境界戦機 外伝:『最果てのニライカナイ』   作:野生のムジナは語彙力がない

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境界戦機
今のところ、これ以外で他の二次創作は……うん


【補足2】
本作は、本編でアモウやガイたちが活躍する裏側で、こんな戦いがあり得たかもしれないという感じで読んでくれると幸いです。
未視聴の方は、是非『境界戦機』をチェック!
↓(公式の第1話です。一応貼っておきます)
https://m.youtube.com/watch?v=C6rbRTphKc0&t=65s


第1話:怪物ーニライカナイー

2062年

某月某日 23:15

沖縄近海

 

 

 

暗い凪いだ海がどこまでも広がっていた。

夜空に輝くは純白の月。青い水の星を包み込む聖なる月光の煌めきが、夜闇の世界を俄かに明るく映し出し、水面に銀色の揺らめきを生み出していた。

 

どこまでも続くかと思われた静寂の世界。

しかし、その静寂を打ち砕くかのように波を切って進む艦艇の集団、艦隊は円形の陣を作って何かに警戒するかのように夜の波間を進んでいた。

 

 

 

その日、大陸より抜錨したオセアニア軍所属の艦隊が沖縄の近海へと近づいていた。3隻の輸送艦を始めとして5隻の駆逐艦、そして1隻の揚陸艦で構成された中規模輸送艦隊である。

 

その内の1隻、輸送艦サクサンの乗組員たちは船のダイニングで各々休息を取っていた。広いダイニングには船の乗組員の実に3分の1以上が集結していたが、船のコントロールは高性能な自動制御システムが搭載されたコンピュータで管理されている為、短時間ならば持ち場を離れていても問題はなかった。

 

乗組員たちは少し遅めのディナーにありつく者もいれば、同僚と酒を酌み交わす者や、タバコや葉巻をやる者、トランプを使った賭け事に興じる者、雑談に花を咲かせる者など休息の仕方はそれぞれであり、静かな夜の海で一際賑わいを見せていた。

 

「おいアビゲイルにバーディ。お前ら、そろそろ休憩終わりだろ? 早く持ち場に戻った方がいいんじゃねぇか?」

 

「そう慌てるなよ。この船のコンピュータ管理は優秀なんだろ? ここまで何ともなかったんだ、ならもう少しくらい休んだって何も問題はないだろ?」

 

「まあな。何かあったとしても有事の際には護衛の駆逐艦がオレらの代わりに遠隔で船をコントロールしてくれるからな。アハハ、楽な仕事だぜ」

 

ダイニングの一角を占めた乗組員のグループの中でそんな会話が繰り広げられた。作戦行動中であるにも関わらず呑気に私語と軽口を叩き合い、非常に弛んだ状態であった。

 

「しかしまあ、オキナワにあるオレたち(オセアニア軍)の基地まで物資を運ぶだけなのに、護衛の駆逐艦ならまだしも、なぜ揚陸艦までつける必要があるんだ?」

 

「さあ? 軍のお偉いさん方の考えることなんて、下っ端のオレたちに分かるわけねーだろ」

 

「なんだお前ら知らないのか? 聞いた話によると、オキナワの海には怪物が出るらしいんだとよ」

 

「は、怪物だって?」

 

乗組員の1人が『怪物』というワードを口にしたのを皮切りに、グループ全員の視線がその1人へと集中する。

 

「おいミハイ、怪物って何だ?」

 

「いや、オレも詳しく知ってるわけじゃねぇが……なんでも、この辺りにはバニップが出没するらしい」

 

「バニップ!? バニップだって!? ハハッ!」

 

その言葉に、グループの中でどっと笑いが起こった。

 

バニップとは……

オーストラリアに伝わる未確認動物(UMA)の一つで、川や湖に生息しているとされる伝説上の怪物である。その生態や姿形には様々な情報が上がっているものの実際の捕獲例などはなく、そもそも情報の信憑性が低いことから、多くの場合アザラシなどの見間違いか、その存在自体がガセネタであるとされている。

 

「オイオイ、バニップだとよ。なんだミハイ、お前バニップなんてもの信じてんのか?」

 

「いや、もちろん信じちゃいねぇさ。そもそもバニップはオレらの国の怪物で、そんなのがオキナワにいるわけ……いや、オキナワはもうオレたちが抑えてるんだったな」

 

「とすると何か? オレたちがオキナワを支配したってんで、バニップが海を渡ってオキナワまで観光旅行にでも行ったってのか!? ハッ、こいつは傑作だな」

 

「オイオイ、ちゃんと観光ビザはとったのかよ? いや、今はいらねーんだったか? がはははは!」

 

他の乗組員たちが嘲笑を浮かべて冗談交じりに駄弁っている中、仲間たちからミハイと呼ばれたその人物だけは、面白くなさそうにため息を吐くだけだった。

 

「けどよ、今回の輸送計画だって……」

 

「なんだよ? 物資を運ぶついでにオセアニア海軍総出でそのバニップって奴を捕まえようってか? 成る程な、さっき揚陸艦からAMAIMが何機か海に降りて行ったのもその為か?」

 

「そうじゃねぇ……いや、オレもただ上官の話を盗み聞きしただけだから本当のことはわかんねぇ、けどよ。そのバニップは……オレたちオセアニア軍を襲うんだとよ」

 

その言葉に、グループの中でまたも大きな笑いが起こる。その様子に、ミハイは肩をすくめて酒を煽るしかなかった。

 

「襲う? ハッ……バカバカしいな、こっちは軍艦だぜ? あっちの駆逐艦にはバルカン砲にミサイルだって備わってるんだぜ? そんなのを相手に、たかが生き物ごときが勝てるわけ……」

 

口を噤んだミハイに向けて乗組員の1人が嘲笑と共に意気揚々とそう告げた。しかし、その瞬間……どこからともなく轟音が響き渡った。

 

「うおっ!」

 

突然の出来事に、乗組員たちは思わず悲鳴を上げる。遠方から生じたその爆発音は空気の振動となって飛来、乗組員たちのいたダイニングを輸送船ごと大きく揺らし、照明の光を激しく明滅させた。

 

「な……爆発!?」

 

「敵襲か!?」

 

乗組員たちは先ほどまでの弛んだ空気を打ち消すかのようにダイニングから飛び出し、状況を確認すべくデッキへと上がった。

 

「何だ!? どこだ!?」

 

「見ろーッ! あそこだーッ!!!」

 

「なっ!? ブリストンが……!」

 

乗組員たちの視線が海上の一点に集中する。

一際明るくなったその場所、サクソンの前方を航行していた輸送艦ブリストンが炎上していた。船体後部から黒煙と共に巨大な火柱が上がり、既に浸水が始まっているのか僅かに右舷へと傾斜しかけている。

 

「ブリストンが沈む!?」

 

「早くダメージコントロールを……!」

 

「待て、あれは何だッ!?」

 

その時、乗組員の1人が炎上するブリストンの側面を走る2つの影を目撃した。水面下から音もなく忍び寄る『怪物』は……爆炎の明かりに照らされながらも、明確な敵意を持って一直線にこちらへと迫っている。

 

「あれは……魚雷ッ!?」

 

「伏せろーーーーッッッ!!!」

 

「ワァァァァァァァァッッッ!!!」

 

次の瞬間、サクソンに閃光と衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

境界戦機 外伝:『最果てのニライカナイ』

第1話:怪物ーニライカナイー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前……

某月某日 23:15

沖縄近海

 

 

 

静寂が目の前に広がっていた。

 

 

 

深度███メートル、人類が科学の力なしでは到底辿り着く事のできない極限の環境。光の届かない暗い海の中、目の前に広がるのは虚空。どこまでも続くかのような深淵、決して明けることのない闇の世界。

 

俺はその中を1人で漂っていた。

 

生命維持装置は正常に作動し、呼吸はできる。

しかし、周囲を闇で固められたことで認識する得体の知れない圧迫感は、感じていないはずの水圧が体にのしかかっているかのようだった。

 

どれだけ見渡しても底の見えない空虚さ、思わず深淵の中へ伸ばした手が次の瞬間闇に包まれ、自身の視界から消失する。それはまるで、海という名の巨大な生物に自身の手が呑み込まれてしまったかのようであり、それがたまらなく怖かった。

 

 

 

だけど……

それがたまらなく、神秘的でもあった。

 

 

 

『マスター……』

 

そう呼ばれ、俺はゆっくりと目を閉じた。

次に目を開けた瞬間、目の前で、ひとりの少女が暗い海の中を漂っているのが見えた。無論、少女は実際に海の中を漂っているのではなく、その正体は俺の網膜に投影された実態のない虚像である。

 

二頭身、青い長髪、白い肌、ぱっちりとした碧眼、無表情、揺らめく黒のワンピース、そして頭にはヘッドフォン。彼女は全身からうっすらとした白い光を放っており、前述のフワリした長髪とワンピースの動きも相まって、まるで青い海月が海の中を漂っているようだった。

 

『マスター、お時間です』

 

「ああ、分かってる」

 

頷きと共に小さく息を吐き、海底へと伸ばした右腕を素早く引き抜く。気がつくと、それまで視界から消えていた手に硬い感触、見ると俺の手の中にはいつのまにかAMAIMの操縦桿が握られており、左手も同様に操縦桿を強く握りしめていた。

 

何度やっても奇妙な感覚だ。

操縦桿もまた、目の前の少女と同様に網膜投影されたホログラムであり、電気刺激を用いて指先に伝わるリアルな質感は実際に操縦桿を握っていると錯覚してしまう。

 

現実に匹敵する非現実の感覚。

西暦2062年……21世紀後半の科学技術は、その2つの境界線を曖昧にさせてしまう程に発達していた。

 

『MAILeS「ニライカナイ」。潜水艦モードでナビゲーションフェイズからアタックフェイズへと移行……攻撃可能深度まで浮上します』

 

目の前の少女がそう告げると、今まで水中を漂うだけだった自分の体が少しずつ海面へと向かっていく気配を感じた。それが非現実の錯覚ではないことは、網膜投影された深度計の表示を見て判断できた。

 

『マスター、私の見えているものが見えますか?』

 

続いて、少女の目を通して水上を航行するオセアニア軍艦隊の位置情報が、赤い光点となって網膜にリンク表示される。数は9、また水上艦以外にも豆粒ほどの小さな反応がいくつか見られた。

 

「ちゃんと見えてる。オセアニア軍輸送艦隊を視認……進路誤差修正」

 

抑揚のない少女の声に淡々と反応し、操縦桿を僅かに倒す。操縦桿の動きに連動してスクリューと潜舵が稼働し、機体の前部がオセアニア艦隊へと向けられた。

 

『目標は艦隊中央の3隻です。また駆逐艦5隻と揚陸艦1隻を確認。さらに揚陸艦と艦隊周囲に小さな反応あり……敵対潜型AMAIMと予想されます』

 

「了解。ブーメランの水上型か……」

 

『敵勢力に迎撃行動の予兆は見られません……本機は未だ捕捉されていないと予想されます』

 

「よし、なら魚雷を試す。1番2番発射用意」

 

『サー、オールウェポンズフリー、コンバット・オープン』

 

「目標……オセアニア軍輸送艦3隻」

 

『目標へナンバー付与、ダーゲット1へ照準。マスター、発射のタイミングはお任せします』

 

視界に投影されたターゲットスコープの中央に輸送艦の光点を捉え、俺は操縦桿のトリガーに指を置いた。乾ききった唇を噛んで湿らせ、それから小さく息を吐き……

 

「当たれッ!」

 

短く叫び、トリガーを引き絞る。

ニライカナイの魚雷発射管から射出された2本の対艦魚雷が水中を超高速で走り、ロックオンした敵の輸送艦めがけて直進……やがて俺の視界から消失した。

 

その直後、静寂に包まれた海中に僅かな衝撃。

 

『……マスター、目標への着弾を確認しました。さらに海面温度の上昇を確認。ダーゲット1は炎上しているものと思われます』

 

「よし、続けて3番4番を試す」

 

『サー、ダーゲット2照準』

 

「沈めッ!」

 

再びトリガーを引き絞る。

3発、4発目の魚雷が勢いよく飛び出し、先ほどの輸送艦の後方を航行していた第2目標へと来襲。まもなく少女が発した命中判定を聞き、俺は反射的に最後の1隻へと視線を滑らせる。

 

「このままもう1隻……!」

 

今まさに3番目のターゲットへ照準が合わさろうとした、まさにその瞬間……コックピット内部にけたたましく警報が鳴り響く。

 

『敵艦、本機に向けて飛翔体を発射』

 

「ちっ……対応が早い、やっぱり最初の頃みたいに上手くはいかないか」

 

少女の警告を聞き、咄嗟に回避行動を取る。

魚雷発射の完璧な位置取りは崩されるが、仕方のないことだった。飛翔体の正体は恐らく駆逐艦から発射された対潜ミサイル(SUM)だろう、直撃すれば撃沈は免れない。

 

少女のセンサーを介して、直上に飛翔体から投下された何かが着水する気配を感じ取る。ミサイルから分離した魚雷がこちらへと向かって来ているのだ。近距離に落ちたことで、弾頭に搭載されたソナーはまず間違い無くこちらの姿を捉えている事だろう。

 

「ダッシュ!」

 

魚雷が着弾する直前、俺はスロットルレバーを引き機体を加速させた。本来は大型で鈍重な潜水艦を攻撃するために作られた対潜ミサイルは、既存の潜水艦よりも遥かに小柄で小回りが利き、水中を高速航行できるニライカナイの動きに全くと言っていいほど対応できず、標的を見失って水中を迷走し、やがて安全装置が作動したのかあらぬところで自爆した。

 

『続いて敵AMAIMの攻撃、ロケット爆雷です』

 

少女の言葉通り網膜投影された映像の中で、こちらを中心にオセアニア軍のAMAIMが水上を包囲しているのが見えた。なるほど、先ほどの対潜ミサイルはニライカナイを攻撃する為というより、こちらの位置を特定するという意図のものだったのだろう。水中の見えない敵に対し、オセアニア軍もそれなりに対策を立ててきているようだ。

 

水中に次々と爆発が巻き起こる。

オセアニア軍は未だにこちらの正確な位置を掴めずにいるのか爆雷攻撃はまばらで、直撃することはなかったものの、至近距離で爆雷が炸裂したのか、衝撃でコックピットが激しく揺さぶられる。

 

「ぐっ……ユーリ、損傷は?」

 

『ウィーヴァルアーマー及び脚部耐圧殻へのダメージは軽微です。圧壊の恐れはありません、作戦継続を推奨』

 

「よし、この爆発に紛れて敵艦隊の側面を衝く!」

 

『サー、回避ポイントを算出。反映します』

 

少女が提示したナビゲーションに従いつつ、機体を増速させる。まるで針の穴に糸を通すかのような正確さで爆雷の影響範囲から逃れつつ、攻撃ポイントへと移動する。

 

雨霰のごとく降り注がれる爆雷の範囲攻撃をなんとか掻い潜り、攻撃ポイントへと辿り着いた時には、既にオセアニア軍は攻撃を止めて警戒態勢を敷いていた。AMAIMはつい先ほどまで自分たちがいた場所を警戒し、油断なく爆雷の投射機を向けている。

 

機体のステルスシステムは有効に作用しているようだった。何にせよ、今が攻撃のチャンスである。

 

「対艦戦闘、魚雷……5番6番斉射用意」

 

『マスター。前方、敵AMAIM接近』

 

少女のピックアップした攻撃位置についたはいいものの、敵輸送艦への射線を阻むように青緑色の機体色を持つAMAIMが水上を航行していた。

CO-03BR「バンイップ・ブーメラン」

オセアニア軍が運用する戦術特化型AIを搭載する無人機、元となった陸戦型は逆関節の脚部を有する非人型の機体だが、今目の前にいるのは脚部をホバークラフトに換装した水上戦闘タイプだった。

陸戦型と同様に腕部はなく、武装は胴体に内蔵された固定武装の30ミリ機関砲と胸部左右の隠しナイフに加え、バックパックにロケット爆雷を投射可能な対潜迫撃砲を6門、さらにホバークラフトのプラットフォームに4門の魚雷発射管を備えている。

 

駆逐艦や揚陸艦といった水上艦によって運用され、一般的な陸戦型に比べて地上での機動性は失われたものの、その分水上戦闘に関しては凄まじい正面火力と移動速度を誇っていた。

 

「……邪魔だ!」

 

輸送艦への射線を確保すべく、俺はブーメランへと5番目の魚雷を放った。ブーメランに搭載されたAIは接近する魚雷の存在を感知するも、迎撃が思考されるよりも速く魚雷の近接信管が作動、爆風はブーメランの装甲を容易く吹き飛ばし、弾薬を誘爆させ、ホバークラフトをズタズタに引き裂いた。

 

青緑色の機体がひっくり返り、浮力を失った機体は海の中へと沈んでいく……そして、輸送艦への射線が開かれた。ダーゲットサイトの中央に輸送艦の影、明瞭なオーラルトーン。

 

『魚雷、6番7番発射準備完了』

 

「いけッ!」

 

叫びながらトリガー引く。機体の先端部から2本の魚雷が発射され、少女の誘導で吸い込まれるように輸送艦へと向かっていく。敵艦は防御策としてデコイを放出しているようだったが、無駄な足掻きだった。

 

「ユーリ、どうだ?」

 

『……目標への着弾を確認。敵輸送艦へ深刻なダメージを与えました、まもなく轟沈すると予測されます』

 

少女の言葉に頷き、俺は再びターゲットサイトを覗き込んだ。うっすらと見える傾斜した船影、さらにそこへ随伴していた駆逐艦が幅寄せしようとしているのが確認できた。退艦し、海に身を投げた乗組員たちを救助しようと言うのだろう。

 

『マスター』

 

呼ばれ、ふと横を見るとそこには少女の姿。

彼女は淡々とした表情でこちらを見つめていた。

 

『対艦魚雷、残弾数1』

 

「…………」

 

『どうされますか?』

 

「…………いや、いい。作戦完了だ」

 

『サー、急速潜航。戦域より離脱します』

 

少女がそう告げると、機体が海中深くへと沈んでいく感覚。その最中、作戦水域に展開していたブーメランが、装備していた魚雷や爆雷を射出してきたが、その全てが頭上を掠めるだけで、1発たりとも直撃することはなかった。

 

深度███メートル

機体が圧壊する限界ギリギリまで潜航したニライカナイは、守るべき母なる島に向かって帰途につくのだった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

撃沈された輸送艦サクソンの乗組員たちは、暗く冷たい海の上を漂流していた。魚雷が爆発した衝撃でサクソンから振り落とされ、投下された救命ボートへ命からがら辿り着くも、その表情は恐怖と寒さで蒼白に染まっていた。また、周囲には同じく撃沈された他2隻の救命ボートが海面を漂っている。

 

「たったの数分で……3隻の輸送艦が沈められた」

 

今まさに海中へと没しようとする3隻目の輸送艦を、サクソンの乗組員たちは信じられないものでも見るかのような目で見守るしかできなかった。

 

「これが怪物……バニップなのか……?」

 

青く染まった唇を動かし、乗組員たちの口からそんな言葉が漏れ出る。その姿に、つい数分前の威勢の良さは全くと言っていいほど見受けられない。乗組員たちは止まらない体の震えを抑え、駆逐艦の救助をただただ待ち続けた。




【説明(執筆経緯)】
『境界戦機』
とある黒髪美人さんのアニメレビューを見て、自分も試しに視聴してみたところ、リアル路線でなかなか面白いと感じて、今では水曜日(Youtube視聴)が待ち遠しくなるほど楽しませてもらっている今日この頃。
しかし、回を追うごとに『境界戦機』には何が足りないと思うようになり、レビュワーの黒髪美人さんやコメ欄の方々もそれについて指摘するコメントがよく聞こえてくるようになり、ふと、皆さんの言うその「足りないもの」が何なのかを自分なりに考えるようになりました。そして、考えに考え抜いた結果、本作の作者ことムジナ(略)はある1つの結論に至りました。

それが『沖縄』でした。(いや違うけどもw)

境界戦機は日本を舞台にしているというのに、未だに沖縄の『お』も出てこないという……こういう時、だいたい沖縄ってハブられるので、というか何でライバルの北海道があって(外伝:フロストフラワーより)沖縄が話に出てこないんですかね? しかしですよ、何てったって小中学生からの認知度100パーセント(実質)の県なんですから、あの東京より有名(正答率が高い)なんだから少しくらい忖度してくれても、ねぇ? そう思いません?

いや、まあ『境界戦機』に足りないのが沖縄って結論づけるのは流石に冗談ですけども……でも沖縄出身のムジナさんとしては、やはり寂しいものがありまして
というわけでこの度、沖縄が舞台の『境界戦機』を作らせて頂きました。しかし、公式の設定が曖昧で色々とフワフワしていることに加えて執筆時点で本編が未完結であることから後に出てくる(かもしれない)主に沖縄の情勢に関する公式設定と食い違いが出てくる可能性はなきにしもあらずですが、それを承知で書かせて頂きました。

全6話と気持ち短く連載を予定しているので、よければ一通りの完結までお付き合い頂けると幸いです。
それでは、また……
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