VRMMOで遊ぼう!   作:between してう and 至

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2話:攻略wikiは偉大

「えーっと、じゃあ最終確認だ。回復アイテムは持ったか?」

 

パーティーの他三人に確認を取っていく。よしOK、次はHPが一定以下になることがトリガーで起こる行動の確認……。一応ガムペディア(攻略wiki)に目を通しておけって言ってあるし三人も覚えているはず。

 

「おいハゲ、今回のボスのHPが50%を切った時に気をつけるべきことは?」

 

「ブレスの追加と突進攻撃を連続で行うようになるところ。それと全体へのデバフだな」

 

 さすハゲ。多分このパーティーの中で俺の次にしっかりとしているな。

 

 

 さて、俺たちは今からとあるボスに挑もうとしている。そいつは先日の二ヶ月記念放送で発表された新ボスだ。

 

 そのボスの注目ポイントは三つ。一つ目は挑むために自発素材(ボスに挑むための使い切りの特殊なアイテム)が必要なこと、二つ目はHPが一定以下になる度にする特殊な行動をするので対策が必要なこと。そして三つ目は……。

 

「装備落ちろ装備落ちろ装備落ちろ装備落ちろ……」

 

 挑む寸前だから、と手を合わせて必死に願掛けをしているパーティーメンバー(男の娘)の言うように、このボスは特殊な装備を落とすのだ。有志の検証によると落ちる確率はだいたい一桁%、期待値は高くないが、クリアしなければまず抽選のテーブルにも上がれない。

 

 

「準備は多分大丈夫だろう」

 

 苦労して集めた素材で先程交換してきた自発アイテムを取り出す。それを掲げてパーティー全員が参加の意思表示をすればボスに挑める。無論、ここまで来て怖気付く者はいない。万全の準備をしてきたのだ、パーティーのみんなの顔もどこか自信に満ち溢れているようにも感じる。

 

 最後にハゲが意思表示をしてボス部屋への転送が始まる。

 

 そんな時だった、パーティーメンバーの一人、黒づくめの服装をしたハーレム願望丸出し量産型イケメンが呟いた。

 

「30%まで削れば勝ち確だね。頑張るぞ!」

「えっ、ちょま──」

 

 25%がトリガーになるヤバい技があるんだが……?

 

 

 

 結論から先に言おう。俺たちは全滅した。

 

 弁明させて欲しいのだが、俺とハゲは真面目に攻略したのだ。ただ、残り二人がやらかした。

 

 まずはハーレム願望丸出し量産型イケメンだ。奴は情報をしっかりと調べておらず25%トリガーの攻撃で死んだ。一応ボス戦が始まってから口述で説明したのだが流石に厳しかったらしい。このパーティで一番火力を出せるのは奴だったのでラストで死んでしまったのはかなりの痛手だった。

 

 そして男の娘。彼もまたトリガーを把握しておらず10%のものを踏んで死んだ。いや、正直ビックリしたよ。まさか二人調べてないヤツがいるとかさ。何とかなるかもしれない!って思ったところでの事件だった。正直肝が冷えたね。

 

 

 と、そんなことがあって、今やらかした二人も交えての四人での机を囲んで座っての反省会が始まったところだ。

 

「えーっと、まずはハーレム願望丸出し量産型イケメンくん。俺は事前に行動見とけって言ったよな……?」

 

 俺はひとまず対角線上にいたハーレム願望丸出し量産型イケメンを詰めることにした。顔を近づけて最大限怖い目をしながらドスの聞いた声で寄っていく。するとハーレム願望丸出し量産型イケメン……長いな、確かユーザーネームはブレイブだったか。ちょっとかっこいいのが腹立つ、奴でいい。奴はすこし後ろにのけ反った。

 

「そのだね、ちょっと近いから少し離れてくれないか? そしたら少し弁明をさせていただきたい。正直その距離だと顔がいいから興奮してしまってまともに話せなくなりそうだ」

 

 奴はかなりの早口でそう言った。素直にキモイ。百歩譲ってそう思ったとしても口に出すのは如何なものか。しかしながら俺もオタク。そう思う気持ちも理解できないことはない。

 仕方ないので離れてやると奴は申し訳なさそうに弁明を始めた。

 

「一応言っておきたいが、わ…俺はガムペ(攻略wiki)が出してる動画は見たんだ。それには25%の特殊技なんて出てきてなかった」

 

「一応その動画のタイトル聞いてもいいか?」

 

「確か……、『新ボスをフルアタ構成で高速周回!』ってやつだったはず」

 

 ────────。あーなるほど……。

 

「その動画はさ、廃人向けの高速周回テクの動画で俺らが持ってないアイテムとか武器とか使ってるのよ。俺らはそこまで廃人じゃないんだよ勇者サマ(ブレイブくん)

 

 最後に睨みつけてやると勇者サマは変な声を出してそのまま黙ってしまった。

 まぁ反省してるっぽいしいいか。これが尾を引いて人間関係が拗れるのも面倒だし、今日のところはこんなところで許しておいてやろう。

 

 そんでもって次は男の娘、彼だ。そちらを睨むと彼は開口一番こう言った。

 

「ごめん、実はボクもブレイブと同じ動画見てたんだ!」

 

 えぇ……?

 

「じゃあもしかして25%トリガー避けられたのは?」

 

「キミたちの話を聞いてたからだね。正直焦ったし、25%のことが心配すぎて10%の説明を聞き逃した」

 

 えぇ……?

 

「いやさ、ブレイブが色々言われているの聞いたら聞くに聞けないじゃん」

 

 気持ちはわからないことも無いが……。それにしても……。

 

「でも本当にごめんなさい。ポピー(自キャラ)ちゃんの可愛さに免じて許して?」

 

 男の娘(ポピー)はそう言ってとても可愛らしいポーズをしながら謝った。

 

 俺はキレた。

 

「あ゛ぁ゛? てめぇナメてんのかオラ? 許せねぇ! かわいこぶって許されるとでも思ってんのか? クソ花ちょっと表出ろ、燃やしてやるよ!」

 

「落ち着け。落ち着いて先日のお前の行動を振り返れ」

 

 ここまで黙っていたハゲが唐突に口を開く。先日か?何したっけ。確かパーティーでイベントに参加したりしたな。いやぁ楽しかった。新情報としてキャラクリやり直しアイテムがなかったのだけは残念だが……。

 

「多分イベントのことを考えているんだろうが俺が言いたいのはその前だ。お前遅刻した時何やった?」

 

 ────────【「……すまんかった。レタネア(自キャラ)ちゃんの可愛さに免じて許してくれ」

 

 俺はそう言いながら全力で可愛らしい仕草をしながら謝った。】────────

 

「……」

 

「お前にあの時の俺の気持ちが多少分かったようで何よりだよ」

 

「その……、ごめんな」

 

 俺は心の底から謝った。ハゲはこんな俺を許してくれた。こいつ聖人じゃないか?

 ハゲの優しさに触れた俺はポピー(クソ花)くんのことも許してあげることにした。こうして世界は平和になっていくのだ。

 

 こうして二人を詰める時間は終わった。これ以上俺が言うことはあるまい。こんなところで反省会を終わろう、と俺が席を立とうとするとハゲに声をかけられた。

 

「おい待て、まだ反省すべきヤツが一人いるだろ?」

「へ、へぇ。ハゲ、お前何か自分自身の問題点を見つけたのか? 凄いな」

 

 俺はシラを切った。ハゲ、それは言わない約束だろ……? 二人が全滅して俺らも死ぬってタイミングでそういう約束をしたはずだ。

 

「レタネア、お前二人に偉そうなこと言ってたけどさ、お前も5%トリガー用の回復薬の存在を忘れてたろ。パーティー全体のデバフを治す薬を用意するのはお前の係だった筈だろ?」

 

「スーーーー。その、ごめん。俺の係だってことかんっっっぜんに忘れてた」

 

 先に死んだ二人に知られるのが恥ずかしいから内緒にしてくれと俺は言った筈なのになんで言ってしまうんだハゲ。いや、俺のせいか。どうやら俺はハゲの逆鱗をソフトタッチしてしまったらしい。

 

「やーい! お前もミスしてやんの! 人のこと言えないじゃん!」

 

 ここぞとばかりにクソ花は煽りにかかってくる。

 

「そこまでで死んでるくせに偉そうなこと言ってんじゃねぇ! お前の方がよっぽど酷いだろ! 俺が十歩ならお前は一万歩くらいの差があるぞオイ」

 

「でも結局同類じゃん!」

 

「美少女(見た目だけ)が言い争ってるのなんか尊み感じるなぁ」

 

「コイツら……」

 

 俺たち四人パーティは今日も仲良しです。




イカれたパーティーメンバーを紹介するぜ!

・レタネア(主人公)
桃色ツインテの女性キャラを使っている本作の主人公。可愛い女の子が好き。メインウェポンは槍。

・ハゲ
ユーザーネームは「サンライズ」。大剣やハンマーを使って戦う純物理アタッカー。間違いなくパーティーで一番マトモ。

・ブレイブ(ハーレム願望丸出し量産型イケメン)
全身黒コーデの量産型イケメン。剣がメインウェポンで、どことなくラノベの主人公感のある見た目をしている。ちなみに中の人は女性。可愛い女の子を侍らせる事が当面の目標であり、正直ハゲが美少女キャラなら完璧なのにと考えている。

・ポピー(男の娘)
女キャラを使うのは恥ずかしかったので男の娘キャラに逃げた。ただ、この二ヶ月でリアルで女装を始めたらしい。
戦闘スタイルは剣と魔法の複合スタイル。器用貧乏だが無駄にカッコイイ
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