王子殿下とポンコツ忠臣達   作:もすそりゅーと

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書き方を試行錯誤してました。


策略家の暴走

「どうして呼び出されたか分かっているよね?」

 

わたし、ルシレーヌ・ミラヴィスは参謀であります。そして隣で一緒に正座しているのは近衛騎士、アリアレット殿。わたしたちは今、我が王リオン・ゼルハート様の前で反省の正座をしているのであります。

 

「有名な過激派だったリクセイル家が最近大人しいけど」

 

潰したからですな。

 

「軍拡がなんか進んでない?」

 

軍拡したからですな。

 

「なんで僕の管理領地が増えてるんだ?」

 

増やしたからですな。

 

「……主犯は君たち?」

「「はい!!」」

「自信満々に言うんじゃない!」

 

はて、リオン様は何故困ったような顔をしているのでしょう。後処理は完璧にしたし、財政にも影響していないはず。撫で撫でしながらベタ褒めされても良いぐらいであります。

 

「軍部は完全にルシレーヌへ任せてるからいいけどさ。先に言えっていつも言ってるだろ!?」

「それは驚かせようと思ってのことであります!」

「領地のサプライズとか要らないんだよバカ!」

 

そうだったのでありますか!?てっきり領地は増えると嬉しいものだと思っておりましたな。これは失敬。

 

「はー……次からこういうコトする時は事前報告してね。余程の事じゃない限り止めないから」

「ではアイドルデビュー計画についてですが」

「反省しろ」

 

 

と、そんな風に怒られたワケですが。わたしだって我が王を困らせるためにやったわけではありません。

なら、償いとして何かするでありますよ!つまりはそう、お背中を流しに!!そのための準備も完了であります!何せわたし、参謀なので!

と、おやおや? あちらから暗い顔をしたラントリス殿が歩いてきますね……?同僚がそんな顔をしていたら心配になりますな。

 

「何か、暗い顔でありますね?」

 

わたしに話しかけられ視線をずらした彼女はこくこくと頷いています。ラントリス殿が来た方向には執務室がありますな、それに彼女は恋に恋する乙女、即ちその顔の原因とは……

 

「リオン様の事でありますな?」

「なんで……」

 

やはり。まあわたしは参謀でありますので、リオン様から直々に勧誘された参謀でありますので当然ですな。

 

 

とまあ、聞いたところによるとアリアレット殿が昨晩リオン様と同衾しようとしていた所を目撃したと。まあ十中八九、匂いを間近で嗅いでしまって我慢出来なくなったとかそんな所でしょうな。あの獣人、欲望に素直すぎますから。しかしいい事を聞きました、寝かしつけ……寝付きが悪く寝起きが悪いリオン様には必要でしょう!!!

 

「こ、ここここ、恋人だったりするんでしょうか……?」

 

あのお二方が恋人関係!?!?そんなこと!!

「ありえませんな」

 

そう、ありえないのであります!!あの方は!!わたしの事をちらちら見ていますので!!

 

 

さて、ラントリス殿を激励し背中を見送った後、わたしは準備に入ります。そう、寝かしつけの準備であります。まずわたしはこの身で戦いませぬ、身体が柔らかく体質的に体温が高いので抱き枕に最適でしょう。抱く!?枕!? ……危なかったですな。アイドルデビューされていたら枕に変な意味が着くとこでありました。まあわたしは!構いませんがな!

兎にも角にも!反省の示すと同時に償いをするのです!あわよくばわたしを抱かなければ眠れなおっと自制するでありますよわたし。

準備と言いましても、パジャマを着て寝室に忍び込んでおくしかありませんな。アリアレット殿の嗅覚を騙せば後はちょろいものでありますよ!

 

 

そういうことで、わたしは今我が王のベッドの下に潜伏しております。アリアレット殿の嗅覚対策として、リオン様の石鹸を香りの強いものにすり替えておき、同じ物でわたし自身のからだを洗ったのです。

2人分の足音が聞こえてきて、すぐに扉が開きます。

 

「……な、何故私をじっと見ているんです……?」

「やらないでね」

「そんなぁ!」

「正座!」

 

とぼとぼ、そういった感じで部屋からアリアレットさんが出ていきます。そして疲れたようなため息をついて、ベッドに腰掛ける音。

 

「まったく、僕の部下たちは反省してるんだかしてないんだか分からないな」

 

うっ。

 

「ラントリスには逃げられちゃうし。……嫌われてるのかなぁ、僕」

 

まさか!忠臣は皆貴方の事を好いておりますとも!

 

「……なーんて。皆は僕に尽くしてくれてる、なら僕も頑張らないと。早く寝ないとな!」

 

リオン様……!!

そういえば今、わたしとリオン様2人っきりでありますな。

そういえば今、アリアレット殿は反省正座しておりますな。

もう、辛抱たまりませんなぁ!?!?!!?

 

「リオン様ぁぁぁ!!!」

「ルシレーヌ!? なんでベッドの下から、うわっ!?」

 

はー!わたしの柔肉に力負けするなんて弱すぎであります!!守ってさしあげませんと!!!!

 

「やめっ……ルシレーヌ!やめろ!」

「やめませぬ!大人しく寝かしつけられると良いであります!」

 

ぎゅっと抱き着いて身体を擦り付けていきます。わたしの温かさを知るのです、暴れるなっ!!!

 

「ふわっ……やめ、やめっ……!」

 

声がとろんとしてきましたな!!チョロすぎであります!!腰に手を回してわたしを抱き枕にする気まんまんですしな!!!

 

「良い夢を見るでありますよ。はやくわたしを抱くのです!!」

 

もがく力が弱くなっていますね、眠たくなっちゃったようであります。やはり相性抜群!わたしを抱き枕にしないと安眠出来ないからだにしてやる!!

 

「はなせ……はなし、てぇ……」

「ほら大人しく寝かしつけられるであります!!悪いようにはしな……」

ぎいぃ。

「あっ」

「えっ」

「ラントリス!? 助けて!!」

 

 

はい。

結論から言うと、執務室を出禁にされたのであります。頭を冷やせ、との言いつけであります。なので。

 

「もっと!もっとですよラントリス殿!」

「こ、これ以上は危ないですよお……!」

 

生成した水を急速に冷やす魔法陣を組んでもらい、それを常に頭から被っております!!猛省であります!!

 

「頭を冷やすってそういう意味だっけ……」

 

おや!あれは我が王!!わたしの猛省の様子を見に来てくださったのでありますね!!

 

「ラントリス、そのおバカに付き合わさせてごめんね。」

「だ、大丈夫ですよぉ……!リオンさまのお願いですから」

 

むむ。わ、わたしのことは?

 

「いつもありがとう。あとで褒美を与えないとね」

「ほ、ほほほ、褒美ですかぁ……!?」

 

………………。

 

 

「絶望的な顔するの早くない??……ルシレーヌ」

 

あ。

あ、ああ。

 

「意地悪しすぎ……しすぎてはないね。 意地悪して、ごめんね」

 

あ……あ……!

「まこっ、まことにっ、もうし訳っ、ありませんでしたっ!!」

 

わたしは調子に乗りすぎた。だというのに、だというのに、この眩しいお方は……!

 

「泣くなよ。まったく、仕方ないな……」

「次は、次は……!」

 

だから、だからちゃんと応えなくては。網膜に焼き付いたあの景色を、知っているわたしだから。

 

「ちゃんと先に言うであります!!」

「うん、まあ、よし!」

 

 

という感じで、ひとつの騒ぎが収束し。わたしたちは元に戻ります。

しかし、全てが元通りというわけには行きませぬ。我が王忠臣たる我々の恋愛包囲網は、激化の一途にあります。

例えばラントリス殿が執務室で仕事をしていたり。

例えばアリアレット殿が隙あらばマーキング行動をしようとしたり。

日に日に大胆になっていくアプローチ。このままでは過激なことの一つや二つ、起きてしまう可能性も……

無いのでした。イレギュラーが起きたのであります。日常に迫る、恐ろしい影の正体。

 

「殿下!」

「あ、父上のところのネーミさん!どうしたの?」

 

国王陛下お付のメイド、ネーミ殿が駆け込んできました。

 

「お急ぎください!正に、今日!」

 

そこで息切れしたように呼吸を挟み、空気を深く吸い込んで、まるで間違いなく伝えるようにハッキリとした声で言ったのであります。

 

「隣国、ヴァスラッヘ帝国の皇女……アンドレシア様とのお見合いの日となりました!」

「なんで……?」

 

影の正体とはそう、王族と皇族の超重要なお見合いだったのであります。




ルシレーヌ:銀髪と翡翠色の瞳の幼女にも分類される少女。131cm。獣人並みの私欲と忠義と自己肯定感を主で満たしてる欲望特急列車。
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