

おばさんと呼ばれたくはないなあ。

主人公や仲間たちには、お姉さんぐらいに思ってほしいものだ。

 

 

 

考えが逸れてしまったので戻そう。

 

まずは鍋の確保である。

 

「嬢ちゃんついたぞ!おい、婆さん!客だぞ!鍋が欲しいらしい」

 

「はいはい、待っとくれ!今行くから」

 

店は昔の個人の八百屋などを想像してくれると、まさにそのままの見た目。

一階でものを売って、二階が住居。

こじんまりとした外装だ。

 

まあ、この世界にデパートなんて出てきた覚えはないし、街の金物屋さんな外装である。

 

奥から出てきたのは、頭は白髪なものの背筋はしっかりと伸び、快活な印象を受けるおばあちゃんだった。

 

「あれ、ちっちゃいお客さんだこと。ジゲス、どうしたんだいこの子。まさかどっかから誘拐してきたんじゃないだろうねえ!」

 

「バカ言うな!嬢ちゃんは少しここで待っててな。ちょっとこっちに来い、婆さん!」

 

「いい度胸だ、ジゲス!誘拐なんかしてきたら、とっちめてやる!」

 

少し揉めそうな雰囲気もあったため、仲裁に入ろうかと思ったが、こんな子供が何をいっても悪い印象につながってしまう危険があるためやめた。

ここは大人しくなっていよう。

 

おばあちゃんと、おじさん(ジゲスというらしい)は少し離れたところでコソコソと話していた。

 

「あの子は、お父さんもお母さんも今はいねえそうだ。挙句に、近くの無人島で一人でさっきまでいたらしい。俺が話しかけたのは、俺の船の停泊している船着場に筏で一人できてたから、軽く話しかけたら鍋が欲しいってんで連れてきたのよ」

 

「そうなると、あの子は捨て子か漂流かってところだね。なんであんなちっちゃいのに、一人になっちまったのかい」

 

「そうだと思う。流石に、あんなちっちゃい嬢ちゃんに根掘り葉掘り聞いてくるわけにも行かねえから、俺の想像も混じってはいるが、あながち外れてもいねえだろう」

 

見ている限り(聴力も獣並なのか、話している内容はおおよそ聞こえてしまう)捨てられたor漂流者で天涯孤独の少女だと思われているらしい。

あながち外れてもいないため、訂正もする気はないが。

 

2人とも難しい顔で話を続けている。

 

 

「どうするんだい、私も聞いちまったらそのまま無人島に返すなんてことはできないよ」

 

「そりゃあ、そうだよなぁ。だがよ、俺の家なんて男一人だ、女の子の嬢ちゃんには辛えだろうし、婆さんどうにかならねえかよ」

 

「私んとこも、私が食べるので一杯一杯さ。近頃は海賊が来ていない分、少し余裕があるぐらいだよ」

 

 

困った表情で、悩んでいる2人を見ながら今後の身の振り方を考えていた。

まだ自身の頭の状況を教えていない状況で、今後の物事が進んでしまっても困るからだ。

 

ただ、海賊が闊歩している世の中で人の温かみなんて現実問題ないのだろうと考えていた。

現実は見ず知らずの少女や状況で真剣に考えてくれる人がいた。

 

演技かもしれないが、現在、この世界で頼れる場所は作っておいて損はない。

衣食住も流石に無人島でずっと暮らしていくのは無理があると考えていたところもあり、渡りに船かもしれない。

 

 

 

「仕方ねえ、俺んちにひとまず置いてやる方がいいか。婆さんも嬢ちゃんの面倒見てくれっか。俺が家にいない日だけでも構わねえからよ」

 

「それぐらい、お安い御用さ。うちにもっと蓄えがあればねえ」

 

「そうと決まったら、早速だな」

 

 

聞いていたため、内容は理解しているが、こちらとしても話しておかなくてはならない内容がある。

話し合いが終わり、ジゲスのおじさんと金物屋のおばあちゃんが戻ってくる。

 

「お嬢ちゃん、流石に無人島で一人で生きていくのは無理がある。海もこの辺は海王類はあんまり出ねえが、全く出無えわけでもねえ。毎回、海を通ってこの島に来るんじゃあ、いずれ食われておしまいだ。お嬢ちゃんみたいな別嬪がそれじゃあ、寝覚めが悪い。だからよ、俺の家を寝泊まりに使ってくれねえか」

 

「そうだね、お嬢ちゃん一人で生きていくのは、辛い世の中さ。お婆も孫もいないし、お嬢ちゃんのお世話させてくれないかねえ」

 

 

人の温かみは、殺伐とした日常を送っていてもあるもんなんだな。

わけもわからず、意味もわからない世界に送られ、ひとりぼっちの状況。

 

初めて会った人がこんな温かい人たちがいるなんて思っても見なかった。

考えれば考えるほどに涙が出そうだった。

 

だが、今泣いてしまう前に話しておかなくてなならないことを伝える必要がある。

 

「おじさん、おばあちゃん。嬉しいけど、私話しておかなきゃならないことある。もしかしたら、迷惑かけちゃうかもしれないし聞いてから決めてほしい」

 

話して、草で隠していた頭を見せる。

ジゲスとおばあちゃんの表情を見ると、やはり驚愕の表情だった。

 

「お嬢ちゃん、それは本物なのかい」

 

「うん、尻尾もある」

 

実のところ、ボロ着に隠れて見えないようにしておいたのだが、尻尾も有った。

普通の猫の尻尾ではなく二股で、2本だ。

 

「驚いた、お嬢ちゃん悪魔の実の子だったのかよ!よくもそれで海なんて渡ってきたもんだ!」

 

「ジゲス悪魔の実って、なんのことだい!自分ばっかり納得してるんじゃないよ」

 

状況の理解ができていないのか、困惑しながらおばあちゃんはジゲスおじさんに声をかける。

 

「悪魔の実っていやあよ、売ったら1億ベリー相当で食ったら不思議な力が手に入る世にも奇妙な実って噂だ。俺も実物は見たことねえけど、実際のところ手が伸びたり、獣になったり、いろんなことができるって船乗りの中で噂だ」

 

「なんでそんなもんをこんな嬢ちゃんに!」

 

「それはわからねえが、たまげたぜ。そうか、葉っぱで隠してたんだな人と違うから。安心しな、少なくとも俺は別に獣の耳があったところでこうやって話せるし、人間の子供であることは一緒なのは変わんねえからよ。気にしねえよ」

 

「そうだねえ、こんなに可愛い孫欲しかったからちょうどいいよ。ジゲスはさっさと部屋を片付けておいで!船から戻ってきて、部屋に帰ってないんだろう!嬢ちゃんを住める状態にしておいで!」

 

ああ、涙が出そうだ。

そうか。心細かったよなあ。

 

なんか必死で考えなきゃいけないことばっかりで、全く気づかなかったけど。

 

なんて考えている頃には、涙が出ていた。

大人になってから、子供のようにエグっエグっと泣くなんて思わなかった。

前世は成人もしていたし、男だった。

それなりに辛いことも経験してきたはずで、まさか涙が出てくるなんて自分でも驚愕だった。

 

「・・・・・・おばあちゃ、んっ、おじさん・・・あ゛りがどう゛っ・・・・」

 

「子供が無理するんじゃないよ!ほら、お婆のところにおいで。お嬢ちゃんはお婆の家でゆっくりしてようね。ジゲスはさっさと行っておいで!」

 

「わかったわかった!お嬢ちゃん、また片付け終わった頃に声かけにくるからそれまでは婆さんと遊んでやってくれや。店も年中閑古鳥で暇してっからよ」

 

「余計なお世話さ!さあさ、行った行った!」

 

ジゲスおじさんは急かされるように去っていった。

それからしばらくはおばあちゃんに抱かながら、ひとしきり泣き、収まった頃にはおばあちゃんの服も濡れてしまっていた。

 

「さて、お嬢ちゃんも泣き止んだことだし、いつまでもお嬢ちゃん呼びじゃあ他人行儀だから名前を教えてくれないかい」

 

「フェン。それだけ」

 

「そうかい、じゃあフェンちゃんだね。お婆の名前はシジマっていうんだ。お婆でいいよ。いっぱい泣いて喉乾いただろう。ちょっと、お婆のお茶に付き合っとくれ」

 

店の中に入ると、スプーンやフォークなどのカトラリーに、鍋やフライパンなどの金物まで幅広い商品が置いてあった。

また自衛は自身でとの世界なのだろう、刀も商品棚の一番上に置いてある。

 

「気になるかい、あれは刀なんだがお婆は全く使えないんだ。護身用さ」

 

原作で見たような特殊な鞘ではなく、棚の上に置いていることから大業物などの名刀ではないようだ。

おそらく大衆用の刀なのだろう。

 

 

「そんなところにいないで、早くこっちにきておくれ。あったかいうちにお茶にしよう」

 

なんとここで驚愕だったのは、緑茶だ。

日本の心だ。

 

ワンピースの世界では、テキーラやウイスキーなどの印象やオレンジジュースなどの描写は見られるがまさかの緑茶だ。

 

「おっ、フェンちゃんそれはお婆のお茶だよ。ジュースはないからお水でも出そうかと思ってたけど、そっちの方がいいかい?」

 

「んーん。お茶でいい。お茶がいい」

 

こちらでは緑茶ではなく、シジマおばあちゃんが庭で採れた草を潰して飲んでいたらしい。

その際に一番美味しかった草を栽培し、今の形になったそうだ。

 

 

そこからは、おばあちゃんといろんなことを話した。

どうやらおばあちゃんには孫がいて、孫は現在海軍で働いているそうな。

 

息子も海軍にいたそうだが、現在は表側の街で同じく金物屋を営んでいるとのこと。

 

旦那さんが他界してから、一人で暮らし始めて、もうしばらく経つとのことだが、息子夫婦も帰ってこず孫の顔もしばらく見ていないそうだ。

 

「一人で暮らすのも気楽でいいけどね、寂しい時もあるからフェンちゃんがいてくれたらお婆も大喜びさ」

 

「うん!私でできることなら手伝うし、お婆ちゃんの役に立つ!」

 

そうしてしばらく、シジマおばあちゃんとお茶をしているとジゲスおじさんが帰ってきた。

 

「おい!迎えに来たぞ、婆さん!」

 

「思ったよりも早かったねえ!ちゃんと片してきたんだろうね!」

 

「当たり前だ。元々、魚獲りに行くとしばらく帰ってこねえってんで、家にものあんまり置いてねえんだ」

 

「なら、良しだ!フェンちゃんお婆の相手してくれてありがとうね!お婆もお家に行くから、お婆の家にもいつでもおいでね」

 

「げえ!来んな来んな!必要な時は、お嬢ちゃんに来させる!(婆さんがうちに居着いた時には、やれ掃除だなんだってうるさくて敵わん)」

 

おじさんはおばあちゃんの息子の友人らしい。

小さい頃から知っており、おじさんのお母さんとも仲がいいとか。

 

「じゃあな!婆さん。これから頼むわ」

 

「任されたよ!今日はお婆の相手をしてくれて本当にありがとね、久しぶりに孫が帰ってきたみたいで楽しかったわ」

 

「んっ。また来る。またね」

 

お婆と別れて、ジゲスおじさんに連れられておじさんの家に向かう。

 

「お嬢ちゃん、名前フェンって言うんだな。俺は、散々婆さんが呼んでたからわかっていると思うがジゲスってえんだ、改めてよろしくな」

 

おじさんには家族はいないのだろうか、家族がいたら知らない子供連れてきて喧嘩になったりしないのだろうか。

 

「おじさん、私連れてきて家族は嫌じゃない?私、変な子。人とは違う耳と尻尾ある」

 

「子供がんな事気にすんな!ま、おじさんは家族はいねえからよ安心して良い」

 

現在は一人で暮らしており、両親とは別に暮らしているらしい。

また喧嘩で家を飛び出しての漁師になったそうで、しばらく両親と顔も合わせていないそうだ。

そしておじさん呼びしていたものの、実際のところは30半ばであるとのこと。

 

家庭を持つ気は今の所はないとのこと。

また恋人も漁に出て帰ってくると、少し休んでまた漁に出てしまうため作る暇がないようだ。

 

「おじさん、家族は大事。喧嘩勿体無いよ?」

 

「んな事はわかっているんだがなあ。子供に諭されると響くぜ、おい。(婆さんだけに任せんもの無理があるだろうし、かといって俺も漁に行かねえといけねえし。しょうがねえか)」

 

おじさんの家は2階建て一軒家だった。

間取りは一階にリビングに寝室、2階に上がると倉庫がわりの部屋が一つ、そしてトイレに洗面台といった間取りだった。

 

 

「2階の部屋は好きに使っていいぞ!あとは客人用のベットも二階倉庫に放ってあるから、寝起きはそれでするといい。ただよ、女の子用のもんなんて俺は気にしたこともねえから、今日はこれで我慢してくれるか。明日にはなんとかするからよお」

 

 

寝起きできる部屋をくれるらしい。

なんとも、おじさん様様である。

 

「おじさん、ありがとう!」

 

「良いってことよ!子供が死ぬのを見てるだけなんて寝覚めが悪くて敵わねえもんよ。欲しいもんは明日まで我慢してくれ」

 

 

 

 

お腹は減っていないことをおじさんに告げ、その日はそのまま就寝となった。

仙豆のパワーは改めて凄まじい。

 

昨日口にしてから全く空腹もなく、続く満足感。

全くお腹が空かないのだ。

 

そして、1日一粒生まれる魔法の巾着からは一粒豆が生まれていた。

原理はわからないが知らぬ間に豆が入っていたと言うべきか。

 

食さずにそのままにしておけば、増えていくのだろう。

こちらはいざという時のために取っておきたい。

 

 

 

考えれば、ミンク族スペックはイーストブルーでは過剰戦力ではないのだろうか。

ハーフ設定とのこともあり、どこまでのものなのかは不明だが、木は手刀で切れ、パンチは衝撃で数メートルの水飛沫と推進力で筏は大破(大破といっても粉々だった)。

 

 

またインストールされた知識は思い出すと言う表現であっているのかは疑問だが、思い出すとおそらく縮地や徒手空拳での武術経験の知識。

対人戦での関節技などの知識がどんどんと湧いてくる。

 

戦闘力や経験はどうやらワンピースでの六色などのびっくり技術ではなく、現代日本の知識であるようだ。

ただワンピースでの基本ベースは対人戦がベースのため、武装色と見聞色を身につければ戦えるようにはなりそうだ。

 

またハーフといえど、エレクトロやスーロン化もできるらしい。

 

十分に過剰戦力ではないだろうか。

 

 

手加減と、早急に覇気を身につけよう。

これは今後の急務だ。

 

もう一つ、ミンク族の特徴は獣に準じているはずだったように記憶しているが2本尻尾がある理由も確かめねばならんだろう。

 

 

 

 

今日1日で、自身が非常に幸運だったと思う。

または有人の島の人口が優しい風潮の島を選んでいただけたのか。

 

 

人は温かく、こうして今日出会ったばかりの人間かもわからない子供を迎えてくれた。

海軍のいる街では海賊は跋扈しずらく、手も出しづらいだろう。

 

現在がモーガン前ということもありがたい。

あのゴリゴリが出てくると、生きづらい島に早変わりだからだ。

 

ここまでよくして貰っているのだ、あのゴリゴリからは島の人を守りたい。

 

 

 

目標

 

・手加減、覇気を物にする

・ベルメールを助ける

・モーガンから島の人を守る

 

 

これで当面の目標はできた。

明日から頑張ろう。

 

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