今日も日向は暖かい   作:licop

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動き出します

 

「久しぶりだな、よく生きて帰ってきたものだ。」

 

あれから、ひとまず海軍へと電話して見て交渉してみようという内容に話が落ち着いた。

結局のところこの交渉が上手くいかないことには、計画倒れになってしまう。

 

 

まずはハンコックより、でんでん虫を拝借し先にガープさんへと連絡をとった。

 

こちらのでんでん虫は、海軍になる気持ちが芽生えたらの時のでんでん虫だったらしく、海賊になるとは何事だと出て最初から怒鳴られた。

いえいえ、違います。フェンですよと挨拶をすれば「ばかもんが。生きているなら、さっさと連絡ぐらいよこせ。」とお説教をいただいたものの、現在は海軍本部に駐屯されているらしく、センゴクさんに取り次ぎを行うから待っておけと話をいただいた。

 

ガープさんにも、きっと迷惑と心配をかけてしまったんだろうな。

海軍は命令に忠実であれと、正義は世界政府にを宗教の如く教えられるのだという。

 

それでも、ガープさんは人情に溢れ、人としての繋がりを大切にできる人であることはよく知っている。

きっとココヤシ村のことや、私の捜索も手を貸してくれた可能性だってあるぐらいだ。

 

むしろ手を貸してくれたのだろう。

 

そうでなければ「お前の故郷には伝えているのか。」なんて言葉をいうわけがない。

ただ今回の作戦内で、全世界に私の存在と内容を発信するために耳に入ることだろう。

 

 

 

ひどい人だって軽蔑されるかな。生きているのに帰ることも、伝えることもしなかったんだから。

こんなに時間も経って、ナミやノジコも大きくなっているんでしょうね、ナミは私のことなんて覚えていないかも知れないわね。

 

考えたら、きっとキリが無く自分の気持ちが落ち込んでしまうことはわかっているのに、考えてしまう自分にも嫌気がさす。

それでも、ここを乗り越えないと安心して会うことだってできないからって決めたのに。

 

 

ここで憂鬱になっても仕方がないと、自身の頬を叩き、気合を入れ直す。

そんなことばっかり考えている間に時間は経っていたのか

 

「取り次いで来たぞ。おい、センゴク。フェンがお前に電話だといっておるぞ。」

 

「いきなり訳も説明せずに引っ張ってくるやつがあるか!!!!まったく!!!それにしても生きていたのか。」

 

電話口では、当初にお会いした時よりも幾分低くなって、さらに深みの増した声。

 

「ココヤシ村の時はしょっちゅう定期連絡していたのに、5年間も連絡できなかったんですもの。死んだと思われても仕方がないわ。」

 

「私たちで脱獄を許したものが、迷惑や危害を加えていることに申し開きする言葉も無い。インペルダウンよりの脱獄といった行為を許してしまったこともあり、海軍でも総出でシキの捜索にあたったのだが、いかんせん宙に浮く海賊の捜索など前代未聞。いかに前例があるとはいえ、流石に警戒しておるようで結果は打つ手無しだった。」

 

話すセンゴクさんの表情は、苦虫を噛み潰したような表情で苦悶を浮かべていた。

 

「いいの。わかってて私が行ったことだから、センゴクさんに落ち度は無いわ。私こそ勝手なことをして申し訳ない気持ちでいっぱいよ。」

 

「そう言ってくれるとありがたい。それで、わざわざ今回電話を寄越した理由を聞いても良いか?」

 

「今回、私がセンゴクさんに電話をしたのは海軍とセンゴクさん、ガープさんに力を貸して欲しいの。シキを捕まえるために。」

 

電話口の後ろから、「何を捕まえるって言っておるのじゃ!!ワシには全く聞こえんぞ!!」とか「うるさい、話をしている最中だ!!!!!黙っておけ!!!」とか揉めている声が聞こえる。相変わらず仲がいいらしい。

 

「それでシキを捕まえることは賛同してもいいが。具体的にどうやって誘いだす。奴はさっきも話した通り、前例がある分よっぽど慎重に動いている。おいそれと出てくるとは考えずらい。どうする。」

 

「世界政府で発行している新聞があったわよね。その新聞に私の名前を生きていることを、どんな形でもいいから記載して欲しいのよ。可能かしら。」

 

ううむと唸る声が電話口から漏れる。

 

「確かに政府で発行をしている新聞や文書は存在している。それにお前の存在を撒き餌にしたいという内容なのもおおよそ把握した。だが、あくまで政府発信の新聞になると私の立場でも確実にとは言いづらいな。それで、載せて情報発信と撒き餌。それだけで食いつくのかと言った疑問が残る。その点はどうだ?」

 

「その点は、私は食いついてくると感じているわ。現状、外部のものでシキの島で活動、情報を持っている人間というのは貴重だわ。加えて、海軍内部とのつながりも持っている。シキからすると相当鬱陶しいでしょう。おそらく、ココヤシ村を交渉の材料に出てくるのでは無いかと考えているの。私個人さえとらえて殺してしまえば、海軍はひとまず放っておいてもいいから、狙うのであればリスクは少ないはずよ。個人だもの。」

 

「それでもココヤシ村の警備を、私たちが行うとしたら海軍と共同で動いていることは奴に伝わる。伝われば動くことのリスクに勘づくだろう。」

 

ちょっと変われ、センゴクといった声とともに電話口の声がガープさんに変わる。

 

「そのためのワシじゃな。ココヤシ村にしょっちゅう出入りしていたワシならば、多少出入りしたところで不自然では無いじゃろう。そう考えているな。」

 

「ガープさんの考えている通りよ。私はあくまで個人で動く。海軍の守りもつけないし、同様に一緒に動くものもつけない。もちろん、陰から援護や監視なんてものもいらない。その代わりに子でんでん虫を持ち歩くわ。」

 

「続けてくれ。」と電話口よりセンゴクさんの声が聞こえるので続ける。

 

「子でんでん虫から定時に1コールだけ連絡を入れるの。1コール定時に連絡が入ったら無事だって認識して欲しいの。だから、私の半径10キロ程度のところに観測主を駐屯させてほしい。1コールのコールが入ったら問題なし。連絡が途絶えた場合は、シキに遭遇したと思って。」

 

「お前だけでシキを留めておけると言った話に聞こえるが、内容や受け取り方に間違いはないか?」

 

センゴクさんも海兵。インペルダウンの汚名返上の内容で考えればきっと切り捨ててもいいはずなのに、心配をしてくれるのね。

 

「できる限りはやってみるつもりだし、シキに通用するぐらいには鍛えてきたつもりよ。それでもダメだったら、第2案は海兵が到着するまでの時間稼ぎに徹するとするわ。最低限、その役割ぐらいはなんとかして見せる。」

 

「そうか。その内容だとまず全世界にお前が生きていることを周知しないことには始まらんな。ともなれば、どのように世界に発信していくか。政府での発行の新聞では、確実にと私も断言ができん。ううむ。」

 

唸る仙石さんの後ろから、煎餅をボリボリしている音が響いているのでガープさんは飽きてきた頃合いなのだろう。

 

「モルガンズなんぞに頼ったら、後々何を言われるかわからん以上、あそこは頼りにはできん。」

 

「そんなもん映像でんでん虫で放映すりゃあいいじゃろ。」

 

映像でんでん虫で放映するって言われても、私自身で何かトピックになるようなものがあるわけでもないし。

 

「なるほどな。たまには良いことを思いつくなガープよ。フェンよ、シキ相手にそこまでの啖呵を切れるほどまで鍛えたのだろう?」

 

「おそらくと言った内容だけどそうね。しっかりと鍛えてきたつもりよ。」

 

「であればだ、今回の話に海軍を動かすか否かを含めて、海賊を捕縛し海軍本部まで連れて来い。倒すのはお前にしろ、連れてくるのはお前と関わりがあるものであれば良い。ここで海軍までお前が来ては本末転倒だ。そこでお前の実力を見極める。問題ないとなったら、この電話に連絡を入れるからこの電話は持って歩くように。連れてくる海賊は、そうさな。懸賞金が高ければ高いほどいい。そこまで行けば、海賊検挙の報道と検挙者の内容をまとめて記事に出すことも映像でんでん虫で報道を流すことも選び放題だ。」

 

テストと言ったところかしら。

海賊を検挙できて、尚且つ私の実力も測れるためのものっていうことね。

 

確かに乗った船が泥舟じゃ話にもならないわ。

 

「確かにそうよね。わかったわ、それじゃあなるべく早く海賊を捕まえなきゃならないわね。」

 

「相手なら、ワシがしてやっても良いぞ。」

 

「バカたれ!!!それじゃあ報道できんだろうが!!お前は黙っとれ!!!」

 

ゴチンっと響く音に、自分の頭に手を置きたくなるが我にかえる。

この音はめちゃくちゃ痛いわよね、「痛いじゃろうが!!もっと手加減せい!!!」そりゃあ、そうよ。ここまで音が聴こえたぐらいだもの。

 

 

「今後の話はそれからだな。だが良い話をもらった。こちらも前向きに動くつもりで準備をしておく。期待しているからな。」

 

それから、センゴクさんは電話口から離れ仕事に戻っていった。

 

 

「おい、フェンよ。家族にはお前が生きていることを先に伝えなくていいのか。」

 

「伝えられないわ。私の知っているベルで、私が生きていることを知ったらなんとしても会いに来ようとするわ。下手したら、ナミやノジコをゲンさんに預けてでも来ようとするでしょうね。金獅子検挙の報道が出ていない以上、私がこの後金獅子相手に争うことも、おおよそ予想はつくでしょう。あの子は人一倍責任感が強いから、一緒に戦うって言い張るでしょう?そんなの私は望んでないし、巻き込みたくないもの。だから、できるだけギリギリに知ってもらいたいの。私の我がままもあるわね。」

 

「ワシはベルメールに会ったら素直に伝えてしまいそうじゃな。あやつは、お前のことを思って当時は飯も碌に喉を通らんと痩せ細っていった。訓練していて健康的だった体は見る影も無くなっておった。今は少し落ち着いて、ナミやノジコとひとまず元気にしておるが、その時の憔悴具合と言ったら見ておれんかったぐらいじゃ。本当に伝えなくて良いんじゃな?」

 

「うん、ごめんね。伝えないで欲しいの。ナミやノジコは私のことを覚えていないかもしれないと思うとショックだったりするし、ベルメールが私の元になんて来たらきっと揺らいでしまうから。」

 

「そうか。」とはなし、納得はいかない声はしているもののひとまずは了承してくれた。

 

「ノジコもナミもお前のことは覚えておったぞ。安心せい。ワシはしばらくあの家族には会わんようにするわい。」

 

「ごめんね、迷惑をかけるわ。」

 

「本当に迷惑じゃ!」と言いながら、仕事に戻ると電話を切った。

 

 

そっか。あんなに小さかったのに覚えているのね。

2人で育てていこうって、一杯一杯したい事あったんだけど。

 

きっともう大きくなって、会うたびに嬉しそうな笑顔を向けてくれたのもきっと今会ったら人見知りとかされちゃうのかな。

なんて思うと、今でさえすぐにでもココヤシ村に行きたい。

 

みかんの木だって植えたよって。

こんなに美味しい実をつけたんだよって、一緒に話したいし笑いたい。

 

なんで自分だけって思う事だってたくさんあったのだ。

 

成長する姿も、今大きくなっている姿も見れない今の自分の状況に歯痒くなる。

なんでもっと強くなかったんだろうとか、もっと上手い方法ななかったのかなとか。

 

後悔すれば、一杯一杯溢れてくる。

たまに思い出して、布団で泣いてしまった時は腫れぼったい目と、浮腫んだ顔でサクラさんやハンコック、スイレンにまで心配をかけたぐらいだ。

我ながら女々しい。

 

まぁ今世は女の子だから良いんだけど。

こんな状況で、こんな敵でなかったらとんで会いにいっていた事だろう。

 

ベルになんてあったら、きっともう立ち上がれなくなるもの。

それじゃあ、今立ち上がってくれた人にもここで良くしてくれた人にも申し訳が立たない。

 

会いにいくのであれば、自信を持って会いに行きたい。

自慢できる家族でありたい。だから、内緒にしていていいの。

 

自分に言い聞かせる時間は終わりだ。

 

「サクラさん、待たせてしまってごめんね?今後の内容を話すわね。」

 

電話していた自分の部屋よりもどり、広場にいるサクラさんに声をかける。

そして、話していた内容を伝えた。海軍に海賊を輸送すること。その人員が必要であること。

 

その後、海軍との協力体制について検討すること。

中でも前向きに検討すると話していたこと。

 

「なるほどね。前向きに検討するっていう言葉が、どこまで本当かにもよるのかな。今の内容だと。」

 

「海軍としてもシキの確保の優先順位は相当高いものと考えて間違いないわ。そうじゃなければ、にべもなく断られているでしょうから。前向きに検討すると話してくれたのは私の動き次第ではあるものの、ここさえクリア出来れば、動いてくれると考えて間違いない。」

 

「じゃあ、あとは海賊を海軍まで送り届ける役割かな。余の元から選ぶものは、海賊を送るだけではなくその後も一緒に行動してほしい。電話の前に余たちでも話してみたんだけど、個人で動くのが危険であることと、それに海軍や他と繋がりがあるとバレなければ問題はないはずだよね?航海技術は必要だし、少数で進めていきたいしとなると限られてくる。余はここで奴隷商の件での指揮を取らなきゃ行けないし、ハンコックは奴隷に関しては相当入れ込んでいたから、余の元で動いてもらうのが1番だし。スイレンはどうかな。」

 

そばに控えているスイレンに目線を投げると、億劫そうな反面喜ばしいような複雑な表情を浮かべている。

シキの警戒心をあげてしまう要因は排除しておきたいのだが、心配してくれているサクラさんの気持ちも理解しているため、ありがたくついてきてもらうことにしよう。

 

「私からのお願いしたいの。1人で何役もこなせるスイレン入ると心強いわ。お願いできないかしら。」

 

「わかりました。今回の内容お引き受けいたします。」

 

スイレン自体が幅広く技術を習得しているため、以前なんでそこまでと質問をしたところ、給仕としての嗜みと言っていた。

私も航海技術は一応習得しているものの、グランドラインでの公開は初めてになる部分も多いため。航海技術を持っている仲間ができてより安心だ。

 

一家に一台スイレンである。スイレン様様。

 

少しだけ身の危険を感じるのは気のせいと。

 

 

 

まずは一歩前進である。

 

 

 

 

 

 

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