ダンまち外伝集・建築士のアイデア部屋兼発散場所   作:37級建築士

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Pixiv垢より転載、思い付きで書いたベルレフィ短編です。こういうシチュエーション好きだなぁて人に共感してもらえればうれしかりけり


思い付きラブコメ
幸せを満たす41度の魔法 ベル×レフィーヤ


 簡単な討伐と収集、それが片付いたらあとはのんびりと、そんな算段をして僕らはここに来た。オラリオより結構離れた北の山々の集落、そこの宿泊所である丸太のロッジに、今僕たちはいる

 

 二人だけ、雪降り積もる見知らぬ地で二人きり、彼氏彼女の関係であるからこそこんな大胆なこともできるのだろう

 

 僕とレフィーヤさん、いやレフィーとはもう付き合って三ヶ月だ。

 

 繰り返すデート、しかし周囲のことを思えばあまり大っぴらには言えない。まだ言えるタイミングではないと隠しながら続けた関係、それが三ヶ月

 

 だから、二人きりになれる場所、堂々と楽しくて幸せでいられる場所を欲した。その結果、僕たちは今行雪降る地にて、二人きりの時間を共有している

 

 

 

 時刻は夜、ふぶいてきたせいで窓の外は微かな灯だけ、見下ろすように並ぶ集落の淡い明りだけが窓にぽつぽつと浮かんでいる。

 

「……ほ」

 

 暖かくなった息がまろび出る。砂糖を入れていない紅茶が染みわたってたまらない

 

 数時間前、寒々とした雪の中を歩き回って、今はこうして楽にしている。外に出られない、外は恐ろしく寒い、だからこそこの安全な温もりが快適で仕方ない。暖炉の前のソファ、ここからはもう動けそうにない

 

 

「……ちょっと、まったりしすぎじゃないですか?」

 

「へ……あぁ」

 

「間抜けな返事、骨抜きですね」

 

 呆れの溜息、といっても本気で呆れてなんかいない。

 

 凛とした声で話しかけたのは当然レフィーだ。今の今まで台所にいたはずが、どうやら調理が済んだのだろうか。

 

 エプロンをほどき、部屋着である白のブラウスにロングのスカートの姿に戻った。ちなみに髪は後ろで結んでお団子である

 

「料理は終わったの?」

「料理はまだですよ。あと一時間は煮込まないと」

「こだわっているんだね」

「誰かさんが美味しいシチューが食べたいなんて言いましたからね……ま、それなりには頑張ってみました」

「そう、じゃあ楽しみにするね……あ、横どうぞ」

 

 右となり、クッションをどけて座れる場所を作る

 

「ええ、じゃあ遠慮なく」

 

 右となり、ベルのすぐ隣にレフィーヤは座る。右手、そこには絡めるようにおのれの左手を入れて、そっと指と指を絡ませた

 

 当然のように手を結ぶ、これも彼氏彼女の関係であるが故

 

「……あたたかい」

 

「そうだね、暖炉は暖かいよね」

 

「いいえ、私が言っているのはこの手の方です」

 

「……手?」

 

「台所で少し冷やしました……ですから、暖めてください。エイッ」

 

「!」

 

 いきなり、という程驚くことではない。けど、それでもドキッとする胸の奥はどうしようもない

 

 肩に乗る頭、寄り添う手、鼻の先に微かに綺麗な匂いを感じる。レフィーの髪の匂い

 

「……撫でた方が、いいですか?」

 

「おまかせします、触りたいならどうぞ」

 

 糸目で、揺さぶりをかけるように言葉を使う。レフィーヤの重みを体の半身で感じながら、そのいじらしい振る舞いに目が奪われてしまう。

 

「……じゃあ」

 

 許しは得た。左手で、そっと前髪を払って、するりと癖っ気のない真っ直ぐな髪を梳いていく。

 花の匂いを交えたグルーミング、レフィーヤの頭に触っているなんて三ヶ月と少し前の僕には到底考えられない未来だろう

 

……くしゅ……するっ

 

「……少し、冷えてるね」

 

「ええ、隙間風がありましたから」

 

 撫でる指先、微かに振れる頭皮の熱をも含めてそう判断した。触診をするように、僕は左手でレフィーの顔に触れる

 

 抵抗はしない。眼を閉じて、触られるままに触らしてくれる

 

 頬は冷たい、耳の先も冷えている。首の横、顎の裏、表面の肌は冷や水で撫でられたかのように冷たい

 

「……暖炉、強くします?」

 

 薪は既にくべている。これ以上すると少し部屋が焦げ臭くなるが、レフィーを温めるられるなら

 

 

「ベル」

 

「!」

 

 名前呼びに思考が停止、振り向いて顔が近いと感じてまたドキッとなった

 

「いい方法があります、暖めるならもっと効率的です」

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

ガララ、扉の開く音が扉の先から聞こえた

 

 脱衣所、浴室を挟む通り道の部屋。そこの前で僕は待っている。

 

 

「…………」

 

 

 温まるいい方法、そう言ってレフィーはかねてから沸かしていた浴室へ向かうことを提案した。そして、今はもう先に湯につかっている頃か

 

 

「……うぅ」

 

 寒い、暖炉のがあるおかげでロッジの中全体は暖かい方だ。けど、それでも寒いモノは寒い。暖かさを前にお預けを食らっているからこそこの時間がたまらない

 

 

……先に、入るっていって

 

 

「……レフィー」

 

 

 返事は、無い。何やら湯の流れる音は聞こえるけどそれ以上はない

 

 浴室に行く、その言葉を前に期待しない方がおかしいものだ。僕は期待した、一緒にという意味でお風呂を提案したのだろうが

 

「……ッ」

 

 入りたいか入らないか、そんなもの当然入りたいに決まっている。僕はレフィーヤの彼氏で、互いに了承したうえで僕たちは、いわゆるその手の行為をも経験しているのだ。

 だから、今回の旅行……いや、クエストでも

 

 

……期待、しすぎたのかな?

 

 

 別に、頻繁にしているわけでもなく、かといってドライという程でもない。いちゃつく時間はあるに越したことないし、すきあればしてしまうもの

 

 であれば、今はまさにその時、なのに

 

 

「……レフィー、その」

 

 

 さっきまで傍に寄り添っていたのに、こうも短い期間で飢えに近しい苦しみすら感じてしまう。傍にいて欲しい、温もりを共通していたい

 

 うん、難しい言葉で言い表す必要もない。シンプルに、いちゃつきたい。

 

 

……彼氏、だよね僕

 

 

 彼女、レフィーヤさんは僕の彼女

 

 

 

「……ベル」

 

 

「!」

 

 

 声がかかった。そして瞬時に背骨に力が入る

 

 落ち着け、急いては駄目だ。何度も呼吸を繰り返し、心臓すら落ち着かせて

 

 

「……入ってください、そのまま」

 

「うん……わかったよ」

 

 

 言われるままに、僕は戸を開けて脱衣所へ、そしてそこには当然問うべきかレフィーヤはいない。浴室の方は扉が開いている、けど妙に湯気が多い

 

「?」

 

 浴室の広さはだいたい4メートル四方、それなりに大きい浴槽があるお風呂だ

 

「レフィー……」

 

 さがす、湯気に隠れてあまり見えない先に一歩、二歩

 

 三歩、その瞬間

 

 

……ガシッ

 

 

「!」

 

 

 何かに掴まれる感触、戸惑い対応しきる前に僕の体は引っ張る力に制御を失う。

 

踏み込んだ四歩と五歩目、床を踏んでいるはずがどっぷりと湯の中へ片足を突っ込んだ

 

 

「!?」

 

 

 そこで、一気にざばーんと湯の音が浴室に響き渡る。

 

 立っていた態勢から視点も変わっている。今、僕は二の腕のあたりまで湯につかっていて、そして

 

 

 

……ふふ、クスス

 

 

 

 

「!?……れ、レフィー」

 

「はは、あははは……あぁ、楽しい♪」

 

 無邪気に笑う顔、天井の証明と逆光になって少し影がかかっている。つまり、僕は見上げているのだ。暖かい、41度の湯の中、服も脱がず、濡れた服が肌に張り付く感覚に包まれて

 

 そして、同じく服のままでずぶ濡れになって暖かくなってもいる、僕の大好きな恋人が口角を吊り上げているのだ。

 

 

「……暖かい、気持ち良い」

 

 

 そう、感嘆の息を込めて感想を述べた。濡れた姿、髪も解けていて、ほどけた一本が顔の形に添って少しくっついている。湯をかぶったのか、服を着たまま、理解が追い付かない

 

 けど、言えることは今の姿はとてもドキドキする。控えめに薄着ともいえる姿、肌の露出が無いだけで布の厚さは薄い

 

 だから、張り付く様には鼻の奥がぐっときてしまう。一瞬だけ、鉄の味を感じ取った

 

 

「……な、なにしてるの。服のまま、なんて」

 

「ぁ、くす……ふふ…………えぇ、そうですね。でも、びっくりさせたくて……あはは」

 

 ツボに入っているのだろう。レフィーは笑って僕の顔とほんの数センチの距離

 

 せっかくのブラウスも肌にぴったりと張り付いている。その、健康的に膨らんだ胸の形もはっきりと見えるように

 

「ぁ……あぁ、すみません。ちょっと、いたずらごころです……でも、温まりましたよね、お互いに」

 

「それは、まあ……でも、服のままなんて」

 

「替えはありますから、だからいいんです……二人だけなんですから、何したって、別に…………そう、別にいいんです。例えば」

 

「へ……あぁ」

 

「こんなことも、していいはずなんです……舌、噛まないでくらはいね」

 

……クチュッ……ツ

 

 

 

「!」

 

 

 

……チュ……パッ

 

 

「…………ァ」

 

 

 

 何をしてもいい、その言葉通りレフィーはしてみせた。

 口内をくすぐる舌の間隔。甘い心地になってしまう他者の唾液、混ざり合って一つになって、体に疼きが芽生えてしまう

 

 

「レ、レフィー……ん、ぁ」

 

 

 交わす、唇が触れて離れて、また合わさる。

 

 無言で続く時間、湯の揺れる音がチャプチャプと鳴る。

 

 湯を吸った服が体を包むから、冷えることは一切ない。暖かさの中で、僕らのキスは深く長く、心地よく続いていく

 

 時間にして、20秒は続けて、そしてようやく息を吸った。静かな中でも激しさを入れたキス故に、息継ぎは必要だ

 

 

「……のぼせちゃいますね、これ以上は」

 

「だね……そうだね、うん」

 

 向かい合って、また距離が少し開く。レフィーは僕の肩に手をついて伸ばして、そして目が合って沈黙

 

 見惚れ合うように視線を合わせて、先に口火を再度切ったのは

 

 

「……いい、ですね」

 

 

「?」

 

 

 

 浮かべる、顔の色はどこまでも朗らかに。喜色に満ちた柔らかい笑み、レフィーは僕の目を見て真っ直ぐに告げた

 

 

 

『きもちいいね…………ベル』

 

 

 

「————ッ」

 

 

 その言葉の意味、特に気持ちいのはお湯の温度か、それとも別か

 

 暖かい心地、思考を回すのには唯一向かない。

 

 だけど、それでも今はこれでいい。41度の湯は幸福を満たす条件、これさえあれば僕とレフィーヤはどこまでも満たされ続ける。

 

 暖かいのは気持ちがいい事、二人きりの時間はまだ始まったばかり。オラリオに戻るまでの時間、惜しむ僕はこの体にまとわりつく熱に身をゆだねる。思考も、心も、赴くままにまかせる。

 

 あとで後悔することになったら、きっと僕は熱に浮かされたからというのだろうか。けど、それでも僕はこれでいい。なんどでも、確信をもって言おう

 

 

「……レフィー、キスと……あと、アレも」

 

 

「ん、言ってすぐソレですか。もう、エッチですね……エッチ、エッチさんです。やっぱり、あなたは…………服、このままでもいいですか?」

 

 

「……コク」

 

 

 

 熱に浮かされたままでもいい。41度の幸福を味わうためなら、レフィーヤと共に温まり続けるのなら

 

 

 

 

 

fin

 




続きは無いです、これで終わり
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