マーガレッタとソニーは食糧の買い出しと自分達の服を買ってご満悦だった。
「こんなにいい食材が安く手に入ってラッキーだったわね!」
「ええ、おじょ…マーガレッタ」
「まだ慣れないのソニー?」
そう言って優しく笑いかけるマーガレッタに照れからか少し顔を赤くしてソニーが笑い返す。
「なかなか慣れなくて。
可愛い服もあって良かった。」
「そうねー。」
マーガレッタが額に手を当て一瞬表情がくもる。
ソニーが心配そうにのぞきこむ。
「まだ体調が優れない?」
「ええ、久しぶりに陸に上がって酔ってしまったかしら。」
「さっき診療所があったからお薬を貰いに行きましょう」
ソニーに言われてマーガレッタがついて行く。
診療所の中に入ると誰もおらず、ソニーが声を掛ける。
「すみません!」
すると奥からこちらに向かう足音がする。
中から出てきたのは20代くらいの若い女性だった。
「いらっしゃい。
どうかされました?」
「すみません。
久しぶりに陸に上がったら体調が優れなくて。」
「あら、とりあえず中にいらっしゃい。」
そう言って中に案内しようとする。
しかしマーガレッタが真っ青な顔で
「お手洗いどこですか?」
と聞くので先にそちらを案内する。
「オェー」
「お連れさんかなり辛そうね。
いつからなの?」
ソニーと話しつつ、お手洗いの方を気にかける。
「今日は朝からあまり調子が良くないようで、上陸してから更に悪化したみたいです。」
少し医師と話しているとマーガレッタがこちらに戻ってくる。
「かなり辛そうね。」
「はい、すみません。
こんなの初めてです。」
「あたしはフローネ。医師よ。
少し調べさせてもらっていいかしら?」
マーガレッタが頷くと体を触りながらいろいろな質問をしていく。
「あなた、妊娠してるわ。」
「「え?」」
驚きすぎて2人とも反応しきれていない。
「…妊娠?」
「妊娠。」
「私が?」
「あなたが」
「妊娠?」
「妊娠」
「えぇーー」
マーガレッタは感情が爆発した。
「ソニー!」
「マーガレッタ、おめでとうございます!」
「ありがとう!ソニー!
本当に嬉しいわ!」
「はい!」
「私、あの人の子を産めるのね!」
「はい!良かったですね!」
「うん!」
こうして2人でひとしきり泣き、今後どうするか決めるためソニーが皆を呼びに行く間マーガレッタは一休みさせてもらうことにした。
「これを飲みなさい。
ムカムカが少し落ち着くから。」
「ありがとうございます」
コップに入ったお茶は少し変わった香りがしたが、飲むと体の芯が温かくなるようでとてもリラックスできた。
「あなた達旅をしてるの?」
「ええ。南の海へ向かって。」
「船医はいるの?」
「いいえ。でも私も少しは知識があるので大丈夫です!」
「なるほどね。それについてはあとで話すわ。」
そんなことを話しつつ皆の到着を待っていた。
布団の心地よさと身体が温まりマーガレッタはウトウトと眠ってしまった。
「ソニー。
落ち着いてもう一度頼む。」
「だから!
マーガレッタが赤ちゃんを産むの!
早く来て!」
男達は全員理解が追いつかない。
とりあえずマーガレッタが大変なことは分かった。
「マックス。とりあえず行ってみないと分からないぞ。」
「そうじゃ。ソニーが興奮しすぎて要領を得ない以上行くしかないの」
「そうだな。とりあえず行ってみよう。」
そうして皆で診療所へ戻ってきた。
診療所の奥でスヤスヤ眠るマーガレッタの横で今の状況を確認した皆は考えなければならない問題があった。
「で、どうする?」
「先生。マーガレッタは船旅に耐えられるんですか?」
やはり気になるのはそこだ。
場合によっては予定を変更することも考えないといけない。
「無理…ではない。
が、おすすめはしない。
まして君達の船には船医もいないのだろう?
万が一何かあったらどうする?」
「やはりそうですよね。
マーガレッタの安全が最優先だ。
一度この近くで休もう。
幸い良い先生もいるしここなら安心できるだろ?」
俺はそう結論した。
「なるほど。
ディラック・ド・マックス。
なかなかいい男じゃないか。
見直したよ。」
「「「!?」」」
皆が驚き固まる。
「先生、なぜその名を知っている?」
「サンディ・テイラー、あんたら有名人だからさ。」
そう言って引き出しから新聞を取り出す。
「この娘が出産するまであと7ヶ月ってとこかね。
この場所で守り切れるのかい?」
誰も答えられない。
「あたしは何故あんたが天竜人にちょっかい出したか知りたいねー
何か事情があるんだろう?話してみな。」
そうして俺たちはここまでの話をすることにした。
「ひゃひゃひゃ
やっぱりかい。いいねーますます気に入った!
この娘を守るためかー」
そう言ってニヤニヤとこちらを見てくる。
「マックス。一つ提案があるんだが聞く気はあるかい?」
彼女はマーガレッタを起こしに行く。
マーガレッタはとてもすっきりとした顔をしていて健康そのものに見えた。
「んー、先生ありがとう。
身体がすごく軽い。
さっきまでの気持ち悪さが嘘みたい。」
「それはよかった。
ところであたしから大事な話があるんだが聞いてくれるかい?」
マーガレッタの目を見て彼女は続ける。
「あたしを船に乗せてみないか?」
「「え?」」
皆が驚き固まる。
「マーガレッタだっけ?
あんたにはあたしの実力を示しただろう?
あたしはそこらの医師とは格が違うチョー一流だよ。
そんなあたしがついて行ってあげるって言ってるんだよ。
あたしがいればあんたも仲間も安心して旅を続けられるだろう?」
マーガレッタは困った顔で俺を見てくる。
「先生。その話は俺たちには願ってもないありがたい話だ。
でもなんでそこまでしてくれるんだ?
ここに戻って来られる保証はないんだぜ。」
そう彼女に問いかける。
「あんたたち、悪魔の実の能力者なんだろ?
あたしもそうなんだ。
あたしの昔話を聞いてくれる?」