私メリーさん。今からあなたとデュエルするの   作:日々狐

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第2話

「私は手札から【都怪(とかい)─ブラインド】を特殊召喚!」

 

手に持つカードの1枚をディスクの窪みの1つにセットすると、私の後ろから虚ろな目をした花嫁姿の女性が現れる。

傍らに少しだけ口を開いた大きなトランクを浮かべ、明確な敵意を持ち相手のモンスターを睨みつける。

 

「都怪……?何その、カードは」

「このカードは、カードが存在しない縦列に特殊召喚することが出来る」

「そして、この方法で特殊召喚した場合デッキから都怪と名の付いた魔法カード1枚を手札に加えることが出来る」

「デッキにあるのは……じゃあ、これ。フィールド魔法【都怪─エンプティ・ステーション】を手札に加えて、そのまま発動!」

 

花嫁がトランクの鍵を閉じると、暗い闇がトランクからどろりと滲み出し周囲を包む。

それはたちまち人工物を形作っていき、夜の駅舎の姿になる。

 

「発動時の効果処理で、手札の都怪と名の付いたカードを1枚墓地に送ってデッキから都怪カードを手札に加える」

「2枚目の【都怪―ブラインド】を墓地に送り、デッキから加えるのは【都怪─メアリー・ヴェッセル】を手札に」

「そして、手札・デッキから墓地に送られた都怪モンスターカードは効果を発動できる」

「墓地に送ったブラインドの効果で、デッキの一番上のカードをめくる。それが都怪カードなら手札に加える。違った場合は墓地に送る」

 

何か妙な顔をしている彼女を横目に、手札のカードたちを見つめ何が出来るのかと考える。

イラストや効果を見た限り、私のような「都市伝説」をモチーフにしたカードたちみたいだ。

 

「デッキの一番上は、【おろかな埋葬】。これは墓地に送られる」

 

花嫁がトランクを開けると、中から大量の人骨が零れ落ちる。

が、それは全て崩れ風化し形をなくす。きっと、誰にも見つけてもらえなかった彼女自身なのだろう。

 

「ええと、もしかして今使えないカードばかりじゃないかしら……?あ、よく見たらメインフェイズ1開始時って書いてあるし」

「レベル8はモンスターを2体リリース?間違えたかし。えっと、う、ええっと……た、ターンエンドするしかない、わね」

 

──恥ずかしい。大口を叩いておいて何も出来なかった。

顔が赤くなるのを感じる、心なしか花嫁も困惑しながらこっちを見ている気がする。そんな目で見ないで。

 

「ま、まあ最初はしょうがないよね。じゃあ、その、ドロー」

「【転生炎獣(サラマングレイト)フォクシー】を通常召喚。効果は発動しないね」

「フォクシーと【転生炎獣サンライトウルフ】でリンク召喚。【転生炎獣ヒートライオ】」

「リンク召喚に成功したから【パラレルエクシード】を――」

 

何か出来ることがあるわけでもないので、手元のカードを眺めながら本当は何をするべきだったのかを考えてみる。

デッキから手札に加えるカードが悪かったのか、モンスターを出す順番を間違えたのか、色々後で勉強しなきゃいけない。

 

「【アクセスコード・トーカー】の効果で【都怪―ブラインド】を破壊して、バトルフェイズ」

「【アップデートジャマー】の効果でこのターン2回攻撃を行えるので、10600ダメージ。ありがとうございました」

 

いつの間にか出ていた騎士のようなモンスターが、私の身体を2度攻撃する。

ちょっとびっくりして、咄嗟に腕で顔を庇ってしまったけどするりと通り抜けられる。そういえば虚像だった。

 

「ひゃっ……な、納得行かない。もう一度、私がちゃんと勉強してからよ!」

「それはいいんだけど、ちょっとそのデッキ見せてよ」

「ダメよ。そうやって情報を手に入れるつもりね」

「違う違う、じゃあさっきのブラインドとエンプティ・ステーションだけでいいから」

「まあそれならいいわよ」

 

駅舎や騎士はいつの間にか消え去っており、そこには彼女の住んでいたアパートの一室があるだけだった。

それにしても、何を彼女は気にしてるんだろうか。カードと携帯を交互に見比べている。

 

「知らない、というか存在しないカードだなあ」

「存在しない?でも現に、ここにあるじゃない」

「うん、だけど公式には存在してないの。ディスクが動いてるし誰かの作ったものじゃなさそうだけど」

「何それ、変なの」

「メリーさんを名乗る幼女には言われたくない」

「それもそうね。それにしても、ディスクもカードも私が知らないうちにいつの間にか持っていたのよ」

「だから何らかの理由で勝手に出来たとか、そういうものかもしれないわね」

「こわ~」

「まあいいわよ、その辺は。ええと、そこの部屋は何かしら」

「そこ?知り合いとか泊めるときの部屋だけど」

「少し借りるわよ、デッキの中のカードを確認したいのよ」

「じゃあ私も──」

「駄目に決まってるでしょう、えっち」

 

言い放ち、部屋に飛び込み扉を閉める。

 

 

──私、何をしに来たんだっけ?




オリジナルカテゴリ「都怪」カード紹介その1
(1)は主に相手に依存する特殊召喚効果。(2)は(1)に依存したETBの固有効果。(3)は手札・デッキから墓地に送られた時の固有効果
という構成は都怪モンスターカード全てに共通しています
───────────
【都怪―ブラインド】
効果モンスター
星4/闇属性/アンデット族/攻1700/守1000
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードは同じ縦列にカードが存在しないモンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚出来る。
(2):(1)の方法で特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「都怪」魔法カード1枚を手札に加える。
(3):このカードが手札・デッキから墓地に送られた場合発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくる。そのカードが「都怪」カードだった場合、手札に加える。
違った場合、墓地へ送る。
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