VRMMOで遊ぼう! 作:between してう and 至
しくじった……。
こちらが二人というのもあって相手も四人いるのにフェアプレー精神に則り二人でこちらに来ているのだが、その二人がべらぼうに強い。
私達も中堅くらいの実力はあると思っていたのだが、相手の連携が上手すぎて全く歯が立たない。
そうして今私達は絶体絶命のピンチに陥っているというわけである。
「どうした、そちらも片方は魔術師だろう。回復しないのか?」
相手の魔術師がそう言う。確かにポピーは魔術師だ。本来なら回復の魔法が使えて然るべきなのだろう。それを使わないのを不審に思ったのか。
ただ、少なくとも相手は善意100%でそれを言ったということはわかる。もしかすると相手は二人プレイに慣れていないのでは? なんてことを思ったりしたのだろう。
でも、それを聞いた私とポピーはほぼ同時に回復薬をガブ飲みした。少し困惑する相手を尻目に、ポピーが口を開く。
「ボク達には今、回復役がいねぇんだコノヤロー!」
……何を言ってるんだこいつらはという目線を感じる。正直私も同じ立場ならそう思うだろう。でもポピーのやりたい事はわかった。ならば私も口を開かざるをえない。
「ヘイト管理もできないし!! 素材集めも効率的にできない!!」
「ボク達は助けてもらわねぇと攻略をまともにできない自信がある!!」
基本的に私たちのパーティーはサンライズとレタネアに殆どを頼っている。そのせいで二人がいなければこのザマだ。
はぁ……。
「はーっはっはっはっは」
そう言い切ると、目の前の男達が大笑いをした。
そして、
「自らの不甲斐なさを全肯定するなんて気持ちいいバカ達だ。お前らみたいな無能を仲間に持つ他の船員はさぞ迷惑してるんだろう……」
……ここは黙っておくべきだな。
「そんなお前らがどうして俺らに立ち向かう!? てめェらにいったい何ができる!!」
「「お前らに勝てる!!」」
そう言ったのはほぼ同時。それと同時に、ドン!!とどこかからドラムのような音が聞こえてきた。その音がした方を見ると、相手の船の人が鳴らしたものだということがわかった。 お相手もとてもノリがいい。
「ほざけ下等プレイヤー!!!」
相手魔術師が歯をカチカチさせながらこちらへ向かってくる。ご丁寧に武器を近接仕様にしてだ。ん? まって、あの特徴的な形の剣はもしかしてキリバ……。
私達は死んだ。完膚無きまでの敗北だった。ちくせう