おっぱいが揉みたい。
それはありふれた願いだろう。
俺もそう願っている。
おっぱいは、夢であり、希望であり、そして祈りであり……。
「揉まないの?」
娼館ではなく、普通の宿の一室で、服を大きくはだけた姿で、そんな風に誘惑してくる存在があった。
おっぱいを揉んでいい状況で揉まないなど、失礼である。
おっぱいに対しても、許してくれた女性に対しても、そして揉みたいと願う我が同志たちに対してもだ。
「揉んでいいんだよ?」
一歩、近づいてくる。
それだけで目の前の存在感はグッと増大し、視線が吸い込まれていく。
ベッドへ座った姿の俺は逃げようにも逃げられない。
「我慢しないで素直になろ?」
揉んでいいはずだ。
目の前のソレに、手を伸ばし、指を沈めてしまいたい。
そんな欲求を見透かすように見下ろしてくる視線を感じ、冷や汗が出る。
「何も気にする必要はないんだよ?」
そうだ。
何も気にする必要はない。
今すぐにふたつのソレを両手でそれぞれ掴みかかり、乱暴に揉みしだいたって、何の問題もないはずだ。
しかし。
俺は
目の前のヤツは確かに女性の姿をしている。
目の前のコレは確かにおっぱいの形をしている。
だがこれは。
「これは……おっぱいじゃない……!」
絞り出すように言った俺に、ヤツは半眼になりながら、自らの両手でソレを持ち上げてみせる。
「えー。どう見てもおっぱいじゃん。ほら。」
手の動きに合わせてむにゅりと形を変え、ふるふると揺れるソレは実に艶めかしい。
しかしそれでも。
「お前は女じゃない! だからそれはおっぱいじゃない!」
おっぱいとは女性のものであり、だからこそ我々男性は追い求めてやまないのだ。
「ひどい……。私傷ついちゃった……。」
ヤツはあからさまにショックを受けましたという表情をした。
「嘘を吐くな嘘を! そもそもお前ら魔物に性別なんてないだろうが!」
そう。
こいつは女性でもない。しかし男性でもない。そもそも性別がない。
魔物とはそういう存在なのだから。
悲しげだった表情を一瞬で消し去り、肩をすくめながらヤツは言う。
「別にさー、魔物でも良くない? 見た目だって感触だって、女の子と一緒だよ? 目の前で揉んでいーよって言ってるんだから揉むでしょフツー。」
普通は揉む。それは間違いない。
目の前のコイツは魔物ではあるが、人類に友好的な上こうして意思疎通がとれるのだから。
「魔物が嫌い? そんなことないよね。」
魔物が嫌われる、いや、人類の敵として扱われているのは、その生態にある。
魔物は主に人類を狙って襲ってくる。
襲われた者が撃退に失敗した場合、殺されるか、巣に持ち帰られて四肢の自由を奪われ、共有され、死ぬまで命を絞りつくされるのだ。
命乞いなどは全くの無駄。そもそも意思疎通は基本的に不可能なのだから。
しかし、そんな魔物にも例外は居る。
今俺の目の前にいるのもそんな例外の一例だ。
彼女、いやコイツのように意思疎通の取れる魔物は、実はそれなりの数存在する。
流石にそのすべてが友好的ということはないが、ほとんど友好的と言えるだろう。
「もし嫌ってたら……そんな反応、しないよね。」
「!」
ヤツは目を細め、ちらりと俺の股間を見た。
そりゃ反応ぐらいはする。だって見た目はおっぱいだし……。
「それ。溜め込むのって身体に悪いんだってよ? 良い話だと思うんだけどなぁ、君にとっても、私にとっても。」
ヤツは腕を組み、挑発するような笑みを浮かべる。
腕に乗って形を変え、その健康的な張りを主張するソレは、確かに挑発的だった。
魔物は生命体であるが生物ではない。生体エネルギーである<オド>の集合体である。
オドを物質化し、その体を構築している。体には<コア>と呼ばれる、体の物質化に必要な物体があり、コアを破壊されるか、保有しているオドが体の物質化に必要な量を下回ることで死亡する。
逆に言えば、オドがある限り、魔物は死なない。
しかし当然、体を物質化しているだけでオドは勝手に減少していく。その為、オドを外部から供給しようとする。
オドは生物の体液に多く含まれている。その体液が、
つまり、魔物という存在は、人類の、特に精液を狙って襲ってくるのだ。
ドスケベモンスターなのである。
人類に友好的な魔物は、精液あるいは血といった体液を得る対価として、様々な労働をして生きている。
その主な就職先は、もはや言うまでもないだろう。
魔物は様々な姿をしているが、そのどれもが必ず、人類の女性に見える部分を持っている。ほとんどの場合はその部分の動きも女性のそれだ。
何故そのような姿になったのかは謎だが、人類の特に男性から効率よくオドを獲る為だろうと言われている。
ちなみに、人類から見て、人のそれのように見えるしそう感じるような姿をしているというだけで、実際には何の機能もない。
そう見えた方が都合がいいというだけの、完全なる擬態である。
目で見ているわけでもないし、耳で聴いてるわけでもない。
当然、おっぱいがおっぱいであるわけもない。
しかし、そんなドスケベモンスターに抗う理由が俺にはあった。
たとえ見た目が好みのど真ん中だろうと、プロポーションが理想通りだとしても、感触が極上のものだとしても、俺は屈しない。屈したくない。
なぜなら。
「おっぱい童貞を捧げるのは……本物のおっぱいと決めているんだ!!」
せめて最初の1回くらいはちゃんとした女の子の本物のおっぱいが揉みたい!!!!!!!!!!
魔物の設定だけ思いついたので勢いで
続くかもしれないし続かないかもしれない