VRMMOで遊ぼう! 作:between してう and 至
このゲームには「テイマー」という職業がある。一応初期から選べる職業の一つだが、これをメインで使っているプレイヤーは今ではそれほどいない。というのも、リリース二週間目時点でこの職業が猛威を振るいすぎていてナーフされたからだ。
しかしまぁ、テイマーナーフ反対運動は楽しかったな。そういやあの時俺もあの三人に出会ったんだっけか。
……おっと、それはまた別の話だ。ひとまずテイマーの話をしよう。
確かテイマーの人口が少ない話だったな。
このテイマーという職業、別にサービス開始時は他職業に比べて就いている人数が少ないわけではなかった。
使役するモンスターがあまり可愛くない、AIがそこまで賢いものではない、まずテイムできるモンスター自体も少ないといった問題点はあったものの、コミュニケーションをなるべく避けたいプレイヤーや、動物が好きなプレイヤーには好評だった記憶がある。
まぁ、サービス二日目にはこのゲームのプレイヤーの九割程度がテイマーになる大テイマー時代が到来したのだが。
【テイマーが強かった要因3選】
1.使役するモンスターが普通に強い。
何を思ったのか使役できるモンスターが軒並み強い。奴らは同レベルのプレイヤーの八割程度のステータスを誇り、しかもそれがテイマー以外の様々な職業の下位互換じみたものとして存在していた。その上、モンスターは三体まで出せる上になつき度というシステムを利用すれば確率での食いしばり効果やクリティカル効果までつくという……。
なんなら粗末なAIとはいえ、初心者プレイヤーよりも戦闘が上手いなんてこともあった。
2.モンスターはプレイヤー枠としてカウントされないため、四人パーティーで全員がテイマーなら実質十六人体制で戦うことができる。
文字通りである。単純に手数が増えるというのは強かった。
しかも、モンスター自体もプレイヤーの八割のステータスを持っているため、『特定の職業のプレイヤーができる仕事』 <『同系統モンスター二体ができる仕事』 という状態。オマケにテイマー自体もステータスが低いとはいえ戦えたのだからもう何とも言い難い。少なくともあの頃はテイマー以外を使うのは損であり舐めプだったのだ。
「テイマーにあらずんば人にあらず」 この言葉から当時の雰囲気がわかるだろう。一部の逆張りマン以外は皆テイマーを使っていた記憶しかない。
3.モンスターの育成コストが低い
地味だがテイマーが全職業の中で驚異的な割合を占めていた要因の一つである。
テイマーという職業は複数モンスターを育てて使い分けるというコンセプトの都合上、他の職業よりも武器や防具の役割をするモンスターにかかる素材等が他職業のものを一式揃えることよりも楽だった。それでいて前述のような高性能。
何も知らずに他の職業についてしまったけど余ったリソース使ったら余裕でテイマーになれました!なんてのはザラだった。
と、まぁそんな感じでサービス開始から二週間の間はテイマーの時代だった。
……そりゃナーフされるわ。客観的に見てナーフしない理由が無い。てか開発がしっかりテストプレイしろよ。
そんなわけでサービス開始二週間でテイマーはかなりキツめの下方修正をくらう。
モンスターの性能は全体的に下方修正され、一体のモンスターにつき一つのパーティーの枠を使うようになった。
さらに追い打ちとして他の職業には上方修正が入ったことにより、テイマーのプレイヤー内の人口は十分の一以下へと。昔はどこを見てもテイマーがいるという状態であったのに、今では扱いが半ば絶滅危惧種。
モンスター枠の都合上他プレイヤーと協力しにくいのもその状況に拍車をかけている。
やっぱテイマー下方修正の時に他職業の育成素材とか諸々を大量配布してたのが良くなかったな。アレがなきゃ仕方なくテイマー続けてたやつも居たかもしれんのに。
そんな下方修正の結果、攻略wikiの最強職業ランキングでSSSからCくらいになってしまったテイマーだが、流石にこの状況は運営もマズいと思ったのだろうか。テイマー人口を再度増やそうと報酬ありのテイマー限定の大会が開催されることになった。
その名も『めざせ!テイマーマスター!』
……パロにしてももう少し何か無かったのだろうか。
大会は所謂トーナメント形式で、予選を勝ち抜いたテイマー達が、本戦(公式で配信される)で戦うというものだ。
ちなみに対戦はモンスター同士を一対一で戦わせる形式で、一人六体までモンスターを本線に持ち込むことが可能。ただし、対戦で使えるのは三体だけというルール。
なぁ、これ○○○○……。
発表当初この形式は、テイマーの戦闘スタイルに合っていない、あんまり楽しくなさそう、運営はテイマーエアプなどといった意見が散見された。実際初期のバランス調整的に後者は言われても仕方ない気もするが。
まぁ、そんなことはありつつも大会は恙無く進み、現在決勝戦なのだが……
「「「「「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおお」」」」」
聞いてくれ、この歓声を。どう思う?
そう、大盛り上がりである。冷静に考えたらむしろ盛り上がらないわけがないだろう。このテイマーマスターは「よけろ!」コマンド等が搭載されている○○○○バトルに近い。つまり実質○○○○バトルを生(この場合はリアルタイムで行われているという意味)で見ているかのようなもの。テンション爆上がりだぁ!
多くのプレイヤーにテイマー経験があるために予備知識があるのも良かったのだろう。そのおかげで決勝に進出したプレイヤーの化け物っぷりがよくわかる。
あとはあれだな、なつき度要素。多分オンラインで○○○○対戦やってる時に敵がやってきたら○ねとは間違いなく思うんだが、今回に関しては発動する度に少し涙腺にくる。これが彼らが積み重ねてきた信頼と友情の結晶か……。といった風に。 実際のところテイマー全盛期はなつき度を上げるためにフォアグラでも作るんかってレベルで過食させていた記憶があるが、多分彼らはそんなことをしていない。多分……、多分。
などと頭の辛うじて冷静な部分で考えていたのだが、残りの熱に当てられてる部分がうぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!! 失礼、取り乱した。今丁度そのなつき度システムでの食いしばりが最高のタイミングで発動したのだ。
舞台上で向き合う二人のテイマーとモンスターが一体ずつ。どちらのモンスターも満身創痍、瀕死寸前、○○○○でいうなら赤ゲージでBGMが変わっているだろうというところ。
次の一撃で全てが決まる……。隣の席のやつがそう呟いた。カッコつけて言っているが、食いしばりが発動する前に実況が言っていたことを丸パクリしただけである。
彼らが動いたのは同時だった。互いに選んだのは真正面からのぶつかり合い。双方、使っているモンスターに搦手系統の技があるのにそれを選んだのは誇りかノリか、もしくは勝利後につまらねー勝ち方しやがってというバッシングを避けるためか。多分1:8:1だな。
雷と炎のぶつかり合い、互いの切り札と言っても過言ではない、絶対にここで決めるという意思のこもった、互いの残存体力から考えれば過剰火力も甚だしい一撃、それが交差し、最後に舞台上に立っていたのは一匹のモンスターと一人のテイマーだった。
『初代テイマーマスターが決まりましたぁぁぁぁ!!皆様!盛大な拍手を!』
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!……、いやぁ、実にいいものを見た。俺もテイマーにもう一度なろうかな……。
俺は久しぶりにテイマーの一式を倉庫から取りだし冒険に向かうことにした。
結果として俺は死んだ。冷静に考えて初心者だったサービス開始二週間の時点の装備で、しかもナーフされた職業で今の最新フィールドを戦えるわけが無かったのだ。
……俺たちプレイヤーは日々成長しているのだ。
ありがとうテイマー、お前という職業のおかげで今の俺たちがある。
古戦場期間なのに、ストック無しで思いつきで書いたものを投稿し始める馬鹿がいるらしい。
あと、知り合いに読みにくいという指摘を受けました。一切反論できない正論だったので黙るしかありません。