かわいそうな被害者たち   作:豪次郎

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第十三話 被害者は被害者を、加害者は加害者を呼ぶ

被害者は被害者を、加害者は加害者を呼ぶ 教室にて-1

 

 

 

夏休み明け一日目、始業式の日。

うだる暑さが全くおさまらない中、学校が始まってしまった。

 

 

・・・はぁ、夏休みの最後の方は疲れた・・・

 

成香にパンツを差し出した母親を問い詰めたり、夏祭りでりんご飴二つをなぜか俺の股間に持っていこうとした成香を成敗したり、手持ち花火で遊んでいる時にとんでもない方法で火を消そうとした成香をシバいたり、夏休み最終日に夏の思い出を作ろうとか言いだしてゴムを取り出した馬鹿に制裁を加えたり・・・あ、考えただけで疲れてきた。

 

「何や鉄風、初日から疲れ果てた顔しとんな」

 

「丈二・・・お前は疲れてないと?」

 

「・・・スマン、俺が悪かったわ・・・」

 

こいつもこいつで色々あったようだ。

 

「おっはよう鉄風っ!!」

 

「おはよう丈二、早いのね」

 

頭痛の種共が来やがった・・・二学期もこいつらに振り回されるのか・・・

 

「そう言えば聞いた?うちのクラスに転校生が来るんだって!!」

 

「転校生?」

 

「しかも二人も来るんだよ二人も!!楽しみだね!!」

 

「二人同時って、珍しいやん」

 

二人同時か・・・何だろう、嫌な予感が・・・

 

「おい、席につけ。ホームルームを始めるぞ」

 

そう言いながら入ってきた担任の教師にクラス中が慌ただしく各々の席につく。

教壇に上がる担任の後を追うように二人の転校生が教室へ入ってくる。

 

男と女一人ずつか・・・

 

「この二学期からこのクラスの一員になる二人だ、挨拶するから静かにしろ」

 

転校生の登場にザワつくのをいさめ、二人の挨拶を促す。

静かになったところで男の方が口を開いた。

 

「僕の名前は深見信です、どうぞよろしくお願いします」

 

深見信、若干小柄で線の細い印象を受けるが・・・

 

「ねぇねぇ、格好良くない?」ボソッ

 

「そう?可愛い感じしない?」ボソッ

 

クラスの女子のヒソヒソ話の通り、顔立ちは整っている。

これはモテそう・・・

 

「・・・」っチョーク

 

カッカッカッ

 

そう考えていると、転校生の女の方が黒板に何やら書き始めた。

 

“新成宵夜”

 

「皆様、お初にお目にかかります。私、こう書きまして新成宵夜(しんせいよいや)ともうしますわ、どうぞお見知りおきを」

 

おおぅ、漫画みたいなお嬢様口調、まさか本物のお嬢様・・・

 

「先ほど信様が格好良いなど聞こえておりましたが、残念ながら信様は私と許嫁の間柄、つまり・・・将来的にズッ婚バッ婚する仲ですわぁー!!」ドドーンッ

 

「いや、しないからね?!許嫁も親同士が勝手に決めただけだからね?!」

 

あっ、気のせいだったわ、あの馬鹿共と一緒だったわ。

 

 

 

 

 

 

 

被害者は被害者を、加害者は加害者を呼ぶ 教室にて-2

 

 

 

「あっ」

 

「おっ?」

 

「ん?」

 

昼休憩の時間、トイレから戻って教室に入ろうとした俺と丈二、教室から出ようとした深見信が鉢合わせることになる。

 

そしてそこで俺たちは・・・言い知れぬシンパシーを感じた。

 

「なあ・・・お前もか?」

 

丈二が尋ねた。

かなり抽象的だったが・・・

 

「・・・うん、もしかして・・・君たちも?」

 

どうやら通じ合ってしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「そうかぁ、お前も苦労しとんのやな・・・」

 

「うん、まさか僕みたいな境遇の人がいるとは思わなかったよ」

 

通じ合った俺たちは初対面とは思えないほど会話が進んだ、主に被害の愚痴であるが。

 

「俺は相良丈二、丈二でええで」

 

「赤坂鉄風だ、俺も名前で呼んでくれ」

 

「丈二くんに鉄風くんだね、よろしく。僕の事も名前で呼んでよ」

 

かくして信と友達になったのだが、俺たちでここまで通じ合えるなら・・・

 

「あっ、鉄風」

 

「あら、深見くんも一緒なのね」

 

「まあ、すでにお二人も友達を作るなんて、さすが信様ですわ」

 

こいつらも通じ合えるんだよなぁ・・・

やはりと言うべきか、成香と成宮が新成宵夜を引き連れていた。

 

「宵夜ちゃん、この二人がさっき話した・・・」

 

「赤坂さんに、相良さんですわね?改めまして新成宵夜ですわ。お二人とも皮を被っているとか」

 

「どんな紹介の仕方だっ!?」

 

「?一般的でしょ?」

 

「どこの世界の一般なんだおいっ!!」

 

「さ・・・早速すごいね・・・」

 

信があきれながら苦笑いしていた。

 

「それより鉄風聞いてよ、私たち、意外な共通点があったの!」

 

「共通点?」

 

馬鹿ってとこがか?

 

「みんな名前に“(なる)”の漢字がついてるんだよ!!」

 

「・・・ああ、確かに」

 

「成香の成、成宮の成、新成の成、これは運命と言っても過言ではないわ」

 

「ですので、私たち同盟を組みましたの」

 

「同盟?」

 

「同じ“成”を持つ者同士・・・」

 

「出会うべくして出会った・・・」

 

「運命共同体・・・そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ア〇ル同盟を!!」」」ババーンッ

 

「そんな同盟即刻解散しろっ!!!!」

 

「なあ信、学校サボって遊びに行かん・・・?」

 

「うん、僕もものすごくそうしたい・・・」

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