フシミトレセン学園、フチュウトレセン学園の開校を皮切りに全国各地に多数展開したトレセン学園だが、URA主導による各学園統廃合計画により、現在は合計15校を残すのみとなっている。
オビヒロトレセン学園:北海道帯広市に拠点を構える全国最大級のトレセン学園。旭川市、北見市、日高町、函館市に分校を構えており、分校出身のウマ娘は必ず「オビヒロトレセン学園○○上がりの」と自己紹介の際に答える。
モリオカトレセン学園:岩手県盛岡市に拠点を構えるトレセン学園。冬場はほぼ雪で覆われるため、スタミナとパワーに優れたウマ娘が数多く輩出される。
フチュウトレセン学園:東京都府中市に拠点を構えるトレセン学園。かつては「西のフシミ、東のフチュウ」と呼称される東日本最大級のトレセン学園だったが、URAの介入により大規模な改革が行われ、現在は「日本ウマ娘中央トレーニングセンター学園」へと改められたが、改革前のOGやフシミ出身のウマ娘は頑なに中央と呼ぶことを嫌う。
カサマツトレセン学園:岐阜県笠松町に拠点を構えるトレセン学園。学園の規模、倉庫と他のトレセン学園と比較すると小さく、ウイニングライブの音源は各生徒がお気に入りの一曲を
ニイガタトレセン学園:新潟県新潟市に拠点を構えるトレセン学園。春は田植え、秋は稲刈りで周辺の農家へ借り出されるため、モリオカとは違った意味でパワーとスタミナに優れたウマ娘が排出される。
トヨアケトレセン学園:愛知県豊明市に拠点を構えるトレセン学園。カサマツとは比較的距離が近いため交流自体は多いのだが、目下の問題点は地元に遊べるスポットがあまりなく、生徒たちは度々愚痴をこぼしている。
フシミトレセン学園:京都府京都市伏見区に拠点を構えるトレセン学園。かつてはフチュウとともにトレセン学園の二枚看板として名を馳せていたが、URAの介入により不当な格差が生じたためアンチフチュウを公言するウマ娘の数はかなり多い。
ニシノミヤトレセン学園:兵庫県西宮市に拠点を構えるトレセン学園。学園から程近いところに野球場があるためか野球ファンが多く、平日休日を問わず観戦に行く生徒が多いのだが、負けた翌日は不機嫌な生徒たちの間で罵声大会が始まる。
イツカイチトレセン学園:広島県広島市佐伯区に拠点を構えるトレセン学園。15校あるトレセン学園の中で唯一URAの資金援助が打ち切られており、学園は運営資金確保のために生徒たちに偽名を使っての非合法レースへの出走やアイドル活動などでなんとか食いつないでいる。
コウチトレセン学園:高知県高知市に拠点を構えるトレセン学園。四国地方唯一のトレセン学園であるが、ここ近年は中央へ排出されるスターがひとりもおらず、どこか侘しい雰囲気を醸し出している。
コクラトレセン学園:福岡県北九州市に拠点を構えるトレセン学園。九州出身の血気盛んなウマ娘が多いが、周辺にヤクザや半グレが跋扈しているため若干喧嘩っ早い生徒が多い。
その後、たづなさんに貰った入学案内願書が受理され、予想していたよりもあっさりとトレセンに入学できた。ほとんど形式的でしかなかった面接──なお、筆記と実技は免除された──をパスし、晴れてフシミトレセン学園の生徒に。
入学して早二ヶ月、自分の周りでは取り立てて話題になるような事柄はなかったが、世界を震撼させるビッグニュースが、先月発表された。モータースポーツ界にレース用タイヤを提供していたブリヂスターが、ウマ娘の蹄鉄業界に突如として参入を表明。その突然の表明に、アメリカのナイスイヤー、ドイツのファールケン、イタリアのペレーリ、フランスのミッシュラン、イギリスのダンプロップが次々に参入を表明。ウマ娘のレース界に一石が投じられた。
参入を表明した当初は、畑違いのレース界で結果が残せるわけがないと鼻で笑われていたが、モータースポーツで培った技術力と現役のウマ娘の要望に応えることによって、急速にシェアを獲得。既存の蹄鉄メーカーを駆逐する勢いで市場規模を拡大していった。
モータースポーツで培った技術力と現役のウマ娘の要望に応えることによって、既存の蹄鉄メーカーを駆逐する勢いで市場規模を拡大、とサラッとまとめたのだが、具体的な内容はこうだ。ブリヂスターがまず着目したのは、蹄鉄とシューズのメーカーがバラバラなうえ、双方で互換性がなく泣く泣く妥協して選んだ蹄鉄とシューズでの練習やレース、という問題点だ。その問題点に対し、
「けど、まさかたった一ヶ月で市場を乗っ取るなんて、誰も予想できないでしょ。ってか、シューズのグレードがなんかタイヤっぽいのは気のせい?」
「そこはタイヤメーカーの性、ってところかな。ドライコンディション用のコンフォート、スポーツ、レーシング。ウェットコンディション用のインターミディエイト、ヘビーウェット。ダート用のグラベルに、スノーコンディション用のスタッドレス。土砂降りの雨の日でも地面が真っ白になる雪の日でも練習ができるのはありがたいけど、そんな物好きがどこにいるの?ってなわけで」
そう言って、コンフォートシューズ──C1からC5のどのコンパウンドかは不明だが──を片手に首を傾げるのは、寮の同室になったサンエイサンキュー。史実ではクソローテの末故障し、散々酷使されたあげく旅立つことになった、贔屓目に見てもかわいそうな人生……もといバ生を送ったわけだが、その辺は大丈夫なんだろうか、などといらぬ心配をしてしまう。
「とりあえず、お試しで一足買ってはみたけど、これ高くない?気合い入れて開発してるのはわかるんだけど……」
そう、気合いを入れてこだわったのはいいが、モータースポーツの技術を惜しげもなくシューズとゴム製蹄鉄に還元しまくった結果、一足あたりの単価がお高くなってしまったという欠点が発生した。コンフォートシューズでさえいいお値段しているので、もはやレーシングシューズなど、いったいいくらするのか想像もしたくない。
量産が進めば、単価も安くなるし流通量も上がるしでいいことづくめなのだが、目下の問題といえば、そのスペックをどうやって世間にアピールするか、だ。どこかのチームかトレセン学園とスポンサー契約を結べば、レースの際に使ってもらえてデモンストレーションとしても都合がいいのかもしれないが、そうそう簡単に諸手を挙げてくれるチームや学園があるとも考えにくい。
「
年寄りって頭古いし、とボヤきつつ、サンエイが大枚叩いて買ったコンフォートシューズ──アルファベットのBの上にぴょこんと飛び出したハムスターの耳と、上下の空白をそれぞれ星形とタイヤのデザインをあしらった特徴的なブリヂスターのロゴが目を引く──を受け取り、この新商品をどうアピールしようかと頭を捻らせる。レースでアピールする機会があればいいのだが、あいにくと初等部1年生の出られるレースは無いに等しい。
「とりあえず、このコンフォートシューズの宣伝方法はさておき、フシミに入学した理由ってなんで?」
「家が近かったから、かな。危うくアサヒカワ送りにされかけたけど」
たぶん、フシミがなかったらニシノミヤに行ってたんだろうなぁ、とか考えつつ、明日の授業の準備を始める。………ホント、アサヒカワ送りにされなくてよかった。
次回、フシミの日常をちょっとだけ。