VRMMOで遊ぼう!   作:between してう and 至

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9話:久しぶりだな、まぁ飲めよ

 最近の現実(リアル)はあまりにも暑すぎじゃあないだろうか。

 この国は湿度も高いせいで実質的にサウナみたいな感じだ。おかげで外にいる時間がまぁ長く感じられる。

 

 『RO:M』へのログインをしたのも数日ぶり程度なのになんでか一年くらいぶりのように感じるくらいだ。

 

 ……それはともかく、久しぶりのログインだ。何か面白いこととか起きてないだろうか?

 

 ログイン後に飛ばされたのは数日前にログアウトした場所と同じ酒場だった。

 

「久しぶだな、レタネア!」

 

 ログインするなり声をかけてきたのはハゲだった。彼が囲む席にはクソ花(ポピー)ハーレム願望丸出し量産型イケメン(ブレイブ)もいる。

 

 待ち合わせもしてないのになんでいるんだよ、怖っ……。いや、冷静に考えたら俺らのパーティーはいっっっつも集まってるからそりゃいるか。……この酒場は高校のクラスか何かなのか?

 

「レタネア、お前数日間ログインしてなかったが何かあったのか?」

 

「テ○アキンとかFF1○やってた。やっぱ久しぶりにちゃんとしたストーリーがあるゲームやると楽しいわ」

 

「そりゃ良かった。……というか、お前今久しぶりにストーリーのあるゲームやったって言ってたが一応このゲームにもストーリーはあるんだぞ」

 

「あー、あれか。ゲーム開始時に見せられた、あのフ□ムの影響受けてそうなよく分からんやつね。というか、全員が主役のMMOスタイルと重厚なストーリーの相性が悪すぎるんだよ。こういうゲームに絶対的な主役とか居ないし、みんな周回しかしてないから本質的には日常系だろこのゲーム」

 

 ────まぁ、その日常の中で積み重ねたものが強さに直結するから俺はこういうゲームを好んでいるのだが。

 

「まあ、ラノベよろしく『ユニーク〜』みたいなのがあったらまた話は変わってくるんだろうけど」

 

「いるぞ、ユニーク精霊」

 

「は????」

 

 ────は??????

 

「ネタじゃなくて? マジで?」

 

「あぁ、今運営は大炎上中だぞ。正直お前がログインしてこないのはそれでこのゲームに愛想をつかしたからだと思ってた」

 

 ──── 数日間でヤバいこと起きてんじゃねぇか……。

 

 ハゲから送られてきたURLに騒動の一連の流れが書かれていたので、一先ずそちらを見てから話をすることにした。

 

 ……この騒動の内容をざっくりと要約するなら

 

・新規プレイヤー(テイマー)が見慣れぬ美少女モンスターを連れていた。

・本人に話を聞いた人によるとそれは『ユニーク精霊』と呼ばれるものであるとのこと。取得条件は件のテイマー本人にも分からないらしい。

・検証勢がテイマーで検証を行うも今に至るまで何の成果もなし。

・公式はこの件について特に何のコメントもせず、"X"のリプ欄は地獄になっている。

・マジでユニークなのでは?という疑惑が持ち上がっている←今ココ

 

「なるほど……。まだ疑惑とはいえマジでユニークの可能性があるのか。偶然だろうがそれ引き当てちゃったヤツ羨ましいが可哀想だな」

 

 右も左も分からない状態だろうに羨望と嫉妬の目で見られるなんて可哀想だ。変わってやりたい。いいなぁ、美少女モンスター……。

 

「しかし、美少女モンスターか。それってどんな見た目なんだ? 凄く気になるんだが」

 

「それなんだけどね、残念ながら写真は無いんだ。おかげでボクとサンライズ(ハゲ)はまだ見れてないんだ」

 

 クソ花(ポピー)が言うからにはどうやらかのテイマーはプライバシー保護設定(スクリーンショットや録画に本人が映らなくなる設定)にしているようで、生で見る以外にその姿を知る方法は無いらしい。

 

「でもブレイブ(ハーレム願望丸出し量産型イケメン)は彼女たちのことを見たんだよね?」

 

「うん、あと10秒待って、すぐできるから」

 

 ────できる? 何が?

 

 いつもと違い、鬼気迫った顔と声で何かに集中しているブレイブに困惑しながら三分ほど静かに待つ。何の時間だこれ?

 

 ゲームの中で手持ち無沙汰で暇になるとはこれ如何に、なんて思い始めていたらようやくハーレム願望丸出し量産型イケメン(ブレイブ)が口を開いた。

 

「できた! 件のテイマーと美少女ちゃんはこんな感じだったよ!! ……いい具合に描けたし後でTwi……、Xに投稿しようかな」

 

 そう言ってハーレム願望丸出し量産型イケメン(ブレイブ)は羊皮紙(液タブと同じ機能がある)を差し出してきた。

 

 ──── いつもに増してテンションおかしいなコイツ。余程会心の絵を描けたのだと見れる。どれどれ、採点してやるとしよう。

 

「いや、ブレイブお前絵が上手いなおい??」

 

 そこに描かれていたのは赤髪の美少女と白髪の美少女。見た目的には3Dモデルに近いこの世界のキャラクターを2Dに可愛く落とし込んでいるのは間違いなく彼の技量であろう。金取れるだろコレ。

 

「いや〜それ程でも」

 

 ブレイブ、いや、ブレイブさんは俺ら三人に褒められて見るからに嬉しそうだ。

 

「赤髪の子が多分例のテイマーの子だね。可愛いけど骨格は男子だったよ」

 

 あまりにも肉体のバランスが良すぎるから多分テイマーさんは"キャラクリがガチ"の人だね。とブレイブさんは付け足してそっとログアウトしていった。

 

 ────どうしよう、次ログインしてきた時何かブレイブさんに捧げるべきか……?

 

 ……まぁそれはまた今度考えよう。それより今はユニーク精霊のことだ。

 

「よし、俺ちょっと外行ってくるわ」

 

 今の俺が成すべきことは大体わかった。

 

 つまり、『転職』だ。

 俺が二番目のユニーク精霊所持者になってやる……!!!

 

「わるいな、今日はお前らとはパーティーを組めない」

 

 テイマーはサービス開始二週間目の時のナーフによってモンスターが枠を潰すようになった以上、パーティを組むことに向いていない。故に、彼等とはここで袂を分かたねばならないのだ。

 

「俺、テイマーに戻るわ!!」

 

 涙ぐんで俺はそう言った。もちろん演技である。

 

 そうして席を立とうとして気付いた。席に着いているハゲとクソ花の二人の職業がテイマーになっていることに。

 どうやら俺の決意は彼等が数日前に通過した場所だったらしい。

 

 ……というか、周りのプレイヤーもみんなテイマーだ。俺だけサービス開始二週間時点に時間遡行したのか? ……いや、考えることは皆同じか。

 

 まぁいい、俺がユニーク精霊を見つければいいだけの話だ! 絶対に見つけんぞ……!

 

 うおおおおおお!!!!

 どこからか勝鬨の声が聞こえてくる。世はまさに、第二次テイマーブーム……!

 

 結論だけ書いておこう。俺は、いいや、俺たちはユニーク精霊を手に入れることは出来なかった。




この作品の存在を先程思い出したので実質初投稿です。
この1週間(と1年)で推しがロボに乗りました……。今晩の出来事でした。
あと、直近のジャンプで『鵺の陰陽師』っていう面白い作品が始まったのでぜひ読んでみてください。単行本1巻は10月発売、1〜3話はジャンプラやYouTubeのボイコミで楽しむことができます。
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