かわいそうな被害者たち   作:豪次郎

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第0話 襲来

春、それは出会いと別れの季節である。

その例にもれず、俺も高校一年生となった今、とある出会いをしてしまった。

そう、「した」のではなく「してしまった」のだ。

 

正直、その出会いをしてしまった時は、ラッキーなんて思っていた。

出会ったのはそれはもう見た目「は」可愛い女の子だった。

こんな子とお近づきになれるなんて思ってもみない事だった。

 

しかし、その喜びもわずか数時間でかき消されてしまった。

やつはとんでもない女だったのだ・・・

 

「あっ!おっはようっ!!鉄風」

 

ガラガラと教室の扉を開ける音とともに、やつの声が聞こえてきた。

ご丁寧に俺の名前まで呼んでくれている。

絡まれるのがいやなので無視を決め込む。

 

「鉄風~?おーい、聞こえてる~?」

 

こちらに近づいてくる足音とやつの声。

 

ちっ、さすがに無視するには無理があるか・・・

 

俺の名前を呼んでいるのだから目的は確実に俺、そんな事はわかっているのだが

どうしても関わり合いになりたくない一心だ。

そんな心が無理のある無視を決め込むと言う行動を起こさせる。

 

と言うわけで、今度はやつを視界に入れないように反対の方向を向く。

 

「あれ?なんでそっち向くの?」

 

「・・・」

 

俺の隣まできたやつは、そっぽを向いた俺の顔を覗き込もうとする。

それに合わせるように俺は顔の角度を変える。

 

「ん~?」

 

「・・・」

 

さらに覗き込もうとする、さらに角度を変える。

 

「んう・・・」

 

やつの顔が離れるのが分かった。

ようやくあきらめたか・・・

 

「え?今日のチ〇ポジそっち向きなの?」

 

「んなわけねぇだろいきなりなに言い出すんだよっ!!!???」

 

んがぁ・・・やつの下ネタについ反応してしまった・・・

反応したとたん、やつの顔が笑顔になった。

代わりに俺は落胆した顔になる。

 

「違うの?いや~、頑なにそっち向くからさ、そうなんじゃないかと思ってたんだ。違うなら・・・そうかっ!!硬くなってたんだっ!!かたくなだけに、ね?」

 

「ねじゃねぇぇぇっ!!お前は俺を何だと思ってんだっ!?」

 

完璧にわかったと言わんばかりのどや顔が滅茶苦茶腹が立った。

この野郎・・・朝っぱらから下ネタかましてきやがって・・・

 

朝からどっと疲れてしまった。

そう、俺がこいつ、牧上成香との接触を避けていたのはこれが理由だ。

何の恥ずかしげもなく、可愛い顔から繰り出される下ネタの数々。

入学初日、こいつと知り合えて喜んでいた俺をわずか数時間で絶望の淵に叩き落した

ドギツイ下ネタ。

ダメだ・・・無理だ・・・ドギツすぎる・・・

 

のんきにニコニコしているこいつを横目に、俺はまた始まる学校生活を憂いていた。

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