今日も日向は暖かい   作:licop

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村生活2日目

村での生活を送り始めてから、しばらくは生活基盤を整えるために時間を割いていた。

 

ココヤシ村での拠点作りは比較的順調に進み、お家自体はログハウスを作っていただき、部屋の間取りも2LDKと一人暮らしでの生活には十分な間取りも確保していただき、薬品関係を取り扱う部屋のみ、錠をかけてもらって子どもが侵入できない作りにしてもらった。

 

また酪農の話も進んでおり、交易を行なっている村(どこの村なのかは聞かなかった)より、交配出来る様にとオスとメスを各2頭ずつ計4匹の牛を購入した。

 

こちらでの牛も、特殊な形状や姿の牛のみが一般的かと思いきや、普通の白と黒での乳牛も存在しているようで、送られてきた牛も馴染み深い牛だった。

 

届いた時には、前世の思い出が蘇るようで少しうるうるしてしまったほどだ。

その時には、遊びに来ていたベルメールやノジコには心配されてしまったが。

 

放牧する土地も、しっかりと手刀で切った木材を力技で地面に突き刺すことを複数回と、大工さんより、少々丈夫なロープをいただいてきて、杭と杭の間を囲うようにロープを巻き付けた簡易的な柵も完成しており、牛乳や乳製品の目処もたった。

 

また村での生活では、恐れていた天竜人なんて見たこともないことや、別に尻尾や耳が生えていたぐらいで気にする奴はいないとベルメールに後押しされたこともあり、帽子も外し、ズボンには穴を開け、窮屈なく開放的な暮らしだった。

 

後で聞いた話だが、すでにノジコが私の耳が可愛いだの、しっぽがもふもふだの村で言い回っていたことを聞いて、隠して生活をしている状況を村の人たちが不思議そうに見ていたのは、記憶に新しい。

 

 

 

また乳製品の加工も順調に行えており、火をつけること自体はエレクトロを使って非常に簡単に行えるため、鍋を使って塩とレモン汁からカッテージチーズを作り出すことにも成功していた。

 

バターは生クリームの目処が経っていないため、ひとまず後回しにしている。

 

あとは村でジャガイモの栽培を行なっていたのは、嬉しい誤算であった。

 

もちろん種芋をいただく交渉をし、家の裏で軽くジャガイモの栽培も進めている。

 

 

 

ここまでの状況を整えるため、半年と時間をかけゆっくりと作業と状況を整えるように進めた。

 

ナミも1歳での半年というものは大きく、ハイハイで移動をしていたものがフラフラとはするものの立って歩くぐらいまでしっかりと成長しており、子どもの成長は早いことに関心する。

 

ノジコなんかは、1人でたまに遊びに来て、ベルメールに怒られる風景もよく見るようになった。

 

 

家の中では、流石に薬品関係の部屋に入れるわけにはいかないため、要注意である。

 

 

カッテージチーズは村での評判も良く、村の中ではこんな簡単にチーズが作れることもあり

 

「私も牛飼ってみようか。」

 

需要もちらほらといるようで、放牧の状況を見にきたり、子どもには牛は目新しく面白いらしく、牛の見学に来る子どももいた。

 

 

また、そこそこの頻度で村に来る海賊もいるため、海賊の討伐と討伐報酬で海賊の金品を巻き上げている風景を目撃されてからは、村の子供に「鬼」としばらく怖がられてしまったこともある。

 

今度からはバレないように気をつけなければ。

 

 

 

「うちよりよっぽど、フェンの家の方が今じゃしっかりしてるもんね。うちも立て直そうかしら。」

 

「ベルの家は私は好きだけどね!それに、私は薬品も扱わなきゃならないから広めに作ってもらっただけよ。」

 

 

暇な時間は、こうやってベルメールが家にノジコとナミを連れて遊びに来る。

ノジコからはフェンさんと呼ばれていたのだが、フェンさんではしっくりとこないところもあり、フェンと呼んで構わないことも伝えてある。

 

「フェン!今日もチーズ作る?私も作っていい?」

 

ノジコは、私がチーズを作っていたところを目撃してからはすっかりチーズの虜であり、自分でも作ると言って何度か一緒に作っている。

 

「じゃあ、一緒に作ろっか。ノジコ、牛さんの乳搾り一緒にいく?」

 

「うん、いく!牛さんすき!」

 

大人になると、あんなに大人しく余裕のある美人になるのに子どものうちは元気いっぱいである。

 

「ベルもいく?」

 

「今日はパスするわ。ナミの夜泣きもあって、昨日寝れなかったの。ナミも連れてってあげて。私は少し寝るから、ベット借りるわね」

 

ベルメールはお疲れの様子である。

ナミも歩けるようになったこともあり、元気いっぱいの子ども相手は体力勝負のところも多い。

 

いまだに私の尻尾を捕まえて、離さないのとガジガジと人の尻尾を噛むのはやめてほしい。

 

 

ナミとノジコの相手や乳を絞りながら、現状の状況を考えていく。

 

最近になってニュース・クーで新聞を取り始め、詳しい情勢の確認が取れるようになってきた。

そこで見たのは、世界貴族の動向である。

 

新聞の見出しで出ていたのはこうだ。

 

【絶世の美女!!世界貴族に購入される!!?】

 

内容は以下の通り。

 

 シャボンディ諸島で開かれている奴隷のマーケットで、近年稀に見る絶世の美女が売りに出されるという情報が広まっていたこともあり、今回の奴隷市は非常に賑わうことが予想されていた。

 

また、この情報を聞きつけ楽しみや期待に胸を膨らませていた方も多かったようだ。

 

今回の目玉はそれだけではなく美女には姉妹も2人おり、セットで競売に出されることもあり多くのものが、我が物にと押し寄せた。

 

ただ、唯一の悲運はこの情報はシャボンディ全土だけでは留まらず、たちまち世界貴族の住まうマリージョアまで情報が届いてしまったことにある。

 

聞きつけた世界貴族なども、シャボンディ諸島に押しかけ、我先にと集まってきていたものは世界貴族に目をつけられてはたまらないと避難し、美女を目に収めることも叶わず、世界政府へ買われてしまった。

 

私個人としても、絶対目におさめておきたいと考えていたこともあり非常に遺恨に思う。

シャボンディ諸島でも、今後の情報の漏洩に気をつけたいと声明が発表されていることもあり、今後に期待だ。

 

 

という記事である。

物語から察すると、間違いなくハンコックの内容であろう。

 

ハンコックは好きなキャラクターであり、好ましいこともあったため、すぐに近くの海軍支部へと顔を出し、でんでん虫をガープへと繋いでもらうようにと、支部に勤めているかつての教え子に頼んだ。

 

「なんだ、フェンか!久しぶりだな!元気にしてたか!」

 

「そうね。今のところは私は元気よ。」

 

ガープの船のでんでん虫には、比較的にすぐ繋がり、最初に出たのはボガードさんだったがガープへと取り次いでくれた。

 

「それでなんだ。オレの船に乗る気になったか?それとも、船に乗ってる教え子が心配になったか?」

 

後ろから「フェンさん!僕は元気ですよ!フェンさーん!」と元気そうな声が聞こえるため、元気なのだろうと伺えるがすぐに「うるさい!」と拳骨を食らっている音が入る。

 

ご愁傷様である。

 

「そんなわけないじゃない。船に乗るなんて微塵も思ってないのわかっているでしょ?」

 

「まあ、そうだろうな。で、なんの用だ?」

 

「今日の新聞はあるかしら?」

 

「新聞か、ちょっと待っとれ!ボガード、今日の新聞あるか!?」

 

「はい、持っていきます」とボガードさんの声が聞こえ、持ってくる足音も聞こえる。

 

「で、新聞なんぞ見てなんのようだ。」

 

「奴隷市の記事が載っているところがあると思うのだけれど、その奴隷なんとかならないかしら。」

 

ふんっ!といった鼻を鳴らす音が聞こえ、

 

「なんとかなるわけがないだろう。オレだって心底不快だが、オレはこれでも海軍の人間だぞ。」

 

心底不快そうな声色での返答が返ってきた。

そうだよなと思う。原作でも、仏のセンゴク(元帥)でも従うしかなかったのだから、立場上はそうするしかないだろう。

 

「下手な行動はやめておいた方がいいぞ。世界貴族というのはタチが悪い上に、下手な行動取るとオレも敵にならないといけなくなることもある。オレはお前は気に入っているし、殺したいとは思わん。」

 

自分が行ってマリージョアから奴隷奪還や、フィッシャータイガーへの支援などを行なった場合、確かに逃げ切れる程度の実力はあるだろうと思う。

 

大将が出てこない限り。

 

流石に黄猿の速さぐらいの奴らが出てきた場合や、ガープやセンゴク相手に逃げ切れる状況でもないため、こちらも現実的ではない。

例外や出てこれた人間がいないか、尋ねると意外な返答が返ってきた。

 

「帰ってきたものも存在している。世界貴族と言っても一枚岩ではないからな。ほとんどおらんが、まだ話が通じる貴族もいることはいてな、そいつの手から人として帰されたものを数人知っているぐらいだ。」

 

「今回のシャボンディ諸島訪問したのは、違う人なのね。」

 

「そうだな、ゴミの方の世界貴族だった。」

 

これでは、私が動くこと以外の解決方法は見えない。

ただ、自分で動くには一緒に戦ってくれる仲間もいないし、ツテもない。

グランドラインでの行動も限られることから現実的ではないことが多い。

 

「なんとかならないものかしら。あなたも世界貴族の思い通りに動くのは嫌でしょ?」

 

「嫌かどうかで話したら嫌だが。おい、ボガード。なんかいい案思い浮かぶか?」

 

「フェンさん!中将を唆さないでいただいてよろしいでしょうか!中将も、そんな方法がないことはご存知でしょう!どれだけ危険な話に突っ込む気ですか!」

 

そういう解答になるよなあ。

下手したら、てかどう考えても死ぬしかなくなるしなぁ。

 

「そういうことだ。一応、オレの知り合いとかまだ話せるやつに話を通しては見てやる。思い通りにいくのも癪だからな。だから変な気は起こすな。んで、支部からでんでん虫1匹持っていけ。オレが言ってたといえば貰えるだろ。」

 

「もう中将!無理ばっか言うんですから!」

 

「ボガード!お前も世界貴族は嫌いだろうが!オレはあんな奴らがニコニコするくらいなら、知り合いが笑っている方が十二分に嬉しいわ!それじゃあな、後で連絡するからフェンは期待せずに待っとけ」

 

ボガードの深いため息と共に連絡は切れた。

さて、できることとして連絡入れてみたものの、あとはガープからの連絡を待つのが最善であろう。

 

でんでん虫を支部からもらって、支部からココヤシ村へと戻る。

もらう際に「これで、先生と連絡が取れますから今度休暇にでも鍛えてください!ベルメール元大佐もいらっしゃるのであれば、是非ともお邪魔してもよろしいでしょうか!」と声をかけられたため、OKをしておいた。

 

海軍との伝は色々と便利なことも多いことと、支部内での戦闘力はそこまで重視はしておらず、事務処理の能力が高いものばかり重宝されるらしい。流石、汚職のイーストブルーである。

 

後で、ガープに推薦でもしておいてやろう。

 

 

航海もできない、1人で旅は心細い。

アーロンは討伐したい。

ルフィのシェルズタウンでの捕獲は避ける。

 

なんだかんだ、助けられるものは助けたいとは考えてはいたものの、世界貴族はめんどくさいし、もうそろそろ記憶だけでは追いつかないことも出てきている。

 

いつかはグランドラインに入って、仲間と冒険もいいなぁとか夢は見るものの子育てもあるし、ぼちぼち進めていくことを考えよう。

 

 

 


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