今日も日向は暖かい   作:licop

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お会いするまで

 

 

宮殿なのか、城なのか。

戦士長さんに案内されるまま、建物の中に入ってきたものの宮殿作法みたいなものは全くわからないのだが大丈夫なのだろうか。

 

「そんなに不安な顔をされなくても大丈夫ですよ。」

 

ふふっと可愛らしいものを見る目で、微笑まれる。

この人は私のことをいくつだと思って居るのだろう。

 

確かに身長や胸の成長は幼少期より止まっているが、年齢の判定は胸の成長具合なのだろうか。

 

 

「グロリオーサ様より、ハンコック様が連れてくるようにと話していたと聞いております。私個人としてもあなたの話はハンコック様やサンダーソニア様、皆様より伺っております故に丁粗雑な扱いをしたとあっては怒られてしまいますからな。」

 

快活に笑う戦士長に拳骨ジジイが煎餅を食いながら、笑っている様と重なる。

戦士や戦うものって感じで、気持ちいい豪快な笑い方である。宝塚だろうか。

イケメンは何をしていても様になるとはこのことだろう。

 

ここアマゾンリリーでの女性の美しさは、この世界でも屈指の美しさであると考えている。

見てきた女性は、男装の麗人のような美しさや、筋肉美、また可愛らしい風貌な女の子。

 

「それでは、今後の予定を先にお伝えを。まずは、流石に漂流された後のそのままでお会いするのではお互い落ち着かなくなってしまいますから、湯浴みと洋服のご用意を済ませておりますのでそちらから案内いたします。その後に、現皇帝様やハンコック様にお会いできるようにグロリオーサ様が取り計らってくださいましたので、整いましたら近くに給仕を待機させておきますのでお声がけください。」

 

「わかりました。戦士長さんはどちらかに行かれるのかしら?」

 

「私は警備の長ですから。現場を多少離れたところで問題はないように訓練はしておりますが、現場に戻ろうと思います。フェン様と剣を交えたいと思っていたのに、このまま戻ってしまいますこと非常に残念でなりませんが。」

 

戦士長の顔には、獲物を逃したかのように残念な表情が浮かんでいる。

 

「お強いのでしょう?私の部下では相手にならないような武人でいらっしゃるとお見受けしておりました。私も最近は訓練の相手に困って起きておりましてな。誠に残念。まぁ、島にいる以上、またお会いすることもあるでしょうから楽しみにしておきます。」

 

最初に話した時の眉間に皺のよった警戒するような怖い表情とは打って変わり、終始、笑って居る戦士長を見てほっとする。

きっとグロリオーサ様なのか、ハンコックなのか。

 

きっと悪い話ではなく、いい方向で話が通って居るのだろうと対応を見て察することができる。

 

「私なんてそんなに強くないですよ。世の中には、もっと恐くて強い人なんていっぱい居るのですから。」

 

記憶に蘇るは、ジハハと笑う強者特有のオーラに狡猾そうな顔。

あいつを倒さない限り、私の不安も平穏な日常も戻ってこないのだから今世も糞食らえである。

 

「では、後の対応や湯浴みの場所などは給仕に任せております。スイレン、あとは任せるぞ。しっかりな。」

 

戦士長の脇に、いつの間にか控えていた女性に気づく。

年は20に満たないぐらいであろう若い女の子である。

 

髪は深い青みがかった髪。

ロイアルブルーや群青色といった綺麗な青。

 

合わせるように、瞳にも青色の瞳。

またこの島で見てきた女の子たちは、健康的な肉体美で戦士といった風貌の子たちばっかりだったものの、この女の子は色も白く線も細い。

 

髪の長さは肩にかかるくらいといったところだろうか

 

「はい、承りました。今後の身の回りのお世話を賜っておりますので、何なりとお申し付けください。」

 

「では私はここで一旦失礼させていただきます。フェン共もまた。」

 

声をかけると戦士長は来た道を戻って行った。

こんな綺麗な給仕さんと2人きりで、私、別に話すのが上手いわけでもないのにどうしようかしら。

 

「私、ここに来たばかりで何もわからない状況なの。作法とか含めてご迷惑おかけするかもしれないのだけど、大丈夫かしら。」

 

「その点はご安心ください。アマゾンリリーでの作法も特段特殊なものはございません。加えて、ハンコック様や高貴な方々よりも、フェン様にはお世話になった。失礼のないようにと言われておりますので、お気になさらず自由にしていただければと思います。」

 

ほっと安心のひと息をつき、自分の体を改めて確認する。

昨日、川で身を清めたとはいえ、防空壕か洞窟ばりの洞穴で長期間過ごした身であるから、いまだに落としきれない汚れもあるし、自身の嗅覚が人間の頃と比べて敏感になっており、多少匂うことにも不快感がある。

 

戦士長やスイレンと呼ばれた少女が気にしている様もないため、この国では別段気にすることもない程度なのか、匂わないのかはわからないが、さっさと湯浴みをして綺麗になりたいところである。

 

「湯浴みの準備はできております。もしよろしければこのままご案内いたしますが、如何いたしますか?」

 

「じゃあ、お願いしてもいいかしら。」

 

宮殿の内部は非常に広く浴室まで行くまでもずいぶん歩くことになるらしい。

浴室や身を清めるといった方法や内容は、ずいぶん前に外海より仕入れていたとのこと。

 

このアマゾンや部族みたいな風貌でも女の子。

浴室や浴槽は一般的であるといっていた。

 

浴室まで向かって居る道のりも、もちろん案内してもらったのだが、何を話しても何の会話をしてもスイレンの表情。

流石に初対面の人と話しても楽しくなんてないわよね、と少し申し訳なさを抱きながら、会話を続けていると

 

「私の表情が変わらないのは、お気になさらずいただければ。フェン様、そろそろ浴場に着きます。外海には自身の身体を自身で清める風潮があると聞いておりましたが、お供は如何いたしますでしょうか。」

 

「私も浴場までのお供は流石にいらないわ。終わったらどなたかに声をかければいいのかしら?」

 

「フェン様が終わりますまで、こちらで待っておりますのでご安心ください。ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」

 

浴場に入ると、浴場の広さは流石に宮殿というところだろうか。

現代の温泉の大浴場よりもさらに広く、こんな広い風呂場で一体何人一緒に入ることを想定して居るのだろうかと疑問の残るレベルでの広さだ。

 

また湯口には合成な装飾も施されており、ここが知り合いの家ではなく皇帝の家であるということを改めて認識させられる。

 

原作を知ってて、覚えてて。

かわいいお気に入りのキャラとかいう適当な理由で助けたのに。なんかごめんね。

 

石鹸や洗髪剤なども事前にスイレンより受け取っており、湯船に浸かる前にギシギシの髪や毛並み、汚れた身体を丁寧に洗っていく。

流石に一年分の汚れが一度に落ちるとも、一回で綺麗に潤うとも思わないがやはり気持ちのいいものだ。

 

ただ、身体を洗った後の水は茶色く、どれほど汚れていたのかが現れていた。

汚れも落とし終わり、そろそろ湯船に浸かりゆっくりするかと、ふと湯船の方向に目を向けると、小さい人影らしきものが目に入る。

 

入った時には、浴槽に人影なんていなかったような???

気づかなかっただけなのかもしれないわね。

 

確かに身体を綺麗にしたいの一心で入ってきたために、他に目を配る余裕はなかったかもしれない。

考えれば、ここの浴場に入浴して居る以上、高貴な方かはたまたここで働いている人間か。

 

「あれ、余以外に入ってくるなんて珍しい。誰かわからないけど、一緒に入ろう!!」

 

目に入ってくるのは、真紅の赤色の髪にこの世界特有のグラマラスで豊満な身体。

身長も私の155を優に超える身長。

 

通常のサイズ感の男性よりもさらに大きく、並べたとすれば私の頭がおおよそバストぐらいの高身長女子であった。

またその体には多くの傷跡があり、一体どんな戦場や戦いをしてきて居るのかを体で物語って居るようだった。

 

「あまりジロジロ見ないで。恥ずかしいじゃないか。」

 

湯けむりから近くに寄ってくると、その身長だけではなく、明らかな武人特有のオーラに少し気圧されそうになる。

 

「ここでは初めて見る顔だね。余を暗殺にでもきたっていうなら、自分も裸になんてなる必要がないし、なっていたとしたらただのバカ。それに、その尻尾といい耳といいミンクの子なんて珍しい子を暗殺に使うとも思えない。」

 

ジロジロと裸で周りを回りながら、考察をしてくる美女なんてどういう状況なのだろうか。

 

「黒い耳に黒い尻尾。子供みたいな身長と。聞いていた通りではある。其方がフェンであってる?」

 

「えぇ、確かに私はフェンと申します。」

 

ニコッと口角を上げると、嬉しそうにバンっバンっと背中を叩いてくる。

めっちゃ痛い、痛いってば!!!

 

「おお!!よくきたね!!こんなに急遽追うことになるなんて思っても見なかったから、風呂に入っていたんだけど!!」

 

よっぽど豪快な性格なのか、それともこれが日常なのか。

バシバシと叩かれる背中を叩く手を避けるようにシフトする。

 

「ごめんごめん、痛かったよね。余は現皇帝、名はサクラ。我が娘のハンコックを助けてもらったこと、本当にありがとう!!!後一歩遅ければきっと、取り返しのつかないことになっていたと娘たちから聞いているよ。間一髪だったって。助けてもらったことや、話は聞いていたんだけど、公にしたくなさそうだって聞いてモヤモヤしていたんだ!!!」

 

背中をさすりながら、話を反芻する。

 

めっちゃ叩いてくるから、背中真っ赤になって居るじゃないもう!!!

ハンコックが娘って言ったわよね。娘?????

 

娘だって。サンダーソニアも、マリーゴールドも??

 

現皇帝って言ってたよね。

 

少しずつ冷えてくる背筋に、青ざめていく顔。

血の気が引くとはこのことかもしれない。

ただ、今更裸であってしまって居るのだから、どうしようもないと開き直るしかないと言い聞かせて気持ちを落ち着かせる。

 

 

「驚かせるつもりはなかったんだ。其方がここにくると聞いて、いてもたってもいられなくて浴場で待っていた。本当にありがとうだけはしっかりと伝えたくて。」

 

精神的には開き直ったからか、話を聞く余裕も周りの状況も理解できるようになってきた。

耳からは外で皇帝様がいなくなったぞ、探せ!!などの喧騒が耳に入る。

 

「こっそりと抜け出したんだけど。やっぱりバレるよね。娘の将来を救ってくれたこと、1人の親として心からの感謝を。また、この後しっかりと面会の時間は確保してあるから、その時また会おうね!!!」

 

女性は、皇帝とは思えないほどしっかりと親として、頭を下げて去っていった。

皇帝っていうか、気のいいママ友みたいな感じの人だなぁなんて、緊張していたとは思えない感想を抱きながら改めて湯船に浸かる。

 

現皇帝が公の場で頭を下げることなんてできないから、きっと浴場にいたんだろうな。

そう思うと裸で会うなんて強行に踏み切れる豪胆さと、踏み切る要因や一端になって居るだろう、自分の実力への自信。

 

そりゃあ、オーラも出るよなぁ。

 

久々に浸る湯船に、しばらく我を忘れるような気持ちよさを感じながらここの底からあの時の選択をしてよかったと安心した。

あれだけ安心した親の顔と、過去のハンコックたちの安堵した顔。

 

それだけでも助かってよかったと思える。

言っても、私は告げ口をした程度でそこまで大それたことはしていないために、後で訂正しておこうと思う。

 

そういえば、あの時にセンゴクさんが協力してくれたのは、ガープからの強い推薦があったからだと話していた。

 

海軍での人望も熱く、また勤務経験やその人柄ゆえの顔も広い。

自由な性格から、行動に歯止めが効かないのは玉に瑕だが、経歴も大きな意味を持つものも多い。

 

そんな煎餅ジジイが太鼓判を押す人材で、海軍内部での密かな人望や実績を残し始めている私を取り込みたかったそうだ。

それは世界貴族との関係と天秤にかけても、自分自身で動かせるコマとなると、のちのことを考えた時に取り込んでおいて損はないと考えていたとのこと。

 

まぁ、断ってしまったので気分は悪いがそれでも過去鍛えてきた人材は、シキの船にいても時折聞こえてきており、教え子たちもしっかりとやって居るらしい。

 

 

長風呂をしてしまったと火照る体に気づき、風呂から出て、脱衣所でしっとりと濡れてしまった耳や髪、尻尾の水分を拭き取る。

アマゾンリリーでの気候や温度が非常に高いために、ある程度水分を拭き取っておけば、後ほどしっかり乾いていくのは昨日の川で確認済みである。

 

 

「スイレンさん、お待たせしたわ。服はあったものに袖を通したのだけれどよかったのかしら。」

 

「はい、フェン様用にご用意した衣服ですので。流石にミンク用の服のご用意はございませんでしたので、即席でのご用意でしたが違和感はございませんでしょうか。」

 

用意されていた服は、戦士たちの着ているビキニ型の衣服ではなく、和服の羽織のような服装であった。

おそらく尻尾のことを考えた時に合う衣服がこれしかなかったのだろう。

 

こちらの衣服であれば多少の違和感はあれど、服の中に尻尾を仕舞い込むことはできる。

 

「違和感もなくサイズもピッタリ。怖いくらいだわ。」

 

「ハンコック様の御了承の上、衣服をお借りして参りました。それではこの後、湯上がりのままではいけませんので私どもでフェン様の身を整えさせていただいた後、現皇帝様とハンコック様がいらっしゃる広間に案内いたします。よろしいでしょうか。」

 

ハンコックとおんなじ身なりだって。背丈も同じだって、暗にバカにしていたり??

 

相変わらず全く変わることのない表情に、少し怖さを覚えながら了承する。

了承をすると、どこからともなく給仕が出現し、椅子とテーブルを用意されブレスダイアル式のドライヤーで髪を乾かされ、今までの環境で整えられなかった爪や髪などの身なりを整えられていく。

 

髪は今までの生活から、腰丈まで伸びていた髪もこれを機にバッサリとショートボブぐらいまで切ってもらった。

 

尻尾や耳の毛までペットトリマーの方なのだろうか、綺麗に切りそろいて貰い、あっという間に野生味はなくなりこ綺麗な女の子ぐらいまで進化したぐらいである。

 

恐るべし、給仕。

 

終わったら終わったで煙のように消えていくのだから前世は忍者か何かだろうか。

見聞色でも感知できない謎スキル、さらに恐るべしである。

 

 

「広間には、先先代様のグロリオーサ様、現皇帝のサクラ様、皇女でいらっしゃるハンコック様、そして姉妹方がお待ちでいらっしゃいます。ご案内いたしますので、前を歩いてもよろしいでしょうか?」

 

「よろしくお願いするわ。」

 

流石の宮殿。島国とはいえ、その規模も大きく案内なしに進んで行った時にはいつ着くかわからない。

ましてや迷子になってもおかしくないぐらいである。

 

「それではご案内いたします。」

 

先ほど、少し対面したもののほぼ初対面の皇帝に、謎の先先代様。

そしてハンコックと。

 

スイレンさんは表情から味方とは思えないし、心細いのだけれど。

 

当面の予定もここで決まるのだから、気合い入れていきましょうかね!!!!!!

 

 

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