VRMMOで遊ぼう! 作:between してう and 至
突然だがゲーム内で花火大会が行われることになった。夏だね。
ルールは簡単で、配られた材料(火薬)を使って花火を作って芸術点を競うというもの。イベント報酬などは特にないようだ。
まぁ、運営が花火という芸術を採点していくというのはなかなかしんどいだろうし、プレイヤー投票での順位付けにすると人気のあるプレイヤーランキングになっちゃうから仕方ない。つまるところ、承認欲求と自己顕示欲のために頑張るイベントだ。
ところで話が変わるのだが、実はこのゲームには爆発物が今日の今日まで無かった。
多分、なんか、こう、処理が重くなるから実装されていなかったのだろう。マイクラのMODの実況とかでそういうのをよく見た覚えがある。流石にVRゲームでそれは無いか。
……さて、マシンスペックの話とかは置いておいて、『爆発』という刺激的な新しい玩具と時間を与えられたプレイヤーがどうなったか、それはイベント当日である今を見れば簡単にわかるだろう。
「コッチヲ見ロ…ッ!」「雀蜂雷公鞭を私なら使いこなせる、違いますか?」「己の体でやるのは初めてだが……」「鼻空想砲!」「汚ぇ花火だ」「そっか、それが不真────」
世紀末かな? しかし皆してオリジナリティの欠片もねぇ。気を衒った上でパクリすぎだオタク共。
「熊ちゃん人形配ってま〜す!」
「ああどうも、ありがとうございます」
乱雑な一色多が過ぎる作品群をひとしきり見て溜息をついていたのだが、どうやらこんな治安が終わった中でも優しい心を持った人は居たらしい。優しい気持ちに包まれながら腹に『Ⅱ』と書かれた可愛らしい熊のぬいぐるみを愛でていたところ、俺は死んだ。
……いや、でも仕方ない部分もあると思うんだ。俺は根っからのジャンプ党なので週刊少年マガジンで連載中で2023年10月から日曜17時にアニメが放送されることが決定している、小説家になろう発のVRモノである『シャングリラ・フロンティア』のコミカライズ版で現在やっているエピソード内にて出てくる味方キャラが使う爆弾が元ネタなんてわかるわけがないんだ。俺は本当にただの可愛らしい熊さんだと思っていたんだ。
「しっかし本当に酷いな。花火どころじゃねぇ。控えめに言って戦場だろこれ」
──── この日のためにと浴衣まで準備してきたのにこれである。今日も
ちなみに、一緒に遊びに来たいつもの3人とははぐれてしまった。どんなに気をつけていても5分に1回は死ぬ環境だから仕方ない。
「……帰るか」
こういった馬鹿騒ぎはノリきれておらず遠巻きにも見れない状態が一番つまらないんだ。ログアウトして名作漫画でも読み返して、後でまとめサイトとかでコレがどうなったかだけ見ておこう。
そう思ってログアウトボタンに手を伸ばした瞬間、軽快なバグパイプの音が周囲に鳴り響いた。
これはまさか、『勇敢なるスコットランド』……!
「どいてくださいましどいてくださいまし!
……彼女らがお嬢様言葉風の似非関西弁を使って反社みたいな行動をしていなければ俺もあの連合に参加したかった。
「今からここら一帯を
すごい数の浴衣お嬢様が集まってきている!
……いや、マジで凄い数だな、50人以上いるんじゃないか? 何する気だコイツら。
気付けば俺はソイツらを見るのに夢中でログアウトボタンから手を離していた。
「さて、
そう言って彼女達が出したものは大きな車輪が側面に2つ付いた円筒の爆弾。
──── あっ、コレはオチが見えたわ。
「行ってらっしゃいませ! 自走式回転爆弾・反社弩螺矛!!!」
──── 結論だけ書くと、
逆走した自走式回転爆弾・反社弩螺矛によって自爆したのだ。それも、周囲にいた全良なプレイヤーの俺たち諸共巻き込んで。
……けどまぁ、このイベント面白かったな。