モンスターハンター ~流星の騎士~   作: 白雪

75 / 75
EPISODE74 ~見つけた理由~

 ──不意に意識が浮上していくかのような妙な違和感を覚え、ゆっくりと身体を持ち上げる。

 しかしながら、果たして意識が覚醒しているのか、夢を見ているのか。それがまるで理解出来ない、有耶無耶な状態にある。

 目に見える世界は揺らぎ、それが、これが現実か幻想かの見境を消失させる。

 文字通り、ぼんやりと霞がかった世界の中で、それでも何とか一歩を踏み出す。

 身体は異常に気怠く、今以て意識は薄弱としている。だが、それでもその歩みを止めない。否、止めてはならない気がした。

 何故、と問われても、それに返答することは不可能だった。その理由は自分でも理解出来ていなかったから。

 だが、ぼんやりとした意識の片隅で、「歩み続けろ」という声が響き渡り、それが身体を突き動かした。

 一歩。また一歩。

 覚束無いながらも、着々と、確実にまた一歩と歩みを刻み続ける。

 それから、およそどれほど前に進み続けた時であった頃であったか。従前広がっていた虚無の世界の先に、不意に“紅い物体”が出現した。

 それが何であるか、以前として分からない。だが、誘蛾灯に誘われる髄虫の如く、その紅い物体に惹き寄せられるように尚も歩みを続けた。

 やがて、視界に映る紅い物体の正体が、徐々に露わになっていく。

 それは人であった。全身に真紅の服を身に纏い、同じく真紅の幅広帽を被った人物だ。

 その人物が男性であるのか、または女性であるのか。顔は幅広坊の鍔に隠れ、それを判断することは出来ない。

 しかし、そうであっても、魅惑なその存在に心惹かれ、ゆらゆらとその人物との距離を詰めていく。

(あなたは、一体何者なんだ……?)

 不思議と心の奥底から湧き上がってきた興味。蠱惑的にも思えたその後ろ姿に導かれ、言葉にならない問いかけを投げ掛ける。

 すると、紅い背中を向けた人物がゆっくりとこちらに振り向いた。

 そして──、

「(待っている。だから、追いついてこい)」

 その言葉を発声することなく、唇の動きだけでそう告げると、“真紅の男”は、にっと笑みを浮かべた、気がした。

 それと同じくして、夢と現実の間で均衡していた世界が大きく歪んだ。ぐにゃりと捻じ曲がった意識に身体を支配され、途端に意識が遠くなっていく感覚を覚える。

(待っ、て、くれ……)

 世界が歪に形を変え崩れていく中、真紅の男は身を翻す。

 その背中に向けて必死に手を伸ばすが、伸ばした手が彼に届くことはない。虚しく腕を伸ばすその先で、真紅の男の姿が徐々に遠のいていく。

 やがて、真紅の男の姿が薄れ消えていくと、同じくしてあやふやな意識は今度こそ暗闇に沈んでいった。

 

 

 

 ──遥か彼方から荘厳な鐘の音が聞こえてくる。

 聞き慣れた心地好いウェストミンスターの音色は沈んだ意識の内に響き渡り、それが目覚し代わりとなって沈んだ意識を持ち上げていく。

 ぼやけた意識の中で本能的に瞼を開けてみれば、夕焼けの赤光に照らし出された、これまた見慣れた白塗りの天井が視界に映った。

「ここは……?」

 そこがクートウスに設けられた医務室の天井で、自分がその医務室のベッドの上に横たわっているのだとようやく理解すると、忘れていた鈍い痛みを身体が思い出す。

「いっ、てて……っ」

 臀部、背中、腕。身体の至る所が悲鳴を上げているが、特に後頭部からじんじんとした痛みを感じる。身体を持ち上げたようとしたヴァイスも、その痛みにやられて起き上がれなかった。

 だが、幾分痛みに慣れてきたか、しばらくすると難なく上半身を持ち上げることに成功した。改めて自分がどんな状況に置かれているのか確認しようと首を動かすと、ヴァイスは我を忘れ息を呑んだ。

 ヴァイスが横になっていたベッドの脇には丸椅子が置かれ、そこに腰掛けたルナがベッドに上半身を預けている。

 白皙で華奢な両手はヴァイスの左手を優しく包み込み、目尻にはうっすらと涙を浮かべている状態で、ルナはすぅすぅと規則正しい寝息をたてている。

 健気なルナの姿が目に入ったヴァイスの意識は途端に覚醒し、後頭部に再び鈍い衝撃を覚えた。

「そうか。俺たちは、フラヒヤ山脈でティガレックスに襲われて……」

 曖昧だった記憶がようやく線になって繋がる。

 フラヒヤ山脈におけるドスギアノスの討伐を終了した後、突如としてティガレックスが狩場に乱入した。

 手負いだったノエルたちを逃がそうとヴァイスは囮役を買って出た。だが、視界の端でティガレックスにルナが追い遣られている状況を目撃した次の瞬間には彼女を突き飛ばしていて、自分はティガレックスの咆哮に吹き飛ばされていた。それから先のことは、ぼんやりとしていて思い出せない。

「まったく、いらない心配かけさせやがって……」

 溜め息を吐きながら、ヴァイスは相変わらず眠り続けるルナの頭にそっと手を伸ばし、「でも……」と続ける。

「無事でよかった。それと、ありがとうな……」

 改めて安堵しながら、ヴァイスは優しく彼女の麗しい金髪を撫でる。

 すると、それまで寝息をたてていたルナは顔を顰め、やがて重たそうな瞼を開けるとアイルーのような寝惚け眼を覗かせる。

「ん……、んぅ……?」

 頭、上半身の順でゆっくりと身体を持ち上げ、眠たそうな瞳をこしこし擦る。

「おはよう。目が覚めたか?」

「えぇ。おはよう──」

 普段と変わらぬ挨拶を交わしたところで、不意にルナが硬直し、紅玉のような瞳で穏やかな笑みを浮かべたヴァイスを凝視する。

 程無くして緊張が解かれたルナは、途端に目尻に溢れんばかりの涙を浮かべると、ヴァイスを両手で抱きしめた。

「お、おい……っ!?」

 ルナは勢いに任せてヴァイスを抱きしめたため、身体の節々が再び悲鳴を上げる。

 驚いたとか、照れるとかそういう感情は一切関係無く彼女を静止しようとするヴァイスであったが、胸の中で嗚咽するその姿を見てしまっては、身体の痛みなど、どうでもよく感じてしまう。

「よかった……。よかった、ヴァイスが無事で……っ!」

「悪い。だいぶ心配掛けさせたみたいだな……」

 安堵して泣き崩れるルナを目の前にし、相当な心配を掛けさせてしまっていたのだとヴァイスもようやく理解し、心苦しく思う。

 そんな彼女を宥めようと、ヴァイスもそっと腕を持ち上げた。しかし、その弾みで今度こそ無視することが出来ない激痛が身体を走り抜け、自身の意思に反して身体の動きが止まってしまう。

「いって……っ」

 思わず声を上げたヴァイスの状態を察したルナも、バッという効果音が似合うほどの勢いでヴァイスから離れ、今度は優しい手付でヴァイスの身を案ずる。

「だ、大丈夫?」

「あ、あぁ……。でも、まだまだ身体の自由は利きそうにないな」

 苦笑しながら軽口をたたくヴァイスを見てか、ルナは大きく息を吐き出した。

「身体は痛むだけ? それ以外におかしなところは無さそう?」

 ルナに問われ、ヴァイスは改めて自身の身体の状態を確認する。

 頭、首、肩、腕、手足。どこか身体に異常がないか、慎重に確かめてみる。

「包帯を巻かれて動きが制限されてる以外は、別に何ともなさそうだ」

 現在のヴァイスは、上半身と頭部に包帯が巻かれている状態であり、特に頭部は額部から後頭部にかけてぐるぐる巻きで、何とも痛ましい姿であった。

 その点を除けば、身体の所々が痛むくらいであり、身体機能に支障を来すような致命傷は免れたようであった。

「そう、よかった……」

 何度目になるか分からない安堵の溜め息を漏らし、ルナは胸を撫で下ろした。

「ところで、ルナや他の二人は大丈夫なのか?」

「ええ。お陰様でね」

 もはや意味を成さない照れ隠しをしつつも、ルナは僅かに頭を下げる所作をする。

「私もノエルも、ヴァイスに比べれば大したことのない怪我よ」

「そいつは何よりだ」

 身体を張った甲斐があったな、とヴァイスはいつもの調子で肩を竦める。

「でも、ありがとう。全部ヴァイスのおかげよ。こうして私たちが無事でいられるのは、全てヴァイスのおかげなんだから……」

 再び今にも泣き出してしまいそうになったルナを、ヴァイスは「それは言いすぎだ」と制する。

「見てのとおり、俺も無様にやられたさ。でも、俺も、そしてルナたちも皆無事だ。こうしていられるのも、俺たちを救ってくれた誰かのおかげさ──」

 と、そこまで自分で口にして。ヴァイスはふと疑問を抱く。

 ティガレックスに襲われたあの場で、自分たちを助けてくれたのは一体誰なのだろう。

 ルナとノエルは手負いだったことを考えると、その可能性から除外出来るのは自明だ。そう考えると、残されたのはアーヴィンだが、彼もまた、ノエルと共に後退したはずである。加えて、アーヴィン一人であの絶望的な状況をひっくり返したとは考え難い。

 ヴァイスが思考を巡らせていると、こちらに近づいて来る二人分の足音が聞こえてきた。そして、ヴァイスの姿が目に入るや否や、その二人──ノエルとアーヴィンは彼の元に走り寄った。

「良かった。無事に目を覚ましたようですね」

「ったくよ! いらぬ心配掛けさせやがって!」

 口々に心配する言葉を投げ掛ける二人の表情からも、心底ヴァイスの身を案じていたのだと感じられる。

 仲間を守れた喜びと同時に、多大な心配を掛けさせたことによる申し訳なさが、ヴァイスの胸に広がっていく。

「悪い。相当な無茶をしたみたいだ」

「あぁ、まったくだぜ! 今後は、あんなバカげた真似はすんじゃねぇぞ!?」

「それ、ノエルが言うと説得力が皆無ですよ……」

 感情的になるノエルの隣で、アーヴィンがやけに冷静にツッコミを入れる。

「ですが、ヴァイスのおかげで僕たちは無事です。本当に、ありがとうございます」

 表情を改めたアーヴィンは、ヴァイスに対して深々と頭を下げる。隣にいるアーヴィンが妙に冷静であることに頭を冷やされたか、ノエルも我に返ったように頭を下げた。

 その様子を、初めて二人を自分の部屋に招き入れたあの時の光景と重ねながら、ヴァイスも会釈した。

「礼なんてよしてくれよ。とにかく、俺たちは全員無事だ。心配しただのお礼だのはこれで終いにしよう。それで問題無いだろ?」

 俺たちはパーティーなんだから、当然だろう。

 これまで何度も口にしてきた言葉を、もはやおまじないのように再び口にする。そうすれば、そこに異を唱える者は存在しない。

「あぁ、そういえば……」

 そこでふと、ヴァイスが思い出す。「自分でああ言っておきながら女々しいけど……」と前置きを入れてから、ヴァイスは元来の疑問を投げ掛ける。

「あの場で俺たちを助けてくれたのは、一体誰なのか分かるか?」

 ヴァイスの問いかけに、一同はきょとんとした様子を見せた。

 しかし、互いに顔を見合わせた後、三人を代表してアーヴィンがヴァイスの問いかけに答えた。

「ロミオン・ウェーバー。あの状況で僕たちを救ってくれたのは、今回の卒業試験でフラヒヤ山脈に派遣されていたギルドナイト、ロミオンさんです」

「ロミオン・ウェーバー……?」

 アーヴィンが口にしたそのギルドナイトの名を、ヴァイスは胸の内で幾重にも反芻するのだった。

 

 

 

「ロミオン・ウェーバーについて知りたい?」

 クートウスに勤める教師陣の一人──マルクは、思わず素っ頓狂な声を上げながら、その言葉を反復した。

 対して、そのマルクと向かい合うヴァイスは、無言で首肯するだけである。

 意識を取り戻してから数日、ようやく床の上生活から脱出したヴァイスは、とある昼下がり、クートウスでギルドナイト部門を専門分野とするマルクの元を訪ねていた──相変わらず頭部に包帯を巻かれた状態で。

 マルクにしても、先日の卒業試験で乱入してきたティガレックスによって負傷したヴァイスが、回復早々自分の元を訪ねてきたと思えば、このようなことを言い出すのである。ヴァイスの行動が意味するところを知り得ないマルクは、気圧され気味にヴァイスを見返す。

「ロミオンといえば、君たちのパーティーが赴いたフラヒヤ山脈に学院で派遣したギルドナイトだ。君たちを助けたのも、そのロミオンらしいが……」

「えぇ。それは話に聞いています」

 マルクの言葉をあっさりと受け流したヴァイスが、真っ直ぐに彼を見据える。

「知りたいのは、そのロミオンさんがどういった人物で、今までにどのような功績を残しているのか、ということです」

 そこまで聞かされたマルクは「なるほど」と、ようやく会話の合点が行ったようである。

 マルクは軽く俯き、しばらく何かを考えるような素振りを見せる。やがて、「君には良い刺激になるのかもしれないな」と呟き、ひとりでに頷いた。

「ちなみに、彼については、君はどれくらいのことを知っているのだ?」

「先日、フラヒヤ山脈に学院から派遣されたこと。そして、かつてはマルク先生と任務に就いたことがある。その二点だけです」

「なるほど。差詰め、ルーク君の差し金といったところか……」

 そう苦笑しながら、マルクはやれやれと首を横に振る。

 現在はクートウスで教鞭を執るマルクであるが、その実は元ギルドナイトであり、件のロミオンとも親交があったのだという……という内容の話を、ヴァイスたちの担任であるルークから先日聞かされた。

 ちなみに、どうしてルークがそのことを知っているのかというと、以前マルクと飲みに行った際、酔った勢いでそのような内容の話を散々聞かされたためだという。

 そんな話は置いておくとして──。

 ふぅ、と溜め息を吐いたマルクが、机の引き出しから一枚の写真を取り出し、それをヴァイスに渡した。

「これは……」

「三年前だったか。私がギルドナイトの職から退く間際に撮った写真だよ。私の左隣に写っているのが、その頃はまだひよっこだったロミオンだ」

 当時の自分に想いを馳せながら、マルクは自分の隣に写る──その当時はまだ少年だったロミオンを指差す。

「彼は……良くも悪くも素直な少年だった。まったく、老い耄れの私には眩しすぎる少年だったものだ」

 遠くないはずのその時のことを思い出しながら、マルクは写真の中の自分たちを見つめる。

「だが、彼は強い意志を抱いていた。例えどんな万難に直面しようと、自らの決意を決して曲げない強い意志だ。今思い返せば、私には無いものを持っていた彼だからこそ、私にとって目映い存在だったのだろうな」

「強い、意志……?」

 ヴァイスが繰り返した言葉に、マルクは大仰に頷く。

「だからこそ、彼は今、数多の精鋭が集うギルドナイトの前線を渡り歩いているのだろう。そしてそれこそが、彼を──『女神の騎士』とたらしめる“強さ”なのかもしれない」

「『女神の騎士』──」

 その名を。彼の二つ名を。ヴァイスは心の奥底で噛み締める。

「私には分からなかったよ。『女神の騎士』とまで称されるようになった彼を、一体何が突き動かすのか。そう、彼の強い意志の根源がね」

 そう口にして、マルクは自嘲気味に苦笑した。

「……だが、もしあの時の私が尋ねていれば、彼はきっとこう答えただろうね」

 ふと、写真から視線を外して。マルクは凛とした佇まいで、ヴァイスの心中を見透かすようにその蒼き虹彩を正視する。

 

『──二度と後悔しないように。決して後ろを振り返らないために。オレは、オレの大切なものを守るために、前に進み続けるんだ』

 

 マルクに言われた言葉が、走馬灯のように頭の中に響き渡る。

 すっかり夕暮れになり、夕闇が辺りに落ちていく中、一人ヴァイスは自室に続く廊下を歩いていた。

 あれからしばらくの間、ヴァイスはマルクから様々な話を聞き出すことに成功し、ロミオンという男の人物像が次第に明らかになっていった。

 ロミオンは、クートウスのギルドナイト部門を卒業し、現在はドンドルマ本部のギルドに所属する《クラス. 2nd》のギルドナイトとして活動し、先のとおり『女神の騎士』の二つ名を持つ。

 博学多才、正確無比の太刀使いであり、《クラス. 2nd》に属しながらも、ドンドルマのギルドにおいて一目置かれる存在であるらしい。

 さすがに、秘密裏に行動することもあるギルドナイトの一員だ。細部においてまで詳しいことは分からなかったが、それでも十分すぎるほどの収穫があった。

「『女神の騎士』……、ロミオン・ウェーバー……」

 その名を呟き、先ほど目にした写真に写る少年の姿を思い浮かべる。

「“追いついてこい”か……」

 そしてその姿を、先日の夢に出てきた“真紅の男”と重ね合わせる。

 空ろの最中、あの夢に出てきた彼は、きっとロミオンなのだろう。

 その確証は全く無い。言ってしまえば、それはヴァイスの思い込みでもある。

 だが、マルクの話から浮かび上がったロミオンという人物と、真紅の男の姿を重ねてみたとき、妙に腑に落ちた感覚を覚えたのだ。

 ──全く以て奇妙な話である。

 あの夢に出てきた彼と、自分たちを助けたロミオンを同一視し、あまつさえ虚空の言の葉をロミオンの言葉として受け止めているのだ。

 あまりにも出来過ぎたシナリオに、これこそが幻夢ではないかと疑うべきなのかもしれない。

 しかしヴァイスの頭は、得体の知れない高揚感に満たされていた。今までずっと靄がかかっていた景色が一転し、一面澄み渡った桃源郷を目撃したかのような感覚。

 等閑であるが、それでいてどこか心地良い。そんな浮足立った感覚に浸りながら、ヴァイスは自室に続く廊下を進む。

 やがて自室に辿り着き、扉を開けてみると、四人掛けの机を囲ってルナ、ノエル、アーヴィンの三人が談笑していた。その話題は専ら、先のドスギアノスの討伐に関するもののようであった。

「おう、ヴァイス。マルク先生との用事っていうのは済んだのか?」

「あぁ。まあな」

 淡々と答えるヴァイスの様は普段と変わらないが、その雰囲気がいつもと異なっていることに、付き合いの長い三人も薄々と感付く。

「何かありましたか?」

 あえて要点を外したアーヴィンの問いかけに、ヴァイスは最前と同じ調子で受け答え、そして改めて三人の姿を見遣った。

「ようやく“見つかった”よ」

「見つかった……?」

 容量を得ないヴァイスの返答に、皆が小首を傾げようとした。

 だがこの時。三人はヴァイスの違和感にようやく気が付いた──その蒼眼に、今までに無かった強い意志を宿らせているということに。

「──“ギルドナイトを志す理由”を、ようやく見つけた」

 決して揺らぐことのない強い意志をその瞳に湛え、ヴァイスは胸の奥底から燃え上がるような想いを感情が赴くままに打ち明けるのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。